オスプレイを批判する声、擁護する声どちらもオカシイ

何というか……、どっちもどっちというヤツだな。

オスプレイ物資搬送 「政治利用」の声も

毎日新聞2016年4月18日 22時30分(最終更新 4月19日 03時28分)
 熊本地震の被災者支援のため米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが18日、熊本県内で救援物資約20トンを輸送した。国内の災害派遣で同機が使われたのは初めて。防衛省側は災害救援で有効性を示す機会だと考えたが、省内でも「オスプレイを政治的に見せつける作戦」と冷ややかな見方も出ている。
今朝は中日新聞社説を紹介したが、こちらは毎日新聞。


僕も人のことは言えないのだが、このオスプレイの利用にあたって政治的色が無かったかと言えば、嘘だろうと、そう思っていた。
しかしながら、在日アメリカ軍に救援要請をし(アメリカ側から「ナニカしようか?」と打診があったので、日本側から「じゃあ物資輸送を」と要請したという意味)、運用に適当な機体がオスプレイだったと、それだけの話を、色々と膨らませて書くのは、やはり適当では無い。
 熊本空港など各拠点に物資は届いているが、道路の寸断や渋滞で被災者まで渡っていない状況に米軍が加勢した形。オスプレイを巡っては、陸上自衛隊が導入するオスプレイの佐賀空港配備計画の協議や、本土への訓練移転による沖縄の負担軽減など地元との懸案を抱えている。防衛省関係者は「オスプレイ投入は災害で使えることを示して安全性の懸念を取り除こうとする取り組み。災害の政治利用という批判はあるだろう」と指摘する。
こうした「防衛省関係者」のコメントを引っ張ってくるのは、新聞社の得意とする手法だが、ここで言う関係者は背広組のことか、或いは架空の人物だろう。


そして、こんなコメントを載せる辺り、悪意満載だ。
 オスプレイは陸上自衛隊の輸送ヘリCH47より航続距離や速度は上回るが、搭載できる空間が狭く容積は半分ほど。比較的軽い生活物資ならばCH47の方が一度で多くの物資を運べる。オスプレイは着陸時に巻き上げる風が強いため、2015年のネパール大地震で住宅の屋根が破損したとの報道もあった。この日は白水運動公園にオスプレイが着陸する前、砂が巻き上がるのを防ぐためか自衛隊車両が散水していた。
自衛隊がCH-47を運用しているのは周知の事実だろうが、保有している55機全て使えるというわけでは無いし、既にあっちこっちで使っているであろうことは紹介済みだ。
救助活動などで手一杯の状況もあるのだろう。
アメリカ側に手の回っていない輸送任務をお願いしたというのは、至極当然な流れだと思う。


で、アメリカ海兵隊が持っているのはV-22の他にはCH-53などがあるのだが、輸送任務にどんな機体が適しているかを判断した上でのオスプレイの選択だったのだろうから、ここに文句を言うのは筋違いだ。
この際、どちらがより適しているか?という能力的な部分で判断しても仕方が無い。アメリカ側にも配備などの計画があって、そうした面を加味した上で、アメリカ海兵隊がすぐに用意出来る機体がオスプレイだったと、それだけの話。

ネパールの轍は踏まないだろうし、散水していることを批判するのはオカシイ。だって、程度の差こそあれ、ヘリコプターを運用するにはこうした配慮が必要だからだ。
殊、オスプレイだけ攻撃するのは、それこそ「メディアのオスプレイ政治利用」に他ならない。


さて、一方で、オスプレイ擁護に回った産経新聞も盛大に滑っている。

一部メディアのオスプレイ叩きに被災者から批判の声 「露骨な政治的パフォーマンスでは…」 

2016.4.20 07:26
 熊本地震で、輸送支援に当たっている在日米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの活動を、複数の日本メディアが批判的に報じたことに、被災者から怒りの声が上がった。「政治利用」や「パフォーマンス」などと断じる記事こそ、イデオロギーを背景とした政治利用ではないかという憤りだ。
他の新聞に対立する事を前面に押し出した記事だったのだが……。
 オスプレイは、ヘリコプターが持つ垂直離着陸やホバリング(空中停止)機能と、固定翼機の速度や長い航続距離といった双方の長所を併せ持つ。道路網が寸断されたなかでの支援活動には大きな力を発揮する。
 そうした利点に目をつぶった記事に、批判が噴出した。
運用する距離や求められる速度などの話をしていない時点で、機能面での擁護も少々滑り気味ではあるが、それ以上に問題だったのはこちら。


