2015年3月9日月曜日

自衛隊の増強は何故必要なのか?

近隣に防衛費と称して2桁以上の伸びを続けている、敵対勢力がいることを考えれば、どう考えても兵力増強は不要という結論にはならない。

自衛隊 「増強したほうがよい」が30%

3月7日 17時35分
内閣府が行った世論調査で、自衛隊を増強したほうがよいと思うか聞いたところ、「今の程度でよい」と答えた人が59%で最も多かった一方、「増強したほうがよい」と答えた人は30%で、調査を開始した昭和44年以降で最も高くなりました。
では、現状維持では拙いのか?という議論が出てくる訳だが、その辺りはこのニュース、どう加味しているのだろうな。


この調査は、内閣府が行った調査である様だ。
内閣府は、自衛隊や防衛問題をテーマにした世論調査を、ことし1月、全国20歳以上の3000人を対象に面接方式で実施し、56%に当たる1680人から回答を得ました。
3000人をどのように選んだかは分からないが、「面接方式で実施」とあれば、母数を増やすことはなかなか難しいだろう。
直接面接方式への是非はあろうが、質問事項があれば受け付けるといったより丁寧な調査を行うつもりだったのであれば、調査方法として間違っているという風に断ずることは難しいだろう。
それによりますと、日本と周辺国の兵力の概要を示したうえで、自衛隊を増強したほうがよいと思うか聞いたところ、「今の程度でよい」が59%で最も多く、「増強したほうがよい」が30%、「縮小したほうがよい」が5%でした。
問題は、周辺国の兵力の概要をどのように示したか?なのだが……。


調査自体はこちらのようだな。

自衛隊・防衛問題に関する世論調査

 前回の調査結果と比較してみると,「増強した方がよい」(24.8%→29.9%)と答えた者の割合が上昇している。
増強の割合が年々増えている事を考えると、日本周辺の事態の悪化が影響しているのだと思われる。
図9.自衛隊の防衛力(時系列)
……なんだけれども、「日本と周辺国の兵力の概要」というのがこの程度ではちょっとねぇ。
資料1
この数字から、回答者は一体何を読み取ってどう考えたのだろうというのは非常に気になるところ。


単純に、兵力差から考えれば、激しく自衛隊の戦力は劣っている。
image
これ、陸上兵力だけを棒グラフで示したものだが、在日米軍、在韓米軍を併せても17,7万人しかいない。
この数字の意味するところは、敵に日本に上陸されたら勝ち目は無いと言うことだ。
無論、陸上兵力差が大きい理由に、日本にとって侵略戦争をやらない、つまり、他国の領土に陸上兵力を送る積もりが無いと言う事を意味していることも関係しているので、この兵力が少ないからと言って、一概に「ダメ」って言うわけじゃ無いんだが。


じゃあ、日本の自衛隊はどの辺りを重視しているかというと、海洋における防衛力だ。
日本は幸か不幸か周りを海に囲まれた島国である。故に、日本に上陸されるルートは陸路以外であり、空路か海路で日本上陸のための兵力を輸送する必要が出てくる。その為に、海上自衛隊と航空自衛隊の装備には非常に気を使っている。
image
こちらは海上兵力として保有船艇の排水量を比較していると思われるのだが、グラフを見る限り、これもまた頼りない感じである。
ただ、この数字で何が言えるかというとまた、難しい。
確かに保有選定の排水量は、海上輸送能力の指標にはなると思われる。
そして、日本が目指している防衛力のうち、これまでは専守防衛ということで、日本列島が守れればそれで良いという考え方だった。
しかし、今後はシーレーンの防衛にまで範囲を拡大する予定であり、その為に必要な兵力が果たして船艇の排水量だけで表すことが出来るのか?というとかなり微妙である。
加えて、支那の数字はあくまで人民解放軍の能力だけであり、海警など明らかに軍隊からのお下がりの船(=高い攻撃能力がある)を使っているがこれはカウントされていない。そのことを考えれば、単純な比較で何が比べられるのかという話になる。


さて、後は航空兵力なのだが……。
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数だけ見ると圧倒的に日本の航空兵力は少なく、アメリカの分を足しても韓国の戦闘機の数を若干上回るだけという悲しい結果ではあるのだが、これも何を目的とした戦闘機をどれだけ保有しているのか?という観点で話をすべきであり、単純に比較できる話ではない。
この中で一番恐るべきは極東ロシア軍の保有する爆撃機であり、空母を含む戦闘機の能力である。その他の国の航空兵力は日本の制空権に侵入することも叶わない状況で、まともな空中給油機を保有していないことから考えても、それほど心配する必要はなさそうである。
無論、それは航続距離の長い爆撃機や戦闘機の中継基地が日本の近くに無いという前提での話ではあるが。

加えて、本来であれば数字には現れていないミサイルやら潜水艦やらの存在を加味しなければならないはずだ。


とまあ、素人レベルで論評してみたが、このお粗末な調査内容から一体何が言えるのかは少々疑問だ。

とはいえ、「意識の高まり」を確認できたという意味では、今回の質問でも意義があるのかもしれない。
また、自衛隊は今後どのような面に力を入れていったらよいと思うか複数回答で尋ねたところ、▽「災害派遣」が72%で最も高く、次いで▽国の安全の確保が70%、▽国内の治安維持が49%、▽国際平和協力活動への取り組みが36%などとなりました。
特に「災害派遣」で力を入れるべきという回答があったのは、東北大震災での活躍が評価されたものであり、「トモダチ作戦」に期待せざるを得なかった現状を考えれば、まだまだ兵力不足は否めない。


