2016年12月14日水曜日

シリア情勢の話

ここのところ、報じられることも少なくなってしまったシリア情勢だが、刻々と変化している。

シリアの激戦地アレッポ、反体制派が完全撤退で合意

TBS系(JNN) 12/14(水) 10:08配信
 内戦が続くシリアの激戦地アレッポから、反体制派が完全に撤退することでアサド政権側と合意しました。これにより、政権軍は最大の都市アレッポを完全に制圧することになります。
最近のニュースで一番おおきなのは、何と言ってもアレッポ制圧だろう。



このブログで扱ったシリア情勢の話と言えば、去年の難民絡みの話が最初だったように思う。
しかしながら、一連の騒ぎはシリア騒乱と呼ばれて2011年頃から激化している。

その辺りを掻い摘まんで説明していこう。
先ずは、その前にアラブの春の話をせざるを得ない。

チュニジアのジャスミン革命(2010年~2011年)により、アラブ諸国にも民主化の波が押し寄せたかのようにメディアは宣伝している。これがアラブの春と呼ばれる一連の動きの切っ掛けとなった。が、しかしその実態はキレイゴトではない。
そもそも、アラブ諸国には根強い宗教問題が横たわっていて、そう簡単に解きほぐせないややこしい状況が何百年も続いているのだ。
そう、イスラム教の問題である。



チュニジアのジャスミン革命は、フェイスブックに投稿されるなどして、主に西側諸国の称賛を浴びた。形としてはイスラム国家化が進んでいたチェニジアにおいて、長期に亘り政権を維持していたベン=アリー政権が崩壊。一気に民主化が推し進められたという風になっている。
だが、現職大統領のモンセフ・マルズーキ氏は人権活動家であり、象徴的な人物として扱われているものの、イスラム社会を押さえる手腕を発揮しているとは言い難い。イスラムの影響はチェニジアでも今も色濃く残っているのである。

チェニジアは未だマシな方で、ジャスミン革命に影響を受けた色々な国では、民主化要求が強まる一方で、民族紛争が激化した。エジプトやリビアでも国内対立が激化し、シリアも例に漏れず騒動に発展した。何れも、イスラム圏での出来事である。

シリアでは、バッシャール・アル=アサド氏が大統領を務め、強権的な権力で国を支配している。しかし、現大統領のアサド氏はこれまでに比べて比較的マシな政治を行っていた。「古参と新たな血の融合」「腐敗との戦い」といった新しい運動を唱えて、汚職と戦う姿勢を示していたのである。2000年にシリアの大統領に就任した彼は、西側諸国との関係も比較的良好であったと言われている。
だが、アラブの春を切っ掛けに、シリアは内戦に突入する。

現在のシリアの主要勢力は以下の4つ。
  • シリア軍・アサド政権支持勢力
  • シリア反政府武装勢力/アルカイダ系
  • テロ組織IS
  • シリア・クルド系武装勢力
当然ながら、シリアで一番力を持っているのはシリア軍なのだが、西側諸国はアラブの春を持ち上げるあまり、このシリア軍やアサド政権支持勢力を敵視した。シリア軍を支援しているのはロシアあたりだ。このことが更に自体を悪化させている。
なんと、西側諸国はシリア反政府武装勢力に資金と武器を供給したのである。
「シリア反政府武装勢力/アルカイダ系」に分類される「自由シリア軍」はアメリカや西側諸国から、「イスラム戦線」にはサウジアラビアやトルコから、「ヌスラ戦線」は欧米からテロ組織に認定されている始末。

そして、それだけに留まらないのがシリアの悲惨なところで、ここから横槍を突きつけてきたのがテロ組織ISことISIL(日本ではイスラム国と表記されることが多い)である。テロ組織ISは世界中のテロネットワークから支援を受けているが、イスラム圏においてはイスラム教徒の一部から熱烈な支持を受けている。
どうやら、資金源は原油に頼る部分があるらしく、ここのところ、原油の価格が値下がりしていて、その資金力の低下が指摘されていたが……、OPECの減産宣言でどうなっていくのかは、注視する必要が有るだろう。

もう一つの勢力である「シリア・クルド系武装勢力」だが、こちらもクルド系の組織がバックに付いていて、複数の筋からの支援を受けている。実は、アメリカの支援も一部に受けているらしい。



