2016年11月3日木曜日

韓国海軍のリンクスヘリコプター墜落の原因?

あ、うん、結果が出たんだね。

韓米合同演習中に墜落した対潜作戦ヘリコプター「リンクス」、その原因は?

2016年10月28日10時19分
  先月26日、韓米合同海上作戦に参加した海上作戦ヘリコプター「リンクス」の墜落原因は操縦士が一時的に空間感覚を失ったためだとチェ・テボク海軍広報課長が27日、明らかにした。韓米海軍は先月、北朝鮮の5回目の核実験に対する武力示威次元で、東海(トンへ、日本名・日本海)最北端の海域で合同演習を実施した。訓練中のヘリコプターによる墜落事故で操縦士のキム・ギョンミン少佐と副操縦士のパク・ユシン少佐、操作士(航空機関士に該当)のファン・ソンチョル上士(下士官の一種)が殉職した。
殉職された方々のご冥福をお祈りしたいと思う。



……が、この事故原因で納得はちょっと問題は無いかい?
  チェ課長は「事故当時、ヘリコプターは月の光がない無月光状態で夜間飛行を行っていた」とし「操縦士が一時的に空間正位喪失に陥り、最後まで機体を正常化しようと努力したもののそのまま墜落したものと判断される」と説明した。空間正位喪失は月や照明など外部の基準がなく、操縦士が瞬間的に機体姿勢や速度、進行方向、上昇・下降状態などを把握できない状況だ。
記事の中にある「空間正位喪失」とは、日本では「空間識失調」と呼ばれる現象のようだ。空間識失調による事故は珍しくないようで、日本の自衛隊でも過去にこうした事故によって機体を失っている。その為、F2戦闘機やユーロファイターには対策用のパニックボタンが用意されているようだ。
故に、パイロットが空間識失調に陥ることは珍しくはない。

が、この記事の説明はどうにも腑に落ちない。
  海軍によると、事故当日の午後8時57分、事故機は「神の盾」と呼ばれるイージス艦「西エ柳成龍」から離陸した。その後、400フィート(約122メートル)の高度で飛行し、30余秒後に1000フィート(約305メートル)まで上昇した。
説明では、(1)400フィートまで上昇(2)更に1000フィートまで急上昇と2段階で高度を変えている。

リンクスの上昇率は606m/minという性能が示されているので、30秒で180m上昇するのは性能的には余裕のある数字だといえる。ただ、飛び立ってから直ぐの状態で、燃料もかなり積んでいたと思われるので、目一杯急上昇したという風に理解したほうが良さそうだ。

よって、この急上昇は異常を判断しての行動だと、そのように分析されたようである。
これに関連し、事故調査にあたったソン・テックン海軍本部監察室長は「通常、ヘリコプターは離陸後400フィートで飛行する」とし「だが、(事故機の場合)高度が高くなる前に自動高度調節装置がオフになりヘリコプターが正常飛行をしているにもかかわらず高度が足りないと判断して上昇したものとみられる」と話した。
どうも、その際にトラブルがあったようだ。
また、ヘリコプターが急上昇するためにエンジン推進力を最大限で高め、その直後に右方向に数回回転するなかで位置送出装備がオフになった。リンクス上段に装着されている位置送出装備は機体がひっくり返ると自動で切れる。
フルスロットルで急上昇させたがために、機体が回転したらしいのだ。その結果、トランスポンダのような航空機の位置を特定する装置がオフになったと。



ところがその後の文脈がどうにも理解できないのだが、どうやらこの後にヘリコプター自体は急降下したようなのだ。
急降下の原因を、危機のトラブルなどが認められないために空間識失調によるものだという分析がなされているようなのだが、急上昇の原因がそもそも空間識失調で「高度が足りない」と判断したからだとすると、急降下の理由が急な操作による機体の回転、と理解しなければならない。
続いて「(空間正位喪失に陥ってから)30余秒後にヘリコプターが高度4フィート(約1.2メートル)まで下降したので急上昇を試みたもののそのまま墜落したとみられる」と説明した。
で、高度が落ちたから再び急上昇を試みたが、それは叶わなかったと。
このため、操縦士が空間正位喪失から正常を取り戻した後、低高度で飛行しているヘリコプターを発見して高度を急いで上げようと操縦桿を突然操作したため機体がひっくり返ったものと海軍はみている。
だとすると、この下りは意味が良くわからない。この記載ぶりだと、機体がひっくり返るのは2度めの急操作によるものだという話になってしまう。急降下の理由は一体何だったのだろう?



