炉心溶融が確認された福島第1原発1号機

炉心溶融(メルトダウン)は比較的有名な単語だろうと思う。アメリカの映画「チャイナ・シンドローム」で間違った認識と共に有名になったからだ。

透視調査で「原子炉に核燃料なし」 福島第一原発

3月19日 20時58分
東京電力福島第一原子力発電所で行われている、レントゲン写真のように建屋を透視して溶け落ちた核燃料を捜す調査で、1号機では原子炉の中に核燃料が見当たらないことが分かりました。
映画では、原発事故で核燃料が溶け落ち、地球を突き抜けて支那にまで達する、といった荒唐無稽なブラックジョークが披露されていたわけだが……。




福島第1原発では、笑えない状況になっている模様。


まあ、汚染された処理水の保管という現実や、未だに防波堤などが整備されていない現実を考えても、暗澹たる気持ちにさせられるが。
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これがその証拠とされる映像である。

高エネルギー加速器研究機構などのグループは、先月から、さまざまな物質を通り抜ける性質がある「ミューオン」と呼ばれる素粒子を捉える特殊な装置で、レントゲン写真のように原子炉建屋を透視し、核燃料のありかを突き止めようという調査を進めてきました。その結果、1号機では、使用済み燃料プールにある核燃料は確認できましたが、原子炉の中には核燃料が見当たらないことが分かりました。
簡単に言うと、レントゲン写真(実際にはミューオンを使っているようだが)で原発を写したら、中に核燃料が見当たらなかった、と、そういう話。


この状況は、既にある程度は予測されていた。
1号機ではこれまで、コンピューターによるシミュレーションでも、ほとんどの核燃料が原子炉の底を突き抜け、その外側にある格納容器に溶け落ちている可能性が高いとみられてきました。
だが、「原子炉内に核燃料が無い」という現実がどのような事態を迎えるのか?今のところ予想が出来ない状況にある。

ただ、廃炉は極めて困難になった、という事は言えるだろう。
今後、調査の範囲を広げて核燃料がある場所を特定できれば、福島第一原発の廃炉にさらに貢献できると考えている」と話しています。

専門家の意見は楽観的だが、炉心溶融が起こってそれが原子炉を突き抜けて外に漏れ出したと言う事は、原子炉圧力容器の底にメルトダウンした核燃料が溜まったスリーマイル島原子力発電所事故よりも深刻な事態を迎えていることを意味する。

チェルノブイリ原子力発電所事故では、やはり炉心溶融(メルトダウン)が起こり核燃料は圧力容器を貫通して「象の足」と呼ばれる塊を破損した原子炉建屋の中に造り上げてしまった。このため、石棺と呼ばれる覆いを作らざるを得なかった。

もちろん、石棺の中身の処理は棚上げで、今や石棺が老朽化して更に上から覆いを作るとかいう話も出てきている。資金的にかなり厳しいのだが。


福島第1原発の1号炉がどのような結果を迎えるかは、今のところ分からないのだが、圧力容器外に核燃料が出てしまった状態である事を考えれば、圧力容器の外側にある格納容器に残っているか、そこから又外にいるのかはよく分からない。
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圧力制御プールの底にいれば未だマシかな。


流石に鉄筋コンクリート製の格納容器を突き破って(チェルノブイリ原発の原子炉には格納容器は無い)更に、ってことは無いと思う。
が、これも、探してみなければ分からないのだろうね。


で、何故、今回この話を取り上げたかというと、この1号機の廃炉手順は以下のような3つのケースで大きく異なるからである。

  1. 燃料棒として核燃料が残っている
  2. 圧力容器内に燃料がある
  3. 格納容器内に燃料がある
  4. 格納容器外に燃料がある

今回の調査で1、2のケースは明確に否定された。

 

よって、3のケースか4のケースかをハッキリさせる必要がある。
正直、1のケースであれば外国にならば廃炉実績がある。が、2のケースでは未だに廃炉にされたケースが無い。スリーマイル島の2号機も監視下にあるだけで、廃炉を開始していない。
だが、圧力容器ごと隔離という可能性は残されており、それが可能であれば原子力発電所の敷地から運び出すことは可能であろう。やらないとは思うが。
問題は3のケースと4のケース。


