ボーイング、航空自衛隊にF-15Jの近代改修案を提案

うんまあ、この手の話は前からあるね。

Boeing: 日本の航空自衛隊に対してF-15Jの近代化改修案を提案へ

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By Gerald Byrd/BusinessNewsline
Boeingが日本の航空自衛隊(Japan Air Self-Defense Force)が使用しているF-15J戦闘機の近代化改修案を提案か提案準備を行っていることが12日、業界専門誌の報道によって明らかとなった。
そして、どんな話かというと……。


まあ、僕も空自の装備に詳しいわけでは無いので初歩的な事だけ、簡単に説明していこう。
このブログの読者の中には、詳しい方もいらっしゃるので、厳しい突っ込みが入ることも予想されるが……。

さておき、簡単に説明を。

F-15J

これが空自の主力F-15Jである。

空自は3種類の戦闘機を運用するスタンスを貫いているので、現状はF-15J、F-2、F-4Jを運用している。
が、F-4Jは流石に老朽化が激しい。そこで、後継としてF-35Aを導入しようとしている。
……間に合うとイイネ。

まあ、それはそれとしてF-2やF-15Jも実は結構ヤバイのである。



F-2はF-16ベースの戦闘機ではあるが、形が似ているだけの全くの別モノ、と言われるほど色々弄ってある。日米共同開発の賜ではあるが、その辺り、曰く付きのシロモノでもある。F-15Jよりも後に導入されているが、F-2は機体が小さいので拡張性が無いのが問題なのである。

こちらはある程度改修が進んでいるものの、今後、大幅な近代改修は難しいだろうね。となると、10年以内くらいには別の機種を選定して後継を選出という話も出てくるだろう。


そして、F-15Jだが、こちらはベースとなったF-15C/Dを三菱重工がライセンス生産する形でF-15Jとして納入しているシロモノ。若干仕様が異なる部分もあるが、基本的にはF-15のアメリカ仕様と同じで、1977年に制式採用されている。
……まあ、古いって事だよね。

ちなみに、このF-15JはPre-MSIP機とJ-MSIP機の2種類に大別されて、Pre-MSIP機は1981年から1984年までに納入された機体、J-MSIP機はそれ以降に納入された機体となっている。
何が違うかというと、近代改修が容易か否かと言う話になる。



んでまあ、日本の防空防衛網を維持するのには、戦闘機の近代改修はどうしても必須となってくるのだけれど……。

F-4Jの後継にはF-35Aというのが現状の予定なのだけれど、コレが又致命的に遅れていてF-4Jの退役にF-35A調達が間に合わない有り様。

加えてF-15Jに関して言えば、J-MSIP機の近代改修はそこそこやっているのだけれど、Pre-MSIP機を弄るとなると莫大な費用が必要となる。
と言うわけで、こういった案も出されていた。

うーん、分かり難いので表にしてみよう。
近代化前 近代化後
F-4J 56機 F-35A 42機
F-2A/B 88機 能力向上改修実施中
Pre-MSIP機(F-15J)109機
J-MSIP機(F-15J)102機 近代改修実施中

……あまり分かり易くはなってない気がするが、とにかくF-4Jの次はF-15JのPre-MSIP機をどうするかが問題なのである。



F-15JのPre-MSIP機の後継として、F-35Aを追加購入する案は魅力的だが、莫大なコストがかかることと、それ以上に時間を必要とすることが問題となる。

で、2013年に報道された時には「F-15MJにするか?」とボーイングに打診されていた。しかし、この話、どうなったのかの続報を聞かない。

F-15MJのスペックは、基本的にはF-15JをF-15SE相当の機体に替えちゃうぜ!という内容だったようだ。が、F-15SE(F-15Eのステルス性強化仕様)って、噂だけはあるがまだ影もカタチも無い戦闘機プランである。ボーイング的には金を出してくれたらやるくらいの話だったのだろう。
改修案の内容は、機体フレームの改修による機体寿命の延長、レーダーをRaytheon APG-63(V)3 AESAに置換、長距離赤外線センサーの新規搭載など、F-15Cの仕様に近いものとなる見通しとなっている。
冒頭の話はコレに絡んだもので、「Pre-MSIP機の改修をやろうぜ」とボーイングが言ってきている訳だ。

