2016年10月27日木曜日

核兵器禁止条約を巡る日本の葛藤

これ、日本が採るべきスタンスはそれ程難しくは無い。「唯一の被爆国」なんてレッテルは捨てて、賛成か反対かを明確に示すべきだ。棄権が一番愚かしい。

核兵器禁止条約めぐる決議案 きょう採決へ 日本は難しい立場

10月27日 6時00分
世界の核軍縮が停滞する中、核兵器を法的に禁止する新たな条約の制定を目指す決議案が27日、国連総会の委員会で採決にかけられ、アメリカを始め核兵器の保有国が反対を表明する中、日本は難しい立場に立たされています。
このニュースはしっかりと考えなければならない話だよね。



まず、この話の根っこには核兵器不拡散条約(NPT:1963年採択1970年発効)がある。
NPTの目的は、核兵器の拡散を抑止する事なのだが、既に核兵器を保有している国にしてみれば、これは非常に大きなメリットがある。
何故ならば、核兵器保有国と非保有国の地位を固定できるからだ。核兵器が拡散しないと言うことは、つまり既に持っている国以外は核兵器に手が出せないと言うことを意味する。
締約国は191カ国・地域で、非締約国はインド、パキスタン、イスラエル、南スーダン。脱退国は北朝鮮だ。

この条約は核兵器保有を認められた、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、支那に限りなく有利な条件となっているが、これら核兵器保有国も、核軍縮交渉義務を負っていることで、段階的に核兵器の保有数を減らすと言う事で、非保有国も納得していた。
が、蓋をあけてみれば1970年より46年経った今でも、核兵器は存在し、寧ろ保有国は増えている。
NPTは絵に描いた餅に過ぎなかったのである。



そりゃま、そうだろう。
何故ならば、核兵器を保有していることは、戦略的に非保有国に対して強烈なアドバンテージを有することになる。
核兵器が「使えない兵器」などと揶揄されているが、使う可能性を示唆するだけでその威力は絶大だ。1つの都市を壊滅させることが出来ることは既に日本の広島と長崎で実証済みである。首都に投下されれば、その国はそれで壊滅する。そりゃ、不平等だと怒りたくもなる。

こうした背景から出てきたのが冒頭のニュースに紹介される決議案なのである。
オーストリアなど核兵器を持たない国が「核兵器禁止条約」の制定に向けた交渉を始めるべきだとする決議案を提出した背景には、一向に進まない世界の核軍縮に対する強いいらだちがありました。
これまで核軍縮は、アメリカやロシアなど5か国だけに核兵器の保有を認める、NPT=核拡散防止条約の枠組みの中で、議論が進められてきました。しかし、1970年のNPTの発効から40年以上がたったいまも、核保有国による軍縮は遅々として進まず、NPTに加盟していないインドやパキスタン、イスラエルは核兵器の放棄に応じず、一方的に脱退を宣言した北朝鮮も核開発を推し進めています。
3年ほど前から国際会議で核兵器を法的に禁止する方向で検討を始め、今回の決議案に至ったわけだ。



そりゃねぇ、40年以上も核軍縮に手つかずで、事実上の不均衡が解消されないのだから、腹が立つのも無理は無い。
そして、ことし2月に始まった国連の作業部会では、すべての核保有国が欠席する中、核兵器そのものを禁止する新たな条約の制定に向けた議論が活発化し、8月には来年にも交渉を始めるべきだと国連総会に勧告しました。
持たざる者の僻みとも言えるのだが……。

さて、では日本はどうしたら良いのか?という話だ。
日本は2つの立場がある。
1つは唯一の被爆国として核廃絶を推進していく立場だ。
もう1つは、アメリカの核の傘に守られており、有効な軍事力を保有しない国という立場である。



正直、僕自身としては「唯一の被爆国」なんぞ、クソ食らえだと思っている。
核攻撃を受けた事実を忘れる必要は無いし、それを抱えて行く事は大切だと思うが、一方で、それだけの威力を持つ兵器であるという事実から目を背けるべきでは無いのだ。
戦略的には有効なのである。

