2013年9月4日水曜日

福島第1原発を襲う、汚染水問題

この問題、最近騒がれているが、事故直後から予測可能な事態だった。

政府・与党、東電任せを反省 強い危機感 福島第1汚染水漏洩

産経新聞9月3日(火)8時55分

 政府・与党は東京電力福島第1原発の汚染水漏(ろう)洩(えい)問題を、安倍晋三政権への信頼を失墜させかねない事態とみて危機感を強めている。首相や菅義偉官房長官が、政府が前面に出る姿勢を繰り返し強調するのもそのためだ。ただ総合対策の実行はこれからで、自民党からは「取り組みが遅い」(塩崎恭久政調会長代理)との批判が相次いでいる。

安倍政権は今更危機感を強めているようだが、未だ事件の全貌を秘匿し続ける東電に事態収拾を任せる事そのものが無理なのだ。


さて、最初に断っておくが、事、ここに至っても原発再稼働には賛成する立場である。

そもそも汚染水問題と再稼働問題は別問題だ。

 

それはそれとして、批判だけしていれば良い問題でも無いので、どういう事態が起きているのか整理してみよう。

事故が起こった、後手に回る対策

3.11の大震災と、福島第1原発の惨劇は、実は別の問題だ。

想定外の事態

確かに、引き金を引いたのは地震であり、津波であったが、原発の建屋が吹き飛び、炉心溶融という事態を引き起こすに至るには、幾つものヒューマンエラーがあった。

その、元凶たる菅直人の批判はもうここでは止めておく。意味が無いからだ。当然、東電の対応の不味さについても、脇に置いておこう。あれだけ批判に晒されてなお、東電という会社はその体質を変えようとしないが、それにもここでは目を瞑る。

 

ヒューマンエラーの積み重ねと、想定されるべき事態が想定されておらず、炉心溶融という事態を招いた。が、炉心溶融した際に採るべき対応は、人類の誰も知らなかったと言うのも又、悲しむべき事実である。

 

炉心の冷却を水で行う

チェルノブイリ原発事故は、炉心が爆発四散し、その冷却に10日程かかった。ただし、多くの犠牲者を出してしまったようだが。

一方の福島第1原発は炉心がほぼそのままの形で残ってしまった。「ほぼ」というのが厄介で、燃料が封入状態ではあるのだが、容器の一部が壊れて漏れがあるのだ。

この結果、炉心を冷却し続けなければならない事態が続いている上に、冷却すると冷却水が放射能に汚染されてしまうのである。

 

増え続ける汚染水

ぶすぶすと燃え続ける燃料を、連続的に冷却する必要がある。だが、冷却すれば汚染水が発生し、汚染水はある程度は回収可能だが、全て回収出来るような構造にならない。

タンク

更に厄介なことに、この汚染水を再利用できるようなシステムを構築したのだが、突貫工事で作った急拵えのシロモノなので、あちらこちらでパイプから漏れが発生。処理能力も足りてないとという為体。

汚染水を再利用する為に汚染水を保管しておくスペースは当然、限界がある。

 

そうなることは最初から予測されていたことなのだが、東電は対策を意図的に怠った。その結果、汚染水は漏れる。再利用できないレベルの汚染水が溜まる。

更に、地下水が放射性物質によって汚染されて海に流出するという事態も起きているので、質が悪い。

しかしこの問題も、汚染水保管のために森が破壊された辺りに問題があるという者もいる。因果関係は不明だが。

 

今後の対策は?

政府がやる、と言っているのだから、信用するしか無い。が、政府は東電よりもノウハウが無い。

 ただ、自民党が同日開いた資源・エネルギー戦略調査会・経済産業部会合同会議では、「抜本対策といいながら毎回漏れている。これでは誰も信用しなくなる」(山田賢司衆院議員)、「いつまでに何をするかの見通しが見えない」(柴山昌彦総務副大臣)などと、これまでの東電や政府の対応を疑問視する声が続出した。

騒いだところで、効果的な対策が直ぐに無いのが玉に瑕。

しかし、素人判断で考えても以下の3つは対策する必要があるように思われる。これは幾つかのニュースでも報じられていたようだが。

多核種除去設備(ALPS)、別系統の設置

突貫工事で本来もっと時間をかけて構築すべきシステムを、短期間で作り上げてしまった。そのお陰で、一時的にシステム停止しなければならないほど、現状のALPSは不安定だ。

しかし、この手のシステムは、従来例が無かっただけに、運転初期にトラブルが発生することは仕方の無い事ではある。

……ただ、増え続ける汚染水はこの完成を待ってくれずに増え続けるわけである。現在停止しているALPSだが、3系統の除去設備が動き出せば、東電側の考えでは汚染水問題が解決できるとしている。

しかし、これ、再び地震が起きた場合に、大量の汚染水が無事である保証は何処にも無く、システム構築を急いだが為に、ALPSの耐震性が脆弱である点も否定出来ない。

 

国が前面に出るのなら、無駄だと分かっていても、現行ALPSとは別系統の多核種除去設備を税金投入してでも作るべきだ。

そして、お役所仕事的な書類の山が設備の完成を阻んでいる事態も解決しなければならない。東電の体質そのものも問題だが、原子力規制委員会という、厄介なお荷物がぶら下がっていたり、小回りがきかないのが非常に問題だ。

この危機意識の薄さは大問題なのである。

 

処理後の汚染水海洋投棄する体制を作れ

厄介な話だが、ALPSを通しても除去できない放射性物質が存在する。

微量ではあるのだが、地方自治体や他国が求める安全性という神話に阻まれて、海洋投棄は現状では困難だ。

 

しかし、緊急避難的にこれを海洋投棄する体制を構築しなければ、現状の体制が破綻することは目に見えている。

漁業や農業に関連する風評被害も含めて、対策をしてしまえば良い。どうせ、農作物は売れないし、海産物も敬遠されるのである。福島やその近辺の農作物は、作付け禁止、漁業も禁止してしまえば良い。

無論、大きな問題を残すことは分かっているが、汚染水対策の重要性を考えれば、何かを犠牲にせざるを得ない。

既に漏れている分や、対策が間に合わずにこれから漏れるであろう分はどうしようも無いのだkら、いっその事、ある程度の基準値を下回れば海洋投棄OKという時限立法で対応すべきだ。

 

原子炉建屋の構造と、問題対策を

これが最も難しい課題だろう。

何しろ、「原子炉建屋に地下水が浸入」「汚染水が海に漏れ出す」という状況が分かっていても、原因と対策が全く思いつかないのだから。

東電任せで、人、物、金が足りないのであれば、政府の力で調達することは不可能ではない。この部分にこそ、人員補充して解決を急がなければならない。

 

防波堤の建設を

これは、故吉田所長が指摘していたことだが、未だに福島第1原発の防波堤は「仮設」状態だ。

これを放置しておいては、再び津波に襲われたときに取り返しの付かない事態になる可能性が極めて高い。

無駄な税金投入と後世の人々に揶揄されたとしても、対策を打っておくべき部分だ。

 

汚染水問題は危機的状況

多分だが、表に出てきているよりも危機的状況が福島第1原発には訪れているのだと思う。

政府が全力で取り組むというのであれば、一刻も早い対応を望みたい。


 

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