駆けつけ警護とPKO

ああ、やるんだ。

<南スーダンPKO>駆け付け警護、首都周辺に限定

毎日新聞 9月20日(火)7時30分配信
 ◇自衛隊の安全重視
 政府は、安全保障関連法に基づく新たな任務として、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に11月から参加する陸上自衛隊の交代部隊に付与する方針の「駆け付け警護」について、地理的範囲を首都ジュバ周辺に制限する方針を固めた。現在の陸自施設部隊の活動範囲は、自衛隊行動命令によりジュバを含む中央エクアトリア州と東エクアトリア州、西エクアトリア州と規定しているが、駆け付け警護は安全確保を重視し、中央エクアトリア州に限定する見通しだ。
この「駆けつけ警護」とは一体何だろう?


自衛隊がPKO活動をするにあたって、現地に基地を設営した後に現地の支援が円滑に出来るようにする。
しかし、現地には他国の軍隊や民間のNGOの職員、国連の職員なども活動しているわけで。他国の軍隊はともかく、民間NGOや国連職員などは自衛手段をほとんど持たない。こうした人達を警護することを、現行法制下では自衛隊員には許されていない。現地でその様な状況が発生した場合には、見殺しにするしか無いのだ。

「駆けつけ警護」云々ってのは、これを可能にするという話だ。

ここまで聞くと、なんでそれが出来ないの?という素直な感想を抱くわけだが、色々と自衛隊には縛りが多いのである。
現在の陸自施設部隊の活動範囲は、自衛隊行動命令によりジュバを含む中央エクアトリア州と東エクアトリア州、西エクアトリア州と規定しているが、駆け付け警護は安全確保を重視し、中央エクアトリア州に限定する見通しだ。
ただし、政府はこの「駆けつけ警護」を可能にする一方で、非常に慎重にならざるを得ない事情もある。
 安保関連法は自衛隊の武器使用基準を緩和。ただ、自衛隊が戦闘に巻き込まれ、憲法が禁じる「武力行使」に抵触する恐れがあるとして反対も根強い。政府は不安払拭(ふっしょく)のためにも、駆け付け警護の実施を限定的に想定する。
現実的に、警護するだけでOKと言うわけには行かないケースは多々出てくると思われるからだ。



毎日新聞などは、強硬に反対する立場にいる。

続報真相 南スーダンへの自衛隊派遣 空論でなく現実見よ

毎日新聞2016年9月2日 東京夕刊
 机上の空論と言わずして何だろう。アフリカ・南スーダンの国連平和維持活動(PKO)への自衛隊派遣のことだ。安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」と「宿営地の共同防護」の新たな任務が11月にも課せられる方向だ。現地を知る専門家は「政府の想定とかけ離れた現実」と指摘するが、このまま突き進んでいいのだろうか。
「ああ、毎日か」と思わずに読んで欲しいのだが、言っている事は偏っていても正鵠を射ている部分がある。

気をつけて読むのであれば、参考になる話だ。

毎日新聞の記事では、自衛隊の現状について言及し、「駆けつけ警護は自重せよ」と、そう結んでいる。
 安保関連法で新たな任務が法的に可能になったからと、自衛隊の武器使用を急ぐ必要はない。机上の空論はやめて、何のための国際貢献か、憲法上可能なのか、現地の状況や国際情勢を踏まえた議論をすべきではないだろうか。
確かに、「自衛隊の武器使用を急ぐ必要は無い」という意見には賛同できる。「何のための国際貢献か」を考えることも重要だ。「憲法上可能なのか」という点は僕としてはどうでも良い話で、可能で無ければ憲法の方を変えれば良いとそう思う。そこが毎日新聞との意見の食い違う場所ではあるが、「日本が目指すべき国際貢献」は模索していく必要があるだろう。



そもそも、南スーダンへのPKO活動への参加そのものは、僕自身も賛同しかねる部分が多い。
昨年末の統計では欧米諸国は姿を消し、パキスタンなど南アジア諸国や、エチオピア、ナイジェリアなどアフリカ諸国が占めた。南スーダンで展開する13カ国の内訳は、日本以外には、工兵部隊としてインド、韓国、中国、バングラデシュの4カ国で、残りの歩兵や航空部隊の主力はアフリカやアジアの発展途上国だ。
南スーダンへのPKO活動派遣へはもともと欧米諸国は消極的であった。
何しろ、南スーダンでは支那が幅をきかせているため、このPKO活動によって得られる利益は欧米にとって極めて少ないからだ。
もっと直接的に言えば、石油利権は支那が牛耳っているので、欧米が手を出したがらない、と、そういう事だ。

更に、この南スーダンの一件は、民主党政権時代に決定された特亜に配慮した派遣決定だったという内幕がある。安全確保すらままならない状況で、見切り発車したのだ。

民主党政権時代の置き土産とも言える。
南スーダンの内情については、このリンク先でまとめてやっているので一読願いたい。


簡単に言うと、南スーダンへのPKO活動への参加は、前提として「紛争地帯では無い」という条件があった。だが、南スーダンの状況は悪化して、この前提が崩れ去っている。

いや、2011年の閣議決定の際だって、紛争地帯では無かったとは言い難い。自衛隊は国際貢献の美名の元に、危険の高い地域に派遣されてしまったのである。
まずは、早々に撤退すべきだろう。

