2016年9月20日火曜日

韓国造船業の行く末

造船業と海運業はリンクしている部分があると言うが……。

韓国造船3社の受注が過去最悪、年間目標の10.6%

記事入力 : 2016/09/19 09:12
 韓国の造船大手3社の受注が過去最悪レベルで低迷し、今年の受注目標の達成が事実上不可能になった。年末まであと3か月余りの段階で、3社の受注実績は年間目標の10%程度にとどまっている。
海運も造船もダメって感じになっているね。



既に韓進海運絡みの話は、まとめてお届けした。
これらの記事の中で、この問題は韓国経済の構造的な欠陥に起因するものであることは指摘した。

これに加えて、韓国の産業成長のエンジンとも言えるサムスンが危機に陥っているニュースも先日触れたが……。
これもまた韓国経済の歪みである。

本日は、そこに韓国造船業の話を絡めて整理していこう。




簡単におさらいしておこう。
韓国経済で一番の問題は「貿易偏重構造」と、「財閥重視政策」にある。
まずは、貿易偏重構造について、ハフィントンポストの記事を引用しておこう。

「通貨スワップ」でやはり日本に泣きついていた「韓国経済」の窮状

投稿日: 2016年09月01日 19時49分 JST 更新: 2016年09月01日 19時50分 JST
~~略~~
データを確認しよう。中国は韓国にとり貿易総額で第1位の貿易相手国。2003年に対日貿易額を、2004年に対米貿易額を上回り、 2015年は約2274億ドルで、韓国の貿易額全体の約25%を占める。同年の対中輸出の割合は26.0%、対中輸入の割合は20.7%。米韓自由貿易協定(FTA)のお陰で米国向け輸出も増えているが、中国との関係は抜き差しならないところまで来ている。
その対中輸出が2016年7月まで13カ月連続減と、不振を極めているのだ。7月の対中輸出額を見ても前年同月比9.4%減の101億ドル強と、2ケタ近い減少となっている。これまでの連続減少記録は、リーマン・ショック後の2008年10月から09年8月の11カ月だった。栄えあるリーマン越えを達成した対中輸出減の連続記録は、今の勢いからすると大幅な更新が見込まれる。
~~略~~
リオデジャネイロ五輪の韓国選手の不振を思わせるような出来事だが、輸出の不振はプライドを傷つけられたと悲憤慷慨して済ませられる問題ではない。見逃せないのは、韓国経済の貿易依存度の高さである。世界銀行によれば、韓国の国内総生産(GDP)に占める輸出の比率は、2014年の時点で50.6%と極めて高い。同じ物差しで測った日本の輸出依存度は16.2%(2013年)だから、為替変動や他国の景気動向によって韓国は「風にそよぐ葦」となる。

リンク先の記事は、なかなかまとまった無い様となっているので読んで頂きたい。
が、注目して欲しいのは、「韓国のGDPに対する輸出の比率は5割を超えている」ことと、「その大半を支那に依存している」という2点である。



韓国のGDPは輸出によって5割以上が支えられている。これはつまり、韓国国内の内需が非常に弱いことを示しており、取引先の経済状況に大きく左右されることを意味する。

そして以前は、韓国経済はアメリカに依存していた。リーマンショックなどを契機に、ここ数年で支那に依存するようになった。

韓国が支那に擦り寄る方針を明確に打ち出したのは、クネクネである。
この判断、一時期は韓国経済が潤ったことを考えれば、その当時どん底にあったアメリカ経済と一緒に耐えるという選択肢を選ぶよりはマシだったかも知れない。

だが、支那経済が減速しつつある今、韓国の輸出額は大きく減ってきている。

構図としては非常に分かり易い経済危機だ。


もちろん、韓国は内需拡大路線に切り替えるべきで、クネクネが大統領に就任した辺りで、内需拡大も検討はされていたはずなのだ。しかし、内需の拡大は早々簡単にできるものでもなく、既にバブル経済を膨らませるだけ膨らませてきた前大統領のアキヒロ君のお陰で、下手に手を加えると破裂しかねない状況だった。
だから同情の余地はある。
が、しかし韓国が生き延びるためには、それでも敢えてそこに踏む込むしか選択肢は無かったはずなのだが、そう言った堅実な手段を選ばないのが韓国という国である。

よって、ここに来て支那経済が減速している状況で、韓国は再びアメリカ依存に乗り換えるべきか?ということでウロウロしている。

しかし、そこへ来て韓国海運行の混乱で、輸出関連の業務に大打撃を被ってしまった。もはや、乗り換えというのも現実味が無い話になりつつある。



さて、もう一つの問題として取り上げた財閥重視政策だが、これもまた有名な話である。
最近ではこの辺りで言及しているのだが、財閥系企業というのは韓国国内では税制優遇が行われており、電気料金なども非常に安く設定されているという。