韓国海軍の上層部は、欠陥が発見されなかったことありきで、ストーリを作っている気がしてならない。
事故機が作戦場所でない地域で、異常な高度上昇と下降を行ったのは操縦士が空間感覚を失ったためで、事故直前に緊急遭難信号「メーデー」を叫んだ後にヘリコプターを急激に動かしたのは危険から脱するための行動だったということだ。そのほか電子装備や機体の欠陥は見つかっていないことが分かっている。
つまり、「離陸」→「400フィート到達」→「空間識失調に陥る」→「乱高下」→「空間識失調から回復」→「急上昇の為の操作で機体がひっくり返る」という流れを、「電子装備や期待の欠陥が見つからない」という調査結果から導き出したというわけだ。
 
しかし、空間識失調は、そもそも「平衡感覚を補正するための目標物が確認しにくい状況」が発生しており、そのおかげで「機体の状態を、パイロットが判断できなくなる」という順番で起こる。その結果、「操作ミスが発生する」というわけだ。
夜間で海上の飛行であった場合には、たしかに目標物が確認しにくい状況が生まれていたのだということは想定すべきだろう。
よって、400フィートに達した時点で、空間識失調を起こしたという過程までは良いのだが、その後の1000フィートに達し、そこから4フィートに落ちるまでの分析が片手落ちなので、原因究明というにはちょっと足りない。



それに原因の一端と思われる、老朽化や品質保証書の偽造発覚などの影響が無かったかの検証は行われていないように思える。
パイロットは「メーデー」を叫んでいる。だが、その理由を「低高度で飛行している事実」に求めるのは、些か性急な気がする。
老朽化や偽造部品の話は全く影響が無かったと??

なんとなく、死人に口なしで、パイロットのせいにした挙句、運用再開を急いだとしか思えないのだけれど、それは僕の心の目が曇っているからなのかもしれない。



これらの対策として、関連性が薄そうなこと列挙しているのも悲しくなる。
また、事故の再発を防ぐためにリンクスを艦艇に搭載する場合には安全規定を補完し、多数のヘリコプターが参加する作戦や訓練を実施する時には航空連絡将校を派遣することにした。また、艦艇には気象観測を精密に行う装備も搭載する予定だ。チェ課長は「北朝鮮の潜水艦は(悪天候など)探知が難しい状況で潜入してくる可能性が高いのでリンクスは高難度の作戦を行わざるをえない。最大限、安全対策を確保できるよう努力したい」と述べた。
気象観測を精密に行う装備の搭載って、それは空間識失調にあまり関係ない気がするんだが。確かに、濃霧が出ていたりすれば条件が悪くなるとは思うが、観測が出来たからと言って、事故が防げるとは……。だって、事故当時の気象による影響は分析結果としてだされていない。
そして、「航空連絡将校を派遣」というのも、イマイチ良くわからない対策だな。空間識失調対策に一体何の関係が……。

「事故は、パイロットのせいで、ヘリコプターには問題ない」で解決しちゃったってことだよね。

ま、まあ、韓国海軍の問題だから心配しても仕方がないし、事故原因であろう事柄のすべてがニュースになったと判断するのもおかしいかもしれない。
だけど、これで「OKでした、再開です」といって、国民が納得するのか??



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2 件のコメント :

  1. あるけむ(R.K.M) @fwbc19652016年11月3日 6:30

    まず、墜落原因のほうですが、こんな感じで自分は理解しました。

    離艦・400フィート上昇→自動高度調節装置がオフ(故障?)→機体急上昇→空間識失調に陥る→「メーデー」宣言→エンジン出力を絞る→機体降下・墜落

    空間識失調に陥ったので急上昇したのではなく、機体が操作と違う急上昇をしたため、状態が判らなくなった→空間識失調に陥ったのではないかと考えてます(因果関係が逆ではないかということです)。

    また、機器も色々怪しい感じです。
    「機体がひっくり返る」とは、機体の向いている方角が変わる意味に取りました。だとすると、それだけで「位置送出装備(トランスポンダ?)がオフ」は、機器に問題ありだと考えます。

    気象観測装備の装備・航空連絡将校の配置・安全規定の整備については、「他にも、こんな対策を実施します(だから、お金頂戴)」という意味にしか取れませんでした。
    IT業界にもいますね。顧客説明で直接関係ない施策で項目数を水増しする営業やSEが...

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    1. 色々意味が分かりませんでしたが、あるけむさんのご指摘の順であれば、確かに何というか理解できる気もします。

      「右方向に回転」と「ひっくり返った」と言葉をかえているので、違う状況だと理解すべきだと思います。しかし、急上昇しちゃったから出力絞ったら4フィートだったって、その状況そのものが理解しがたいというか。

      まあ、事実は小説よりも奇なりと申しますので、不可解な状況が起こったと理解しなければならないのかも知れません。

      整備費用の請求に関してはやはり今回の事故とはあまり関連性が薄い様に思えますね。

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