2013年10月21日月曜日

微妙な戦闘機FA50の引き渡し

正確には軽攻撃機という部類に入るらしい。

韓国製軽攻撃機FA50 今週空軍に初引き渡し

2013/08/18 15:54
【ソウル聯合ニュース】韓国防衛事業庁は18日、韓国初の軽攻撃機FA50の1号機を20日に空軍に引き渡すと明らかにした。
何が微妙かというと、ベースになった機体がT-50だから、という辺りがである。


T-50ゴールデンイーグル、と言ったら、このブログの読者か、韓国軍の事情に詳しい方ならば、あ、アレかとぴんとくるはずだ。
F-16_T50
お笑い韓国軍(空軍編)で紹介しているからだ。
で、このシルエットで分かるのは軍事マニアだろう。何しろ、T-50は原型がF-16で、F-16をベース(部品を流用しただけ、と言う話もある)にしてロッキード・マーティン社が設計し、韓国航空宇宙産業(KAI)が製造した練習機だ。色々とF-16の面影がある。

ところでこのT-50、何故か、韓国の純国産器扱いになっているらしい。え?準国産機の間違いじゃ無いか?いやいや、韓国なので「純国産機」で間違い無い。韓国起源と言うヤツだ。
 FA50は韓国が独自技術で開発した超音速高等訓練機T50を武装・改造した初等戦闘機。2008年12月から昨年10月までの約47カ月間、T50を基に精密攻撃や戦術データリンク、夜間作戦能力などのテストを行った。
ほら、韓国起源だろ?(笑

冗談はさておき、T-50ゴールデンイーグルは、高等練習機として開発された。
ブランデッドウイングボディ(翼と胴体を一体的に設計することで空気抵抗低減を図る技術)など、F-16で採用された機体形状をほぼそのまま流用するなど、ロッキード・マーティン社の手抜き設計じゃ無いか?と思われるほど、F-16とは類似点が多い。

なお、似たような商売は、台湾相手にもやったらしく、F-CK-1「経国」という、ロッキード・マーティン社設計の戦闘機も存在する。

ただし、F-CK-1は戦闘機であるのに対し、T-50は練習機であり、攻撃性能を有さない。そしてコストが1機あたり230億ウォン~350億ウォン程度と言われており、F-16(1,880万USドル)よりもお高い練習機である(苦笑

その一方で、F-16よりエンジンはダウングレードされており、F404-GE-402ターボファンエンジンの単発装備(F/A-18が2基積んでいるエンジン)と、割とショボイ。これはF-16より機体が一回り小型になって、練習用だと考えれば妥当だ。
とはいえ、エンジンパワーが落ちた分、最大離陸重量が少なくなり、兵装を殆ど積めなくなる。そりゃそうだろう。高等練習機として開発されたのだから。

小型で軽量であれば、練習機としてはメリットが多いはず。だから、ロッキード・マーティン社が問題、と言うわけでは無い。

そもそも現在において高等練習機の意義が失われつつあり、無用の長物と化しているのは問題だな。
戦闘機乗りになるには、レシプロプロペラ機などの初等練習機から訓練を始め、基礎訓練を積んだ後、基礎練習機を経て高等訓練に入るのが一般的である。ただ、高等訓練の際には、実用機で訓練することが多くなってきている。
無論、アビオニクスなども搭載した武装能力をそこそこ持っているLIFT(戦闘機前段階練習機)という存在を使うケースも有り、韓国のT-50はこれに該当する。訓練過程の考え方次第では、アビオニクス等の操作や武装に慣れるために、簡易な武装やアビオニクスを搭載するLIFTでの訓練が良いのだ、という事は言えるようだ。

あと、問題はコストだ。1機あたり230億ウォン~350億ウォン程度と言われ、かなりお高い練習機だ。T-50が2機でF-16C/Dが1機買えてしまうどころか、アメリカ軍の調達コストなら、F-16C/Dの方がお安い。

訓練機が実用機より高いなんて状態では、実用機(副座型)を訓練に使った方が良いのでは?という結論になるのも無理はない。
シミュレータでアビオニクス関連の訓練をやって、実用機へ、という過程を経る軍隊(自衛隊もこのような考え方のようだ)が多いのは、そうした理由かららしい。
日本にもかつてT-2という高等練習機があったが(T-50の半分のコストで作れるようだ)、全機退役してしまった。


