反原発を考える

元首相である小泉氏が、反原発の狼煙を上げている。

小泉元首相、脱原発促す 「原発ゼロでも成長可能」

2013年10月16日(水)19時14分配信

 小泉純一郎元首相は16日、千葉県木更津市で講演し、原発政策に関し「原発ゼロでも十分に経済成長できる」と強調し、再稼働を目指す安倍晋三首相に重ねて政策転換を促した。

元首相である小泉氏は、その政策の内容はともかく、リーダーシップとマスコミの扱い方は非常に上手かった。その点で、僕の尊敬する政治家のウチの一人だが、特に反原発発言についてはちょっと、と思うところが多い。

小泉氏の反原発の根拠

経産相の甘利氏に、「ピュアで短絡的」と批難されているが、根拠を見ていくとまさにそんな感じだ。

小泉氏の反原発の論拠は、こんな感じだからである。

処分場が無い

放射性廃棄物の処分場が無い、というのは、原発が「トイレの無いマンション」と揶揄される理由にもなっている。

事実、日本には、いや世界中何処を見ても、放射性廃棄物処分場には相当に困っている。それでもアメリカのように広い国土があれば、どこかに保管所を造って保管すれば良いが、日本の場合には先ず土地を確保するところから困難である。

 

しかし、これは反原発の論拠にはならない。

何故ならば、何処の国でも放射性廃棄物の処分場は確保出来ていないし、即時原発ゼロ、廃炉にする、と言う事を決定したとしても、放射性物質処分場は必要なのだ。

つまり、反原発だろうが原発推進だろうが、放射性廃棄物処分の問題はついて回り、解決が必要だと言うことだ。

こんなの、根拠に上げる方が愚かしい話。

 

原発ゼロでも経済成長可能

3.11以降、火力発電で年間3兆円も垂れ流して、それでも電力の安定供給が出来ずに、夏、冬と節電要請する現状で、「経済成長?」脳味噌腐ってるんじゃ無いのか?

正直、これ、本当に真面目に考えた意見だとは思えない。

「原発ゼロ」は、どちらにしても日本が将来採らざるを得ない道であることは事実だ。何故ならば、新規原発をどこかに造る、等と言うことは現状で非常に困難だからだ。つまり、長期的に考えれば、原発ゼロは避けられない結論となる。

 

だが、既に建てている原発で、老朽化していない設備に、安全性を向上させて使う、という選択肢は非常に現実的であると思う。つまり、再稼働を選択する方がより現実的なのだ。

 

再稼働に文句があるなら、再稼働期間を区切れば良い。どのみち、40年で寿命を迎える原子炉で、燃料プールの容量を考えれば、数年のウチに何らかの対策を打たなければ、稼働できなくなる。そっから先は、放射性物質廃棄処理問題と同じだ。

そして、現状はただでさえ火力発電の燃料確保に苦慮しており、二酸化炭素排出問題だってクリアできていない。老朽化した火力発電所を休めることすら困難な状況だ。

 

数年、十数年後には、安価なシェールガスの確保やメタンハイドレート開発によって、天然ガス火力での発電が安価に出来る可能性はあるが、その目処が付くまでは原発を再稼働させるという選択肢を採る、というのは極めて現実的なのだ。

 

つまり小泉氏の反原発は、根拠の無いスローガン

論拠が崩れてしまえば、小泉氏の反原発は、単なるスローガンに過ぎない。

尤も、「郵政民営化」など、これまでもスローガンが好きな方だったので、当然の帰結なのかも知れない。

元首相の小泉氏だからこそ、発言に重みがある様にも思えるが、蓋を開けてしまえば言って居ることは、共産党や緑の党と何ら変わらないところが、何とも情けない。

変なことを言って晩節を汚すことは無いのに。

 

アーニー・ガンダーセン氏が主張する反原発理論

さて、ついでにメールで紹介頂いた反原発のサイトの内容にも言及しておこう。

正直、しがないサラリーマンには手に余る内容なんだけど。

核エンジニア:日本の首相はフクシマの安全について 「日本国民にウソをついている」 Nuclear Engineer: Japan's PM "Lying to the Japanese People" About Safety of Fukushima

……まあ、ぼちぼちやってみましょう。

ガンダーセン氏とは何者か?