実は、アメリカ空軍もF-15の改修案が出ていて、F-35Aでは間に合わない部分の穴埋めをするつもりでいるようなのだ。F-22の製造ラインは閉じちゃったようだし、アメリカも後に引けない。
今回のBoeingによる近代化改修案の骨格となるF-15Cは機体寿命を2040年まで延長させるものとなっているため、業界では別名「2040C」とも呼ばれている。
どんな案かは非常に気になるところだが、アメリカ軍がやるついでというのであれば、多少はコストメリットが期待できるのも事実。

ただ、アメリカ軍が採用するかを検討している「F-15 2040C」は、ステルス性を捨ててミサイルキャリア化しようという構想らしい。
しかしながら、日本の航空自衛隊が欲しているのは、むしろミサイルキャリアなどでは無くて格闘戦の出来るF-22タイプなのである。

正直、F-35Aの仕上がりはまだまだ怪しいレベルだが、ステルス機の特性を考えれば、偵察や敵機を先んじて発見し、撃ち落とすという、「ファーストルックファーストキル」構想に基づいたもの。

コレはコレで考え方としては悪くないのだが、日本の防空体制とは致命的にかみ合わないのも事実だ。
何故ならば、日本は戦闘機にスクランブルをさせて、敵機に警告をした上で対応することを前提にしている。つまり、「ファーストルック」は捨ててかかっている。

となると、続く「ファーストキル」が出来るか?というとF-35Aにはそれを実現出来る機体性能は望み薄である。
ステルス性を獲得するのと引き替えに機体運動性能を犠牲にしているからだ。



日本がF-3戦闘機の獲得を模索していると言う噂はチラホラあるが、現実的にはF-3を獲得できたとしてもまだまだ長い時間を必要とする。
となると、その間に繋ぎになる戦闘機が必要で、F-15Jの近代改修案が一番まともな話になるのだよね。ただし、2040C構想では日本にはメリットが薄い。

……まあ、それでも防空防衛網に穴を開けたままにするよりかはよっぽどマシだとも言える。
日本政府が現実的な選択をすることを願っているが、F-35Aの件で随分と結論を先延ばしにした実績があるだけに、何ともね。



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コメント

  1. まあぼちぼちボーイングにも仕事を廻さないと戦闘機部門を維持出来なくなるかも知れませんからね。(笑)
    F15に関しては2030年代まで運用する事が決まっていた筈なのでどのみち近代化改修はせねばならない問題でした。
    米軍の改修プランを丸ごと施すのでは無くレーダーやセンサーの交換など部分的な改修であれば機体の重量増加を抑えて格闘性能を落とさずに済むのではないのでしょうか?
    まだプラン状況なのでこれからの交渉次第でしょう。

    返信削除
  2. あるけむ(R.K.M) @fwbc19652016年10月17日 3:53

    F-15Pre-MSIP機については、以下のいずれかではないかと考えます。
    ・近代化改修(エアフレームの検査・改修+電子機器更新のみで延命)
    ・F-15C/Dのモスポール機を短期導入(改修の上)
    ・F/A-18E/FまたはF-16系の短期導入
    記事の通り、F-35やF-3は間に合わない可能性が高いと思います。
    せめて、F-2を計画通りに生産していれば、まだマシだったのですが(F-2は生産機数を減らされた)

    返信削除
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    1. F2のラインを閉じてしまった件に関してはかなり批判が多いですね。
      この辺りは、石破氏が批判される流れなのですが、結果から言うとやはり失策だったのでしょうねぇ。3.11の震災の際にも製造ラインがあれば、と惜しまれましたし。何故生産数を減らしたのか、と。

      まあそれはさておき、F/A-18E/Fの導入はありだろうと思います。が、メンテナンスなどのことを考えるとF-16系の方が魅力的でしょうね。

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    2. あるけむ(R.K.M) @fwbc19652016年10月17日 10:50

      双発機にこだわる(または対艦攻撃力が必要)ならF/A-18E/Fで、こだわりなければF-16E/Fですかね...という感じだと思います。

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    3. F-2の事を考えるとF/A-18E/F辺りを導入したいと考えそうですよね-。

      ただ、F/A-18E/Fも設計が古いのでそれをどう評価するか?とか、色々難しい話はあるでしょう。
      「日本が魔改造」というフレーズは皆さんお好みですが、現実的に考えればそんな都合の良い話はそうそう出てきません。なので、長く使いたいという要望を考えると、少しでも新しい戦闘機を!って話になっちゃうんですよね。

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