独メルケル氏は、慰安婦について言及したのか?

この話、結論から書いてしまうと、メルケル氏が言ったか言わなかったかは余り問題では無い。

独政府、メルケル氏「慰安婦発言」否定=菅長官が紹介、岡田氏反論

(2015/03/13-20:11)
菅義偉官房長官は13日の記者会見で、先に来日したドイツのメルケル首相が岡田克也民主党代表との会談で、いわゆる従軍慰安婦問題の解決を求める発言をしたとの報道に関し、ドイツ政府から「メルケル首相は過去の問題について、日本政府がどうすべきかというような発言を行った事実はない」との説明があったと紹介した。
発言したにしろしないにしろ、ドイツが公式に否定していることが重要なのである。



この話、先日ドイツ首相のメルケル氏が来日した際の話である。

独メルケル首相 歴史に向き合う重要性強調

3月9日 15時42分
日本を訪れているドイツのメルケル首相が都内で講演し、ドイツが戦後、周辺国と友好な関係を築いたことについて、「隣国の助けがあり、ドイツが歴史に向き合う姿勢を示したからこそ、成し遂げられた」と述べ、歴史に真摯(しんし)に向き合う重要性を訴えました。
メルケル氏は安倍氏と会談し、都内の朝日新聞社のホールで公演し、民主党の岡田氏とも会談している。
安倍氏との会談でまさか慰安婦の話を出す必要は無い訳で、実際そんな話は出ていない。
が、少なくとも都内の公演では「歴史に真摯に向き合う」と言うにとどまっている。

ドイツのメルケル首相、民主党の岡田代表と会談

03/10 20:46
ドイツのメルケル首相は、10日午前、民主党の岡田代表と東京都内のホテルで会談し、いわゆる「従軍慰安婦」の問題について、「きちんと解決した方がいい」と述べた。
会談で、メルケル首相は、歴史認識の問題について、「過去のことについて、完全に決着をつけるのは不可能だ。常に過去と向き合っていかなければならない」と指摘した。
そして、岡田氏との会談で「きちんと解決したほうが良い」というようなことを述べたと岡田氏が頑張っていたが、ドイツ側はこれをあっさりと否定した。
それも、官房長官の菅氏にドイツ政府から否定する説明があり、報道官がわざわざ「そんな意味では言っていない」と報道するなど、何度か否定をしている。


岡田氏は、流石に主張の変遷があり、「確かに言った」→「丸めて言った」→「前提としていることは明らかだ」→「日本政府に解決を迫ったと言うことは無い」と、苦しい主張をする始末である。

岡田氏が折れなければならなかったのは、実際にメルケル氏の発言が翻訳者を通して正確に伝わっていなかった可能性を含めて、ドイツ側が強く否定していたためである。
ドイツにとって、いわゆる慰安婦問題に絡められることは非常に迷惑なのである。何故ならば、ドイツにとって戦後処理問題は「過去の問題」にしたい事案なのだから。

実は、ドイツは戦後賠償と呼ばれる行為は日本ほど多岐に渡ってやっているわけでは無い。
ドイツは、西ドイツと東ドイツとに分裂していた期間が長かったこともあり、以下のような対応をしていたと言われている。
<西ドイツ>
  • 1952年 ボン協定 西ドイツ、アメリカ、イギリス、フランスの4カ国で、平和条約が締結されるまでの間、問題棚上げを合意。
  • 1953年 ドイツ債務協定 第一次世界大戦の賠償の利払い継承の宣言と、ドイツ統一まで賠償権の延期を認める合意
  • 1954年 パリ協定 西ドイツに対する占領法の効力を停止、西ドイツの主権を認めることを定める合意。ボン協定での合意の内容も確認された。
  • 1956年 連邦補償法制定 ナチスの迫害による被害者への請求への補償を定める
  • 1961~1976年 ユーゴスラビア、チェコスロバキア、ハンガリー、ポーランドとの間で一括支払い協定が結ばれるも、これらの国は賠償請求権を将来にわたって放棄
<東ドイツ>
  • 1953年 ソ連との協定でドイツに対する賠償請求権を全て放棄することを宣言
  • 1970年 ボーランドが対独賠償放棄が再確認される
<統一後>
  • 1990年 ドイツ最終規定条約により、ドイツの戦争状態は正式に終了。
  • 統一後の独連邦共和国は、ドイツの戦後問題が最終的に解決されたとして、法的な立場からの賠償を認めていない。
  • 1991年 ポーランド、ロシア連邦、ウクライナ、ベラルーシとドイツとの間でナチス被害者のための金銭引き渡し条約を締結。その後、バルト諸国、チェコ、アメリカとも同様の条約を結ぶ
  • 2000年 財団「記憶・責任・未来」の創設が国会議決。以降の支払いは、ドイツ及びドイツ企業に対する道義的・政治的責任に基づいて100億ドイツマルク(当時の価値で5500億円程度)から行われる事となる。
ざっとまとめたが、統一前のドイツは、西ドイツも東ドイツも「ナチスドイツの正式な後継者では無い」として問題の棚上げをする姿勢を一貫して採ってきた。
統一後のドイツは、「ドイツ最終規定条約」によって、ドイツの戦後賠償問題も終了したという立場を採っており、ナチスドイツによる被害者に対する個人賠償を行うに留めている。


