宮沢氏が否定する「環境省見通し」

宮沢氏が経産大臣だから、環境省の見通しを貶している構図なのだが、これがバカバカしい。

宮沢経産相、環境省見通しを真っ向否定 2030年再生エネ35%に「実現可能性を考慮せず」

産経新聞 4月7日(火)11時23分配信
 宮沢洋一経済産業相は7日の記者会見で、2030年の電源構成をめぐり、環境省が再生可能エネルギーの構成比率を最大35%まで伸ばせるとの試算を公表したことについて、「技術的な制約やコストの課題など実現可能性が十分考慮されていない」と否定的な見解を示した。
最大35%だと?


ただ、経産省も再生可能エネルギー発電で2030年までに25%という壮大な計画をぶち上げているので、あまり人のことを言える立場じゃ無いだろう。

電源構成の大枠判明 原発20%程度、再生エネ20%台半ば

2015.4.5 08:00
 政府が検討している平成42(2030)年の電源構成比率の大枠が4日、分かった。東日本大震災後に全基停止した原子力発電を20%程度まで回復させるとともに、再生可能エネルギーの割合は原発を上回る20%台半ばに引き上げ、火力発電は50%台半ばにすることが柱。統一地方選後に経済産業省の有識者会議で詰めの議論を行い、早ければ月内にも具体案をまとめる。

都合の良い数字を積み上げただけで、技術的裏付けが無いのは経産省も大差無い。いや、多少は目処を付けているのかも知れないが。


文句だけ言っても詮無きことなので、経済産業省の計画について、少し中身を見ていくことにしたい。

比率
これが経産省の詰めている数値らしい。だが、なかなかどうして素人の僕には意味が分からないぜ☆


まず最初に、左の方から「太陽光・風力発電」の数値だが……、2030年には15%程に積み増す予定らしい。
現状で2%程度だというのになかなか強気だな。何をどう増やすのか聞いてみたいものだ。


現状ですら電力会社は大量の太陽光発電による電気の買い取りに拒否反応を示している。電力会社が太陽光発電や風力発電による電力を買い取りたがらないのは、天候任せの発電方法は発電量の変動が大きいからに他ならない。

この変動を抑えて電力の安定供給をするというのが、電力会社に課せられた使命なのだから、今のところ、再生可能エネルギー発電を推進できないのは仕方が無いことだろう。

何しろ、今までの電力網は、安定した電力を供給するために構築されてきたわけだ。周波数変動や需給量の変動などを見越してバッファを設けるという考え方は極めて薄い。


いや、ドイツとかオランダとか再生可能エネルギー発電大国ではもっと比率が高いじゃん!参考になるよね!と、その様に仰られる方もいるだろう。

まあ、一理はある。

電力の50%を風力と太陽光で得たドイツ、記録更新中

2013年04月23日 11時00分 更新
 また1つドイツが再生可能エネルギーの記録を作った。
 ドイツのシンクタンクInternationales Wirtschaftsforum Regenerative Energien(IWR、再生可能エネルギー国際経済フォーラム)は2013年4月18日の正午、ドイツ全国の電力のうち、50%以上を風力発電と太陽光発電がまかなったと発表した。

事実、ドイツではこの様な記録が出されるほど、再生可能エネルギー発電は進んでいる。

2012年には再生可能エネルギーの全発電量に占める割合は21.9%に達したという。


「じゃあ、ドイツを真似すれば良いんだ!」と、そう簡単にはいかない。
ループフロー
一番分かり易い例がこれ。


これはNEDOの資料の一部なのだが、ループフロー(迂回潮流)と呼ばれる電流の流れで、近隣諸国の受給運用に影響を及ぼしていることを示した図だ。
まあ、要は陸続きの近隣諸国との間で電力融通が出来る仕組みなので、多少の無理が利く。しかしそれでも迂回潮流が発生して周辺諸国に迷惑をかけているという話。

日本は島国なので当然そんな芸当は無理だ。
じゃあ、規模を小さくして電力会社通しで融通し合うという話になるわけだが、この規模はまだまだ小さい。


もちろん、再生可能エネルギー発電による周波数変調を抑制する為の技術は、色々あってドイツなどではそれが積極的に取り入れられている。
日本にもそれなりに取り入れられているようで、国内でも色々と研究されている。そして、ドイツなどを参考にして色々と環境整備していくのだろう。

しかしながら、従来必要なかった設備を色々と電源網に取り込もうとする場合、当然ながらその為のコストが必要になる
そのコストを電気料金に乗せる必要が出てくるのだが、いきなり原発を止めてあっぷあっぷしている電力会社に現状でそんな余裕は無い訳で。

