遮水壁の建設に纏わる顛末

朝日新聞が嬉しそうに報じた遮水壁の話だが、記事の作りからしても「東電」=「悪」って事にしたいらしいな。

遮水壁の建設、2年前に見送る 東電、経営破綻を懸念

朝日新聞デジタル 9月18日(水)5時50分配信

 東京電力福島第一原発事故後の2011年6月、東電が汚染水の流出を防ぐ遮水壁の設置を検討しながら、経営破綻(はたん)のおそれがあるとして着工を先送りしていたことが、当時の民主党政権幹部の話でわかった。東電側が当時試算した約1千億円の設置費用の負担に難色を示したためで、その後の汚染水対策の遅れにつながった可能性もある。

まあ、民主党の失態もバレてしまったわけだが。


まず、遮水壁とは何か?という点から。

遮水壁

朝日新聞のイメージが分かり易かったので、引用することにする。

この遮水壁には全高30mの鋼板を原発全周取り囲むというとんでもない計画だ。壁を設置した後は、汚染水が海に流れ込むことを止める事を期待出来るそうだ。

無論、ある程度の効果は見込めるだろうが、福島第1原発周辺の地層がイメージ図のような綺麗な多層構造しているのであればともかく、何カ所にも孔は出来そうだ。

 

つまり、こんなのは汚染水を流さないですよー、というアピールに過ぎない。


しかし、兎にも角にも、2年前にも遮水壁を作ろうという発想はあったわけだ。

 馬淵氏は早くから汚染水対策の必要性に着目。事故から約2カ月後の11年5月、地下水が原子炉建屋に入って汚染され、外部に漏れることを防ぐため、建屋の地下を囲う鋼鉄製の遮水壁の設置を盛り込んだ「地下水汚染防止対策報告書」をまとめた。

そして、これを暴露したのが、民主党の馬淵氏。当時政権を担っていた民主党にとって、このような計画が出てこれば主導して進めるのが筋だろう。

「遮水壁約束も工事進まず」

9月18日 15時20分

原発事故発生後、総理大臣補佐官として対応に当たった民主党の馬淵選挙対策委員長は、おととし6月の時点で、汚染水の流出を防ぐため、東京電力が遮水壁の設置を遅滞なく進めると約束していたにもかかわらず、その後、工事が進まなかったと指摘しました。

ところが、当時、総理大臣補佐官を務めた馬淵氏、民主党政権と東電との間で「建設する」との約束をしていた等と言い出してしまった。

東電、遮水壁設置を見送り=原発事故直後の6月―民主・馬淵氏が証言

2013年9月18日(水)12:35

これに対し、松本氏は、遮水壁計画について遅滞なく進めるよう政府側から指示されたことを認めつつも、「確認、了解までは至っていない」と述べ、馬淵氏との食い違いを見せた。 

しかし、東電の松本純一・原子力改革特別タスクフォース事務局長代理は、これに反論しているようだ。「合意は無かった」という訳だ。

海江田氏、2年前に遮水壁先送りを容認していた

読売新聞9月18日(水)14時13分

 民主党の海江田代表は18日、東京電力福島第一原発事故の汚染水流出を防ぐ遮水壁を巡り、東電が事故直後の2011年6月、設置を検討しながら経営破綻の恐れがあるなどとして先送りを求めていたと語った。

 海江田氏は当時経済産業相を務めていたが、東電の説明を受け入れ、先送りを容認した。

はい、そして、この遮水壁建設先送り容認をしていたのが、海江田氏である。流石!先送りが得意な民主党らしい判断だ。

 海江田氏は当時の判断について、「あの時点では間違っていなかった。東電が破綻すれば、被災者への賠償はどうなる、ということを考えねばならない」と述べた。国費を投入しての遮水壁設置についても「『東電に責任を取らせるべきだ』という当時の世論では難しかった」と語った。

はい、「国民が悪かった」「世論が許さなかった」これも民主党の十八番である。自らが決める政治では無く、判断を他人任せ、決められない政治という典型であろう。

 

東電を責めるつもりが、実は民主党政権の失態を暴いてしまう結果となった訳だ。


個人的な見解を書いておくと、上で触れたように、遮水壁はある程度は機能するだろうと思われる。

だが、完璧に防ぐことはほぼ不可能だろうと、その様に考えられる。

これは、地層の状態などにも寄るので、実は構想通りに建設が可能である、という話になるかも知れないが、上手く行かない可能性も結構高いと、僕はその様に踏んでいる。

 

そして、対費用効果として、1000億円をかけてこのような遮水壁を作ったとして、現状で垂れ流されている汚染水の状況であっても、基準値以上の状況になっている訳でも無い。故に、2年前の民主党の何も判断せずに先送りした話も容認できない話だが、安倍政権の方針も、あまり懸命だとは思えない。

現状、遮水壁を作ると言う判断は、オリンピックに向けたイメージ戦略、という側面は有るかも知れないが。

東電を擁護する気にはとてもなれないが、それでもこの一件、効果の程も分からない遮水壁に1000億円もかけて経営破綻の道を歩むことをしなかったという点に関しては、半国営企業であったとしても、民間企業の判断として不味くは無かったように思う。

 

無論、汚染水が垂れ流される状況は、あまり好ましいものでは無いだろう。だが、本当に、問題なのか?「汚染水」というイメージが悪いだけでは?(苦笑

漏らさない、よりも、処理した水を海に流す方向で調整するしか無い。それでなくてももうストックしておくのは限界に近く、ついでに処理装置は止まっているし、処理装置も完璧でもない。

日本の放射性廃棄物処理も、「ストックしておく」という問題の先送り方式を採っているが、遮水壁も又、問題の先送りに過ぎないのだ。

もっと積極的に処理する方向で手を打つべきだと、僕は思うんだが。

 


「東電叩き」シンドローム 脱原発論の病理 (B&Tブックス)

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