2016年11月16日水曜日

自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない

まあ、これは正論ではあるのだが、話が逆なんだよねー。

自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その4防御力編 後編

Japan In-depth 11/13(日) 23:00配信
陸上自衛隊は情報、火力、防御力すべての面でとても先進国の軍隊とはいえないお寒いレベルである。
率直に申し上げてトルコは勿論、中国以下である。このため駆けつけで激烈な戦闘を行った場合、他国の何倍も戦死者や四肢を失う隊員が発生するだろう。

記事を書いているのが清谷氏というところでお察し、といった感じではあるが。


そもそも自衛隊は、世界では軍隊として認識されているとはいえ、日本国内では自衛組織として設定されている部隊である。予算も「自衛」が前提なので、その様に予算配分されるし、「他国に攻め込む前提」での装備は無いことになっている。
それ故に、同じ理屈のロケットはあれだけ力を入れているのに、長距離ミサイルは配備の検討すらされない。おまけに核アレルギーと来ている。

大体、戦術からして「専守防衛」を掲げて日本国内に引きこもるのがお仕事である。故に陸上自衛隊の装備が最も疎かになる始末である。もともと航空自衛隊や海上自衛隊も装備は潤沢とまでは行かないが、陸上自衛隊ときたら……。
演習をそつなくこなすことや、災害救助こそが自衛隊の任務であり、自衛隊に実戦を想定した用意も訓練もしてこなかった。演習では敵弾は飛んでこないし、敵弾によって命や手足を失うことはない。このため自衛隊は営々と戦闘機や戦車など軍隊らしく見える「見栄えのいい道具」を買うことだけを目的とし、その運用や実戦での使用を考えてこなかった。率直に申し上げれば自衛隊は「軍隊のフリをしていれば良い組織」なのだ。
酷い言われようだが、事実を含んでいるのだから恐ろしい。



戦死者、戦傷者が出ることを全く想定していないので、ピカピカの戦闘機や戦車は過分に欲しがるが、兵站や基地の防御、戦傷治療、通信、情報といった「裏方」にはカネをケチってきてまともなシステムを構築してこなかった。そもそもそういうものが必要だという認識がない。
そもそも、外国で活動を前提にしておらず、戦死者や戦傷者を出したことがないことを「誇り」に思うような人種が跋扈する国である。自衛隊員がどれほど訓練しようと、「訓練だけで実戦経験の無い部隊」と言われるのは仕方がないだろう。

「平和主義」という言葉は美しいけれど、その裏を支える血みどろの戦いは、本来避けて通れないものである。
だが、現実はアメリカにそれを肩代わりさせた。
 フリン氏は会談で、日本の防衛費が国内総生産(GDP)の1%以下に抑えられていることを指摘し、「日本は『中国が脅威だ』とか『北朝鮮が脅威だ』とか言っているわりには20年間ほとんど防衛費が変わっていない。ちょっとおかしいのではないか」と述べたという。
http://www.sankei.com/politics/news/161114/plt1611140013-n1.html
アメリカ大統領選挙を制したトランプ氏の側近からこんなことを言われる始末である。



当然ながら、陸上自衛隊同士の連携も前近代的な装備しか備えていない。
現代戦ではネットワーク化が進み、無線通信は音声だけではなく、データや動画のやり取りも行われる。例えば敵の情報を動画や、デジタルマップ上の情報で、やり取りし、射撃の諸元などもデータでやり取りする。この分野では自衛隊は大きく遅れており、未だに音声通信と紙の地図を多用している。仮にNATO並の装備を導入しても無線が通じないなら無意味であり、カネの無駄だ。
防衛省のお偉いさんが扱き下ろされているが、「安全・安心」の上に胡座をかいた組織のトップに何かを分かれといっても無理があるだろう。

電波に関して言えば、電波利権をテレビ局が牛耳っていて、総務省もマスコミにべったりなので改革しようとしていない。明らかにテレビ用に用意された空白地帯がたくさん有るのだが、タダ同然でテレビ局に専有させている。

軍事面で優遇するくらいのことをやっても罰は当たらないのだが、そんなことを許すメディアでは無いだろう。それが正義だと言わんばかりに猛反発することは目に見えている。



火器類も色々と問題がある。

自衛隊では5.56mmNATO弾を採用しているが、世界の標準は7.62mmである。
日本人の体格に合わせた、などという尤もらしい説明が為されるが、ストッピングパワーは桁違いであり、対外戦を想定していない兵器と言わざるを得ない。無論、取り回しの良い89式が悪いというわけでは無いが、7.62mmを持った敵が攻めてくるのに、5.56mmで対向というのはわざわざハンデを背負って戦うようなモノで。これを海外に行く部隊にも持たせるのだから泣けてくる。

