農業を外国人労働者に任せるという愚かな発想

田舎が人材不足だという話はちょくちょく聞くが、だからといってコレは無いだろう。

農業に外国人労働者 総理、受け入れ検討を指示

(2016/10/05 00:05)
 安倍総理大臣は、国家戦略特区を活用して農業分野で働く外国人の受け入れを実現するため、来年の通常国会で法改正を目指す考えを示しました。
 農業分野で受け入れる外国人は経験のある専門的な人材を想定しています。賃金は農家と雇用契約を結んだうえで、日本人と同額を支払う方向で検討しています。農家の働き手が高齢化し、人手不足が深刻になっているためで、労働力を確保する狙いがあります。入国管理法などの改正が必要になることから、安倍総理は、来年の通常国会への法案提出を目指して議論を加速するよう指示しました。
安倍政権の外交政策については、納得できる物が多いと思う。しかし、内政は問題ばっかりだな。



自民党が、外国人労働者の受け入れに動いている事実は、周知であると思う。
こちらの記事でも言及しているが、自民党は外国人労働力によって人手不足を解消しようとしている節がある。

いや、実際していると言うべきか。

参考になるのが「外国人技能実習制度」の話である。

「外国人技能実習制度」の趣旨

開発途上国等には、経済発展・産業振興の担い手となる人材の育成を行うために、先進国の進んだ技能・技術・知識(以下「技能等」という。)を修得させようとするニーズがあります。我が国では、このニーズに応えるため、諸外国の青壮年労働者を一定期間産業界に受け入れて、産業上の技能等を修得してもらう「外国人技能実習制度」という仕組みがあります。
 この制度は、技能実習生へ技能等の移転を図り、その国の経済発展を担う人材育成を目的としたもので、我が国の国際協力・国際貢献の重要な一翼を担っています。
「外国人技能実習制度」の利用によって、以下に役立ててもらうことにしています。
  1. 技能実習生は、修得技能と帰国後の能力発揮により、自身の職業生活の向上や産業・企業の発展に貢献
  2. 技能実習生は、母国において、修得した能力やノウハウを発揮し、品質管理、労働慣行、コスト意識等、事業活動の改善や生産向上に貢献
  3. 我が国の実習実施機関等にとっては、外国企業との関係強化、経営の国際化、社内の活性化、生産に貢献
白々しい言葉が並んでいるが、日本型農業は個人経営者によって営まれていることが殆どである。
しかし、日本の自営業の実態を診て貰えば分かるが、家族の労働コストは限りなく低く設定している。「従業員は雇えなくて」という民間企業の事業主は「家族」を使って経営している。



「外国人技能実習制度」はその延長線上にあるような話で、事業主にとっては格安で使える労働力扱いである。
一応、流石に国も色々懸念して受け入れの資格はある程度審査している模様。
外国人技能実習生を、受け入れる方式には、次の二つのタイプがあります。
  1. 企業単独型:本邦の企業等(実習実施機関)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施
  2. 団体監理型:商工会や中小企業団体等営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施機関)で技能実習を実施
ただ、結局、中小企業の経営者程度の理念を持ち合わせているのが関の山で、蓋を開けてみればこんなヒドイ話も。

平均年収2500万円、「レタス長者」の川上村 実態は中国人実習生に過酷労働強いる「ブラック農家」?

2014/12/ 4 19:15

   日本有数の高原レタスの産地として知られる長野県川上村。平均年収が2500万円にものぼるとされ、「成功農家」のモデルともてはやされるが、一方で外国人技能実習生らに過酷な労働を課している、「ブラック農家」との評判もある。

こんなニュースが流れたことがあった。



この話の真偽はハッキリしないが、入管から受け入れ中止処分が出た事を考えれば、それなりに黒い事はやっていたのだろう。
  外国人実習生の受け皿となっていた「川上村農林業振興事業協同組合」は、2014年9月に東京入国管理局から受け入れ中止の処分が下り、11月には解散が決まった。インターネットではその「黒すぎる実態」が話題になっている。
そもそも、日本の農業は「キツイ」のだ。
  信濃毎日新聞(12月2日付)によると、東京入管は処分の理由を明らかにしていないが、組合役員の証言として、「実習生の在留資格で来日したのに農作業に携わらない者がいたなどの問題があったため、と入管から説明を受けた」と報じている。
解散の理由が明らかにされていないようだが、何らかの問題があったことは事実のようで、「キツイ農業」に耐えかねる外国人がいても不思議は無い。

そして、気になるのは、「実習生の在留資格で来日したのに農作業に携わらない者がいた」という点である。
じゃあ、その実習生は一体何をしていたのか?



