2016年11月18日金曜日

外国人介護士の全面解禁は何をもたらすか

ああ、通っちゃったか。

外国人介護士を全面解禁=関連2法成立、実習も受け入れ

時事通信 11/18(金) 10:37配信
 外国人が介護福祉士として就労することを全面的に解禁するとともに、介護現場に外国人の技能実習生を受け入れることも可能にする関連2法が18日午前の参院本会議で、与党と民進党などの賛成多数で可決され、成立した。
これ、個人的には酷い法案だと思っているので、通ってしまったことに危惧を覚えている。



介護業界が人手不足なのは、ニュースでも騒がれている。
 1年以内に施行される。少子高齢化に伴う介護人材の不足を、外国人への門戸開放で補完するのが狙い。
しかし、だからといって外国人に門戸を開いたらその問題が解消されるのか?といったら、そんなことは無いのだ。

なぜ、人手不足なのに介護士の給料は上がらないのか

WOMAN 2016.11.14
介護職は人材難が叫ばれて久しいが、その理由の一つに、労働内容に給料が見合わないことが挙げられる。
厚生労働省は2015年度の介護職員の賃金調査結果を発表した。それによると、平均月給は28.7万円と前年度実績より1.3万円上がった。月1.2万円分の介護報酬の積み増しもあり、深刻な人手不足を受けて賃上げに迫られた施設が多かったという。それでも全産業の平均より低い。
これは産業構造に問題があるのだ。
それを意識してか、厚労省も介護職員の資格制度を見直すという。
現在、国家資格の「介護福祉士」や、初めて介護の仕事に就く人向けの「介護職員初任者研修」といった資格がある。見直しの方向は、専門性が高い順に「介護福祉士」「研修等を修了し一定の水準にある者」「基本的な知識・技能を有する者」と整理し、資質の向上に配慮しつつ、裾野を拡大する考えだ。
一つには、介護が「誰にでも出来る仕事」みたいな認識になっていることが問題だと思う。



国もそうした問題意識はあるようで、専門性をカテゴライズして賃金に差を付けようという試みもあるようなのだ。
しかし、そうしたことと外国人の介護士を増やす事はマッチしない。
介護業界は他職種に比べ賃金が低めであることなどから、若い世代の定着率が低い。そのため、高齢者や時間に余裕のある主婦が手軽に資格を取って介護の仕事に就きやすいようにして、人手不足を補う狙いがあるというが、それはかえって逆効果ではないか。ハードルを下げすぎると介護スタッフの平均賃金がむしろ引き下がるからだ。
専門職を増やす一方で、更に裾野を広げようという試みは分からなくは無いが、それの意味するところは、専門職はそれ程給料が上がらず、人材に乏しい。一方、裾野の方は更に薄給になって、これを補うために外国人を投入→価格破壊→更に人手が減る、という悪循環を生むリスクがある。

介護サービスというのが、利益を生みにくい構造であることは理解しているが、だからといって介護士が職業としてやっていけるような構造になっていないと、職業定着率は下がる一方だし、おかしな人間ばかりが増え、病んだ職場が増えるという悪循環に陥りかねない。
……というか、事実そういう部分は既にある。



そういう見当違いな方向に進んでいる法案だと思うのだが、更に酷いのがこれだ。
 一方、外国人が日本で働きながら技能を身に付ける外国人技能実習制度は従来、農業や製造業、建設業を対象としてきたが、今後は新たに介護分野も認める。
政治家はアホばっかか?

この外国人技能実習制度が、相当酷い実態になっているのを知っているのか知らないのか。

スーパー各社、外国人技能実習生受け入れ拡大 対象職種拡大で

2016/11/12 1:30
食品スーパーが日本で働きながら技能を学ぶ外国人技能実習生の受け入れを本格化させる。首都圏地盤のヤオコーは2018年度までに16年度比で約3倍の200人規模に増やす。北海道・東北に展開するアークスも現在の5倍となる100人規模とする。
数日前のニュースを見て唖然とした。

外国人技能実習の法律成立 人手不足の被災地で歓迎の声

11月18日 17時27分
外国人技能実習生の受け入れ期間を優良な企業に限って3年から5年に延長することなどを盛り込んだ法律が、18日の参議院本会議で可決・成立しました。
が、もっと酷いニュースが。
これは、冒頭のニュースの後半部分と重なる話でもあるのだが、どうして「技能実習生」に「人手不足解消」を願うのかと言う話。



NHKは平気な顔でこんな事を書いているが、バカも休み休み言え。
この会社ではハローワークなどに求人を出していますが、なかなか人が集まらず、今では実習生が従業員のおよそ3割を占めています。受け入れている実習生はほとんどが20代前半の若い女性たちで、かまぼこなどの製造や包装にあたっていますが、言葉の違いなどから作業を覚えるのにも時間がかかるため、会社では受け入れ期間の延長は実習生のさらなる技能の向上につながると考えています。
奴隷の労働期間を延ばしただけだよね?