加えて、グレネードランチャーの類も圧倒的に不足していると言われている。
更に、MINIMIなど軽機関銃もお粗末な装備しか持っていないことが指摘されているが、そのMINIMIすら携行できないのが日本のPKO派遣部隊なのだから、不遇と言わざるをえない。

日本のMINIMIは住友重機械工業がライセンス生産しているようだが、2013年に過去数十年に渡って検査データを改ざんしていたと発表され、指名停止処分となった。その後も住友重機械工業から調達しているのだから世話はない。
国内でライセンス生産すること自体は必要だと思うが、ライセンス生産しても本来の性能が出ないならば、本家から輸入すべきだろう。そのほうが安価に確実なものが手に入るのだから。



防弾チョッキやヘルメット、果てはライフルジャケットなど、個人の命を守ることを前提とした装備においても、陸上自衛隊はかなり乏しい。
一番情けないのはファーストエイドキットだろう。

[清谷信一]【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 1】

投稿日:2015/4/3
陸自の「個人衛生携行品」は米軍他、他国のそれと較べて極めて貧弱である。「個人衛生携行品」には実はPKOなどを想定した国外用と、国内用があるが、国内用は止血帯、包帯が各1個(ポーチが付属)であり、第二次大戦レベルと大差無いシロモノだ。これでは銃創や火傷にも対処ができない。このような装備では、戦争はありえないと高をくくっている、あるいは隊員の命は使い捨て、と考えているとしか思えない。
ああ、またキヨタニか、とお嘆きの方もいると思うが、しかし、自衛隊の広報室はこの件で取材を拒否したようだ。つまり、お粗末なままなのである。


輸送車両関連に関してもかなりお粗末である。

走破性に関しても問題があるが、対地雷性がスポイルされているのである。そりゃそうだろう。日本国内で地雷が埋まっていることを想定する場所は今のところ存在しない。それ故に、衝撃を緩和する設備すら備えていない。
前提として、日本は専守防衛を基本としているので、地雷は仕掛ける側である。つまり、自分で仕掛けた地雷原に車両で突入することは想定しておらず、寧ろ野戦において車両高が低い事の方がメリットだと考えられているのだ。

だが、それはそれで仕方が無いとして、海外では地雷やIEDなどによってアメリカ軍ですら多大な被害を出しているというのに、明らかに対策が皆無の陸上自衛隊の装備で海外に出ようというのは、正気の沙汰とは思えない。

ブッシュマスターを購入したというニュースもあったが、ブッシュマスターだけ買ったところで余り意味は無い。随伴車両が必要なのである。

近代化した10式戦車を導入して喜んでいるが、一つの兵器だけ高性能でも軍隊としての意味は殆ど無いのである。



キヨタニ氏のレポートがあてにならないというか、「アレもこれも」という話に走り過ぎるのは事実ではあるが、最低限の部分を抑えてすらいないのが日本の陸上自衛隊の現状でもある。

それは武器弾薬のストックであったり、隊員の装備の近代化であったり、シャツやパンツに至るまで戦闘を想定すれば、それなりのモノを用意する必要がある。毛布や防寒具なども支給レベルは極めて低いらしい。

まあ、正直、「お笑い韓国軍」を笑えないようなサムイ現実がそこにあるのだが、それに議員となっている佐藤正久氏や宇都隆史氏が知らぬはずもない。いやいや、防衛大臣にまで上り詰めた元自衛官中谷元氏だって知っていたはずである。

防衛費が潤沢ではないことは知っているが、それ以上に国防費を喰い物にしている人間がいるのも事実なのだろう。その点は十分に監視できる体制を構築する必要があろう。




一方で、PKOで駆けつけ警護が可能であるという法的前提がなければ、それを前提とした装備を検討し、実際に配備することが不可能な構造となっているのも事実である。
冒頭に書いた「話が逆」というのはそういう意味なのだ。

だって、考えてみて欲しい。サッカーをする目的手作ったチームで野球をするバカがどこにいる?そりゃ、一流の運動神経を持った選手は集まるかも知れないが、野球に関してはルールからしてシロウトである。

国防オンリーが前提だった自衛隊に、海外派兵を行わせる。それ事態も無謀ではあるが、「戦闘地域を除外」という奇妙なロジックで何とか実現してきた。しかし、現実を考えれば駆けつけ警護、邦人輸送など、やらねばならないことは山盛りだ。
その為の一歩を踏み出したばかりだというのに、装備は十分です!という方がおかしい。それで無くても自衛隊はルールに書いてあることしか出来ないと定義されている。今までは海外での軍事活動はルール外だったのだがら、適切な装備がある方がおかしいのだ。




