2016年12月2日金曜日

防衛費が過去最大?いや、少なすぎるでしょう

平成29年度の予算案が決まったらしい。

防衛費、過去最大の5.1兆円へ 29年度予算案、中国・北朝鮮対応

2016.12.1 21:29
 政府が平成29年度予算案で、防衛費を過去最大の5兆1千億円程度とする方向で調整していることが1日、分かった。
しかし、周辺諸国の脅威の増大を考えると、どうにもこれが釣り合わない様に思える。



来年度予算案の中で防衛費が「過去最大」と大騒ぎしているのだが、そんなんだからトランプ氏の側近に呆れられるのだ。
防衛費を当初予算ベースで増額するのは、第2次安倍晋三政権の25年度以降、5年連続。
5年連続で増えているかのような印象ではあるが……、実のところそうでも無い。

防衛費
これは2014年度までの推移なのだが、グラフにしてみると実に微々たるものである。
防衛費2
2001年からのグラフがこちら。

ドルベースで考えると寧ろ目減りしている。米国産の兵器を数多く使う自衛隊にとっては、寧ろ防衛費は減っていると考えても良いだろう。まあ、防衛費の大半は人件費なので、ドルベースで減ったからと言って問題になるのは兵器を購入するケースに限られはするが。


でも、増えとるやないか!と言われる方にはこちらも。
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これは日本の名目GDPの推移であり、実に残念ながらほぼ横ばいだが微増している状況。
GDP比
なんとまあ律儀なことだが……、GDP1%枠の枷は未だに健在なのである。

何のことは無い、GDPの伸びにあわせて1%に収めるように防衛費を決定しているのである。やる気があるのかっ!



その点については、この記事にも言及されている。
 国内総生産(GDP)に対して1%を上回らない状態は維持される見通し。防衛省は概算要求で5兆1685億円を要求していた。政府は月内に編成する28年度第3次補正予算案でも防衛費を積み増す方針だ。
そりゃ、トランプ氏の側近に嫌味を言われるわけである。

トランプ氏側近「日本の防衛費は20年変わっていない」 民進・長島昭久氏との会談で

2016.11.14 16:00
 フリン氏は会談で、日本の防衛費が国内総生産(GDP)の1%以下に抑えられていることを指摘し、「日本は『中国が脅威だ』とか『北朝鮮が脅威だ』とか言っているわりには20年間ほとんど防衛費が変わっていない。ちょっとおかしいのではないか」と述べたという。
ハッキリ言うが、おかしいのはちょっとどころでは無い。

大体、「過去最大」といったところで、どこかの国のように防衛費が公式に認めている分だけで10%以上の伸びを示しているなんてことはないのだ。0.8%程度の伸びにすぎない。



現状で日本が対処しなければならない脅威は多数あるが、その質も年々変わってきている。
特に、サイバー攻撃に関する防衛は手薄というか、無いに等しい。
 海洋進出が激しい中国を念頭に、沖縄周辺などの離島防衛を強化する。北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返しており、ミサイル防衛(MD)など装備調達を進める。サイバー攻撃などへの対応も進める。
こんな事を書いているが……。

陸自システムに侵入、情報流出か サイバー攻撃、高度な手法

防衛省と自衛隊の情報基盤で、駐屯地や基地を相互に結ぶ高速・大容量の通信ネットワークがサイバー攻撃を受け、陸上自衛隊のシステムに侵入されていたことが27日、複数の同省関係者の話で分かった。防衛省が構築した堅固なシステムの不備を突く高度な手法と確認された。詳細な記録が残されておらず、被害の全容は判明していないが、陸自の内部情報が流出した可能性が高い。
先日は陸上自衛隊のシステムにサイバー攻撃されて、見事に情報が流出している。