しかし、韓国の財閥系グループのランキング1位から10位までで韓国国内株式の時価総額が全体の53%を占め、利益にして全体の42%をたたき出しているという。まあ、トップのサムスンが21%というとんでもない構造でもあるのだが。
更に、サムスングループの利益は半導体とスマホに寄りかかっているという状況で、辛うじて半導体部門が支えているのだが……。

サムスン電子、10-12月期は40%減益 半導体部門が失速

2016 年 1 月 28 日 12:05 JST
 【ソウル】韓国のサムスン電子の10-12月期(第4四半期)決算は、半導体部門の利益伸び率が大きく鈍化した。スマートフォンの販売低迷が続く中、この先も試練が待ち受けていそうだ。
その半導体事業も芳しくない。今年の7月頃は業績回復の話題もあったようだが、支那の企業が猛追をしているので予断は許さない状況だ。

韓経:サムスン電子、意思決定がさらに速く…下半期に17兆ウォン以上の超大型投資

2016年09月14日11時19分
  李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が取締役のサムスン電子が攻撃的な投資をする。今年下半期に半期基準では最大規模の17兆ウォン(約1兆5500億円)以上を投資する計画だ。来年もこうした基調を続けるという。3次元(3D)NAND型フラッシュメモリー、OLED(有機発光ダイオード)ディスプレーパネルなど需要が急増している先端部品で競合他社との差を確実につけるためだ。これら部品はそれ自体が主力品目となる。別の主力製品のスマートフォンやテレビに供給し、競争力を高めることができる要素だ。
陰りの見える半導体産業だが、それでも攻撃的な投資のお陰でなんとか乗り切っている模様。まあ、この投資が成功するかどうかは分からないが……。



ともあれ、他と一つ頭の抜けた感のあるサムスンではあるが、そのサムスンすら最近は不調となりつつある。

先述したように、韓国の産業を支えているのは財閥系グループ企業であり、その企業には韓国政府の徹底的な支援があり、税制優遇から始まって様々な優遇措置によって他国より有利に企業運営が進められるという事と、利益が出せている時期に多くの国から技術を買ったことが、未だに生き残れている要因だと言えよう。

とはいえ、そうした財閥系企業のうち、サムスンはともかくヒュンダイなどはかなりヤバイ状況にあって、最近はあまり話題に上らなくなってきている。

韓国の財閥系優遇政策も、そろそろ行き詰まりを見せているのである。

韓国はGDPを増やすために輸出業に傾注し、その為に政府支援を惜しまなかった。寧ろ過剰なまでの政府支援を行ったが為に、財閥系以外の国内企業は壊滅的な状況で、ほとんど育ってはいない。

韓国政府の方針とは言え、屋台骨の財閥系企業が優遇されるシステムが、財閥系企業を甘やかす結果となり、これがまた韓国経済の足を引っ張っている。

韓国国内で基礎研究が進まないのも、地盤産業が育たないのも、こうした歪みの影響を受けているからである。
その誤魔化しが効かなくなりつつあるという事実が表面化して、今の惨状を迎えている訳だ。




とまあ、こんな感じで韓国企業の窮状を簡単に説明したわけだが、冒頭の造船業の話に戻ろう。
韓国造船業も他の業種と同様に、やっぱりこれに似た流れで優遇された財閥系企業が、ダンピングを重ねてその契約を勝ち取ってきたという事実がある。
つまり、海外企業相手に不当な安値を設定して契約を勝ち取ってシェアを伸ばすという手法だ。
しかし一時期は、造船業の分野ではその手法で世界のトップシェアを誇っていたようである。

ただ、それは表向きだけの話であり、大型タンカーなどの受注によってシェア拡大を図っていただけに過ぎない。ところが、ここでも支那の追い上げがあってのパワーバランス崩壊という状況が発生してしまった。

韓国経済が至るところで支那企業の猛追を受けている背景には、支那企業自身が従来のやり方では利益を出せなくなってしまったという理由がある。よって、韓国のやり方を真似て資本の集中投資と技術獲得の上で、未だにそこそこ安い人件費に物を言わせるやり方、つまり、以前韓国がやってきた方針そのものによってやられてしまったのだ。
ここで韓国と支那との違いは、国家の体制の違いと国力の差であるので、圧倒的な力でさっさと差が埋められてしまう始末。