この立場は、メルケル氏も踏襲しているようだ。
メルケル首相は講演で、先に亡くなったヴァイツゼッカー元大統領が欧州終戦の1945年5月8日を「解放の日」と呼んだことを紹介した上で「それはナチスの蛮行からの解放であり、ドイツが引き起こした第2次大戦の恐怖からの解放であり、そしてショアー(ユダヤ人絶滅政策)という文明の破壊からの解放でした」と語った。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42479

要は、悪いのはナチスドイツで、ドイツ連邦はむしろ被害者であるという立場に立っているという話だ。

この様な立場なので、今更戦後賠償の話にドイツを巻き込まないでくれというのがドイツの偽らざる本音だろう。


安倍氏との会談で何が話し合われたかは不明だが、ドイツとしては安易に戦後賠償に応じるな、という要求をした可能性が高いだろう。

もちろん、立場的にドイツ政府として「公式にその様な発言をした」ということはあってはならないし、日本政府としてもその様な話し合いがあった事を公表することは好ましくないと思われる。よって、「無かった」という事になるわけだ。


じゃあ、岡田氏との話はどうだったのか?というと、メルケル氏個人としては人道的立場から賠償はすべきだという認識だろうから、「きちんと解決した方が良い」というような話はしたのだろう。
ただ、その「きちんと」が問題なのだ。

日本は既に「援助」という名目で多額のお金を支払い、条約できっちりと「最終的に解決」という所まで落とし込んでいる。
つまり、日本政府としては戦後賠償は終わった話なのだ。そして、それは国際的にも認められる話となっている。


「きちんとしていない」と言っているのは、反日プロパガンダを政治利用している支那と韓国、北朝鮮であり、特に支那は国内のガス抜きのために、韓国は支持率と心の安寧のためにとにかく日本は悪くなくてはいけないと言う立場である。
つまり、謝罪など無意味だし、未来永劫お金を支払い続けなければ気が済まないという立場に立っている。
結局、支那や韓国と戦後賠償の関連する話を真面にするだけ無駄なのだ。そもそも、支那も韓国も戦争直後には存在しておらず、韓国は忘れているかも知れないが寧ろ加害者側の立場だ。


メルケル氏の立場としては、ギリシャから寝言を言われ、国際的に批判が高まるようなことを避ける為に、日本に事前に釘を刺しに来たというのが、訪日の目的の1つだと思われる。
ギリシャに甘い顔をすれば、色々な国が雪崩をうってドイツに戦後賠償を迫りかねない。そんな事態はどうあっても避けたいだろう。

そして、もう1つの目的は、福島第1原発の惨状の視察だろう。
ドイツの選択した「原発の終了」という道は間違いでは無かったと言う事を確認するための作業であり、日本に対しても原発再稼働に安易に傾いて貰っては困ると言った要請をしたのだと思う。
一応、念のために言及しておくが、ドイツでは今尚原発が動いており、電力を作っている。段階的に原発を廃止する考えは変わっていないのである。

あとは、ドイツの対支那政策辺りや、潜水艦など兵器販売の辺りに探りを入れる目的もあったと思う。武器輸出はドイツにとっても重要な産業の一つであり、日本と競合するカテゴリーも存在する。その辺りの棲み分けなどの提案はあったのだと勝手に予想している。
オーストラリアやインド辺りへの潜水艦輸出はドイツと競合する話なので、何らかの言及があったと考えるのが妥当だろう。


まあ、これ話は多分に僕の憶測を含んでいる。
何しろ、公式には殆ど何も発表されていないのだから仕方が無い。
だが、ドイツの首相が何の目的も無く日本に来るはずは無いのであって、報道されている事実だけではあまりに内容が薄い。たった2日だけとはいえ、日本に来る目的はあったはずなのだ。だから、公にされない話があったということはまず間違い無いと思われる。

そうした中で、メルケル氏が何を言ったか、という話をしても仕方が無い。メルケル氏が日本を訪れたのは象徴的な意味であり、ドイツの公式見解を覆す話となるハズも無い。
ドイツが公式に「慰安婦問題に言及していない」といえば、それはドイツの立場であり、尊重するのが正しい。外交というのはキレイゴトだけでは無いのである。


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コメント

  1. コメントする立場に無い、と言ったドイツが何か言ったことにしたい勢力が多かったですね。

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    1. メルケル氏は「ドイツ」は「助言する立場に無い」と、安倍氏との共同記者会見で明言していた訳ですから、本当に関わりたくないのでしょうね。

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