駆けつけ警護がPKO活動にて必要か否かは、南スーダンから撤退した後に考えれば良い。



さて、そろそろ冒頭のニュースの方に戻っていこう。

このブログでは以前にも「駆けつけ警護は必要か?」というテーマを取り扱ったことがある。
その中では、「実行可能なオプション」という形で整備すべきだという結論を述べている。
これは簡単な話で、「法律上できない」「憲法で禁止されている」という行動については、ポジティブリスト方式の自衛隊では「想定すらしてはいけない」ことになっているからだ。

そもそも軍隊にポジティブリスト方式を押し付けていること自体がナンセンスなのだが、現行法ではそうなっているから仕方が無い。
であれば、出来ることを一つでも増やして、訓練や準備を出来る体制を整えることこそが重要である。
その上で、駆けつけ警護に類する行動は極力採らないという方針を貫くべきだろう。

戦闘が発生しうるような状況に自衛隊が出向けば、当然、命のやり取りという状況は起こりうる。

安倍氏も、この件に関しては色々検討している模様。
しかし、自衛隊には「駆けつけ警護」が可能となる様な装備を許されてはいないし、「駆けつけ警護」が可能となった後でも、殺傷性の低い武器の選択を迫られるような状況となるはずだ。

それは自衛隊員に「死ね」と言うようなもので、あまりにも無慈悲である。

駆けつけ警護の必要性は分かる。

PKO派遣先の現地で、戦闘が発生した際に、そこに民間の法人がいたとしたら、自衛隊員は日本人の命を守るために飛び出すはずだ。しかし、法整備されていなければそれは違法行為として処罰される対象になる。
そんな馬鹿な話は無い。

例えば、日本の自衛隊と他国の軍隊との共同作戦時に、他国の軍隊への攻撃があった際には自衛隊員はどうすれば良いか?指を咥えて見ているしか無いのである。
自分に攻撃を加えられて初めて反撃が出来る。いや、正確には身の危険が差し迫ったときには反撃を許されているので、友軍が攻撃された時点でも行動は可能なのだろう。が、方で縛られている結果、有効な反撃が出来るかというとそれは難しい。

そんな状況を自衛隊員に強いることそのものが、問題なのである。本来、環境の整備が出来なければ、PKOなど参加すべきでは無いのだ。

日本に出来る国際貢献、それが自衛隊の派遣であると言う事であれば、せめて自衛隊員が有効に活動出来るように法整備するのが政治家の仕事では無いのだろうか。



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コメント

  1. 自衛隊法の早急な改正が望まれますし、PKO活動への自衛隊の派遣先に関しても慎重を期するのは当然だと思われます。現在は9条という枷や歴史的背景があるので対外的にもなんとか日本の事情を理解してもらう余地はありますが。
    最近サヨクが話題に挙げる幣原喜重郎ですが、9条とマッカーサーの話はおいておくとして、1927南京事件(コミンテルンによる扇動)の際に幣原外務省(外務省は軍部の統帥権の様な独立の強い権限を持っていた)のほぼ独断で不干渉を決めたわけですが、これが欧米列強が日本に対して大きな不信感を持つきっかけにもなりましたし、結局漢口事件もその後起きています。
    一国平和主義であるならば、スイスの様な道もあるでしょうが現状自由主義陣営における重要な位置を占める我が国においては、こういった故事からも学んでほしい物です。結局、サヨク達がいっているのは自分達さえよければそれでよい平和主義のようにしか見えないですからね。

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    1. 色々法整備待ったなしというのは事実なのでしょうが、実際は時間がかかるのでしょうな。
      対外的に理解して貰う、というのは、あくまで味方をしてくれる間の話でして、敵対勢力は待ってくれないでしょう。

      PKOだけの話ならまだしも、今は一国平和主義というのはそもそも無理な理想と切り捨てられてもおかしくない時代。
      安倍政権は色々課題山積ですな。

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  2. あるけむ(R.K.M) @fwbc19652016年9月23日 5:52

    南スーダンPKOについては撤退のほうがよいと考えます。
    ただし「一国平和主義を取るべき」という話ではありません。
    以下の理由です。
    ・法整備が不十分(十分な準備がなされていない)
    ・危険度が高い
    ・分担金に対して、メリットが小さすぎる
    先日の記事「日和見主義の国連は既に害悪」でもコメントしたように、(常任理事国以上の)負担金・分担金は削減すべきです。
    無理して、南スーダンPKOを継続する意味はないと考えます。
    ソマリア沖海賊対処活動のような、意味のある活動は続けていくべきでしょう。

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    1. 仰るとおり、南スーダンの件はとにかく一度撤退するべきでしょうね。
      PKO活動は、良く言えば他国と協調しての国際貢献ですが、悪く言えばボランティア活動を強要されるような側面があります。
      自国のメリットにならないボランティアなど止めるべきでしょう。

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