こうして韓国のアドバンテージはさっさと覆されて今に至ると。
 韓国の造船大手3社、現代重工業・大宇造船海洋・サムスン重工業は年初から8月までの受注実績が合計32億ドル(約3800億円)にとどまった。3社の年間受注目標は302億ドル(約3兆1000億円)だが、今月に入っても目立った受注がなく、目標達成率はわずか10.6%という状況だ。
造船業に限った話でも、同じものが作れるのであれば支那か韓国か?という選択肢を出されても安い方を選ぶのは当然である。
だって、造船業において韓国ブランドが確立されているわけでは無いし、技術的な信頼がある訳でも無いのだ。

そりゃ、受注が殆ど無いのも仕方が無い。
 造船大手3社の受注実績が低調なのは、海洋プラントの発注が急に途絶えたからだ。海底油田の石油掘削・生産に必要な海洋プラントは通常、受注金額が1プラント当たり5億ドル(約511億円)以上になるが、今年に入り大手3社が受注した海洋プラントはゼロだ。
加えて、韓国が得意としていた海洋プラントの受注がゼロに。



実は、韓国の造船業が苦境に立ったのは最近の話では無い。

また海洋プラントの悪夢…大宇造船1兆ウォンの回収に支障(1)

2016年06月28日11時14分
  昨年造船業界は潜在不良まで一度に振り払ういわゆる「ビッグバス」を断行し、「これ以上の海洋プラントのリスクはない」と壮語した。だが再び問題が広がる兆しだ。大宇造船海洋は当初、ソナンゴルプロジェクトを今週中に引き渡す予定だった。2013年に契約したアンゴラの国営石油会社ソナンゴル向けにドリルシップ2隻を建造するプロジェクトだ。もともとは昨年12月に引き渡す予定だったが発注元が今月末に引き渡しを延期した。
数年前に既に支那の造船業からの猛追を受けて危機的状況に陥っていた韓国造船業は、より受注額の多い、取引額の大きな海洋プラントの方に手を出した。この結果、取引額が増えて、造船業は回復したようにも見えたのだが……、実際には、受注する際に無理をしているので、利益が見込めない赤字産業となっている。
  造船会社のドック別に発注・引き渡し現況を整理した「シップヤードオーダーブック」6月号と造船業界によると、27日現在で造船大手3社がまだ引き渡していない海洋プラントは合計51基と確認された。大宇造船海洋が15基、現代重工業が16基、サムスン重工業が19基だ。
これだけの受注残があっても、利益を出せない構造になっているので、この受注残は寧ろ悪夢そのものである。

原油価格の急落によって、プロジェクトの延期やキャンセルなどが相次いだのも収益悪化の背景にある。

しかしながら、韓国の海運業が壊死寸前であるので、今後は国内需要は見込めない。



こんな感じで、韓国の造船関係は相当ヤバイ状況に陥っている。

海運、造船ときて、次にくるのは何かというと……、鉄鋼だろう。
鉄鋼が死ねば、韓国の産業は未来を見通せない状況になる。
韓国内の産業構造の再編は急務だが……、多分間に合わないだろうね。クネクネ就任時点で、それは既に手遅れと言われていたのだから。


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2 件のコメント :

  1. あるけむ(R.K.M) @fwbc19652016年9月21日 6:17

    造船業について、2016年上半期の受注量と前年同期比を調べて見ました。
    ソース)管財新聞-配管のすべてがわかる 【配管百科】 「16年上半期 造船受注が激減 重量前年の2割にダウン 」
    ソース)中央日報「韓経:今年上半期、韓国造船は過去最低の受注」
    ソース)中央日報「韓国造船業、受注残高約12年ぶりに最低水準に…日本は着実受注」

    日本:200万750総トン-前年同期比で2割弱
    韓国:83万CGT(標準貨物船換算総トン数)-前年同期比で12%
    注)「総トン」とCGTは単位が異なるので、直接の比較はできない

    ただ、世界的に新規発注量が減っているようです。
    >1~7月における世界の船舶発注量は725万CGTで、
    >2282万CGTだった昨年同期の3分の1にとどまった。

    日本の造船業は、2013~2015年の受注増加の結果、受注残が多いのですが、韓国は受注残が減り続けており、危険であると考えます。
    受注残高:
    日本=2213万CGT(22.5%)、韓国=2387万CGT(24.3%)、
    中国=3604万CGT(36.7%)、全世界=9818万CGT(100.0%)

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    1. いつも丁寧にありがとうございます。

      8月末のデータがニュースにありましたので紹介しておきます。

      ・日本=2196万CGT
      ・支那=3570万CGT
      ・韓国=2331万CGT

      日本や支那に比べて韓国は減るスピードが速いようですね。尤も、それは仕事をした結果なのだという解釈も可能ではありますが……。

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