「もんじゅ」の代わりに高速炉推進

この話は誤解している人も多いと思うが、「もんじゅ」再びという話に直結するわけでは無い。

もんじゅの代わり、高速炉推進で一致 政府開発会議

2016年10月8日 朝刊
 政府は七日、廃炉が濃厚な高速増殖原型炉「もんじゅ」に代わる高速炉開発の方針案を作る「高速炉開発会議」の初会合を開いた。燃料の有効利用などの意義を確認して、開発を進めていくことで一致した。
「もんじゅ」は高速増殖炉であったが、推進するのは「高速炉」である。つまり、方式が違う可能性があるのだ。



流石に、高速増殖炉に無理があったという結論にはなったようだが、それを諦めるのかというとそういう話では無い。

日本は金蔓になるだけ? もんじゅ「廃炉」と「仏との共同研究」

2016/9/24 16:00
~~略~~
   「サイクル」維持について、世耕弘成・経済産業相を中心とした官民の「高速炉開発会議」を設置し、新たな「高速炉」開発の検討を進める。具体的には、フランスが計画する新型高速炉「ASTRID(アストリッド)」の共同研究を軸に議論が進む見通しで、1代前の実験炉「常陽」(茨城県大洗町)の再稼働なども検討課題になる。

実のところ、「もんじゅ」の仲間である高速増殖炉の研究は世界でも色々やられていて、ロシアは軌道に乗ったと報道しているが、この辺りは相変わらずハッキリしたことが分からないので脇に置いておくとして、有名所ではフランスでのフェニックス計画がある。

とはいえ、高速増殖炉の原型炉であるフェニックスは2009年に運転が停止され、実証炉のスーパーフェニックスも稼働は停止している。1986年に本格的に稼働したスーパーフェニックスは、燃料漏れや冷却システムの故障などが相次いだために、運用を断念している。



で、それでもフランスがしつこく推進しているのがASTRID計画である。

日本はフランスと共同宣言(2013年6月7日)によって、燃料サイクルや高速炉に関するパートナーシップを深めることを確認している。
民生原子力エネルギーに関するパートナーシップを強化する。 両国は、原子力発電が重要であること及び安全性の強化が優先課題であることを共有するとともに、その協力に係る両国の原子力規制当局間の協力を拡大した。両国は、 5 燃料サイクル(特に六ヶ所村の再処理施設の安全かつ安定的な操業の開始、使用済燃料の再利用、放射性廃棄物の減容化・有害度低減)及び高速炉を含む第四世代炉の準備におけるパートナーシップを引き続き深めていく。両国は、産業分野において、世界最高水準の安全性を有する共同開発原子炉アトメア1の国際展開の支援及び第三国の能力強化の支援を含め、第三国における協力を進めていく。
この中で、三菱重工とアレバ社の合弁事業会社「アトメア」の設計する「アトメア1」に触れている。この原子炉はまだ概念だけしか無いが、第3世代+原子炉か第4世代原子炉というカテゴリーに含まれる原子炉であり、安全性が高いと言われている。

それはそれで推進すべきなのだが、ASTRID計画はまた別の話。その前の段落に書かれている「高速炉」を含む、との一文がASTRID計画を示唆している。



ただ、ASTRID計画は調べてもあまり詳しい話が出てこない。自民党がその辺りを研究していて資料があるようだが、概要しか載ってない。そして、フランスでもASTRIDが建設されるか否かは決定していない模様。
しかし、課題も指摘されています。研究開発を進める具体的な施設として挙げたフランスの「ASTRID」。日本原子力研究開発機構によりますと、ASTRIDを本当に建設するかどうかはまだ決まっていない状態で、フランスは2019年に判断するとしています。
さらに建設にあたり、費用の半分を負担してほしいという打診もあったということです。その場合、日本の負担は数千億円に上るという試算がある一方で、日本が開発や運転にどれだけ深く関わるかはまだ決まっていません。
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2016_0926.html

高速増殖炉「もんじゅ」も資金繰りに苦しんだが、ASTRID計画にもやはり莫大な資金を必要とする可能性がある。故に、「フランスに建設するし技術は出さないけど金は出してね!」と、いうフランスの本音がチラホラしているが、多国籍で協力しないと費用を捻出できない。その上、開発が成功する保証は無く失敗するリスクも高いのだ。



一方で、あまり情報開示されていない、六ヶ所村に建設中の再処理施設だが、これもフランス企業のアレバ社が絡んでいる。

「再処理機構」と安全協定協議へ /青森

毎日新聞2016年10月5日 地方版
 三村申吾知事は4日の定例記者会見で、3日に発足した使用済み核燃料の再処理事業を新たに担う認可法人「使用済燃料再処理機構」について、「立地地域との信頼関係が維持されるよう安全協定の締結が必要」と述べ、機構と安全協定締結に向けた協議を行いたいとの意向を示した。
原子力行政に関するフランスとの付き合い方は、見直すべき時期に来ている気がするね。だって、結局のところこの話も自前の技術を持っていないと話にならないからだ。