設備投資資金の調達や電力網の設計、構築なんかの時間を考えれば、再稼働を止めたまま、今2%程度の再生可能エネルギー発電による電力需給を15年後には15%まで引き上げようという議論は乱暴だ。


水力発電と地熱発電については増やす余地が余りないので、この数値は妥当だと思われる。

 ベースロード電源は原子力、石炭火力、水力・地熱に分けられる。このうち、石炭は二酸化炭素(CO2)排出量が多く、地球温暖化防止の観点から新増設には慎重な意見が強い。水力も「新たに大きなダムを造れる時代ではない」(電力大手幹部)ため、大幅な上積みは見込めない。

河野太郎氏などは、ベースロード電源の定義自体がおかしいとか言い出す始末だが、まあ、「原子力ムラ」憎しで冷静な議論が出来ない人に何か言っても詮無きことである。
河野氏の「再生可能エネルギー発電」をベースロード電源として、他の発電方法でバックアップするという考え方が「世界の潮流」だとか寝言を言っているが、ここで重要なのは諸外国でどうこうという話では無く、日本で無理なく実現可能か?という観点なのである。

水力発電はマイクロ水力発電くらいならば伸ばす余地はあるが、商用電力としては期待出来ないレベルだ。地熱は調査を含めて環境整備していくのは大変で、現状では寧ろ発電量は減ってきている。
ハッキリ言えば、設備更新する程には儲からないという話なのだろう。


そもそも、ベースロード電源という考え方は、変動が激しい再生可能エネルギー発電のような発電手段よりも変動の殆ど無い原子力発電のような発電手段を軸として電力供給の計画を組み立てる方が理に叶っている。

国際的な潮流が、いつも日本に当てはめられるとは考えない方がいい。

だいたい、再生可能エネルギー発電を推進するにあたって、電力変動を抑える技術を注ぎ込む必要があるのは分かるが、その手段を目的化してどうするという話。


しかし、僕が一番懸念するのは寧ろ原子力発電の割合だ。
取り敢えず20%程度に抑えるとしているのだけど、日本には廃炉ルールとして寿命が40年に設定されているという問題がある。


2030年頃だと、1990年までに建てられた原子炉の殆どが廃炉になっているハズであり、既に廃炉決定したのを併せて15基以上の原子炉が40年ルールに引っかかる。


だとすると本当に2割を維持出来るのかはかなり怪しい話で、どうやら計画中の原発を建設したと仮定するような数字である模様。楽観的な話だよね。

もう一つ。

放射性廃棄物の処分場を作らないと、現状のように原発の燃料プール内に使用済み核燃料をストックするという方式では5~6年程度しか余裕が無い。

どのみちこの問題は回避不能である。


そして、現在4割以上を担っている天然ガス火力の割合を減らそうと言うのだが……。

 このため、石炭が30%程度、水力・地熱が10%程度と足元の構成比率から大きく変動しない範囲に留まる見通しで、残り20%程度が原発の割合になる計算だ。
 一方、再生可能エネルギーは昨年4月に閣議決定したエネルギー基本計画で積極的な推進を明記している。水力・地熱に加え、太陽光や風力などを10%台半ばまで上積みすることで、基本的に原発を上回る水準にする方向だ。
 これに対し、石炭以外の火力はベースロード電源に比べ発電コストが高く、足元の6割近くから20%台半ばまで目減りする見通し。

LPG火力発電も、LPGの輸入コストの高さが問題か?


日本近海でメタンハイドレートが安価に採取できるようになれば、寧ろLPG火力発電の比率は増やすべきなのだが、この数字を見る限り経産省はそうした野心的な計画は持ち合わせていない模様。


まあ、経産省の数字ですらこんな感じなので、再生エネ発電割合35%という環境省の数字は検討する迄も無いレベルである。

目くそ鼻くそを笑うレベルの言い争いは下らないので止めて欲しいね。寧ろ、もっと堅実なエネルギー政策を打ち出せないものだろうか?


ちなみに資源エネルギー庁でこのレベルである(資源エネルギー庁は経済産業省の下部組織だが)。


新しい「エネルギー基本計画」が閣議決定されました(PDF形式:1,108KB)
「エネルギー関係技術開発ロードマップ」をとりまとめました(PDF形式:1,291KB)

……うんまあ、全方向に頑張ろうという姿勢は悪いことじゃない。

が、各省庁で殴り合いをした結果が、日本のエネルギー政策になっていくんだろうなあと思うと、ため息しか出ない。

長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)に関する意見箱
こちらで意見募集しているので、送ってみようかねぇ。

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