さて、別のニュースも紹介しておこう。

外国人技能実習生受け入れ、違反が過去最多 死亡事故も

2016年8月16日19時50分
 日本で働きながら技術を学んでもらう外国人技能実習生の受け入れ企業で、昨年1年間に違法な時間外労働や賃金不払いなどの労働基準関係法令の違反が見つかったのは3695事業場で、前年より718カ所増えた。増加は2年連続で、記録をさかのぼれる2003年以降では最多だった。
このニュースも外国人技能実習生受け入れの問題点を浮き彫りにしている。
厚生労働省が16日に発表した。労働局や労働基準監督署が、監督指導に入った事業場は前年より約1・3倍増の5173カ所で、うち7割以上で違反が見つかった。違法に残業をさせるなど労働時間に関わる違反が1169件、安全措置が講じられていない機械を使わせたなどの違反が1076件と多かった。
ただ、外国人実習生に「不当な労働条件を課すケース」というのは表向きの話。たしかにそれは事実なのだろうが、多分、問題の一側面でしかない。



寧ろ、似たような条件で日本人の労働者も働いているのだ。
中には事業主が監督指導に対し虚偽の賃金台帳を示して割増賃金の不払いを隠したり、フォークリフトを無資格で運転させて死亡させたりする悪質な事例もあった。
こういう「悪質」な事例は、何も外国人実習生を受け入れた事を切っ掛けに、思いついてやらせた話では無いだろう。

寧ろ、日本の製造業の慢性的な体質が浮き彫りになってしまったと、そういう話なのだと思う。上の農業実習生の話だって似たようなものだろうと、僕は考えている。
尤も、不当に安い賃金で働かせていたという構図は、ちょっと事情が違うのだろう。
まあ、今回は農業のケースに絞るので、製造業などの話はこの辺にしておきたいが、構図は一緒だと思う。

ただ、農業の場合は季節によってやれることが大きく変動するので、基本的に繁忙期以外は人手が要らないという構造的な問題もあるわけで……。



しかし、この問題は更に闇が深い。

キャッチ!インサイト 「失踪する外国人実習生」

2015年07月09日 (木) 
【技能実習生】
日本で働きながら、さまざまな技能の習得を目指す「外国人技能実習生」。
ところが最近実習生が受け入れ先の企業から失踪するケースが増え続けています。
NHKのサイトの引用なので、ソースはそれなりにしっかりした物だろう。
fig1
fig2
全国で、失踪する外国人技能実習生が増えているというのだ。



恐るべき話だが、毎年5000人ほど失踪するというのだ。
失踪する実習生の数は急増していて、全部で16万人ほどいる技能実習生のうち5000人にのぼっています。
最近では、帰国間際ではなく、日本に入国して一年以内に、行方不明となるケースも増えています。
主な国籍を見ると中国が全体の6割程度、そのほかベトナムやインドネシア人などとなっています。
支那人の多くが、日本の技能実習制度を利用して来日し、失踪する。
NHKの解説では「長時間労働・賃金不払い」が理由として挙げられていたが、それは表向きの話で、実際はもっと実入りの良い商売にジョブチェンジ、という話だ。無論、それは不法滞在になる。
結果的に、蒸発した実習生がスパイ活動に勤しんでいたり、アンダーグラウンドに潜ってしまったり、というケースがあっても不思議は無い。外国人犯罪が増えているのも、直接的な関係があるとは言えないまでも無関係では無いハズだ。
 
