もんじゅの失敗と、高速炉の未来

高速増殖炉「もんじゅ」は、廃炉の方向で検討されているが、核燃料サイクルは継続という方向性で話は進んでいるようだ。

政府 もんじゅ廃炉含め見直し 核燃料サイクルは継続

9月21日 19時07分
政府は、21日夕方、総理大臣官邸で「原子力関係閣僚会議」を開き、高速増殖炉「もんじゅ」について廃炉を含め抜本的な見直しを行い年内に結論を出す方針を確認しました。また、核燃料サイクル政策を推進するとしたうえで「高速炉開発会議」を設置し、今後の高速炉開発の方針を策定することを確認しました。
個人的にもんじゅの廃炉には賛成する立場にあるが、高速炉の開発というのはイマイチ賛同出来ない部分がある。



この手の話は先日も言及した。
「もんじゅ」は失敗した、その結果は変えられない。
だから、廃炉という選択肢は間違っていないと思う。
だが、「失敗したから無駄だった」というのは違う。
「もんじゅ」は研究用原子炉という位置づけだったのである。
似たような位置づけの原子炉として新型転換炉の「ふげん」があるが、こちらは既に廃炉の処理が行われている。1970年に建設されて実用化を目指して開発が行われたが、結局、高コストを理由に電気事業者に採用を拒否されたので、実証炉は作られなかった。
「もんじゅ」の方は高速実験炉「常陽」のデータを元に作られたが、「常陽」は実験炉、「もんじゅ」は研究用原子炉で、実用炉の段階には至っていない。

地元では流石に恨み節も聞かれるようだ。

もんじゅ廃炉方針 「30年協力してきたのに」地元・敦賀は困惑

産経新聞 9月21日(水)23時11分配信
 政府が21日、原子力関係閣僚会議を開き、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について「廃炉を含め抜本的な見直し」を表明したことについて、地元からは不信や困惑の声が上がった。
が、研究用原子炉としての「成果」はある程度あったと言って良い。少なくとも、液体ナトリウムの取り扱いで色々問題があることは分かったし、それが容易に解決し得ない部分を含んでいることも分かった。
22年も実験していて稼働した日数が250日と短いことは残念に思うが、「技術を確立させずに廃炉」が悪いことばかりでは無いのは事実だ。

産経新聞では随分悪し様に紹介しているな。

もんじゅ廃炉へ 夢の原子炉 迷走20年 なぜ成果が出なかったのか…

2016.9.21 23:01

1兆円超が投じられながら、「無用の長物」と酷評されてきたもんじゅ。なぜ20年以上も成果が出なかったのか。
特に大きな問題とされているのが、ナトリウム漏洩火災事故と、1万件の機器の点検漏れについてだ。

確かにヒドイ話ではあるが、一方で液体ナトリウムの取り扱いに関してはそもそも実績が無い。「防げた事故」というのは簡単ではあるが、事故後の処理の方法も含めて経験値を上げたという意味では非難だけすれば良いという話では無い。
技術は何事も蓄積無しには語れないのだ。



そんな「もんじゅ」だが廃炉の方に賛成している理由は簡単で、現状の設計思想では維持費も含めて無駄が多いと思っている、それだけの話だ。

高速増殖炉の系統では無いが、東芝が開発していると言われている4S炉のようなタイプは面白いと思う。どうにも予算的な問題で宙に浮いているような感じなのだが、小型の原子炉で安全性が高いというのは意外にポイントが高いと思う。これもナトリウム冷却高速炉の類だしな。
高速炉でネックなのは冷却方式なのだが、ナトリウム冷却をやるのであれば、どうあっても配管経路は単純化することが望ましい。もんじゅも東芝設計なので信頼できるかどうかは怪しいが、4S炉のコンセプトは面白いのだ。
これがナトリウム冷却で無ければもっと良いような気はするが、その辺りは難しいと思う。が、いずれにせよ実験炉だけでも作って欲しいというのが個人的な願いだ。
会議では、原発から出た使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル政策を推進するとともに、高速炉の研究開発に取り組む方針を堅持することを確認しました。そのうえで、福島第一原発の事故のあと新規制基準が策定されたことや、日本とフランスの間で高速炉に関する協力が開始されたことなど、高速炉開発を取り巻く環境が大きく変化したとして、今後、政府内に、世耕経済産業大臣を中心とする「高速炉開発会議」を設置し、今後の高速炉開発の方針を策定することを確認しました。
フランスとタッグを組むのもどうかと思うが、フランスは原発大国である。その技術はそれなりに魅力的なところもある。
今度こそ成果が見込めるのであれば、組む相手としては悪くは無い。



そうそう、ちょっと話は脱線するが、何故日本が核燃料サイクルに固執するのか?について言及しておこう。

今のところ、国内の施設はどれ一つ満足に核燃料サイクルに向けて動いていない。
しかし、現状の原子炉はウランの9割を使えない状態で、割と効率が悪い。、原子炉の効率を良くすることで、より安定的に長期的に電力を得たいというのは、日本の切なる願いだろう。どう考えても化石燃料に頼る未来は、色々とリスクが高いのだ。
よって、核燃料サイクルに固執する1つめの理由として、少ない燃料で発電できるという点が挙げられる。
これは、安全保障という意味においても重要だ。エネルギーが少ない燃料で取り出せれば、燃料の輸入を減らせる。つまり、輸入によるリスクを下げられると言うわけだ。

核燃料サイクルに固執する2つめの理由として、日本は使用済み核燃料を山ほど抱えているという状況にある点だ。
これは核不拡散条約にも抵触するし、最終処分場を決めかねている状況にも影響する問題である。現状で、日本はプルトニウムを全世界にある分量の1割保有している。50t弱のプルトニウムを保有して、これが全部核兵器になるとすると1000発以上の核兵器を作る事が出来る。ついでに日本はその為の技術も有している。
このままプルトニウムを保有し続けるのは国際社会からも危険視されかねない話だ。



まあ、原発ムラの圧力だとか色々な事を言う人がいるが、結局のところ、日本が資源に乏しい国だという現実を考えると、高速炉の実現は非常に魅力的なプランであるのは事実。
反面、これらの技術のハードルが高く、そうそう開発出来るものではないという点は考慮しなければならない。
何より、原子力の分野で多くの技術者を抱えていくことは、国家として「戦略的な意味」を持つ事になる。

「もんじゅ」の失敗をバネに、今度はもっと増しなプランを用意してほしいものである。


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コメント

  1. あるけむ(R.K.M) @fwbc19652016年9月23日 5:32

    個人的には、超臨界圧軽水冷却炉→超臨界圧軽水冷却高速炉の研究を進めるべきかな~と考えてます(以前は、高温ガス炉を考えていたのですが)
    「軽水炉は熱効率が悪い」というところから考えが出発しているので、あまり高速炉にはこだわっていません。

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    返信
    1. 超臨界圧軽水ですか。
      ボイラーの世界ではそろそろ常識化しつつある技術ですが、原子炉で適用させようと思うとなかなかハードルは高いですよね。

      個人的には軽水炉では効率が悪いというのは同意しますが、軽水炉の効率の悪さの原因は、原子核反応の確率の低さに起因するので、効率を上げようと思うとどうしても高速炉に、と言う事になってしまいます。
      しかし、高速炉では素材の問題で高温条件下でも期待される性能を発揮できるか否かというのが問題になるようで、その辺りの解決、実証には時間がかかりそうですね。

      確かに超臨界圧のポテンシャルは十分あると思います。

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