2015年4月16日木曜日

やっぱり素人判決だった福井地裁の再稼働差し止め仮処分

判決要旨が朝日新聞に出ていたので紹介しよう。

「新基準、合理性欠く」高浜原発差し止め仮処分決定要旨

2015年4月14日16時34分
関西電力高浜原発3、4号機の再稼働をめぐり、即時差し止めを命じた14日の福井地裁(樋口英明裁判長)仮処分決定の要旨全文は次の通り。

これで、家裁の裁判官をやるのも難しくなりそうだな。……というか、そうで無くては困る。

注:タイトルが何故か「福井地裁」では無く「福岡地裁」になっておりました。修正しましたが、ツイッターで広まった後であることもあり、ここで改めてお詫びしておきます。


どの辺りが事実誤認なのか、理系出身とは言え素人の僕にも分かるような誤認が多い。無理の無い範囲で説明していこう。
 ①基準地震動である700ガルを超える地震について
 基準地震動は原発に到来することが想定できる最大の地震動であり、基準地震動を適切に策定することは、原発の耐震安全性確保の基礎であり、基準地震動を超える地震はあってはならないはずである。

まず、1行目からマズイ。
 
「基準地震動」という言葉だが、原発の耐震設計において基準とする地震動のことである。……なのだが、「地質構造的見地」から、「設備周辺において発生する可能性のある最大の地震の揺れの強さ」と定義される

この文章から何を読み取るか?という点なのだが、700ガルという数値は、「地域差がある」という点にまず留意しなければならない。


そりゃそうだろう。「地質構造的見地」から、地盤の構造によって軟弱地盤なのか、強固な岩盤なのかでは、上に建つ建造物に与えるダメージはまるで違う。
基準地震動の策定フローが、こちらに紹介されているが、基準地震動の策定には敷地の地下構造の把握が不可欠である。


ところが、次の段落でこの裁判官はこんなことを言っている。

 しかし、全国で20カ所にも満たない原発のうち四つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が2005年以後10年足らずの間に到来している。
いきなり全国に範囲を拡大しちゃった。
本件原発の地震想定が基本的には上記四つの原発におけるのと同様、過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づいてなされ、活断層の評価方法にも大きな違いがないにもかかわらず関西電力の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見いだせない。

小難しいことを言っているが、簡単に言えば「関西電力の想定は信頼できない」と、その様に言っているだけだ。
その根拠が、全国の原発の話なのだから、そもそも「基準地震動」の定義を理解していないのでは無いか?と疑いたくもなる。
 
いやいや、仮に理解していて、「他でも超えているんだから、ここでも超える可能性はあるよね」という単純な話をしたいだけと、想定しよう。

だとすると、新基準にあわせて、試運転時に370ガル → 運転時に550ガル → 今回700ガルという引き上げを行い、試運転時の2倍弱にも及ぶ基準である700ガルでもクリアできるという関西電力の主張を真面目に検討しないというのは、意味が分からない。
 
あれか、自分で計算し直したとか?まさかね。
 
そして、「断層の評価方法がさして変わらない」という事実があったにせよ、基準は引き上げられ、耐震性は向上(厳密に言うと引き上げた基準にも堪えうる)している。

にも関わらず、「信用できない」という話をしている。 じゃあ、この裁判官、何ならば信用できるというのか。


続いて、冒頭引用部分の最後だ。

基準地震動を超える地震はあってはならないはずである。

ここでも何か誤解しているようだが、基準地震動を超えたとしてもそれに堪えうる「残余のリスク」を考慮した上で、原発は設計される。
 
残念ながら、新規制基準でこの「残余のリスクの定義」は先送りされてしまった。が、その考えが設計段階で無かったわけでは無い。

 

原発設計時における耐震設計とは「安全率」を見越して設計されるもので、原発の安全率は3倍程度に設定されている。
残念ながら安全率が2倍だから2倍安全だという単純な話にはならないが、「残余のリスク」に対応できる余地は、最初からある。単純に言葉が違うだけだ。
 
新規制基準を適用したことによって、原発の安全率自体は相対的に低下する結果にはなるが、そもそも余裕を持った設計である点は変わりなく、構造的な補強をすることで更に耐震性が高まった結果、700ガルでも堪えうるという話は、理解すべき点だし、数値的にそれが実証されているというのが今回の裁判前の前提なのだ。それは、原子力規制委員会が保証する話。
 
