2016年11月15日火曜日

アメリカ大統領になったトランプ氏は何を変えるのか?

なかなか興味深い展開になっている。

米大都市、不法移民保護を次々宣言 トランプ氏の方針に反発

2016年11月15日 08:22 発信地:シカゴ/米国
【11月15日 AFP】米国で、不法移民の強制送還を公約に掲げて次期大統領に選出された共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏に反発し、今後も移民らを保護する「聖域都市」であり続けると宣言する大都市が相次いでいる。
読んでも意味不明なこの記事、でもだからこそアメリカの病理がそこにあると言うワケだ。



トランプ氏を支持するつもりは毛頭無いし、彼の政策が実施されると日本も色々と困った事にはなる。

だが、それはそれとして、実業家でそれなりの手腕の期待できる人物であることも、何となく分かってきた。

そもそも、様々な問題を抱えているアメリカ自身はどうしたいのか?というのがなかなか見えてこない。トランプ氏が出したのはその答えの一つであるハズなのだ。

「不法移民300万人送還」=まず犯罪者、フェンスも利用-トランプ氏

2016年11月14日 12時26分
 【ワシントン時事】米国のトランプ次期大統領は13日放送のCBSテレビのインタビューで、1100万人超といわれる不法移民について、犯罪歴のある200万~300万人をまず強制送還する考えを明らかにした。残りの人々の扱いは国境警備を強化した後に判断すると説明した。
移民問題は世界各地で色々な問題を巻き起こしている。

ドイツもかなり悲惨な事になっているようだが、メルケル氏は見て見ぬ振りのようだ。イギリスは完全に門戸を閉ざす彼の如く、EUを離脱宣言までしたにもかかわらず、移民を完全にシャットアウトできていない。フランスは今やテロリスクを抱えて危険国家になってしまっている。

そういう意味でも、このトランプ氏の発想はそれ程突飛な考えとは思えない。

先ずは、犯罪者や犯罪歴のある不法移民を追放すると。
 トランプ氏はインタビューで「数百万人を強制送還する公約は実行するのか」と問われ、「犯罪者、犯罪歴のある人々、ギャングのメンバー、麻薬密売人は国から追放する」と表明。ただ、「素晴らしい人々の扱いは国境を万全にしてから決定する。彼らはすごくいい人々だ」と語った。
流石に、犯罪歴の無い不法移民まで手を付けるというのはなかなか困難らしい。もちろん、犯罪歴があろうが無かろうが不法であれば送り返すべきなのだが、アメリカの多くの企業は不法移民を雇用して商売をしている現実を考えると、話は簡単では無いのだろうね。

一方で、不法移民の集落が犯罪の温床になっているのは事実で、スラム化した地域で多くの犯罪を引き起こした人間まで、罪の無い国民の税金を使って保護しようというのは、どう考えてもおかしい。

そしてFBIを始めとする警察組織はその現状に何年も前から苦慮しているのが現実である。ロボコップ(1987年)の世界観はSF的なモノではあるが、警察組織の内部の問題は架空の話ばかりではない。銃社会アメリカがいつまでも脱却できない一因が、そこにもあるのだ。

アメリカでは、随分と前から市民を守るという定義がおかしくなってきているのである。

……おかしいのだが、しかし、アメリカの各都市はそうした数々の問題に目を閉じ、トランプ氏の主張に同調していないようである。

ロサンゼルス、ニューヨーク、シアトル、サンフランシスコ、シカゴと、名だたる大都市が何れも不法滞在OKという方針だ。
 いずれの都市も、強制送還を前提とした不法移民の勾留を断固拒否し、正規の滞在許可の有無にかかわらず公共サービスの提供を継続すると約束している。
意味がよく分からないが、何故こんな事になっているのだろうか。

そもそも、不法移民達はアメリカに留まるための正式な書類を保持していない。当然ながら個人証明証も社会保険証も無い。これの意味するところは、真っ当な仕事には就けず、学校にも行けないという事になる。無論、医者にかかるにも大変なことになる。

となると、これら大都市の方針とは余りにかけ離れすぎている実態がある。だって、「公共サービスの提供」の前提となる個人証明証も社会保険証が存在しないのだから。



つまり不法移民達にとって、アメリカに不法に滞在することは、文字通り命がけになる可能性が高い。寧ろ強制送還された方がマシな事態も当然想定されうるのだ。だが、それにもかかわらず不法移民が増える原因は、アメリカ自身にあると言って良い。

