パチンコ業界を震撼させる三店方式の違法性

楽しげなネタを引っ掛けたので、ちょっと中身をしっかり見ていきたい。

スマホゲームに関する消費者問題についての意見

~注視すべき観点(案)~
平成28年 月 日 消費者委員会
スマホゲーム1 は、スマートフォンの普及とともに登場してきた比較的新しい形式のサービスであり、以下の特徴がある。
① 小さな子どもから大人まで年齢を問わず利用可能。
② 時間や場所を選ばず利用可能。
③ ゲームの中で比較的簡単に課金される仕組みとなっている。
④ スマホゲームで見られる電子くじは一般的に射幸性が高いと考えられる。
⑤ 位置情報を利用するなどスマートフォンの機能を利用したゲームがある。
スマホゲームのように、技術の進歩に伴い登場した新しいサービスについては、それが社会の中で定着していく過程において、その在り方について、事業者及び事業者団体(以下「事業者等」という。)に加え、家庭や学校での教育を含む社会全体で考えていくことが重要である。
あれれー、ソシャゲの話だから関係ないよね?とか思うわけなんだけれど、なかなか興味深い話が書かれていた。


さて、先に元ネタを紹介しておく。

内閣府消費者委員会:パチンコ業界に「終了のお知らせ」か?

ソースは2ch!と胸を張って言える話でもないのだが、この話は冒頭に紹介した消費者委員会の「注意すべき観点(案)」が元ネタで、それの解説をやってくれているのが紹介したリンク先のブログ。
ただ、素人さんが読むと、頭に入って来にくい文章のような気がしたので、紹介がてら、僕も「消費者委員会」の原案を読んでみることにした次第。

さてさて、スマホのゲームが大きな問題となりつつあり、課金によってお金を浪費したり、子供が課金してしまってトラブルに発展したりというケースが後を絶たない。


そんな背景があって、内閣消費者委員会が意見書案を出してきた。

高額課金で意見書 内閣府消費者委

毎日新聞2016年9月21日 00時16分(最終更新 9月21日 00時16分)
 スマートフォン(スマホ)のオンラインゲームで高額課金が問題になっていることについて、内閣府消費者委員会は20日、「スマホゲームに関する消費者問題についての意見」を表明した。ゲーム内で獲得できるアイテムなどの出現率や取得にかかる推定金額を利用者に情報提供すること、未成年者を高額課金から保護することなどをゲーム会社に求める内容を盛り込んだ。
これに関しては毎日新聞も取り上げていて、メディアも知らない話ではない。
確かに深刻な問題として消費者庁も黙ってみているわけには行かない状況になってきているのである。
スマホゲームの市場規模は約9450億円(同年)に達している一方、全国の消費生活センターには昨年度約4300件の相談が寄せられた。
固定ゲーム機が売れなくなって、猫も杓子もスマホ、スマホだ。
そりゃ、手軽な時間つぶしのアイテムとして、これだけ広まっているのだから、トラブルの元にもなりやすい。


んで、毎日新聞も惜しい所までは取り上げていた。
適切な表示▽電子くじの射幸性▽未成年者の高額課金−−の3点の課題を取り上げた。表示では出現率に加え、希少な商品の出現率を変えて利用者が認識できないような形で提供することを問題とした。ゲーム内で使用される電子くじについては、ゲームのプログラムで決定されるため、射幸性が高いと指摘した。
ちょっと問題だねー、という感じ。

ただ、消費者委員会は実はもう一歩先まで踏み込んでいる。
さらに、電子くじと刑法(明治40年法律第45号)で禁止されている賭博罪13との関係を十分に認識した上で事業者においてはサービスを提供し、消費者においても利用することが必要である。
③ スマホゲームの電子くじと賭博罪との関係
(賭博について)
刑法における「賭博」とは、「偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為」であり、「財産上の利益」とは、財物以外の財産的利益の一切をいい、債権の取得、サービスを提供させる等の積極的利得のほか、債務免除等の消極的利得も含むと考えられている。また、一般に刑法上の財物や財産上の利益該当性については、客観的価値に加え、主観的な使用価値等も含まれると解されている。なお、「賭博」に当たる場合であっても「一時の娯楽に供する物16を賭けたにとどまるとき」は、違法性は阻却される(刑法第 185 条但書17)。
(電子くじの賭博罪該当可能性)
以上を踏まえると、一般論として、スマホゲームで見られる電子くじは、専らゲームのプログラムによって排出されるアイテム等が決定されることからすれば、上記「賭博」にいう「偶然性」の要因を満たしていると考えられる。また、上記「財産上の利益」の解釈に加え、有償で入手したオンラインゲーム内のアイテムを詐取した事案につき詐欺罪の成立を認めた下級審判決 があることなどからすれば、アイテム等については「財産上の利益」に当たる場合もあり得るところである。
実際に電子くじが賭博罪に該当するか否かについては、上記「財産上の利益」該当性に加え、「一時の娯楽に供する物」該当性等も含め、事案ごとに判断されるものである。電子くじで得られたアイテム等を換金するシステムを事業者が提供しているような場合や利用者が換金を目的としてゲームを利用する場合は、「財産上の利益」に該当する可能性があり、ひいては賭博罪に該当する可能性が高くなると考えられる。
まあ、当たり前の話だが、「犯罪行為に抵触」というところまで踏み込まないと、提言の効果が薄い。だからこそ、法解釈で賭博罪に当たる可能性が高いとまで言い切っている。