だとすれば、裁判官は何をもって「安全性に不安がある」と判断したのだろう。


それがどうやらこちらの話。

 加えて、活断層の状況から地震動の強さを推定する方式の提言者である入倉孝次郎教授は、新聞記者の取材に応じて、「基準地震動は計算で出た一番大きな揺れの値のように思われることがあるが、そうではない」「私は科学的な式を使って計算方法を提案してきたが、平均からずれた地震はいくらでもあり、観測そのものが間違っていることもある」と答えている。

専門家が「観測そのものが間違っていることもある」と言ったからだというのが根拠らしい。

だが、何故「新聞記者の取材」をソースとしているのか。

適正な判断をするのであれば、入倉氏を裁判所に呼んで証言を求める、或いは技術アドバイザーとして提言を求めるべきでは無いか。オマエは専門委員制度をシランのか!
 
確かに、地震の観測そのものが間違っている可能性はあるし、観測データが後から修正されることだってある。だからこそ、1カ所の観測が間違う可能性があるので複数のデータを照合していくのが、今の科学の常識だと思うんだが。

地震の平均像を基礎として万一の事故に備えなければならない原子力発電所の基準地震動を策定することに合理性は見いだし難いから、基準地震動はその実績のみならず理論面でも信頼性を失っていることになる。
にもかかわらず、こんな事を言っちゃった。
流石の入倉氏も苦笑いである。

「明らかな事実誤認で納得できない」入倉孝次郎・京都大名誉教授

2015.4.14 19:47
 新規制基準は原発の耐震設計の基本となる基準地震動について、科学に不確実性が伴うことも考慮して地震の揺れをより厳しく計算するよう求めている。原子力規制委員会が認めた地震動は、原発が立地する地盤の特性を踏まえた上で考えられる最大程度の揺れといっていい。決定は新規制基準を不合理としたが、明らかな事実誤認で到底納得できない。このような理由だけで原発の運転を差し止めるのは、結論としてあまりに行き過ぎだ。
俺はそんなこと言ってねーよ、とご立腹だ。


そしてこの結論。
 基準地震動を超える地震が到来すれば、施設が破損するおそれがあり、その場合、事態の把握の困難性や時間的な制約の下、収束を図るには多くの困難が伴い、炉心損傷に至る危険が認められる。

2005年から四つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が到来したんじゃ無かったのか?自分でそれを指摘していると思うが。


それで、壊れて事故を引き起こした原発は幾つあった?
前にも書いたが福島第1原発は違うぞ?寧ろ、福島第1原発でさえ、地震の影響で破損したのでは無く、津波によって電源が喪失したことが問題であったという調査結果が出ている。

地震で騒ぎになったのは柏崎刈羽原発だが、新潟県中越沖地震でも安全に停止しており、IAEAの査察を受け入れた上で再稼働している。
査察後、IAEAは「予想より被害は少ない」との報告を出してるぜ?

その他の原発は調べていないが、寡聞にして福島第1原発以外に事故でメルトダウンを起こすような大規模災害を引き起こした原発を僕は知らない。あれか、パラレルワールドの話か?脳内空間の話か?

危険が危ないから原発停止!とか言ってるんじゃねぇよっ!


さて、次に700ガル未満の地震についても言及があるのだが、これまた酷い。

原発の耐震安全性確保の基礎となるべき基準地震動の数値だけを引き上げるという対応は社会的に許容できることではないし、関電のいう安全設計思想と相いれないものと思われる。

これは上に説明した様に完全に事実誤認である。


何度も指摘するが、数値を引き上げたとしても問題無いと判断した、というのが原子力規制委員会の見解だ。


そして、更に酷いのがこちら。

 基準地震動である700ガルを下回る地震によって外部電源が断たれ、かつ主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがあることは関電においてこれを自認しているところである。
その為の多重防護設計なのに、何を言っているんだ?この人は。
関電は本件原発の安全設備は多重防護の考えに基づき安全性を確保する設計となっていると主張しているところ、多重防護とは堅固な第1陣が突破されたとしてもなお第2陣、第3陣が控えているという備えの在り方を指すと解されるのであって、第1陣の備えが貧弱なため、いきなり背水の陣となるような備えの在り方は多重防護の意義からはずれるものと思われる。

……だから何を言ってるんだ?