不法移民達が多く存在するのは、カリフォルニア、テキサス、フロリダ、ニューヨーク、イリノイであり、これらに3/4が居ると言われている。
カリフォルニア、テキサス、フロリダはメキシコと接しており、不法移民の59%がメキシコから、ということもこれらの地域に不法移民が多い事と密接な関係がある。ニューヨークとイリノイ州に移民が集中しているのは、大都市ニューヨークとシカゴをそれぞれ擁しているからだろう。

不法移民の多くがメキシコ人出あることを考えれば、トランプ氏が「アメリカとメキシコとの間に巨大な壁を作る」と主張したことは強ち間違いでは無いのである。

トランプ次期大統領 「メキシコとの国境に壁築く」

11月14日 5時41分
アメリカのトランプ次期大統領は、テレビ局のインタビューで、選挙戦で訴えたとおり、メキシコとの国境に壁を築くとともに、犯罪歴がある不法移民を速やかに強制送還する考えを強調しました。
尤も、この問題はメキシコが裕福になり、アメリカとメキシコとの格差が縮まらない限りは解決しない問題だ。メキシコは地理的にまともに穀類が育たない国土が広がっており、地下資源によって国の経済は支えられている。故に、一部の層に富が集中しやすい構造となっている。メキシコの経済構造が改善されない限りは、アメリカはいつまでもこの問題に悩まされるだろう。

そして、メキシコが極めてアメリカに対する経済依存度が強い現状も問題となっている。アメリカ側もアメリカの農業人口の45%がメキシコからの不法移民であるという現実を考えると、簡単に切り捨てられる話でも無いのだ。



つまり、壁を作ったところで不法移民の問題が解決するわけでは無いのだが……、少なからず象徴的な存在にはなるだろう。「アメリカは移民を歓迎しない」という意思表示にはなる。

そもそもアメリカとメキシコの間に壁を作ろうと言いだしたのは、トランプ氏が初めてと言うわけでも無い。

以前からフェンス建設案は提案されており、2006年には安全フェンス法なる法律が作られてフェンスが建設されている。

トランプ氏の言う壁は、フェンスも含むと言うことらしいが、つまり既にあるモノの機能を強化しようという意味合いだと思われる。


しかし、「象徴」としての壁の建造の意義はともかくとして、現実的に不法移民を減らすのは難しい。それは、アメリカとメキシコの経済格差の問題もあるし、アメリカの大都市が「不法移民も歓迎する」とまで言い放つ理由となっている、アメリカ経済の土台を支えるのが不法移民であると言う現実こそ問題となるだろう。

今や、日本でもお馴染みになりつつあるが、サービス業でも公共事業の現場でも外国人の姿ばかり。アメリカでも賃金が安くて過酷な環境での仕事は敬遠される傾向にあり、そうした分野では外国人労働者ばかりとなっている。
つまり、アメリカの大都市が現状のサービス維持には、不法移民の存在が欠かせないのである。


故にアメリカは何年も何十年もこの問題を放置し続けた。

それでもアメリカ経済が回っているウチは、問題無いと思われて放置され続けていたのである。が、アメリカが白人社会である前提を覆すような人口比率になってきて、そろそろこれを問題視する勢力も増え始めた。

そもそも、不法移民の存在を前提とした経済構造そのものが、弱者から利益を貪るという構造を許容しており、それこそ人種差別そのものなのである。安くて質の良い労働力と言えば聞こえは良いが、その実、奴隷を歓迎しているに過ぎないのだ。

しかし、白人がピラミッドの頂点に立っていられるウチは、それを許容していられた。が、今やアメリカの白人は他の先進国の例に漏れず高齢化の一途を辿っている。アメリカがアメリカでいられなくなりつつあるのだ。

ビジネスマンとしてのトランプ氏が、まさか「安くて質の良い労働力」を否定するハズは無いという考え方は分かる。事実、「全ての不法移民を追い返そう!」から「犯罪者だけ追い返そう」に変化している。

だが、それは容易なことでは無いのも事実。アメリカを変えずして、実現する話でも無い。壁を作ってハイ終わり、と言うわけにも行かないだろう。

アメリカの大都市が軒並み「不法移民すら歓迎」という態度を採っているのは、単純にその存在に経済を支えられているからだろう。

先ずはそこを変えない限り、トランプ氏の発言は実現不可能なのだが……、どこから変えるのか。興味深い話である。



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