とはいえ、その分を割り引いても陸上自衛隊の装備は貧弱である。それなのに、海外で軍事行動を伴う活動が可能な法制に変えてしまったのだから、それ前提に装備を調える必要はある。それも直ぐにだ。情けないがそれが現実でもある。

が、しかし、それを知らない政治家が「じゃあ、駆け付け警護任せた」などと言い出すリスクは当然存在する。



「備えなければ嬉しいな」などと馬鹿なサヨクがほざいているが、その結果、自衛隊員が死ぬのを喜ぶのがサヨクの本性である。

備えなければ自衛隊員が真っ先に、そしてその後で民間人が犠牲になるのである。海外に出る以前のレベルの装備も存在する現実と、今一度向き合わねばならない。
追記
面白いペーパーが出ていたので紹介しておこう。
平成28年11月1日大臣会見概要
こちらだ。
質疑応答
Q:共同通信の先週末の世論調査で、南スーダンの自衛隊の「駆け付け警護」の任務を付与することについて、57.4パーセントが「反対」、30.6パーセントが「賛成」との結果がでました。これについて、大臣の受け止めをお願いいたします。
A:一般的に世論調査の一つ一つの結果について、逐一、お話をすることは差し控えたいと思います。その上で、「駆け付け警護」に関して、しっかりと国民の皆さん方に説明していかなければいけないというふうに思います。
まず、南スーダンに行っております部隊は施設部隊であって、道路や施設の整備のために行っております。そして、今回「駆け付け警護」が平和安全法制の中で認められたわけでありますけれども、それは、あくまでも、活動関係者等から要請を受けて緊急的に、また、人道的な観点から自衛隊員が自らの安全を確保しつつ、そして、対応できる範囲において保護していくということであります。今までもPKO派遣等の中で要請があっても、なかなかダイレクトに適用される規定がなくて、様々な規定を適用して、邦人の保護等に当たっていたわけでありますが、今回「駆け付け警護」は、できうる範囲において、救える人を見殺しにしないということであります ので、そういったことなど、しっかりと説明していくことは重要だというふうに思っております。
これまでは、海外派遣される中で、自衛隊は「見捨てる側」の存在だった。
特に、その能力があり装備のある状況で友軍を「見捨てる」、或いは民間人を「見捨てる」というのは、隊員の精神を非常に蝕むものだと言われている。
11月1日時点では、防衛大臣は「未だ訓練中だから、準備が整ったら任務はありうる」としか答えていない。
また、「他の軍隊の要請」に応えての「駆けつけ警護」は基本的にないと答えている。
色々と突っ込みどころはありそうだが、取り敢えず、「今日明日にでも任務が発生」と言うことは無さそうだな。
追記2

任務付与が決定すれば、色々やりやすくなる模様。

駆け付け警護 防衛相「携行救急品を米軍同様に」

11月15日 20時51分
「駆け付け警護」などの任務が新たに付与される自衛隊の部隊の装備について、稲田防衛大臣は、「全隊員が装備する個人携行救急品をアメリカ陸軍の救急品と同様の機能を保持するよう品目の追加を行う」という考えを示しました。

これは、良いことである。

更に言えば、ファーストエイドきっとだけで無くて、火器の方も充実させてあげて!



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5 件のコメント :

  1. 御指摘ごもっともです。しかし、“国防オンリー”で考えてきた政府ひいては国民にも責任が有ると思います。現場(特に陸上自衛隊員)からも意見具申はされてきました。しかし、“必要ない・時期尚早”として揉み消しをくらい果ては黙殺されましたから。(-_-;)
    軍事組織は融通がきかない。

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  2. いずも型護衛艦では機動力に欠けますから、とっとと改造でもして本格的な空母を作って欲しいですね。リニア作れる日本なら電磁カタパルトの開発は出来るかもしれません。あとはその費用ですが、、、空母持つとなると1兆円はかかりますからね

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    1. そう言った兵器の配備も色々進めていかなければなりませんし、老朽艦の対応についても色々と対策が必要なのは事実です。

      ただ、キヨタニ氏が突っ込んでいるのは、寧ろ陸上自衛隊の歩兵関連の装備に関する部分で、その辺りが貧弱なので駆けつけ警護なんて無理なんじゃね?と、結論づけているワケですな。
      日本の自衛隊は、そういう面でも随分整備が進んでいないのは事実なので、その点は受け止めるべきかと。

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  3. これらの事案に対処するため現場(陸上自衛隊員)からも意見具申されてきました。しかし“時期尚早・必要ない”と黙殺されました。今更ながら、真面目に考えなかった政府ひいては国民にも責任が有ると思います。

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    1. 現場からの声を黙殺するのは、典型的なダメ上司なんですよね。
      「時期尚早」っていつなら良いんだってな話でして。

      犠牲者が出てからじゃ無いと分からない、というのは辛い現実なのでしょう。

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