2016年12月15日木曜日

googleが完全自動運転車の開発を断念

運転の完全自動化というのは、未来を扱ったコンテンツでは結構メジャーだ。無人の自動車が走る、そんな光景は、今現実のある。が、市販化されるかと言ったら、まだまだのようで。

Google: 完全自動運転型の自動運転車の開発を事実上の断念

Posted 2 days ago, by Stephen Woods
Googleがこれまで進めてきた運転席のない完全自動運転型自動運転車(Self-Driving Car)の開発計画に関して、開発計画を抜本的に改めて、完全自動運転型の技術開発は諦めて、開発の方向性を運転アシスト機能に集約するという方針の転換を図ったことが大手ニュースサイト「The Information (Paywall)」による報道で明らかとなった。
自立運転車の開発にgoogleが乗り出したニュースは数年前だったと思うが、それを聞いて、全世界の自動車会社に激震が走ったと言われている。



特にトヨタ辺りは、「もはや自動車を作っている時代では無い」と焦りを露わにしていた。それだけに、今回のニュースではあるいは胸を撫で下ろしているのかも知れない。
大手IT企業ではGoogleの他、Appleも自動運転車の開発を進めてきたが、Appleに関しても今年に入ってから、自社による自動車生産は断念し、自動車のハードウェア開発部門の従業員は全員、リストラを実施したことが伝えられていた。
今回、Googleに関しても完全自動運転型の自動運転車の開発を事実上、断念したことが報じられたことを受けて、大手IT企業による自動運転車開発計画は、総崩れとなる可能性が強まってきたこととなる。
実のところ、自動車会社では「電気自動車開発はタブー」とされていた。え?自立運転の話じゃ無いの?といわれるかもしれないが、取り敢えずは電気自動車の話。

自動車は、エンジンを作ってナンボ、という所があり、エンジンが不要になると、現存する自動車会社は軒並みアウトだ。
 
トヨタでもハイブリッドを作るにあたってもかなり葛藤があったと言われている。実のところ、三菱自動車辺りは三菱電機や三菱重工との連携で、もっと早くに電気自動車を実現出来るだろうという読みがあった。
ハイブリッドの要は、何と言ってもモーターと電池である。その両方を、トヨタは得意としていなかったから、そりゃ、実績のある会社を脅威だと感じるのは仕方が無いだろう。
 
だが、現実は三菱グループ内部の頭脳は外部に流出してしまって、まともな自動車を作るだけの実力は残っていなかった。その結果はご覧の通りである。



現在、電気自動車に力を入れているのは、かつては自動車会社の花形であり、凋落を経験して、カルロスゴーン氏の手腕によって復活した日産だ。

実は、日産も開発力という点では、他に一歩も二歩も劣る。
現代の自動車作りには莫大な資金力が必要で、開発にかける費用もバカにならない。かつて日産は、そうした開発経費を「新たな自動車作り」という面には注ぐことは無かった。
スパーカー作りに余念が無く、GT-Rの様なモンスターカーを作ることに血道を上げた結果、売れ筋の大衆車は疎かになった。その結果がご覧の有り様である。

ゴーン氏はこうした部分を徹底的にスリム化したが、しかし、全体的に開発費が増えたかというと、そんなことは無い。どうしたかというと、タブーである電気自動車にシフトしたのである。



ちなみに、何故、電気自動車がタブーなのかというと、自動車の部品点数にその答えが有る。実は自動車に用いる部品の点数は10万点以上だとも言われ、このうちエンジン部品が1万点ほどを占める。

電気自動車はこのエンジンが不要になることで、エンジン回りの補機を含めて軒並み部品がリストラされてしまう。エンジンがモーターに変わると部品点数は100点程になり、燃料関連の部品も……。

部品点数が5割減になるという話もあって、そりゃあ大変な事件なのだ。

電気自動車の登場による産業構造の変化

車がガソリン車から電気自動車へ移り変わると、産業構造が一変します。そして電気自動車はガソリン車と比べると構造が単純であり、新規参入障壁が比較的低いため、多くの新興メーカーが登場すると言われています。自動車メーカーのみならず家電メーカーやハウスメーカーなども、自動車メーカーになる可能性を秘めています。
まあ、こちらの記事にも詳しく書いてあるので、どういうことかは割愛するが、早い話、自動車メーカーは関連企業も含めてまとめてリストラになりかねない程のインパクトを電気自動車は秘めているのである。

