2015年5月11日月曜日

タブレットは教科書を駆逐するか?

答えから言えば「否」、だろう。

全教科をタブレット1台に…デジタル教科書検討

2015年05月09日 13時48分
 文部科学省は、タブレット式の情報端末を使った「デジタル教科書」の導入に向け、有識者会議を設置して検討を始める。
 英語や音楽で音声を使った体験学習をしやすくなるほか、算数・数学では、図形を立体的に学ぶことができるといったメリットに着目している。文科省は、2年程度かけて新たな教科書検定の方法などを検討し、早ければ2020年度からの導入を目指す。

試みとしては面白いけれども、既に失敗例がある。


以前にこんな記事を紹介した。
概略だけ簡単に説明すると、佐賀県の県立高校で、新入生全員にタブレットを購入させて、これを利用した事業をやろうということを目論んだことがあった。
これは、2013年に始められ、2015年には頓挫した状況になっている(未だ続いてるようだが、実質的にはもうダメだろう)。

今回のニュースはこの佐賀の事例を全く考慮していない模様。

確かにタブレットを用いた授業というのは、魅力的な部分も大きい。
 英語や音楽で音声を使った体験学習をしやすくなるほか、算数・数学では、図形を立体的に学ぶことができるといったメリットに着目している。
ただし、この計画には致命的な問題が幾つか内在しており、それを解決する手法が確立されない限りは、タブレットに全教科の教科書を詰め込むことなど無理だろう。
 デジタル教科書は、公立小中学校の全教科の教科書をタブレット端末1台にまとめ、児童生徒に配布することを想定している。新しいニュースを学ぶことにも役立つ。

何をやらせたいのがイマイチ分からないが、既に利権まみれなのかも知れないね。


佐賀県の事例で、概ね分かっていたことだがやってみて実証されてしまった問題というのは幾つかある。


以下に、佐賀の事例を踏まえて小中学校で生じうる問題点に関してピックアップしてみよう。

タブレットは故障する「精密機械」である

当たり前のことだがタブレットは精密機械で、落とせば故障する。
小学生に使わせれば、投げたり蹴ったりと言う雑な扱いをすることも。


佐賀の事例では、Windowsという不安定なOSを採用したタブレットだったこともあり、故障が頻発するトラブルがあった。高校生に使用させてこれであるので、小中学生に使わせれば、更にメカニカルなトラブルが多くなることは想定すべきである。

そして、故障した時に「使えません」では話にならず、その辺りをどのようにフォローするかが問題となる。
もちろん、タブレットを学校に持っていくのを忘れるなんて事もあるだろうから、予備は用意するのだろうけれど、予備機が1台や2台では話にならない訳で。予備機が各教室に10台とか、そういうレベルで必要になるんじゃ無いかな?

インストールは誰がする?
これ、先生にインストールを任せるのも酷だが、親にやらせるというのもまた論外な話で。
タブレットのソフトウェア的トラブルの大部分が、インストールしたアプリに起因することを考えると、下手なインストール手段を考えるべきでは無いし、インストールに時間をとられて受業が疎かになったら本末転倒である。

業者にインストールを任せる?
いやいや、それもコストの問題でかなり大変な話になる。毎年、膨大な量のインストール作業が発生するので、業者は喜ぶだろうけれど、そのコストたるや悲惨な話になりそうだ。そのコストを誰が負担するのか?でも問題になるのだろうが。

一番良いのは、専用ROMを配付して、それをタブレットに装着すればインストールの手間は不要、というスタイルなのだが、これが出来るタブレットは世の中に存在しない。

タブレットは誰の所有物?

佐賀県の事例では5万円以上も生徒にお金を出させて、タブレットを生徒の所有物とし、それを受業で使う形で運用していた。
 
ところが、生徒の持ち物である以上、変なアプリをインストールしちゃダメとか、変なサイトにアクセスしちゃダメ、と言う事ができず、トラブルの原因になった模様。
「学校から持ち帰るな!」というのも、おかしな話である。
 
では、逆に学校の持ち物にすればどうか?という話なのだが、これだと学校の資産として登録し、管理する必要がある為、膨大な数のタブレットを誰が管理するか?でかなり揉めることになるハズだ。


この話は上で書いた予備機の問題にも直結する。

生徒の所有物のタブレット、というのは良いとして、予備機はじゃあ学校の備品?壊れたらどうするの?結構頻繁に故障することが予想されるんだけど、その修理は一体誰が??


そんな訳で、タブレットの勉強への利用というアイデア自体は面白いし、イマドキ色々な業者がやっている。

割と学習効果も高いようだ。これは、画像や動画を使っての解説の方がより表現力が高まるし、視覚的に分かり易いからだと思われる。

が……、実際の学校での運用を考えると、授業で使うにはかなりハードルが高いように僕は思う。

一番良いのは、教科書をインストールした専用機を配付するような形で、OSもWindowsやiOS、Androidなど既存のOSに依存せず、不便でも専用OSを設計して運用していくべきなんじゃ無いのだろうか。
WindowsやiOS、Android等を使うのであれば、アプリの追加ができなくなるように工夫が必要だ。既存OSをカスタマイズして使うキンドルみたいなやり方はありなのかも知れない。


汎用性の高いOSを使えばそれだけトラブルも増えるし、抱えた課題を解決するのも専門的な知識を持った人間で無いと難しい。
どうせ業者の手を借りることになるのであれば、専用の端末の上で走らせる。教科書はROMに焼いて読み込む。アプリの追加はできない。そんな感じでどうだろう?

実際の所、性能の陳腐化が著しいタブレットを利用した授業というのは、年を重ねる毎に別の問題が顕在化し易い。
当面は、教科書全てをタブレットに詰め込むなどと言う冒険をせず、せめて理科年表的な、つまり辞書的な使い方に留めるのが妥当だろう。補助教材としての利用だな。
それでも問題は起きるのだろうけれど。

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2 件のコメント :

  1. ITモデル校に立候補したらお笑いモデル校になったんでしょ? ソフト屋をナメてますね。

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    返信
    1. 記事にも書いたように、アイディアは悪くないと思うんですよ。
      でも、実際の運用を考えるとねぇ。

      削除

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