そもそも、「人道的見地から」などという美辞麗句をつけたところで、「人道的な兵器」等と言う言葉は存在しない。そんなものは、切れないハサミ、動かない自動車、絵に描いた餅、レベルの役に立たないシロモノで、「兵器」と言うからには「非人道的」であることからは逃れられない。
そして、兵力は外交を行う上での力に等しい。もちろん、経済力も外交を行う上での力ではあるが、それだけでは足りない。それは日本が嫌と言うほど体験してきた事実でもある。
キレイゴトで政治は進められないのであって、日本はアメリカの核の傘の下であぐらをかいていた責任をとらねばならないのである。

アメリカは強硬にこの決議案に反対している。
これに対して、核保有国は安全保障上の理由から、核軍縮は段階的に進めるべきだという立場を崩しておらず、このうちアメリカは各国に対して決議案に同調すれば同盟関係を解消することも示唆する文書を配布し、圧力をかけています。

アメリカは日本にとっての重要な同盟国ではあるが、言いなりになる必要も無い。

が、現段階では、アメリカの核の傘の下にいるという現実を踏まえれば、決議案には反対すべきだろう。
NPTで核を持つという選択肢を縛りながら、核保有禁止の決議には反対するというのは二枚舌だと批判されかねないが、今、核保有を法的に禁止したところで、法律を守らない支那や北朝鮮にとって有利になるだけで、意味が無い。
安易に禁止することは寧ろ有害なのである。


アメリカやロシア、支那に対して、決議案に反対する代わりに、核軍縮に対して期限を切って減らして行くべきだろう。
そうで無ければ日本も核兵器を保有するぞと、脅すぐらいの勢いで。

保有数削減は、同時に行えるのであれば、ある程度の数までは各国も喜んで受け入れるだろう。核保有はそれなりのコストがかかるので、一定数まで減らすのは寧ろ歓迎する話だからだ。
支那相手に「棚上げ」が一番害悪になるのは、日本がよく知っている話ではないか。

追記

僕の懸念を余所に、日本は「反対」に投じたようである。

核兵器禁止条約制定目指す決議案 日本は反対 批判の声も

10月28日 12時04分
核兵器を法的に禁止する初めての条約の制定を目指す決議が国連総会の委員会で賛成多数で採択されましたが、アメリカなどの核兵器の保有国とともに決議に反対した日本には批判の声も上がっており、今後難しい対応を迫られることになりそうです。

この一件、日本は「賛成」に投じても「反対」に投じても、棄権したとしても批判の声を浴びるのは必至である。

NHKは「反対」に投じたことで批判を浴びたことを協調して、賛成すれば批判が無い様な書き方をしているが、アメリカの核の傘の下にいる以上は、賛成したら批判されるのは当然だし、アメリカからの突き上げを喰らうだろう。

一方、アメリカやロシアなどの核保有国とともに決議に反対した日本の佐野軍縮大使は、「核軍縮は国際社会の総意で行われるべきだと強く求めたが、受け入れられなかった」と反対した理由を説明しました。

日本はこんなキレイゴトを言ったようだが、ハッキリ言ってやれ。「核保有国が賛成しない以上、法的禁止に意味は無い」と。それどころか、NPTの枠組みすら瓦解しかねない話。

これに対し反対した国は、アメリカやロシア、フランス、イギリスなど核兵器を保有する国のほか、アメリカのいわゆる「核の傘」に守られている日本や韓国、それにNATO=北大西洋条約機構に加盟する国々などで38か国に上ります。

先進国は軒並み反対している事を考えれば、賛成票を投じる方がリスクが高い。

理念を貫くことは大切だが、利益にならない突っ張りは不要である。

日本が提出し、同じ日にアメリカも賛成して採択された核廃絶を呼びかける決議について、「核兵器をなくすという目標とその実現に必要な手段のバランスがとれている」と述べ、日本の取り組みを支持する姿勢を示しました。

日本は、日本のスタンスを明確にしたことを誇りにすべきでは無いだろうか。





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2016.10.26 15:43
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