それでは、タイトルに書いた内容の議論に戻りたいと思う。

調査結果自体の信ぴょう性はともかくとして、「増強」の必要性は確かにある。
それによりますと、日本と周辺国の兵力の概要を示したうえで、自衛隊を増強したほうがよいと思うか聞いたところ、「今の程度でよい」が59%で最も多く、「増強したほうがよい」が30%、「縮小したほうがよい」が5%でした。
問題は、「今の程度で良い」と答えた59%が、あの表を見て何を判断したか?という点なのだ。
質的な意味では上の数字よりも自衛隊の実力は高い。殊、自国を防衛するにあたって、これまで目指してきたアメリカの兵力が派遣されるまでの時間稼ぎという意味では、現状の兵力でも問題はないだろう。
そういう意味では「今の程度で良い」という答えが59%あったとしても不思議はない。

ただ、集団的自衛権の行使やシーレーンの防衛を考えていくと、特に海上兵力の不足に不安が残る。
そうした必要まで考えれば、「今の程度で良い」の59%の人々や、「縮小した方が良い」と考えた5%の人々は、何を考えているのだろう。


たぶん、何も判断していないのだろうと思われる。
「今まで問題なかったから」という事なんだろう。反原発派にみられる「電力は再稼働しなくても足りているじゃん」という意見と同質である。

現状のアメリカの兵力に依存したうえで、最低限の防衛(時間稼ぎ)をするという考えのもとに兵力維持がなされていることそのものも、それが正しいことかどうかについて、疑念を抱くのが普通の感性だと思う。

何故ならば、アメリカはウクライナ事態の際にも手は出さず、口すらほとんど出さなかった。経済制裁は行ったが、ほとんど意味が無かった。ウクライナがロシアの勢力に組み入れられれば、ロシアの兵力は大幅に増強されるのにも関わらずだ。あの事案は、日本としては衝撃的な結果なのだ。
果たして、日本が似たような事態に陥ったとして、本当にアメリカは助けてくれるのだろうか?


僕は「それはちょっと怪しい」と思っている。

むろん、防衛ラインという観点からすれば、日本を突破されるとすぐにハワイまで影響が及ぶし、ハワイを失うとアメリカの防衛力は大幅に低下してしまう懸念がある。それはアメリカとしても避けたいとは思う。
ただ、アメリカが支那を味方だと考え始めたら(実際に、アメリカは支那を貿易相手国として疎かに出来ない状況となっている)、日本は単なる邪魔モノである。
アメリカという国は、非常に自分本位かつドライな考え方をする国なので、対費用効果が悪いと考えれば、多少被害が出ようが最終的に利益が大きいと考えられる方を選びとる。
支那と仲良くする方が日本を守るよりメリットが高いと判断すれば、同盟関係があろうと平気で切り捨てるだろう。


また、これまで日本の防衛においてはシーレーン防衛について全く考慮されていなかった。しかし、日本のシーレーンは既に支那に脅かされつつある。

一番心配なのは、南沙諸島辺りの制空、制海権を握られてしまうことであり、支那はまさにこの南沙諸島周辺海域を掌握しようとしている。

これらを掌握した上で「力による現状変更」を行って来たとしたら、日本にはどのように対応できるのか?と、考えるとかなり厳しい。
また、マラッカ海峡の海賊の話(裏で支那が暗躍している)だって、対処する必要がある。
こちらの記事では枝野氏の呆れるくらいバカバカしい理論を紹介したが、ホルムズ海峡だって封鎖されれば日本の経済は大混乱に陥る。


そうした辺りまで踏み込んで考えていくと、日本も自国の領土は自力で守れるような体制を整える必要がある。だから、タイトルの「何故」の答えは「現状では自力で国土を守れないから」だ。
そして、それはアメリカとの同盟関係を維持する上でも重要な考え方となる。

アメリカもかつてのように防衛費の膨張を維持出来るだけの経済状況を維持出来ていないため、削減可能な部分は削減していきたいと考えている。
軍事的な観点から言って、極東地域の要として日本の立ち位置はそれなりに重要ではあるものの、日本がいつまでもお荷物扱いでは困るのである。

アメリカと真っ当な外交関係を今後も維持するのならば、そろそろ防衛力の見直しは必須であり、忌まわしい過去の呪いを振り払ってでも自衛隊のあり方を変えていく必要がある。

手始めに、未だに整備がなされていない島嶼防衛力の獲得と、交戦規定などの見直しをし、自衛隊の足枷を外し防衛力として機能するところから始める必要がある。そうした上で、シーレーンが防衛できる程度の能力獲得と、公海上での交戦規定の制定。そして、海外で発生した事態における邦人救出能力の獲得と、段階を踏み。最終的には自国を防衛するにあたり、アメリカの兵力をあてにしない程度の戦力の獲得を目指さねばならない。

そうした観点から、どの段階でどの程度の防衛力をどんな風に増強する必要があるのか?を国民に説明していくべきでは無いだろうか?


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