電気自動車作りがタブー視されるのも無理は無い。自殺するようなものだからだ。



しかし、この記事には触れられていない別の問題もある。
それが、googleやAppleの完全自動運転車の開発を怖れた理由でもある。

実は、日本の自動車会社は、ソフトウエア開発が極めて脆弱である。ガソリンエンジン車にとっては、ソフトウエアの開発はそれ程重要では無かったのだ。
しかし、今や自動車はナビゲーションシステムからエンジン制御に至るまで、色々な所にコンピュータが使われており、この制御に複数の演算装置が埋め込まれている状況である。
その延長線上にあるのが完全自動運転の車なのだ。人が介在しない運転というのは、ヒューマンエラーが減るという視点から望ましい部分も多い。だがしかし、自動車の全ての機能をコンピュータが統括するため、複雑な処理のできるコンピュータの開発技術と、ソフトウェアの開発技術を持っている会社が有利なのである。

トヨタが怖れているのはまさにその部分で、電気自動車化してエンジンなどの部品が不要となり、更に自立運転の車が発達すれば、車の主要部分はトヨタで作れなくなってしまう。
トヨタが手を出せるのは外側だけで、中身は別の会社が作るとしたら、それはそれは恐ろしい事態である。何しろ、儲けの殆どを奪われる結果となるのだから。

日産は敢えてその道を選択したが、トヨタはその後追いで渋々決断せざるを得なかった。スズキやマツダ、スバル、ダイハツなどとの連携を深めながらも、電気自動車に手を出さざるを得なかったことは、苦渋の決断だろう。



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そんな多大なインパクトを与えたGoogleだが、Googleでの完全自動運転型の自動車開発を断念したようだ。
しかし、ミシガン州の自動運転車法では、運転席のない完全自動運転型の自動運転車の公道走行試験を申請可能なのは、自動車メーカーに限定しており、自動車メーカーではないGoogleは、いくら開発を進めても完全自動運転型の自動運転車の走行試験は、現状の法制下では公道試験はできない状態に置かれている。
一方、Googleが本社を置いているカリフォルニア州では、当初は、運転席のない完全自動運転型の自動運転車の許可に前向きの姿勢を示していたが、最近になり、反対論が浮上し、現在は、完全自動運転型の自動運転車については法制化のメドが立たない状態ともなっている。
自動運転に法律が追いつけていない実情もさることながら、コストの問題をなかなか解決できないというのが大きな問題点として指摘されている。
自動車業界では現在、より完全に近い自動運転車の開発競争が続いているが、Googleのものは、高価なライダー(Lidar)を主要センサーに使用する方式が採用されたものとなる。世界で初めて商用車に自動運転技術を導入したTeslaは、 コスト的に比較的安価な音波レーダーと光学カメラを併用する方式を採用しており、一見するとGoogleの自動運転車は軽自動車のようで安価なようにも見えるが、このままの商用化したら1台数十万ドルとイタリアのスーパーカー並みに高価な価格になる可能性も生じていた。
そのため、ライダーを使用したGoogleの自動運転車は、技術的な問題点を克服できたとしても、乗用車として提供することは、非常に難しいという別の問題も抱えていた。
まあ、googleの目指していた方向性が間違っていたというのが今回の顛末ではあるな。或いは自動車メーカーと共同開発して、完全自立運転ではなく、自立運転もするが運転手のアシスト程度に抑えておけば、いち早く実現に漕ぎ着けたかも知れないのだが。



実のところ、水素自動車開発で似たような事が起きているが、こうした新しい技術を導入する為には、インフラの整備が不可欠である。
インフラ整備なしに完全自立運転を目指すのは些かやり過ぎだったと言えよう。
自動車業界では、車載センサーの負荷を削減するために、より精度の高い自動運転専用の道路地図を製作する動きも生じているが、全米隈なく、数センチの精度で道路地図を製作することは容易なことではなく(この方式の場合、道路工事や標識の変更が加えられる度にリアルタイムで地図も更新しなくてはならず、地図のメインテナンスも難しい面が発生する)、Teslaはこの問題を解決するため、各自動車の自動運転走行データをクラウド上に吸い上げてディープラーニングにかけることで、自動学習方式で、地図精度を高めることを行っている。
ディープラーニングを使うという話も出ているが、自動車の運転というのは実のところ運転者にそれ程高度な技術を求めない。だからコンピュータでも実現は容易だと考えられているのだが、とっさの判断を求められる場合にはこの限りでは無い。

日産が2018年に高速道路の自動運転を実現と、高い目標を掲げてはいる。が、この問題はそれ程単純では無いのだ。日産はその辺りは理解した上で掲げた目標なのだろうけれど。