そもそもこの「技能実習」制度は、スタートこそ研修生を受け入れて技能習得して貰うという目的だったようだが、民間企業にとっては研修生の受け入れは負担でしかない。
だから、労働力的側面を強くして欲しいという要望を入れて、「技能実習」という名目で単純労働者の不足を補う側面が強くなった。そして、日本の企業側も実習生側もこの制度を悪用し始めたと、そんなところである。



話を戻そう。

今も継続している「外国人技能実習制度」だが、その失敗はもう明らかである。だが、安倍氏が今回目指す方向性は、そうした過去の失敗を更に助長しかねない話である。
農業分野で受け入れる外国人は経験のある専門的な人材を想定しています。
こんな事を書いているが、現実的には本国で成功している人間が来るはずも無く、日本に来る「外国人」は「経験」はあっても、競争に敗れて食い詰めた人間が殆どだろう。つまり、人材の面ではあまり期待できないと考えるべきなのだ。

そうした人材を「労働力」としてアテにすることが既に間違っている。それだったらまだ未来を信じて「技術を学びに来る若者」の方がマシというものだ。



さらに、外国人に対して「日本のモラルを守れ」というのは無理がある。隣の国であっても、文化も宗教も何もかもが違って話にならないというのに、である。

まあ、そういう部分をさっぴいてもだ、そもそも日本人の若者が農業を目指さないのは、その分野に魅力が無いからだ。

これは、働き方や「キツイ・キタナイ」というイメージ、或いは実情を伴った側面があったにせよ、そういった教育が延々と受け継がれてきたので、もう取り返しの付かないところまで来ている。

そして、日本型農業という手法そのものが時代に合わなくなってきている。農協を介して農作物を捌くというやり方が、利益が出にくい構造になっているのだ。

もちろん、それを改革している農協や事業体もあるのだろうが、全般的に日本の農業は、個人事業主が「アレもコレもやる」というスタンスが多い。そして、それを税金で補償しようというシステムにしているので、補助金に甘えて改革を目指さないという……。

これを外国人労働者に押し付けようという発想は、間違いだ。
外国人労働者だって、当然儲けることを前提に考えるし、割の良い仕事があれば農業なんてさっさと廃業すること請け合いである。

結局、農業の話は根本的な構造を変えないと、どうしようも無い。

ただ、安倍氏だってバカではないから、こうした懸念は十分承知した上で、それでも人手が足りないのでやむなくと言うのが実情だと思う。
もう、人手を外から入れないと回っていかないのだ。

……だがそれでも、僕はこの政策には反対である。
或いは、その選択は「1.外国人労働者を受け入れて農業を延命」か「2.受け入れずに農業衰退」のどちらかを選ぶという結果を招くかもしれない。
だが、移民政策は受け入れたら後戻りは出来ない。外国人労働者を受け入れて延命どころか寿命を縮める結果になる、という可能性のほうが遥かに高いと、僕はそう考えている。



ランキングへの応援クリックよろしく!
にほんブログ村 ニュースブログ 時事ニュースへ

コメント

  1. 結局米みたいに大規模に農地を集積、機械化しかないんでしょうな。少子化で人手が減るなら尚更です
    問題なのは小作解放政策で農地が細切れになったことですがこれも当時のGHQの介入やらの事情考えると一概に悪いとは言えませんし何ともはや

    返信削除
    返信
    1. 日本は農地になる土地が狭いですからねぇ。
      大規模に農地を集約、機械化というのは向かないのですよ。

      それでも、効率化を図ってコスト削減、人手がかからないようにと言う方向で技術革新を進めていく必要があるのでしょうね。

      減反政策はそろそろ止めるべきでしょう。

      削除
  2. 外国人労働者=奴隷交易
    難民問題=蛮族の大移動
    歴史的に見れば紀元前からある日常的な問題。
    昭和初期には、極貧で無学な日本人農民が米国や南米に大挙して押し渡った。
    皮肉な話です。

    返信削除
    返信
    1. 皮肉にも、歴史は繰り返すという奴ですね。
      移民政策で成功した国無し、というのが国際常識なのですが、アメリカやカナダ、ブラジル辺りは比較的成功した方でしょうかね。
      今、深刻な問題となってますけど。

      削除

コメントを投稿

お気軽にコメントを!ハンドルネームは面倒でもお願いします。