「オスプレイは危険」というレッテル貼りは、確かに辟易とするものがあるが……。
 米軍は事故について、死者や200万ドル(約2・1億円)以上の損害が出た事故をクラスA、より軽微な事故を順番にクラスB、Cとランク付けしている。
 米当局が明らかにしたMV22のクラスA事故率は1・93で、海兵隊の平均事故率2・45を下回る。この数字は大韓航空や中華航空よりも低いという。
これはちょっとマズくないか?
この数字は、2012年の防衛省の資料のものだ。
2012事故率
まず、その根拠をしっかりと示すべきだ。
こちらの記事も参考になるだろう。

そして、その後のこの部分。
この数字は大韓航空や中華航空よりも低いという。
軍用機と民間機とでは使っている基準が違うので比べるべきでは無いし、誤解を招くような表現は慎むべきだろう。
ちなみに、産経新聞が民間航空会社の事故率としている根拠はこちらだろう。
AirSafe.com
  1. 7.60 エジプト航空
  2. 7.16 チャイナエアライン
  3. 6.83 トルコ航空
  4. 4.89 エアインディア
  5. 3.84 パキスタン航空
  6. 3.54 イラン航空
  7. 2.58 コリアンエアー
  8. 2.47 フィリピン航空
  9. 2.44 ガルーダインドネシア航空
  10. 1.60 タイ国際航空
この数字が「航空会社別の1970年以降の100万フライトあたりの事故率」なのだが、確かに数字だけ見るとオスプレイより中華航空(チャイナエアライン)や大韓航空(コリアンエアー)の方が高い。


だが、この数字、軍用機の数字とは算出方法が違う。
オスプレイの方で引っ張ってきているのは、「10万飛行時間あたりのクラスA飛行機事故の件数」であり、クラスA事故は、「被害総額200万ドル以上」か「国防省所属航空機の損壊」あるいは「死亡又は全身不随に至る傷害若しくは職業に起因する病気を引き起こした場合」と定義されている。
飛行時間だけ比べても10倍違うし、民間航空機の指標はあくまで死亡事故だけしか見ていない。
同じ指標として比べられないし、10万飛行時間あたりの死亡事故件数で言えば、民間航空機なら0.07件である。「飛行時間10時間のホノルル─福岡の飛行を14万3,000回往復して事故に遭う確率」ってことになるそうな。

大型民間機の方が遙かに安全なので、間違っても中華航空や大韓航空の飛行機に乗るほうが危険という理解にはならない。


さらにこちら。
しかし、物資輸送をはじめ、災害発生間もない被災地のさまざまな需要に応じるため、オスプレイを活用しない理由はない。主力輸送ヘリCH46と比べ、速度は約2倍、航続距離は約4倍で、積載量も約3倍といずれの性能も上回るからだ。
どうしてCH-46と比べたかはよく分からないが……、「積載量も約3倍」って、「積載量」はCH-47なら10,886kgで、V-22の9,070kgより大きいし、垂直離着陸するのとかを考えると、オスプレイもそこまで積めないのが現実。
運用によって積載量なんぞ大きく変化するし、カタログスペックなんぞ比べても仕方が無い。
速度だって、ヘリモードと飛行モードじゃ全然違う。



擁護する側が滑ってどうするという話。
在日米軍に手が足りない状況の物資輸送をお願いしたら、オスプレイだった、と、それだけじゃダメなのか?

え?それだけじゃニュースにならない?
そうですか。
でも、ニュースにするために事実を曲げて報道したらそれこそオカシイでしょう!……しかし、そのおかしさが当然になっているのが今の日本の報道における憂うべき現状なのかも知れない。
追記
報道がこんな為体だから、議員がこんな意味不明な事言っちゃうんだよ!