誰が第1陣の備えが貧弱と認定したんだ?オマエだろ。曲解にも程がある。

関西電力の主張するところの多重防護とは、700ガルに堪えられるが、万が一の事態に備えて多重防護だと、そういう話だ。700ガル以下だって、100%の保証は出来ない。想定外の事態が起きたとしても、バックアップシステムがあるのでリスクヘッジ出来る、それが多重防護である。


……疲れてきたが、次。

 本件原発の脆弱(ぜいじゃく)性は、①基準地震動の策定基準を見直し、基準地震動を大幅に引き上げ、それに応じた根本的な耐震工事を実施する。
見直した結果が基準地震動の策定なのだが、それが信頼できないと言うのであれば、何も信頼は出来まい。
大体、「根本的な耐震工事」をするのなら、新たに1から作った方がマシである。でも、新規原発の建設も反対なんですよね?
②外部電源と主給水の双方について基準地震動に耐えられるように耐震性をSクラスにする
もはや意味不明だ。Sクラスとは、オマエの作った新基準か?
③使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込む
……以下、「Sクラスにしろ」しか言っていないので、省略。
免震重要棟についてはその設置が予定されてはいるものの、猶予期間が設けられているところ、地震が人間の計画、意図とは全く無関係に起こるものである以上、かような規制方法に合理性がないことは自明である。
オマエの論理に合理性が無いことは明白なんだが。


そして、極めつけがこれだ。
新規制基準に求められるべき合理性とは、原発の設備が基準に適合すれば深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないといえるような厳格な内容を備えていることであると解すべきことになる。
100%安全にしろって、そんな建物、物質はこの世に存在しないんだが。
100%の保証は無理なので、100%に近づくように多重防護を施しましょう。耐震性は高めましょう。でも、必要なのは耐震性だけじゃ無いですよね?そうした事態にも対応できるように、多重防護を強固にしましょう。それが、現在の新規制基準だ。
それを100%にしろって、無茶にも程がある。
新規制基準は合理性を欠くものである。そうである以上、その新規制基準に本件原発施設が適合するか否かについて判断するまでもなく住民らが人格権を侵害される具体的危険性すなわち被保全債権の存在が認められる。
約意、「どんな基準を持ってきても俺は認める気は無い」って、アホか。

おっと、ようやく最後の段落だ。
 本件原発の事故によって住民らは取り返しのつかない損害を被るおそれが生じることになり、本案訴訟の結論を待つ余裕がなく、また、規制委の設置変更許可がなされた現時点においては、保全の必要性も認められる。

……再稼働したら、事故まっしぐらって、どれだけオマエの脳味噌はどんだけ放射脳なのかと。
「本案訴訟の結論を待つ余裕がなく」と言っているが、その仮処分の決定の根拠自体に合理性ドコロか理性の欠片も無い。

「保全の必要性」が、一体何処にあるのかと。
法治国家どころか人治国家ですな。

こりゃ、即時抗告したら、即日認められるレベルでマズイ判決だ。

追記

この話、反原発派や再稼働に反対している人にこそ、真面目に考えて欲しい話である。

こんな法律を曲げるような運用を喜んでいては、早晩、反原発や再稼働反対の主張は聞く耳すら持って貰えなくなる。

 

原子力発電所を運用するにあたり、確かに福島第1原発の事故は悪夢で、再びあのような事故を起こしてはならないというのは、推進派だろうが反対派だろうが共通した願いだと思う。

ただ、そのリスクをどの程度評価するのか?が、推進か反対かの分かれ目だと思う。

 

「イデオロギーのために反対、その為には法をも曲げる」という層を許してはならない。


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7 件のコメント :

  1. すんまそん、りっきいが入ってますね・・・・表題 福岡地裁 > 福井地裁。探してしまった。
    一番の問題点は「司法の信頼性崩壊」ですね。こんな司法を許しては共通の価値観を有する放置国家に成り下がってしまう。こんな地裁などイラン、上位の司法判断を待ちたい。

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    1. タイトルミスは申し訳ない。

      ここで言及したかったのは再稼働の是非では無く、法律を曲げてまで反原発を推進しようとする姿勢なのです。
      折角日本は三審制を採っているのに「地裁は信用できない」では困るのですよ。