まず、このインタビューを受けている人が何者か?と言う話。

アーニー・ガンダーセンは、40年を超える経歴の原子力エンジニア。レンセラー工科大学で学び、優等の成績で学士号を獲得するとともに、核エンジニア修士課程に進むための栄えある原子力委員会奨学金を授与。

原子力エンジニアってのが彼の今の肩書きらしい。小出裕章氏のお友達なんだって!良かったね!経歴詐称の疑いがあるが、それは割とどうでもよろしい。

 

で、リンク先のサイトでは、安倍氏の批判と福島第1原発の今後について言及されている。
掻い摘まんで説明すると、彼の論旨はこうだ。

  • 「安倍氏」 → 「嘘つき」、
  • 「東電」 → 「事態収集能力が無く、事態収拾のための予算が無い」、
  • 「福島第1原発」 → 「IAEAに任せろー、バリバリー」

といった感じの話だ。
んだよ、箔を付けるためにIAEAでオモチャにしたいだけじゃねーの?と、言う感想を個人的に持ったのは、まあ、どうでも良い話かな。

福島第1原発はコントロールされているか?

彼の話は、安倍氏の「福島第1原発はコントロールされている」発言の批判から始まっている。
オリンピック誘致の際の安倍氏の「コントロールされている」発言は、軽率な部分もあり、誇張されたものである。よって、この点で安倍氏が批難されるのは仕方が無い。

が、安倍氏への批判は、この他にも「現場に顔を出しただけ」という類の発言がある。が、これはどうかと思う。

安倍氏が福島の現地視察に行ったのは3回。(1回目2012年12月29日、2回目2013年3月24日、3回目2013年9月19日)。うち今年の9月19日の視察では、野田氏を上回るフルアーマーぶりで大絶賛(苦笑)であった。
無論、リーダーが現場に出向いたから素晴らしい!という話でも無いだろうが、「半日顔を出して、引っ込んで」というのは語弊があるだろう。 寧ろ、素人が陣頭指揮を執るような菅直人の愚を犯さないのは、「マシ」とも言える。

現場に顔を出す殊が重要なのでは無く、現場を知ることが重要なのだ。ちょっと顔を出す程度だろうが、現地を視察し、報告書の内容を把握していれば、リーダーとしてはその方が望ましい。

報告書の内容に疑問を感じて現地視察をする、と言うのであればまた話は別だが。

 

福島第1原発と奇形動物

反原発派が好んで使う「奇形」トリックだな。

残念ながら自然環境下で、放射性物質とは凡そ関係がなかった場合にも「奇形」というのはある程度の確率で発生する。

「甲状腺癌」も放射性物質とのかかわりが深いとも言われているが、全ての甲状腺癌が放射性物質起因という訳でもない。 放射性物質との因果関係の有無は非常に慎重に調査されなければならない話で、ちょっと奇形を目にしたら直ぐに「放射能がー」と大騒ぎするのは、馬鹿馬鹿しい話だ。

因果関係について短絡せず、しっかり調査するのが科学者の努めでは?

新生児 原発事故影響見られず 福島医大が調査結果発表

一方、こうした「影響が見られない」といった調査結果もあり、科学者の間では一概に原発由来で奇形が多発するとは関係づけられないというのが現状の見解だ。

 

福島第1原発の原子炉は爆発していない

彼の話で、明らかにおかしな部分はここだ。

さて、事故後、最初の週、わたしはCNNに出演していまして、これは長く苦しい闘いになるだろうといいました。3日間に3基の原子炉が爆発するなんて、前代未聞です。ですから、これはまったく真新しいできごとです。

正確には「原子炉建屋が吹き飛んだ」というのが正確なところ。

しかし、彼は言い間違いなどでは無く、「原子炉も吹っ飛んだ」と主張しているらしい。政府発表では、原子炉の容器は破損しているが爆発はしていない。
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この写真は右側3号炉、左側4号炉だ。
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こちらは右から1号炉、2号炉、3号炉、4号炉となり、1号炉建屋、3号炉建屋、4号炉建屋はほぼ全壊という様相だ。

写真から判断すれば、「圧力容器も吹き飛んだんじゃ無いの?」と思うのは、正直な感想だとは思うのだが、そうであれば石棺を建設するような対応になるのが妥当だろう。

そうせずに、未だ東電の職員を始め、現場の作業員達が事故対応にあたっていることを考えれば、政府の発表通りであったというほうが、納得できる話だ。

 

チェルノブイリ原発のように原子炉も吹き飛んだことで、放射性物質による汚染が一時期大規模に発生し、その後収束するタイプとはならず、事故後数年にわたって放射性物質を排出し続けており、今も原子炉を冷却している理由は、原子炉建屋が吹っ飛び、原子炉自身が破損して、放射性物質が漏れ続けているからである。

まあ、前代未聞、と言えばそれはその通りだろうが。

 

東電に事件収束能力はあるのか?