「米軍協力、オスプレイはやめてほしい」 民進・原口氏

2016年4月19日22時53分
 (阿蘇山の)南阿蘇は小規模だが、噴火が続いている。(オスプレイは)ハワイの事故で、砂を吸い込んで落ちている。防衛省の資料を見ると、我が国の航空機がヘリコプターを含めたくさん活躍している。わざわざオスプレイをもってきて、避難している皆さんも非常に不安に思われている。砂を吸い込んで落ちるものが、噴煙に対して大丈夫なのだろうか。米軍の協力はありがたいが、ぜひやめてほしい。(19日、党災害対策本部会議で)
オスプレイに積んでいるエンジンはロールス・ロイスAE 1107Cリバティというターボシャフトエンジン。でも基本的に多くのヘリはターボシャフトエンジンを採用している。
もっと言えば、多くのプロペラ機はターボシャフトエンジンを採用している。構造的にはターボジェットエンジンと類似していて、砂や噴煙に対しての耐性も程度の差こそあれ似たようなものだ。

つまり、オスプレイだけ特別砂に弱い、なんて話は無い

あと、「我が国の航空機がヘリコプターを含めたくさん活躍している」とか言っているが、国産のヘリコプターはOH-1くらいだぞ。そりゃ、他の種類でもライセンス生産はやっているけど、それを「国産」と言っちゃうのは……。

アホな議論は是非止めて欲しい。



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コメント

  1. 先の記事のコメントにも関係しますが、新聞記事に関して言えば日常的にネットを見ている層からすると、例えばある言論機関の政治的なしがらみやスポンサーの思惑を記事を考察する。という客観的というか陰謀論的な視点での物事の見方の研鑽になるかもしれませんねwオスプレイに関して言えば、ギャーギャー騒ぐマスコミやその他諸々の勢力の思想背景や、背後にどういったスポンサーがいるとかw
    オスプレイが優秀であるのであれば、それが配備された時に困る勢力というのはどの勢力なのか。とか。
    残念ながら、現在は純国産の軍用機のシェアを考えた場合、日本の企業側からの圧力でなさそうというのが悲しいところですが。
    オスプレイなんか、攻殻機動隊を彷彿させて、「おお、やはり日本のアニメは(ry・・」ってなってもよさそうなもんですけどねw

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    1. 前提無しで新聞などの記事を読みたいものですが、そんなのは神話に過ぎませんよね。
      各社、意図的に色を付けているし、「角度」を付けているし。
      意図せずともカラーは出るものですが。

      オスプレイの報道の過熱ぶりは酷いものですが、結局、議論する側にとってはターゲットが欲しいだけなのですよね、きっと。
      それが真実かどうかは、どうでも良くなってしまっているところに問題があるわけですが。

      報道って、なんなんすかねぇ……。

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    2. あるけむ(R.K.M) @fwbc19652016年4月20日 18:42

      「報道」は「キュレーション」の一形態と考えています。
      事実、TV報道で、新聞記事やネット情報の引用が行われることが増えてます(新聞側でも引用が増えてます)
      ※キュレーション=(IT用語)インターネット上の情報を収集しまとめること。または収集した情報を分類し、つなぎ合わせて新しい価値を持たせて共有すること【知恵蔵2015】
      収集・分類・取捨選択の時点で、ある程度、作業者の色が着いてしまうのは致し方ないと考えます。一方、情報の収集・分類・取捨選択を行う際に、故意に偏った情報のみまとめることもあり得ます(今の反日マスコミがやっていることです)
      こうなると、マスコミだけじゃなく、ネット情報も含めて、自力で収集して分析判断しないといけないと考えます。
      「2chのまとめ」や「Wikipedia」「個人ブログ」をゴミと考えるのではなく、情報源の一つと考える必要があるでしょう。

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    3. キュレーションですか。

      結局、情報は個人で取捨選択することが必要ですが……、多分、日本人にはこの先に来るであろう議論をタブー視していて、情報共有という観点が欠けているのですよね。
      ネットの上では割とされている印象ですが……、議論に発展するケースは希かもしれませんね。

      個人的にはWikipediaは好きですよ。ソースが示されている事が多いので、判断しやすいですしね。2chのまとめは、情報の掘り起こしには便利だと思っています。

      なかなか、情報を整理して発信するというのは難しい事ですね。

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