2016年11月25日金曜日

TPPを巡る各国の思惑

なかなか複雑な様相を呈してきたが、TPP交渉は暗礁に乗り上げていて、コレをどのように回避するのかは、安倍氏の手腕にかかっていると言って良い。

首相 TPPさらに厳しい状況も トランプ氏に翻意促す

11月24日 19時08分
安倍総理大臣は、参議院の特別委員会で、アメリカのトランプ次期大統領が就任初日に、TPP協定からの離脱を表明する考えを示したことで、協定の発効は、さらに厳しい状況になったとしながらも、トランプ氏に翻意を促すためにも日本が、国内手続きを進めることが欠かせないという認識を示しました。
日本側がアメリカ側にTPPへの参加を求めるという構図がなかなか不思議ではあるが、興味深くもある。
TPPのメリットとデメリット
さて、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP:Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)は、日本とアメリカを中心とした経済連携協定である。
メリット
メリットは協定を結ぶ国家間での貿易が活発になることと、関税を廃止するという観点から見て、輸出する側が輸入する国に安く商品を提供できるようになること。更には、協定に加入しない国々に対しては障壁となる為に取引しにくくなるので、競争力という意味において、有利に働くという側面がある。
更には、知的財産の分野や保険や医療と言った分与での非関税障壁も取り除こうという方針になっているので、他国に優れた制度を導入出来るというメリットがある。
デメリット
一方で、デメリットも多い。TPPは自由貿易を謳っているものの、枠無いに入らない国々にとっては寧ろ保護貿易的側面が強く働くので、TPPに参加しない国々からの商品は相対的に高くなってしまうことと、TPPの圏内で取引をするにあたって、参加酷は多くの規制を撤廃することを迫られる事になる。これが、その国独自の文化に基づく制度を破壊する懸念がある。また、商品の検査など、足並みを揃えなければならないという理由で、輸出業者の負担になる部分も大きい。加えて言えば、安い外国製品が入っていくると言うことは、即ち商品を安く提供できる大企業の方が有利になると言う事になる。この結果、競争力の無い所は淘汰されるリスクが高くなる。

まあ、こんな感じのメリットもデメリットも併せ持つ政策なのではあるが……、話はそれだけでは整理できない。
TPPとそれを取り巻く環境
実のところ、こうした協定の締結を画策しているのはTPP加盟国だけでは無い。日本は多国間交渉も行っているが、二国間協定によるFTA等の締結も目指している。
経済連携を図る上では、そうした努力は不可欠であるし、「交渉している」という事実も又重要である。
東アジア地域包括経済連携(RCEP)
更に、日本はTPPとは別にアメリカ抜きで東アジア地域包括経済連携という条約を話し合っていて、これは支那が中心となる連携になる。
RCEPもTPPと似たような構想ではあるが、そもそも東アジア地域には東南アジア諸国連合(ASEAN)という組織がある。これも経済連携的側面があると言われているが、RCEPは支那がそこに食い込んで、商売を広げようという思惑で動いている。
環大西洋貿易投資協定(TTIP)
また、こんなニュースがあった。

ドイツのメルケル首相、米のTPP離脱に不満表明「正直、喜べない」

2016.11.23 20:50
 【ベルリン=宮下日出男】ドイツのメルケル首相は23日、トランプ次期米大統領が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から離脱すると表明したことについて、「TPPがおそらく実現できなくなったというのは、正直、喜べない」と述べ、不満を表明した。独連邦議会での演説で語り、DPA通信などが伝えた。
何故かTPPに直接関係の無いドイツまで不満を表明しているのである。この理由は、環大西洋貿易投資協定(TTIP)の交渉に大きな影響が出ると予想されるからである。
欧州組の一因であるドイツは、EU(欧州連合)という組織において、経済連携を図っている。
複数の経済連携の動きと日本の動向
と言うわけで、大きく分けてもTPPとTTIPといった大規模な経済連携を図る動きが強まっているのが世界の動向であり、こうした連携に取り残されることは、貿易を行う上では不利になることは避けられない。
もちろん、経済連携による不利益も発生するので、何が何でも何処かに所属すべきだとは言わないが、協定の主導権を握って、自国に有利な協定を結んで貿易を促進できればそれに越した事は無い。

関税及び貿易に関する一般協定(GATT)や、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(WTO)などの協定は、多国間での貿易自由化などを図る仕組みは色々あるのだが、この手の規則は改正に時間がかかる上、知財分野やサービスに関する規定が無いなど、時代に合わない不備もそれなりにある。特に非関税障壁と言われるローカルルールに関しては貿易の妨げとなるが、WTO辺りにはその辺りにも言及がない。
よって、この辺りを経済圏を構築してフォローしましょうという動きが活発なのだ。
当然ながら、日本もアジア地域を中心に経済連携を模索するわけだが、今のところはTPPの他にRCEPやASEANとの連携を模索している。
安倍氏は、トランプ氏を説得してでもTPPを推進するつもりのようだな。

アメリカ抜きのTPPはアリ?
この話は偶に出るが、個人的にはアリだと思う。ただ、日本としてはTPP締結に労力を割いた割にはリターンが少ないという結果になりかねず、アメリカが参加していることが望ましい点は変わりない。