こうした機密情報に対する防御が極めて脆弱である点は誰もが認めるのだろうに、未だにGDP1%枠に拘っているとか、アホとしか言いようが無い。

 30年度までの5年間の中期防衛力整備計画(中期防)では、対象経費について年平均0.8%増を見込む。政府は29年度も0.8%程度の伸びを維持する考えだ。トランプ次期米大統領が同盟国の負担増を求めており、米国からの防衛費増額の圧力も背景にあるとみられる。
こんな眠たいことを言っているが、実のところGDPに比べて防衛費が各段に少ないのは日本くらいである。
gn-20160426-04
贅沢は言わないが、せめてサウジアラビアくらいは用意しろと言いたい。gn-20160426-06
GDP比にして2%とするだけで、概ねそれは達成できて、世界中を見渡してもドイツが1.2%、イタリアが1.3%と、第二次世界大戦の影響が色濃く残っている。
それ以外は概ね2%超えである。ああ、支那の場合はこれ、GDPもあてにならなければ防衛費の額もあてにならないので、気にしなくてイイ。



いや、何も「額でどうの」という事が言いたいのでは無く、日本が必要とする装備が今や老朽化して更新待ったなし!という状況であり、自衛隊員に配られる備品が余りに粗末な状況を考えると、どうしたって「疎かにしていい部分では無いだろう」というところを切り詰めているようにしか感じられない。

世界的に見て自衛隊員の訓練の練度は高いと言われているが、それは士気で補う部分が多い様で。
例えば足りていない射撃訓練などをもっと充実させるとか、現行装備の範囲内でもやるべき点は多い。

トランプ氏が大統領になったら、これ、少しはマシになるのか?と期待してしまう自分が情けないが……。

だって、自国を守れるだけの予算を自国で決められないって、それはどうなのよ。



ちなみに、在日米軍駐留費負担は防衛省の予算に計上されているが、米軍が撤退してその影響力が弱まると、その分は自前の予算で何とかしなければならない。残念ながら、米軍が負担している防衛力の穴埋めは、「思いやり予算」程度ではとてもでは無いが補えない。
良くも悪くも、日本はこれから、このGDP1%枠という見えない壁を本気で打ち壊さねばならないだろう。


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6 件のコメント :

  1. 来年には4隻目のヘリコプター搭載型護衛艦が進水します。どう考えても4隻も要らないと思うのですがそのうち空母にでも改修するつもりなんですかねえ。
    軍事費についてですが、先進国ほど軍事費に占める人件費は高くなっています。日本も半分は人件費で占められておりこれ以上増やす余裕はなかなかない。イスラエルなんかは新兵器の開発にすさまじい軍事費を注ぎ込んでいると聞きます。軍事費を増やすとすればこの辺りでしょうかね。
    中国なんかは自衛隊の15倍にあたる250万人いる人民解放軍やら賄賂やらで思ってる以上に新兵器開発予算は少ない気がしますね。

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    1. 支那の防衛費に関しては、ハッキリわから無いのが実情ですよね。
      分かっている範囲でも、本来は軍事費でカウントされるべきところがカウントされていないとか、そもそも支那の出す数字が信頼できないとか色々問題がありまして。

      まあ、その分差し引いても防衛費の伸びは驚異的なんですけどね。

      自衛隊の予算配分に関しては、アンバランスな部分はあるのでしょうが、海の方に力を割くのはある程度仕方が無いと思います。

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    2. あるけむ(R.K.M) @fwbc19652016年12月5日 22:25

      ヘリコプター搭載型護衛艦・DDH(というかヘリ空母)ですが、護衛隊群に配備されている対潜ヘリ8機を集中管理するのが目的であると考えます(これまでは分散搭載を余儀なくされていました)
      現在、護衛隊群は4個なので、はるな型DDH/しらね型DDHの代艦として1隻づつ配備というのは自然な流れです。

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    3. ヘリ空母であれば、災害地での運用というのも又射程に入ってきますし、プラットホームとしては魅力的ですよね。
      それがそういう運用できるのかは又よく分からないのですが。

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    4. あるけむ(R.K.M) @fwbc19652016年12月6日 15:24

      ひゅうが型DDHの「ひゅうが」は、3.11で、被災地への物資輸送および被災者の入浴支援を行ってます(「いせ」は未竣工)
      いずも型DDHは、艦型を大型化し、限定的ながら輸送艦や病院艦の機能を持っています。災害地での運用は想定していると思われます。

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    5. きっと想定しているのでしょうねぇ。
      ただ、「運用が出来るのか」というのは法律的にOKかというような疑問ですな。災害派遣が決定されれば運用できそうですが、もうちょっと弾力的に動けるようにすればいいのに。

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