2015年3月19日木曜日

アジアインフラ銀行(AIIB)、迫り来る恐怖

このブログでは扱ってこなかったが、最近、THAAD問題よりも熱いのがAIIB問題だ。

[FT]中国主導のAIIBで亀裂生まれる米同盟

2015/3/17 14:30
 アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に向けた動きが米国の外交政策の大失敗になりつつある。AIIB設立、そして中国との影響力争いでの敗退により、米国は21世紀におけるその力と影響力が揺らいでいくという予期せぬサインを送っている。
参加国はどんどん増えているが、この事がアメリカの通貨政策をも脅かす事態となってきている。


まず、このアジアインフラ銀行(AIIB)とは一体何なのか?という辺りから説明していこう。
これは、「支那が提唱し、主導する形で設立が目指されているアジア向けの国際開発金融機関の事」であり、今のところまだ計画段階ではある。Wikipediaによれば、だが。
そして計画段階にもかかわらず、参加国や参加予定国は2015年3月17日現在、31カ国にのぼり、その中にはイギリス、フランス、ドイツ、イタリアといった国まで名を連ねている。

日本とアメリカが出資しているアジア開発銀行(ADB)や世界銀行に比べても遙かに巨額の資金を動かせるという点で優れていると言われているが、AIIBの中身は実態がよく分からないかなり怪しいものだ。

産経の記事を鵜呑みにして良いかどうかは迷うところだが、AIIBに対する日本の懸念はこんな感じのようだ。
借り入れ国の返済能力を超える巨額の融資が行われた場合、別の国際機関に損害を与える恐れが指摘されていることなどが主な理由だ。
http://www.sankei.com/economy/news/150317/ecn1503170002-n1.html
なかなか凄い話だな。

日本政府としては以下のような対処法案を撃ち出している模様。
 AIIBへの対処方針案は、(1)融資審査能力への疑問(2)公正なガバナンス(統治)への不安(3)既存の国際機関との関係-の3点で構成。英国が先進7カ国(G7)で初めてAIIBへの参加を申請し、オーストラリアやフランスなども参加を検討する中で、政府のスタンスを明確に示すために策定している。
不安があるから様子見ってこと?
 具体的には、AIIBが巨額の融資を行う場合、それ以前に支援してきた世界銀行やアジア開発銀行(ADB)、政府開発援助(ODA)などと借り入れ国との関係が複雑となり、返済順位が不明確になる懸念がある。また、借り入れ国の返済能力を無視した貸し付けが行われ、仮に融資先の国が財政破綻に陥った場合に、別の国際機関にも被害が及ぶ恐れがあると指摘した。

ふむ、やはり見極めるつもりというスタンスらしいね。


この話は、そもそものAIIBの出資審査は支那の大きな影響下で行われることになっており、即ち、お金の使い道は支那の望む方向でしか使えない可能性が高そうだという話だ。
出資比率は支那50%という予定だったが、流石にそれには拘らないという話になりつつあるのだとか。というか、支那がそれだけ出資できる体力が無い模様。取り敢えず現在は人民元はハードカレンシーじゃないしね。

出資額がGDP比率に応じてだとか言われちゃうと、アメリカ、日本辺りは躊躇せざるを得ない訳で。え?支那?だって自国でAIIB管理するんでしょ?出した事にしてOKと言われても調査のしようが無い。


もちろん、この懸念は支那も重々承知しているようで、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアを口説き落として、参加表明させてしまった。

フランスのファビウス外相とサパン財務相は17日、声明を発表し、「ドイツとイタリアと共にアジアインフラ投資銀行の設立メンバーに加わることを決めた」と述べて、参加を表明しました。
この中で「アジアインフラ投資銀行は、今ある投資や開発に向けた多国間の銀行と協力しながらアジア地域の経済・社会発展に重要な役割を果たし、世界の成長に貢献できる」と述べています。
そのうえで、「われわれはヨーロッパや国際的なパートナーと緊密に協力しながら適正な運営や透明性の確保を尊重した投資機構の創設に加わるつもりだ」と述べていて、フランス政府としては中国主導の中で透明性の確保などが不明確だとする日本やアメリカの懸念に配慮を示したものとみられます。
EUは今、未曾有の危機に陥っている状態なので、喉から手が出るほどお金が欲しい。加えて、支那はEU諸国にとっても重要な貿易相手国である。無碍に断れるわけが無い。

しかし、31カ国も参加した状況での船出が実現したとなると、AIIBの影響力は相当大きなものになると予想される。
また、ドイツ財務省も17日にベルリンで開かれたドイツと中国による金融会議のあとで発表された共同声明の中で、「アジアインフラ投資銀行がアジアでインフラ資金を提供するための重要な役割を果たす可能性を持つという認識で一致した」と述べて参加を表明しました。
ドイツも悪魔に魂を売り渡したようで、笑えない事態になりつつある。
ヨーロッパ諸国が賛同するというのは大きな意味があるしね。