そして、更にこの制度を悪用する外国人も。

消えた中国人 5年間で1万人超 昨年の失踪外国人が最多 治安に影響も

2016.10.31 07:00
 働きながら技術を学ぶ「技能実習制度」で来日した外国人の失踪が昨年5800人を超え、過去最多に上ったことが30日、法務省への取材で分かった。
んなの、消えるに決まっているだろう。



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失踪しているのは支那人が多い様だが、どうにも意図的にこの制度を利用した上で悪用するつもりらしい。
 法務省によると、昨年失踪した技能実習生は5803人で、これまで最も多かった一昨年の4847人を約千人上回った。失踪者数は23年に1534人だったが年々増加しており、5年間で4倍弱となった。
 昨年の失踪者を国別にみると、中国が3116人で最も多く、ベトナム(1705人)、ミャンマー(336人)と続いた。中国人実習生の失踪は26年には3065人で、2年連続で3千人を突破。23年から5年間の累計は1万580人となった。
外国人実習生達が薄給で色々な労働条件の厳しい場所で働かされている実態は、度々問題になっていた。



だが、外国人実習生達もバカでは無いので、より労働条件が良く、そして細かいことを言わない経営者の所に行きたがるに決まっている。
そして、お金が目的で日本に潜り込む制度として悪用している人も少なくないのだ。

この話は、アメリカのトランプ氏の発言ともリンクする話。
この記事でも言及しているが、アメリカは今、移民問題で大きな岐路に立っている。不法移民の労働力を糧に経済成長を続けているアメリカにとって、不法移民を追い返すということは非常に困難だ。
EUでも移民の受け入れを積極的にやっている背景には、労働環境の悪い職場に国民が行きたがらないので、移民を受け入れてバランスをとろうとしている。
だけど、それが治安の悪化に繋がり、労働賃金の不均衡に繋がり、そして移民が高齢化したときに問題となる社会保障制度の破綻に繋がり……。



日本の外国人技能実習制度は、まさに移民を受け入れているのに等しい。
「移民に反対し、労働力の確保に努める」などと自民党は意味不明な事を言っているが、そんなのは妄想だ。

今回の外国人介護福祉士の受け入れというのは、そうしたリスクの高い法案であると、僕はそう思っている。
何しろ、介護福祉業界の賃金体系、システムがそもそも維持不可能なくらい壊れているのである。それは「人手不足」が原因なのでは無い。「人手不足」は「結果」に過ぎないのだ。根本的な、システムの機能不全が人手不足を招き、離職率の高い職場としているのである。
そうした労働環境に外国人が定着するか?といえば、そんなことはちょっと考えれば誰にでも「無理」と分かる話。

ごまかしは止めようぜ。


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2 件のコメント :

  1. 山田の案山子2016年11月19日 12:11

    以下、介護福祉士制度の無い頃の出来事ですがそんな大昔の出来事ではありません。
    病院の4人部屋で、意識不明の30代青年の世話をする家政婦(日本人)が「こんなトコばっか勃てて・・・・」と手でペチン!、男は意識が無くなってもアソコは元気なままだけに何とも情け無い話で、身内の世話は他人に任すまい、他人に任せるときはそれなりの覚悟とカネの必要となり監視カメラなど何の役にも立たず、介護は「ロボット」に任せた方が安心と言えます。(実際居合わせ目撃した事実です。制度が変わっても人は変わりません)

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    1. なんともコメントしづらい話ですな。

      ただまあ、介護の業界が病んでいるのは事実でしょう。要求する側もされる側も、なかなか大変なようで。
      知り合いが業界で働いていますが、「人間相手だけど、相手が人間だと思うとやっていられない」などと真意の分かりにくい事を言っていました。敢えて意味を聞く程野暮にはなれませんでしたが、ある意味人間相手が一番恐ろしいですからね。

      老人同士、お互いがお互いを助けるようなグループホームの考え方は悪くないと思うのですが、色々と闇を抱えている部分もあるようで。
      どんなシステムでも何かしら欠陥はあるので、それを上手くフォローしながらやるより仕方が無いでしょう。

      ……ただ、介護の人手不足の様に構造的な欠陥が目立つところは、行政の介入をしてでも対策してやらないとマズいのだと思います。

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