ニュースが報じる後藤氏釈放の怪

日本人の命が助かるのであれば、それは喜ぶべきなんだと思うんだ。

イスラエル通信社、死刑囚と後藤さんの解放について合意と報道

フジテレビ系(FNN) 1月28日(水)17時26分配信
過激派組織「イスラム国」を名乗るグループによる日本人拘束事件で、イスラエルの通信社は、リシャウィ死刑囚と後藤健二さんの解放について、合意したと報じている。
また、地元・ヨルダンのメディアは、このリシャウィ死刑囚をまもなく移送すると報じている。
ただ、この報道はどうも胡散臭い気がする。僕の杞憂であれば良いんだけどね。


気になる点はいくつかある。
前提条件として、この交渉はヨルダンに収監中のテロリストと、人質になっている後藤氏の交換である。少なくとも、テロ組織ISILの映像ではその様になっていた。
だとすると、以下の3点がまずよく分からない。
1つ目は、ヨルダンにとってメリットが殆ど無いこの交渉を、ヨルダン国王が決断したという点だ。
日本に恩は売れるだろうが、ヨルダン政府にとって優先すべきは自国のパイロット救出のハズだ。自国民もそれを望んで居るという報道であった。加えて、テロとの戦いを前面に出しているアメリカと、ヨルダンは足並みを揃える関係にある。にもかかわらず、テロリストととの交渉に応じることは、アメリカの立場に泥を塗る結果になるし、テロとの戦いからは後退する。

2つ目は、日本にとってこの結果が果たして良かったのだろうか?という点だ。
確かに人命は尊い。釈放されること自体には僕だって喜びたい。だが、後藤氏の話は日本の事情であって、ヨルダンには関係無い話。それを押し付けてまで、釈放を求めることは、ヨルダン政府に大きな借りが出来たことは言うまでも無いが、果たして帳尻を合わせられるだけの対価を示すことが出来るのだろうか?また、アメリカの方針にすら逆らう点は、どのように帳尻を合わせる気なのだろうか。ヨルダンが切ったであろうカードだとは言え、今ひとつクリアでは無い。

3つめ目は、テロ組織ISILにとって、有利に事が運べていた様にも思えるのに、ここに来て死刑宣告されたテロリスト一人を助けることで、価値ある人質を日本とヨルダンに渡す、それが本当に適切なのかイマイチ分からない点だ。
自爆テロを平気でやらせるテロ集団が、収監されているテロリスト一人の命にそこまで拘るのだろうか?
テロリストの思考回路など、凡人たる僕に語れようはずも無いのだが、それにしたって価値をつり上げるだけつり上げて、時間を乱暴に区切ったにしては、こんな呆気ない決断というのはちょっと理解に苦しむ。


更に、報道内容も、首を傾げたくなる点がいくつかある。
現地時間の27日夜から28日朝にかけて、大手のメディアではない独立系のメディアなどから、サジダ死刑囚の釈放に向けた動きが始まっているとのニュースが出始めている。
独立系の新聞社・ジョルダンニュースは、インターネット上で28日、サジダ死刑囚が収容されていた刑務所から別の刑務所に移送されたと報じた。
ヨルダン国内のこの様な動きは、駆け引きとしてあったとして不思議は無い。 実際に交渉に応じる構えがあると見せかけるのは、悪くない手だと思う。
だが、その次の部分がおかしい。
また、アラブのオンラインニュースは、ヨルダン筋から得た情報として、サジダ・リシャウィ死刑囚を釈放し、イラクのサジダ死刑囚の出身部族に引き渡す見通しだと報じている。
テロ組織ISILとヨルダンとの間で、釈放の方法に合意があったとして、だ、なぜ「出身部族」に引き渡す?
テロリストだろう??
出身部族はシリア国内の部族だと予想されるが……、部族全体がテロリスト集団なのだろうか?
或いは、シリア政府の介入でもあったのだろうか?そうでなければ、アサド政権は何故、ヨルダンと国内の一部族との話し合いに介入しないのか。


そして、この部分も謎だ。
さらに、アラブのオンラインニュースは、トルコの通信社を引用する形でヨルダンのパイロットの出身地であるカラクの県知事が、パイロットの部族に対して、早朝、数時間以内によい知らせがもたらされるであろうと伝えたとしている。
ヨルダンにとって、えらく早い決断だよね。
そして、大体、何故、県知事がその様な情報に接する機会があるのかがよく分からない。政府の発表も無い段階で、だぜ?
一方で、ヨルダン政府と大手のメディアからは、一切このような情報は出ていない。
そして、リシャウィ死刑囚の釈放に関する見返りについても、どの記事も一切報じていないという状況となっている。
この部分に至っては、一部のメディアの誤報じゃ無いかと臭わせるような内容になっている。大手メディアが報じないのは、裏がとれていないからだろう。
日本のメディアは狂喜乱舞しているような感じだが……。

この期に及んで、脳天気に「後藤さん釈放だ!」と喜べない僕の心は相当曇っているらしいな。

でもまあ、いずれにしても政府の発表が早晩あるだろうから、喜ぶのはそれからでも遅くは無いと思う。
追記
新しい情報が出た模様だな。

パイロットと交換で死刑囚釈放…ヨルダン情報相

読売新聞 1月28日(水)21時2分配信
~~略~~
 これに対し、ヨルダン国営テレビは28日、カサースベ氏との引き換えなら「リシャウィ死刑囚を釈放する用意がある」とのヨルダン情報相の発言を速報で伝えた。

ヨルダン政府の公式メッセージと見て良いだろう。そして、この時点での交渉メッセージということは、「釈放について合意」という情報は嘘である可能性は高そうだ。

ただ、前の問題は情報の出どころだろうな。
複数のローカルニュースがそれぞれ報じているということは、同一のソースからニュースを報じたというわけでは無さそうである。
「後藤氏+パイロット ←→ テロリスト」の交渉が成功したという情報を流して、得をする陣営は何処だろう?と考えてみると、日本政府やヨルダン政府にとってはメリットが薄いように思える。
日本政府やヨルダン政府は、アメリカ政府からテロ組織と交渉しないように圧力がかかっているからだ。
テロ組織ISILの仕掛けてきた情報戦だとしたら、厄介だな。



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