韓国政府、中国主導AIIB加入を前向き検討…「月末までに決定」

2015年03月18日07時46分
  韓国政府が中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への加入を前向きに検討していることが確認された。
  中国北京の情報消息筋は17日、「政府はAIIB設立を担当している中国財務省と疎通し、加入期間の今月末まで国益にプラスとなる方向で決めることになるだろう」と述べた。別の消息筋は「最近、英国、ドイツ、フランスまでが加入の意思を明らかにし、中国も出資比率50%に固執していない」とし「我々が国益の次元で(AIIBに)加入できない理由はない」と述べた。
もちろん、そこに韓国が乗っからない理由も無い。
これは前から言われてきた事ではあるけど、参加は確実視される段階に入ったと言う事らしい。ネックがあるとすればアメリカが参加に反対している事だけだ。


AIIBが実現すると何が起こるのか?というと、人民元がハードカレンシーに大変身する。無論、直ぐには無理なので、数年単位の時間がかかる。前提としてはそれだけの期間、支那経済が支え続けられれば、という話が前提にはなるが。
ただ、それが実現すればUSドル無双状態を打破する流れになる。そういう意味では、EU諸国も一枚噛みたい話なのである。

一方のアメリカにとっては、無限にドルを刷れる状態が崩れてドル無双が出来なくなるので、深刻な事態に陥る。何しろ、アメリカは天文学的な借金を抱えているのである。その額は公式発表で16兆7000億ドル(非公式には211兆ドルの借金があると言われている。日本政府の国民への借金1000兆円など目では無いね)。とても返済出来る金額では無い。

ただでさえ、成長のトレンドはアジアに移っており、アメリカの経済状況も割と深刻だ。
当然、アジアを押さえる為にアメリカはTPP戦略を打ち出した訳だが、しかしこれが又上手く行っていない。まあ、日本をTPPに加えようとしているから問題なんだが。
 AIIBの設立の動きは、アジアにおける影響力拡大で、中国の最強のカードが経済成長だと明示している。また対照的に米国の最強のカードは軍事力と安全保障条約締結国との関係だ。日本、オーストラリア、フィリピン、韓国全てが米国と安全保障条約を締結しており、はざまにいる各国はジレンマに置かれている。だが、いまやそれら全ての国々の中国との貿易取引は、米国とのそれをはるかに上回っている。
アメリカにとって残念なことに、実際にアジアは支那を軸にして回りつつあるのだ。支那はアメリカにとっても重要な貿易相手国なんだけどね。


しかし、支那は支那でアメリカの借金レベルの話を遙かに超える、詳細不明の人民元の借金を抱えている。
今のところ、2150兆円レベル(21兆ドル相当)の借金が支那にあるといわれているが、これは支那の去年の時点で発表した数字であって何の参考にもならない。例え公表額の数百倍の借金があっても僕は驚かない。何しろ、統計のあてにならない国だからね。
更に、支那が半固定相場制を採用している点も話をややこしくしている。

支那は人民元をどんどん刷ることで、自国の危機的な経済状況を緩和しているが、問題の先送りでしか無い。ああ、構図はアメリカととてもよく似ているな。「似ている」だけではあるが。
もし、人民元がハードカレンシーになり、力を持てば、支那の借金問題は解決……しないのだけれど、少なくともハードランディングだけは回避出来る可能性が出てくる。

そして、世界の金融勢力地図は「人民元>USドル>>>>日本円>ユーロ」といった状況になる可能性が高そうだ。

正直、僕にとって経済分野の話は荷が重いので、それ以上の状況を予想するのはほぼ不可能だ。だが、今までの勢力図が書き換えられることだけは間違い無さそうである。

結局、何が「迫り来る恐怖」かといえば、AIIBそのものよりも、日本がこの流れに取り残される可能性が高いことだ。
そうした時、アメリカ側に付いている日本は幸せでいられるのだろうか?或いは、アメリカすらもAIIBに飲み込まれる可能性すらあるのに、だ。

日本が「慎重に見極める」という態度でいるのは、態度が決められない状況にあるから、と言う事だけなのかも知れない。

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2 件のコメント :

  1.  AIIBは、出資金の50%以上を中国から、所在地は北京で、総裁は中国人、融資決定などの運営は理事会によってではなく、総裁専決という国際金融機関なのだそうである。このAIIBでは、出資国からの常任理事が存在せず、調査権限も無いため、出資国の権利が保護されないと言う。つまり、GDP比に従って出資国の出資が義務付けられる一方、肝心の中国がきちんと出資したかどうか、判らない危険性があると言う。また、「投資に失敗した」との説明だけで幕引きにされる危険性すらあると言う。