彼は、「東電が浄化を行っているのは不適切」と発言しているが、これも事実誤認だ。

東電が原発の運営を続けていることには疑問を感じている国民も多いだろう。 事実、僕自身も東電から原発を切り離して、福島第1原発の事故対応は国がやるべきだとは思っている。

彼の言う「東電に金は無い」というのは事実で、事故対応に公金投入されているのだから、東電と切り離した方が資金の流れは分かり易い。

しかし、東電か国か、どちらが事故対応にあたるにしても、「エンジニアリング会社」である東芝が動いてALPSが作られたし、アレバやキュリオンなども噛んでいることは事実だ。つまり、浄化装置は完全にエンジニアリング会社がやっているのだ。

アレバ、キュリオン、東芝、これは原発製造においては世界トップレベルの実力を持つ会社ばかりだ。 「不適当な技術の寄せ集め」どころか、現状考えうる最強のエンジニアリング会社が担当しているのに、「不適格」とは笑わせる。


彼は別の心当たりが6社ほどあるらしいんだけど、だったらしっかりその6社の名前も開示してくれ。少なくとも、当ページには出てないよ?

事故と原発再稼働とは別の話

彼は、「国は事故処理にかかる費用を公開したがらない」と発言しているが、そりゃ、かかった費用は公開できても、かかる費用は「前代未聞の事態」なのだから、説明することは難しいだろう。何を言っているんだ?このおっさん。

 

そして、原発再稼働をしていないことは、寧ろ資金調達の妨げになっている事実を指摘しないのはフェアじゃ無い。

 

電力供給という点でも、東電の体力回復という点でも原発再稼働はするべきだし。日本経済の為にも再稼働は推進すべきだ。

このおっさん、事故直後に素晴らしいアイデアを東電に授けて、「お金が無い」という理由で断られたらしいのだが、是非説明して欲しいものだ。

 

事態を国際的なエンジニア集団が引き受ける

正直、日本の問題は日本で解決しなければならない。

多国籍のエンジニアが、正しく問題解決にあたるか?という点は非常に心許ないからである。単に、科学者達のオモチャになる可能性だってある。

彼は「わたしのような人たち、核の技術をもっている人たち」「契約業者とのつながり」を与えられていない、と文句を言っている。これは、言い換えれば、「一枚噛ませろ、美味い汁を吸わせるんだ」「金はうなるほどかかるぜ!」と、その様に言っている訳で。

多国籍集団に、事態収拾を任せる事が問題なのは、まさに彼等の誠意が信頼できるか?という点にかかっている。

福島第1原発の事態収束は、日本に原発がある以上は日本主導で行われなければならない。その点は疑い様が無いのだ。

 

放射性疾患を隠している!

これも反原発派がよく使う手口である。

「日本の研究者たちが事実を語るのを恐れている」「病院が医者に患者が放射性疾患にかかっていることを止めている」「動物の異常について語る研究者がデータ発表を許されない」

はいはい、証拠を出しましょうね、お爺ちゃん。

陰謀論が大好きな方達は、このような話を好むかも知れないが、現実的に考えれば、馬鹿馬鹿しい主張である。

無論、政府が公表していない事実、というのはあるだろう。全てを公表せず、意図的に暈かしている、それもあるかも知れない。

懸念される部分はあるだろうが、信頼に足る証拠は持ってこいよ。

 

国民の命が危険に晒され、それを情報統制することで隠しているとしたら、それはもはや民主主義国家とは呼べないだろう。そう、証拠があれば政府を追及すべきなのだ。

だが、「~と聞いている」とかいう話だけで、ハイそうですか、と信用できるほど、僕はおめでたくは無い。

 

信用すべき情報は何か

さて、このような感じのアーニー・ガンダーセン氏の主張を、喜んで拡散しちゃっている方々も沢山居る。

だが、アーニー・ガンダーセン氏の意見は、政府発表の内容同様に疑ってかかるべきであり、どちらか一方だけの話を鵜呑みにするのは非常に危険だ。

 

信用するとすれば、根拠やデータがしっかりした方を信用すべきであり、小難しい話に欺されてはいけないのである。

 

アーニー・ガンダーセン氏の主張はこのほかにも色々あるが、色々突っ込んでいく時間が無いので、本日はこの辺りで。ホット・パーティクル仮説なんかも、色々と香ばしい感じではあるんだけどね。

 


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