ここからが、冒頭のブログが指摘する面白い部分だ。
この話、パチンコ業界に通じるものがあるというのである。
具体的にはこちら。
ぱちんこ屋の営業者以外の第三者が、ぱちんこ屋の営業者がその営業に関し客に提供した賞品を買い取ることは、直ちに風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二十三条第一項第二号違反となるものではないと考えられる。もっとも、当該第三者が当該営業者と実質的に同一であると認められる場合には、同号違反となることがあると考えられる。
(出所:答弁書第一五二号内閣参質 一八九第一五二号)
三店方式そのものに言及する答弁である。
「パチンコホールで客がお金を出玉と交換」→「買い取り所が出玉を特殊景品と交換」→「特殊景品を買い取り所がパチンコホールに卸す」
この循環が三店方式と呼ばれるシステムで、一般人が考えたら「買い取り所」は「パチンコホール」と無関係だと誰も思わないのだが、法律的には第三者が買い取るので、賭博に当たらないという、超グレー解釈を採用している。

答弁では「実質同一」であれば「風営法 第二十三条第一項第二号違反」にあたるとしている。
ところが、この答弁では賭博罪には踏み込んでいない。


踏み込んじゃうと、どうしても法解釈をしなければならない。
電子くじで得られたアイテム等を換金するシステムを事業者が提供しているような場合や利用者が換金を目的としてゲームを利用する場合は、「財産上の利益」に該当する可能性があり、ひいては賭博罪に該当する可能性が高くなると考えられる。
そして、法解釈について、「電子くじで得られたアイテム等を換金するシステムを事業者が提供している」という構図は、「パチンコホールが出玉と交換する特殊景品を事業者が提供している」構図そのもので、一方「利用者が換金を目的としてゲームを利用する場合」という構図も、パチンコそのものである。

つまり、三店方式であろうが、利用者が換金を目的としてパチンコやスロットをやっていれば、それは賭博罪に該当すると。


もちろん、このブログの筆者も、この消費者委員会も「賭博罪に該当するか否かは、事案ごとに判断される」と断りを入れて入る。
が、誰がどう考えたって、ソシャゲの方はNGでパチンコの方はOKだという理解にはならないのである。

特に、近年はパチンコも電子化が進んでいて、玉を使う以外は電子ゲームとほぼ変わらない。寧ろ何が違うのか良くわからない。何しろ、玉の数までカウントしてカードに記録するタイプになりつつあるので、まさに電子ゲームと言っても過言ではない状況に。
だとすると、特殊景品はカードに該当し、ソシャゲはRMT(リアルマネートレード)まで含めて「問題だ」としている状況は、まさに特殊景品をお金で買い取る行為そのものであり、パチンコと何が違うのかという話になる。

つまり、この消費者委員会の文章は、未だ正式に採用されていないものの、パチンコは賭博だといったに等しいのである。これが、正式に採用されれば大騒ぎだな。




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コメント

  1. パチンコ業界は力が大きすぎるので規制は無理でしょうなー。政治家にガッチリ食い込んでますから。
    スマホガチャを規制すると論理的にはパチンコも規制しなくてはならないので、及び腰なのです

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    1. 今回のこれも、果たして本当に正式な文章として固定されるかどうかは怪しいところ。
      怪しいが故にこうした文章を事前に出して観測気球を上げているのでしょう。が、逆に言えば、そこまでやらなければならない程事態が深刻化しているとも言えます。
      スマホガチャの更なる規制は避けられないでしょうし、三店方式の見直しも言及されるようになる可能性も。まあ、何れにしても直ぐには無理でしょうが。

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