     中国の産業界は、長年にわたる過大な設備投資の結果である供給過剰な工業生産力、不必要なバブル的不動産投資の結果である鬼城(ゴースト・タウン)など幾多の問題点を抱えており、早晩、破綻を来たすこととなると考えられる。
     そこで中国は、国内の供給過剰解消を外需に求め、人民元高防止のドル買い・人民元売りを続けて来た。そのため、極めて大きな外貨準備を積み上げてしまっている。この外貨準備があまりにも多額にのぼるため、なんらかの活用をと人民元との交換を図ると、たちまち、人民元の高騰を招くこととなる。それに、かなりの部分を米国債で運用していて、収益性が高くないけれども、これもまた、米国債の世界最大保有国であるため、米国債の値崩れを生じさせずに売り抜けることが困難となっている。つまり、この外貨準備は、容易には他用途に転用できなくなっているのである。

     この手を付け難くなっている外貨準備を除くと、中国の対外債務は対外資産を上回り、実質的に債務国に近い。さらに最近では、各種のチャイナ・リスクや賃金水準高騰を嫌って、海外からの直接投資の引き上げが増加しつつある。そのため、海外銀行からの借り入れを増やして、外貨準備減少を補う状況にあり、資金の余裕はないと考えられる。
     そのような中国が、次々とNDB、AIIBと国際金融機関の設立を打ち出して来ている。したがってAIIBは、アジア諸国のインフラ整備に資するとの表看板とは異なり、中国自国における過剰生産力、余剰労働力を有用化して、問題企業の破綻を救済するための金融機関とされる可能性が疑われる。しかも、手を付けられない多額の外貨準備を見せ金にして、実際には出資することなく、諸外国からの出資金を誘い込もうとしている可能性が疑われる。

     そのうえ、融資を中国人総裁専決などと言う運営方針で、適正な運営は期待できず、たちまち、不良債権の山を築いて、諸外国からの出資金は戻って来ないこととなる危険性が高い。また、出資金が戻らないに止まらず、融資財源確保のため発行するAIIB債などが債務として残ってしまう危険性すらある。国際金融機関そのものが破綻する場合の破綻処理手法なんて、現在、存在するのだろうか。
     AIIB参加の締め切りを過ぎたにもかかわらず、中国は日米の参加を待ち続けるそうである。そして、北朝鮮の参加は断ったそうである。自国の経済問題を諸外国に転嫁する魂胆が疑われる。
     このような危険性を孕むAIIBへの参加を、「バスに乗り遅れるな。」「日本が孤立する。」と煽るわが国の多くのマスコミどもには、一体、どのような魂胆があるのであろうか。
     
     中国は、AIIBに先立ち、BRICSでNDBを発足させている。このNDBは、5ヵ国均等出資、本部は上海、総裁は各国が順次担当とある。国際金融機関として、至って常識的な内容である。
     ところが、AIIBは、出資金の50%以上を中国から、所在地は北京で、総裁は中国人、案件ごとに出身国の理事にメールで承認を求める「非常駐理事会」で、調査権限も無い、融資決定は理事会ではなく、総裁専決なのだという。国際金融機関としていかにも異常であり、NDBと比較すると、その異常さが目立つ。
     ごく短期間に次々と、巨額の資金を必要とする国際金融機関設立を打ち出し、しかも、まったく異なる運営としていることに、違和感を感じる。中国の中国による中国のための銀行の必要性が、差し迫っていると疑うべきであろう。
     締め切りを過ぎても、日米の参加を待つと言う。日米を誘い込まなければ、自国の悪企みに齟齬を来たすことを自白している。
     
     中国は日米の参加なしでは、AIIBを発足させないであろう。日米、特に日本からの出資がそれなりの額となるよう、自国の勝手気ままに運営できるよう仕組んだつもりである。ところが、その鴨に逃げられたうえ、融資原資調達のためのAIIB債に高格付けを期待できず、高利での起債を余儀なくされそうである。
     中国が50%を超える出資との触れ込みであるが、中国の現在の経済状況、資金状況からすると、本当に出資するか否か、はなはだ疑わしい。実際には手を付けられない4兆ドル近い外貨準備を見せ金にするだけで、出資せず、諸外国を誘ったのではないかと疑われる。
     自らは出資せず、諸外国からの出資のみでの運営を企てたのだと考えれば、50数カ国と言う多数の参加国を得たにもかかわらず、日本の不参加を非難しながら、参加期限を過ぎても待ち続けるとする中国の言動も理解できる。
     
     中国は、AIIBに理事会を常設せず、案件ごとに出資国理事にメールで承認を求める「非常駐理事会」を主張していると言う。もちろん、いかなる案件について承認を求めるかは総裁専決なのであろう。そのような異常な運営を提案し、総裁候補者が「汚職のない組織を」などと発言する。それだけでもう、まともな企てでないことを裏書している。

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    1. おお、纏まったコメントありがとうございます。
      AIIBに関しては今後も注意深く見守っていきたいと思いますよ。

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