そして、再処理施設も原発再稼働が実現しないことには前に進めない。だって、原発が再稼働しないことには使用済み核燃料を再処理する意味が無いのだ。



しかし、日本政府が何故、破綻しかかっているプルサーマル計画や、高速炉の研究を続けていくことに躍起になっているか?というと、1つにはこうした技術を自国で開発していかないと、他国で技術が確立された場合に、取引材料が無くなってしまうという理由がある。

日本は原子力発電所を建設するに当たって、外国企業に莫大な費用を支払っている。原子力発電の研究を行うことがタブー視されていた事もあり、外国の言い値で金を支払わねばならない状況は、非常に悔しい思いをしただろう。
そして、今なお再処理施設建設や、福島第1原発の廃炉処理に関してもアレバに莫大な費用を支払っている。
国の安全保障に関わる分野で自前で技術を持たないというのは、かなりリスクの高い話なのだ。

もう1つの理由として、膨大な量のプルトニウムを合法的に保有する理由として、今さらプルサーマル計画から引き返すことが出来ないという話もある。
これは、最終処分場が決定していれば、違う話もまだ出来たと思うのだが、資源に乏しい日本にとっての足掻きとも言える。核不拡散条約に調印している手前、プルトニウム大量保管は非常に困った問題である。しかし、処分しようにも貰ってくれる国は無いし、処分する場所も無いのだ。

後付けの理由で、核抑止力の一面があるなどとも言われるが、それはどの程度意味があるのかはよく分からない。

だが、プルサーマル計画が実現すれば、捨てるはずのゴミが有力なエネルギー資源に生まれ変わる。日本としてはそれはそれは有りがたい話なのである。



そうそう、核融合炉の話もあったな。

日中韓米露印EUによる「夢の核融合実験炉」、2025年の運転開始目指す―QST理事長「人類初、世界平和と繁栄につながる」

配信日時:2016年10月5日(水) 8時20分
2016年10月5日、量子科学技術研究開発機構(QST)の平野俊夫理事長(前大阪大総長)が「量子科学技術による調和ある多様性の創造」と題して日本記者クラブでこのほど講演。放射線や被ばく医療など研究開発全体について説明した。特に人類初の平和目的核融合実験炉の実現を目指した「ITER計画」は、日本・欧州連合(EU)・ロシア・米国・中国・韓国・インドの7極により推進され、世界の平和と繁栄につながると期待されているという。
ITER計画に関するニュースも流されていたが、これもフランスに建設するとあって、核融合に関してもフランスが一歩先を行っている。

実証炉に関して言えば日本が先んじて成功報告を行っており、超電導型核融合実験装置「JT-60SA」の建設も始まった。だが、イニシアチブを取れているかというと、なかなかそうはいっていないのが実情である。



そもそも核融合炉開発までにはまだまだ時間が必要だ。
だからこそ、高速炉の日本での研究は必須であると言えよう。そして、既に第3世代の原子炉建設は絶望的であるので、第4世代原子炉の建設が急務。

よって、高速炉の建設を含めた原発政策の是非が問われている。

それなのに、ここで後手に回るといよいよ日本の原子力分野でのアドバンテージが無くなる。
資源の無い日本にとっては、こうした技術開発は生命線となってくる。安易に反対をする前に、そうした面にも目を向けていくべきだろう。



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コメント

  1. 放射性廃棄物の無害化に道? 三菱重、実用研究へ
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ040JJ_X00C14A4000000/

    米で特許 再現成功で「常温核融合」、再評価が加速
    http://www.nikkei.com/article/DGXMZO06252800Z10C16A8000000/

    米ロッキード、10年以内に小型核融合炉実用化へ
    http://world-fusigi.net/archives/7590440.html

    お茶屋が石油から手を引いていくという話がちょっと前にありましたが、シェールやエジプト沖の油田をかつてビッグ7にやられたイタリア資本が落札したり、サウジと米帝の確執やサウジとロシアの外交関係など、この手の話は色々想像をたくましくできるので結構好きです。
    鉄腕アトムやガンダムの技術が自分が生きているうちに目に見られるかもしれないとワクワクします。

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    1. 色々な研究がなされていて、興味深いですよね。
      ただ、ロッキードの話はハッキリした根拠が示されていなくて、果たしてそれが本物かどうかはよく分かりません。記事が本当であればそろそろテストを終えて、試作の設計に取りかかっている可能性もあるので、期待して待っていますが。

      常温核融合に関しては更に怪しい話ですね。今まで「似非科学」だの「空想科学」だのと揶揄されてきた分野ですから。
      とはいえご指摘の記事は知りませんでした。追試が行われて、効率的に熱を取り出すことが可能であれば面白いことになると思います。

      海千山千の研究も世の中には沢山あるので、モノになるのを見つけるのも一苦労ですが、それでもこうした研究にはロマンがありますよね。

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