テロ組織ISILの後手に回る日本政府

完全に主導権を握られているな。

(時時刻刻)急展開、政府緊迫 官房長官、未明の会見 「イスラム国」人質事件

朝日新聞デジタル 1月25日(日)5時30分配信 (有料記事)
 過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件は24日深夜、インターネット上に新たな投稿がなされ、事態が急展開した。日本政府は25日未明、会社経営者の湯川遥菜(はるな)さん(42)とみられる男性が殺害された可能性を示唆。安倍政権は情報収集と分析に追われた。
人質を相手に握られている以上、主導権を握られるのは仕方が無いが、完全にテロ組織ISILのペースだというのが気に入らないな。


日本政府にとって、人質になっていると思われる後藤氏を見捨てるという選択肢は採れない。
だが、武力組織による強硬手段も、憲法9条の制約によって使えない。いや、厳密に言うと、テロ組織ISILの活動拠点のシリアにある政権と何らかの連係がとれればやりようがあるのだが……、シリアはアメリカによってテロ支援国家に認定され臨戦態勢にあるだけに、アメリカの同盟国である日本にとってはその選択肢をとることは困難だ。
或いはロシア経由でシリアのアサド政権に圧力をかけて貰うような手段は考えられるが、日本とロシアとの関係も又難しい情勢にある。

もちろん、自国の軍隊、つまり自衛隊を派遣するなどと言うこともできない以上、事の推移を見守るしかなさそうだ。


テロ組織ISILの幹部は、相当にこういった駆け引きに手慣れているようで、無理な金銭要求から一転して不可能な人質解放要求をし、日本とテロ組織ISILという構図から、その間に親日国ヨルダンを巻き込むという姑息な、ある意味効果的な選択をしたわけだ。

板挟みのヨルダン政府 アンマンの日本大使館前は騒然

2015年1月28日01時14分
 27日午後5時(日本時間28日午前0時)、現地対策本部があるヨルダンの首都アンマンの日本大使館前。新たな展開を受けて集まった約30人の報道陣がカメラの列をつくり、騒然とした雰囲気に包まれた。日本政府は後藤さんに加え、同じく「イスラム国」の人質になっているヨルダン軍パイロットの救出についてもヨルダン側と連携を始めたばかりだった。
民主主義の良いところは、国民の意見を政治に反映出来るという点だが、一方で物事の判断は常に国民の意見を気にしなければならないという弱点がある。

テロ組織ISILは非常にその辺りを熟知しているようで、日本とヨルダンとの政治的な関係を利用して、要求を変遷させてきた。


最初は、日本政府に対して2億ドルを用意しろという主張をしてきた。期限は72時間であった。
多くの識者がこの要求は実現不可能だと認識していたようだが、僕も同意見である。期限の設定や支払い額の受け渡しなど様々な点が不明な状態で、尚かつ連絡先が開示されていない(日本政府には連絡があったかも知れないが)状況だった。
そもそも、人質の生存すら確認出来ない状況で取引など、あり得ない。


そして、無情にも「72時間は経過した」として人質の一人、湯川氏は殺害されたとのメッセージが発せられる。
だが、もう一人の人質である後藤氏を巡り、今度はヨルダンに収監されているテロリストの解放を求めてきた。
日本の報道機関は余り触れたがらないが、このテロリストはヨルダンの首都アンマンにて爆弾テロを主導した一人で、50人以上の死者を出し多数の怪我人を出した凶悪な犯罪者である。
これもまた、通常であれば飲めるはずもない要求なのだが、この要求が狡猾なのはヨルダンにはヨルダンの事情があり、空軍パイロットがテロ組織ISILに捕まっていて、釈放を求めてヨルダンとテロ組織ISILの間で交渉が行われている状況であった。その状況を利用したわけである。
ヨルダン人パイロットのムアーズ・カサースペ氏は2014年12月、シリア北部での軍事作戦中に戦闘機墜落によってテロ組織ISILに捕らえられている。


冒頭のニュースはテロ組織ISILが更に要求を変え、24時間以内にテロリストの釈放を求め、テロリスト釈放の対価として後藤氏の釈放をすると宣言してきたのである。

日本人拘束事件で新たな画像 人質交換の期限「24時間」

フジテレビ系(FNN) 1月28日(水)5時5分配信
過激派組織「イスラム国」を名乗るグループによる日本人拘束事件で、新たな画像が、27日夜、インターネット上で公開された。
画像には、後藤健二さんとみられる男性が写っていて、新たなメッセージでは、人質交換の期限を「24時間」とし、死刑囚の女の釈放を急ぐよう求めている。
当然ながら日本政府は対応に迫られたものの、交渉カードは無しという状況だ。
実質、ヨルダンの判断に委ねられた訳だが、ヨルダンとしてはパイロット釈放を優先できなければこの様な交渉に乗っかる事は出来まい。


結局のところ、テロ組織ISILの目指す所は、自らの組織の宣伝と共に、対立する国や組織に支援をする日本への「手出しをするな」というメッセージの通達と、実際に関係の深まっている日本とヨルダンとの間の関係を分断する狙い、更には対立を深めるヨルダンとの弱体化などを狙っているものと推測される。
そして、何れも成功裏に進んでいると、僕は見ている。
 
ヨルダンがどのような決断をしてもテロ組織ISILにとっては都合が良い。実のところ、テロ組織ISILにとって一番不都合なのは日本のメディアが嫌っている「自己責任論」で、それに基づく人質の見殺しである。
人質の価値が無くなれば、交渉は出来なくなる。
 
日本にとっては難しい判断だが……、ここは「テロ組織ISILが交渉の余地の無い極悪非道な集団だ」と断じ、「交渉のテーブルにつく用意が無ければ交渉を打ち切る」と一方的に通達するのが現状出来る最善の策であると、僕は考える。そして、人質交換などに応じるべきではない。テロリストと「交渉」などというのがおかしいのである。
ま、出ている情報が全てでは無く、政府が水面下で色々努力していることを考えれば、素人が口出しできる次元では無いのかもしれない。が、日本政府が毅然たる対応を示し、テロリスト如きにおたおたしないと言うことを世間にアピールすることは意外に重要だと思うのだな。

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