アメリカ以外の国々も、推進への期待は高いようだ。
 安倍首相は19日(日本時間20日)、ペルーの首都リマで開かれたTPP参加国の首脳会議でこう訴えた。各国首脳からは、安倍首相に同調する発言が相次いだという。
http://www.zakzak.co.jp/smp/society/politics/news/20161122/plt1611221130001-s1.htm
ただ、状況が厳しいのは事実だろう。
実質上、トランプ氏の支持者は保護貿易を推進刷る立場の人間が多い。特にアメリカの中間層以下の労働者はTPPへの参加を危惧しており、TPP批准に漕ぎ着けるのは容易ではない。

だとすれば、多少意義は減ってしまうがアメリカ抜きでの提携というのは、あり得る。ただ、TPPの市場を確保する意味ではアメリカの存在は欠かせないだけに、アメリカが抜ければ実質は瓦解へ向かうと思われる。

民進党はとにかく反対
いずれにせよ、日本はTPP推進を前提で、色々な制度を整えていく時期に入っているのだが、野党は反対一色である。
特に民進党は酷い。

蓮舫氏「トランプ氏信頼できるとなぜ確信?」 首相追及

TBS系(JNN) 11/24(木) 19:10配信
 トランプ次期大統領のもとに真っ先に駆けつけ、「信頼できる指導者だと確信した」と言い切った安倍総理。しかし、トランプ氏は、その直後に安倍政権が重視するTPPからの離脱を改めて表明しました。安倍総理は、なぜ、トランプ氏を信頼できると確信したのか、TPPについてきちんと話し合ったのか、民進党の蓮舫代表が追及しました。
全く話し合う積もりは無い上に、レッテル貼りで忙しい。

正直、ASEANの方は関係を改善して行く意味はあるが、RCEPの方はかなりヤバイ。支那の経済が崩壊寸前というか、殆どあてにならない状況、或いは距離を置くべき状況になっているだけに、こちらの枠組みを急いでも良い事はない。

次善の策を練る必要はあるが、「時間を置いて」というのは悪手でしかない。アメリカはTPPからの脱退を狙っているのだとすれば、日本が消極的になればコレに乗じる可能性は高いのだ。
どうせ消滅する可能性が高いのであれば、前のめりで行くべきだろう。



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6 件のコメント :

  1. 山田の案山子2016年11月25日 14:37

    分断工作でしょうか? 初めから言っていて何故この時期に言う必要があるのか? 

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    1. 何故この時期なんでしょうねぇ。
      蓮舫氏の場合は何も考えていないと思いますが。

      削除
  2. あるけむ(R.K.M) @fwbc19652016年11月25日 15:37

    民進党&マスコミの何らかの工作(分断工作?シナへの取り込み?)だと思います。

    今日(11/25)の国会で、蓮舫が「TPPではなくAIIBへの加入を検討すべきでは」という質問をしたそうです(Twitterで流れた情報による。デマであるとのつぶやきもあり)。
    瞬時に思ったのは「なぜRCEPではなくAIIB?」です。事実確認が必要ですが、何か裏がありそうです。

    トランプ次期大統領が、TPP協定からの離脱を表明する考えを示すのは、以下の理由で当たり前だと思います。
    ・まだトランプ氏には決定権がない(レイムダックとは言え、大統領はオバマ)
    ・安倍総理と(首脳会談ではない)会談をしただけでは、公約は変えられない
    TPPに関しては、当面、日本は粛々と手続きを進めつつ、様子見でしょう。(米国抜きにしても、条約締結・批准は必要)

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    1. AIIBへの参加ですか……。トランプ氏の側近が言ったとか言わなかったとか。
      しかし、それこそトランプ氏はまだ大統領じゃ無い訳で、それを鵜呑みにする必要も無いのですね。

      ただ、本当に蓮舫氏がAIIBについて口出ししたとすると、相当根深いところで支那の影響が……。
      いま、支那としてはRCEPなんかよりもAIIB、つまり外貨が欲しい状況ですからね。

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  3. 今回トランプは安倍首相と会談しましたが、TPP離脱してAIIBに加盟することは十分考えられます。
    経済と安全保障を切り離して考えるタイプならばそうしてもおかしくはない。
    逆に中国に対しては最初突き放しておいて後で歩み寄ることは十分に考えられます。そっちの方が後々の印象は良いですからね。
    安倍首相と真っ先に会談したのは、後々日本に厳しい政策を取る予定があるから批判を避けるために日本を懐柔しておきたいからなのか、それとも本当に今後日本と仲良くして両国揃って対中包囲網を作るつもりなのか、真意は図りかねます。大部分の日本メディアは後者の視点でおおむね好意的に報道しておりますが、TPP離脱を表明したあたりから考えると経済面では中国に傾きそうですね。安全保障面も中国は巨大市場を人質にアメリカに譲歩を迫るでしょう。その時にトランプはどちらをとるのか、これから注目です。

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    1. この話は本当にどう転ぶかわからないところ。
      トランプ氏が一体どう考えているのか、各国首脳が戦々恐々としていますね。

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