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  2.  よく短時間で、これほどの記事をまとめられました。その筆力に脱帽です。私も自ブログで拙い記事を取り上げました。
     日本は段階を踏んで、脱原発社会を目指そうとしています。同時に、今後再稼働する原発対しては「世界で一番シビアな基準」の足枷をはめて、リスクを限りなくゼロに近づけようとしています。
     そんな矢先、特定の色に染まったとしか思えない司法官が、明らかに公正さを欠く判断を下しました。しかも「差し迫った危機回避のための仮処分」として。何をかいわんやです。重大な関心を持って、今後の公正な司法判断を待ち続けます。

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    1. ブログを拝見しました。
      「脱原発」は、現状避けられない道であるとは、僕も感じています。
      ですが、それだって段階的な手順を踏む必要があるわけで、一足飛びに解決しようというのはやはり間違いです。

      今回の司法の暴走は、原発推進派、脱原発派、原発反対派、何れにも良い影響を及ぼさないと思いますが……、現実を見ない方々には朗報かも知れませんね。

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  3.   呪われた判決

    裁判官.樋口英明は、高浜原発に対して、 「合理性がない」・「人格権が侵害される危険性がある」 などとして3,4号機の仮処分決定を下した。
    裁判官.樋口英明は、法と人権を重んじる立派な裁判官でありましょうか?
    そうではないはずです。
    裁判官.樋口英明は、別訴で、「訴訟の場には虚偽は到底許される」 との判決を被害者に言い渡したのです。(※1)
    言うまでもなく、万が一にも虚偽事由などが許されることなどありません。(再審事由)

    今回、原子力規制委員会の田中俊一委員長からは、当仮処分内容には 「事実誤認がいっぱいある」 と指摘されているようですが、裁判官の「虚偽は正当」との基準からすれば、その様な指摘が出てくることは当然のことでもありましょう。
    裁判官.樋口英明は、嘘の主張で対立させて争わせて、何を判断するというのでしょうか。
    法廷で嘘をつかないように「宣誓」までさせておきながら、何故、「訴訟の場には虚偽は到底許される」 と言えるのでしょうか。
    裁判官.樋口英明は、法と国民を愚ろうし社会秩序を乱す国賊ではないのでしょうか。

      (※1) 福井弁護士会所属の弁護士(2名)は、「虚偽を依頼者に教唆し事由としたことを滑らせて自白した」、 しかし、その後、 「虚偽.侮辱することは正当な弁護士業務だ」 と主張し続けて罪を重ねた。(弁護士3名、他多数)
     裁判官は、自白を裁判の基礎とせずに(基本原則違反)、「訴訟の場には虚偽は到底許される」と判決したのである。
     結果、福井弁護士会の弁護士3名(他)は、今もこの主張を撤回しょうとせず、被害者に恐怖の日々を与えている。

    裁判官.樋口英明は、被害者の苦しみをしりながら、恣(し)意的に侮辱する行為(人権侵害:国際法違反)を良しとし、訴訟詐欺(判例違反)を認めているのである。

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    1. 裁判官の樋口氏、かなりの問題人物のようですが、本件だけ見てもかなり悪質ですよねぇ。
      司法の信頼の失墜は、避けられないと思います。
      樋口氏をクビにして、裁判のやり直し、といった流れにならないと、司法に自浄作用あり、ということにはならなでしょう。
      裁判官の身分保障を悪用する輩に、何らかの処分が下されることを期待したいところです。

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  4. 日本は法治国家では無いようです。
    実態は以下のとおり酷い。
     虚偽事由で提訴(訴訟詐欺)することは正当な弁護士業務だと主張する黛千恵子(坪田)・坪田康男・八木宏らは、詐欺罪で告発受理(2014~2015)されていたようですが福井弁護士会は、反省も謝罪もせずに知らぬ振りして何らかの処置もしていないようです。
     それどころか、福井弁護士会は、「虚偽事由で提訴することは正当な弁護士業務だ」と議決して擁護(教唆・幇助)し続けているらしいです。
     被害者は、更なる侮辱や訴訟詐欺にあう事を恐れ恐怖の日々を過ごしているみたいです。
     権力を有した組織的な犯罪が放置される中で正義など通用するはずもなく、おそらくは一人ひとりと食い物にされることになるのでしょう。
    日本には、国民の安全安心は保障されていないようです。

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