実際、googleの目指した市街地での完全時度運転は、かなり高いレベルで実現出来ると言われている。
本当に自動運転なのか?車が停止したところでテストドライバーに直撃すると「完全な自動運転でわれわれの車は常に制限速度を守って走行するなど安全だ。むしろ、ほかの車が安全運転ではないことが問題だ」と自信にあふれた答えが返ってきました。
今回の取材でグーグルの技術開発の進ちょく状況を定かにつかむことはできませんでしたが、公表データからグーグルの自動運転でのテスト走行の距離は、300万キロ以上、地球70周分をはるかに超えていることが分かりました。
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2016_1003.html

このgoogleの開発者の自信溢れるコメントは、しかし一方で「想定外の事態への対応の難しさ」を示している。

「googleの苦戦は、自動車メーカーではなく自動車メーカーと上手く組む事もできなかった」という指摘もあるが、そういった単純な要因だけでは無いだろう。

結局、完全な自動運転というのは、思いの外難しいのである。何しろ、想定外のことが低確率でも起こるので、全ての事象に対応するのは困難だからだ。

そして、それに対する法整備が進まぬのもまた、自動運転技術の発展の足を引っ張っていると言って良い。だって、自立運転中の車の事故は、誰が責任をとるのだろう?そうした法整備は、並大抵の事では実現出来ない。

ただ、自動運転の技術が確立されたら、一家に一台という自動車の存在意義は失われるだろう。
車を使いたければ、タクシーのように事前に呼んでおけば良いのだ。自動運転であれば、人件費はタクシーほどかからないし、複数の種類の自動車をシェアして使うやり方は、割と理に叶っていると思われる。
色んな意味で、革命的な技術になるだろう完全自動運転車は、もうちょっと先の未来に登場するかもしれない。が、今は未だその時ではない様である。


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4 件のコメント :

  1. 海外ではアルミを使った軽量車体の研究が進んでいますね。しかし、日本は鉄鋼業界が大きな力を持っていて鉄を使わない車は作れません。
    自動運転車もそうですが、日本の自動車産業は変化にとてつもなく弱い。そういう構造ですね。部品一つに至るまで全て仕様書でガチガチに固めていて柔軟性を欠いています。製法をほんの少しでも変えようものなら完成メーカーからオーケーが出るのに一年以上かかるのです

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    1. うーん、僕の事実認識と少々違いますね。
      確かに日本の鉄鋼業界が強い力を持っているのは事実ですが、日本がアルミニウムボディの車を作らないというわけでも無いでしょう。過去にも思いつくだけで数台はあります。今販売されているラインナップでも、高級グレードやスポーツを意識したグレードにはアルミニウムが少量ではありますが使われています。
      よって「作れない」事は無いでしょう。

      日本の自動車産業が変化に対応する力が弱いというのは、確かにそう言った面もあるのでしょうが、アルミニウムを採用しない理由は、別にあると思いますよ。コスト面の問題は大きいでしょう。

      とはいえ、僕も勉強不足な分野ではありますので、もうちょっとアンテナを伸ばしておきたいと思います。

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  2. 2,3ヶ月ほど前の日経新聞に、日本の自動車メーカーが国内でアルミ合金ボディの研究をしようとしたら鉄鋼業界に圧力をかけられて出来なかったという記事がありました。その記事によるとヨーロッパではアルミ合金の研究が進んでいるみたいで、このままで日本の自動車メーカーは大丈夫なのか?という記事でしたね。アルミはコストは高いですが軽いので、ボディとして使うと燃費が良くなり、燃費競争で有利になり得ます。燃費争いは熾烈ですからね

    自動運転車について、やはりこうした技術はアメリカが強いですね。特に日本の市街地の道路は狭いので必要な技術レベルも高いでしょう。でも高速道路なら出来るかもしれませんね。
    とにかく人命が第一ですから、事故を起こさない可能性が人の手による運転より高いことが確実に立証出来ない限りは導入は難しいでしょうね。

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    1. 鉄鋼メーカーから圧力がかけられる、なんてことはあるのでしょうね。
      実際に、鉄鋼メーカーにしてみれば死活問題ですから。

      アルミニウム合金の研究を進めることは必要ですし、航空業界や鉄道業界でもその手の研究は進めていくでしょうから、アルミニウムの合金の研究が日本で遅れるという心配は、余り必要ないかも知れませんね。
      アルミニウム合金は、剛性が低いので、ハイテンなど高機能鉄材と比べるとなかなか競争は熾烈になるのでしょう。

      自動運転車は、まあ、期待はしているんですが、法律関係を整備しないと、という壁は高いですね。

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