3のケースは、溶け落ちた核燃料の塊を回収する手段が無いので、それが解決されない限り、格納容器ごと封印という手段を採らざるを得ないだろう。


4のケースは、外界に核燃料による影響が出てしまうため、封じ込めの手段を高じる必要がある。が、今のところその地域を封鎖して放置する位しか手が無いと思われる。


3のケースや4のケースは、永きにわたって福島の地に不毛な土地を造り上げてしまったと言う事になる。

「方法が無い」というのが、一番恐いな。



……さて、本ブログは度々原子力発電関連の記事をとりあげて、或いは他の発電方法をとりあげて、原発再稼働を訴えてきた。

だが、この記事に触れて、改めてその方針について考え直さざるを得ないと、その様に思ったので、敢えて炉心溶融の話題に触れた次第。
再稼働を主張する立場としては、これは不都合な事実だからね。

ただ、結論を先に書かせて頂くと、僕は今でも再稼働はすべきだとその様に思っている。そして、新たな原発を作る事にも賛成する立場だ。

理由は3つ程ある。
1つ目は、原発は既に日本にあり、その事実は今更変えられないと言うこと
この話はずっとしてきたので、今更という感じはするが、原発そのものが存在するという事実は、どんなに反対しようと変えられない。「俺は元々反対の立場だった」と言ったところで、同じなのである。
もし、反対して原発が消えて無くなるというのであれば、喜んで反対しようではないか。

2つ目は、既にある原発を動かさないのは不合理であると言うこと。
安全神話に支えられていた時代は、あれほど持て囃されていたが、危険性が認識されたら掌を返して「アレは間違いだった」と。
それは分かるし、ダメだとも思わない。メルトダウンの話を真剣に考えれば考えるほど、日本は楽観的に過ぎたと、その様に思うし、僕自身も反省している。
だが、既にある原発は、「どうして事故が起こったか」を考えれば、電源喪失が最大の要因であったという結論は直ぐに出る。
その対策をして、再稼働をすることがコスト的に見合うと判断しているからこそ、電力会社は未だに再稼働に拘っている。
コストに見合わない原子炉は廃炉の方針が既に出ている。
電力を安価に安定供給するという前提であれば、原発の再稼働に未だ優位性はあるのだ。

3つ目は、即廃炉の方針は感情論に過ぎないという事。
僕は、未だに即廃炉派の意見で合理性のあるものに出会ったことが無い。今回のメルトダウン・メルトスルーがハッキリしたことで、1号炉の廃炉手続きは半永久的に困難になったことが浮き彫りとなった。


だが、それはその課題として取り組むべきである。

何故か知らないが、即廃炉にしたら何か放射性物質の最終処分の問題やエネルギー問題が解決するかの如くの幻想を抱く人が散見される。が、そんなことは妄想であることを今更説明する必要もないだろう。


「廃炉にすれば爆発するリスクは減るじゃ無いか」という意見が最もマシだが、それとて「リスクゼロ」になる訳では無い。
再稼働して電力を生み出すことで得られるメリットと、即廃炉にしたとしても原子炉から燃料棒を取り出し、放射性廃棄物と共にドライキャスクなどに保管するまで存在するリスクを比較すれば、電力安定供給で経済に貢献する方がメリットが大きい。
仮にどれかを即廃炉にするにしても、廃炉技術すら、放射性廃棄物処理場すら決まっていない状況で、どれだけ処理を加速させられるかは疑問だ。
順当に行けば、既に廃炉が決定していて、廃炉手続きを進めている浜岡原発1号機2号機辺りをモデルに、処理技術の検討、向上を図っていくのに数十年レベルでかかるわけで。
その間に、安全性を強化した原発を動かすことは、事故確率を加味しても合理的だと思われる。何しろ、原発を稼働後、放射能漏れ等で人命に関わる事故は、東海村の臨界事故1件だけであり、あれは原発事故ではないのだから。

ただ、炉心溶融の現実を突きつけられて、葛藤が生じたのもまた事実。
それでもなお、安易に反対したところで事態が解決しないと言うことを、改めて噛み締める切っ掛けになったと、その様に思う。


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