何というか、シリアの混乱は、結局のところ西側諸国の思惑が介入し、それに反対するイスラム勢力と、それに対抗するシリア軍という単純なものではなく、民族や宗教の纏わる面倒な勢力図が、そこに介入した結果だと言えるだろう。

アメリカや英国、ロシアなども、勝手な思惑で空爆をしたり、トルコのように地上勢力に荷担したりと、割と代理戦争的な側面が見え隠れするのも、救えない話。

ラッカに進撃するシリア民主軍、IS「首都」奪還作戦

AFPBB News 12/14(水) 14:51配信
【12月14日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が「首都」と位置付けるラッカ(Raqa)奪還作戦を行っているクルド人とアラブ人の合同部隊「シリア民主軍(Syrian Democratic Forces)」は13日、ラッカ西郊タバカ(al-Tabaqah)から約30キロの距離にあるKhirbet al-Jahshe村近郊で戦闘を行った。
そんな中で、テロ組織ISの首都と位置づけられるラッカが、「シリア・クルド系武装勢力」に分類される「シリア民主軍」に攻撃され、これに荷担しているアメリカや英国の勢力が空爆を行い、テロ組織ISの弱体化が進んでいるというニュースが。

冒頭のニュースではシリア軍がアレッポを制圧したというものだが……。
 一方、国連の人権機関は政権軍側の兵士がアレッポ市内の反体制派から奪還した地域で、女性や子どもを含む市民少なくとも82人を殺害したと発表していました。最大の都市アレッポの制圧は、アサド政権にとって最大級の戦果となる一方、反体制派を支援してきた欧米などは戦略の見直しを迫られています。
国連がこれを非難する始末。
もうめちゃめちゃである。




今のところ、第2の勢力である「シリア反政府武装勢力/アルカイダ系」がそろそろ息をしていないのと、第3の勢力である「テロ組織IS」は追い詰められつつあるが、2つの勢力が消えて無くなったところで、シリア軍とクルド系武装勢力は敵対する関係にあるので、シリアの情勢が落ち着くには数年の時間を要するという見解が支配的だ。

しかし、そもそも民族対立や宗教問題は、血で血を争う抗争に繋がりやすい。
これを押さえてきたアサド政権は、それなりの手段を使っていたものの、概ね平和を維持していたと言え、そこに西側諸国が横槍を入れたのが今回の騒ぎの切っ掛けになったとも言える。
過酷な自然環境下で鍛えられた人々が宗教に縋る、それは自然な結果だが、違う神様を信じる宗教家同士は相容れないのだ。「民主主義」もある意味宗教だと捉えるのであれば、やはりイスラム圏と主張が相容れないのは仕方が無い事だ。
それこそ、新約聖書では無いが洪水が起こって人類が押し流されない限り、世界に平和は訪れないのかも知れない。
追記
合意とは一体何だったのか。

反体制派撤退合意も、シリア・アレッポで砲撃再開

TBS系(JNN) 12/15(木) 1:11配信
 シリア人権監視団によりますと、反体制派が支配するシリアのアレッポ東部で、14日、砲撃が再開されました。
まさに一進一退だな。



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4 件のコメント :

  1. 結局シリアの問題は日本人にはよく解らない…
    基本的にはアメリカが介入するとろくなことにならないのは事実かと。

    グローバリズムと言うが、他の宗教を受け入れられないのに出来る訳が無い。西側諸国は十字軍の頃から何も進歩してないのでは?って考えてしまいます。

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    1. 色々なニュースに触れても、シリアの内情というのはイマイチ掴めない状況です。
      多分、現地でもよく分かっていないのでしょう。

      イスラームの事は分かりにくいのですが、隣人として付き合わねばならない存在でもあるんですよね。
      理解しようとせず、そういうものだと認識するのが良いのかも。

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  2. そして話題にならない物の順調に広がっているクルド人支配地域ェ
    次の火種も順調に育っているという隙の無さよ……(白目

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    1. シリアのアサド政権に次ぐ勢力を持っちゃったのがクルド人支配地域なんですよね。
      トルコ辺りからも重点的に戦力が補給されているようで、ご指摘の通り火種になる可能性はかなり高いです。
      ちょっと前はアルカイダ系の勢力がこの位置にいたわけですから、結局、テロ組織を育成する結果になるのは目に見えているわけで。
      第二のイスラエルが何処かにできる未来が……。

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