とまあ、そんな感じで、実際、韓国もかなりT-50の売り込みに苦戦している模様。最終的に売れたのがインドネシアだけ、というのが現状。

そこで、派生型のF/A-50という兵装を積んだT-50が作られる。
そもそもLIFT機は簡素なアビオニクスと兵装を搭載しているため、攻撃をすることが可能なのだ。F/A-50にはイスラエル製のEL/M-2032レーダーと、M61A1機関砲、AIM-9空対空ミサイル、各種爆弾、ロケット弾ポッドなどが運用可能だそうな。
しかし、例えば本家F-16と比較するとこんな感じだ。
F-16C F/A-50
翼面積 27.9m2 未公開
自重 8.27t 6,441kg
最大離陸重量 20,866kg 11,985kg
推力重量比 0.69 -
最大速度 マッハ2.0 マッハ1.5
上昇率 15,240m 14,630m
戦闘行動半径 1,759km -
航続距離 3,982km 1,851km
練習機としてはオーバースペック気味だが、戦闘機としてはかなり物足りない。
固定兵装のM61機関砲1門はF-16と同じだが、空対空ミサイルは、AIM-9空対空ミサイル「サイドワインダー」が標準で、AMRAAMには対応できない模様。まあ、EL/M-2032レーダー積んでいるので、パイソン5なんかは積めるんだろうけど。
爆装は可能のようだが、重い爆弾を装備したら、作戦行動半径は極端に短くなると予想される。JDAMの1000ポンド級辺り2つ積んだら、離陸できなくなったりして(苦笑

 FA50は地下にあるミサイルや長射砲陣地を破壊する合同精密直撃弾や地上のタンクなどを撃破する精密誘導拡散弾を装着することができる。
 FA50は撤去予定の一部旧型戦闘機を代替する。代替後は陸海軍との緊密な合同作戦が可能になり、戦術データリンク体系を利用することで米軍戦闘機との効率的な連合作戦もできるようになる。
 防衛事業庁の関係者は「FA50を韓国空軍が直接運用することによって、海外輸出にもプラスの効果があるだろう」と述べた。

そりゃま、F-16ベースなんだから、エンジンが非力な点に目を瞑れば、劣化型のF-16として使うには問題無いかもしれない。

だが、性能の割に価格がお高いFA-50の存在意義はいったいどの辺りにあるのだろうか??
軽攻撃機、という立ち位置がよく分からないのだが、F-16への切り替えがスムーズに行って、F-16よりは安く買える、という点を挙げれば、或いは選択肢としてはありなのかも知れない。


さて、フィリピンではFA-50を調達することを決めたらしい。

朴槿恵大統領が比・アキノ大統領と会談、韓国製戦闘機の調達に謝意―中国メディア

XINHUA.JP 10月18日(金)18時51分配信

韓国の朴槿恵大統領は17日、同国を公式訪問しているフィリピンのアキノ大統領と会談した。朴大統領が就任以降、外国の首脳を公式訪問に招くのは初めて。東方日報が18日伝えた。

どうやら、フィリピンはFA-50を12機調達するつもりらしいが、一体どんな戦略が?
フィリピンは過去、軍備の多くを米国に頼ってきたが、ここ数年は他の国からも調達している。韓国の李明博前大統領が2011年11月にフィリピンを訪問した際、アキノ大統領は「韓国からより多くの装備を購入する」と述べた。
意外にフィリピンでは反米感情が強いらしく、フィリピンならではの選択肢かもしれない。だが、相手は韓国製品だぞ?(苦笑

果たして、韓国空軍からF/A-50の改造要請が出るか、フィリピンから調達中止のお知らせが出るか、どちらが早いだろう?
想像力が欠如している僕には、有効利用出来る姿が想像出来ないのだが……。

追記
見落としていたのだが、支那からF/A-50をフィリピンに販売するにあたって、「売るな」と文句が出ていたようだ。

中国が軽攻撃機の対比輸出中止を要求、韓国は拒否

記事入力 : 2013/10/21 10:17
 19日付読売新聞によると、中国政府はこのほど、韓国が独自技術で生産した軽攻撃機「FA50」をフィリピンに輸出しないよう韓国政府に求めたが、拒否されたもようだ。
 中国は韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領とフィリピンのアキノ大統領が17日にソウルで首脳会談を行うのに先立ち、韓国政府に輸出を差し止めるよう求めてきたとされる。これに対し、韓国政府は「国益に直結する防衛産業の輸出に中国の干渉を受けることはできない」として要求を拒否したという。

性能は微妙だが、戦力には違いない。支那とフィリピンは領土問題で争っている関係にあるフィリピンの軍事力が大きくなれば、支那は当然、面白くない。

ところで、この記事で気になったのはこの部分。
朴大統領は17日、アキノ大統領との会談で、フィリピンがFA50を12機(4億4300万ドル=434億円相当)導入する意向を示したことに謝意を表し、速やかな契約締結を正式に求めた。
4億4300万ドル相当で12機ということは、1機あたり3700万ドル程度って事だな。確か、KF-16の調達コストは4300万ドルだったはず。F/A-18のお値段は3950万ドル程度。
……えっと、本当にF/A-50で良いのか?F-16EとかF/A-18E/F買った方が、性能的にも絶対お得だぞ?

……いや、確か、タイがグリペン12機買っていたと思うんだが、価格が352.7億バーツ(約950億円)だった。そうか、グリペンの半額か。性能も半分ってか(笑
グリペンはスイスの戦闘機で、エンジンはT-50と同じものを使っているが、4.5世代戦闘機と呼ばれるシロモノだ。コストと性能は、F/A-50と段違い。何がどうしてこうなったのやら。


ランキングへの応援クリックよろしく!
人気ブログランキングへにほんブログ村 ニュースブログ 時事ニュースへ