2017年1月31日火曜日

敵基地攻撃手段は不要か?

安倍氏が「検討する」といったら大騒ぎになっているが、どういう話なのか一度整理してみたい。

敵基地攻撃の議論活発化=トランプ氏就任で自主防衛強化論

(2017/01/29-15:02)
 敵基地攻撃能力の保有をめぐる議論が政府・自民党内で活発化してきた。「米国第一」を唱えて就任したトランプ米大統領が、これまで米軍が担ってきた日本防衛の役割を縮小させるのではないかとの懸念が背景にある。日本の自主防衛力を高めるため、北朝鮮のミサイル基地などへの攻撃を視野に入れた装備を求める意見がある一方、「専守防衛」原則との整合性や、大きく膨らむ可能性がある防衛費の確保など課題は多い。
アメリカが信用できない以上は、ある程度しっかりした自衛手段をと言うのは分かり易い話だがね。



さてさて、東京新聞も大喜びしているな。

自民内で「敵基地攻撃能力を」 「専守防衛」逸脱の恐れ 

2016年5月16日 朝刊
 北朝鮮が弾道ミサイル発射や核実験を繰り返していることに対し、自民党内で「敵基地攻撃能力」が必要との主張が相次いでいる。仮に必要な武器を導入すれば、防衛費は大幅に増える上、国是の「専守防衛」を大きく踏み越えることにつながりかねない。
こんな事を言っているが、政府答弁では「専守防衛」と「敵基地攻撃手段の獲得」は相反しないという見解が出ている。
それも、過去に何度も、だ。

大方のロジックは、「ミサイル発射の兆候が見られたら、ミサイルを撃たれる前に基地を破壊しよう」「ミサイルの一発目を撃たれても、二発目以降撃たれないように基地を破壊しよう」という形で防衛することを想定している。そして、「敵が先に手を出したのだから、防衛の範囲内だ」という判断だろう。
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ただ……、この「敵基地をミサイルで攻撃」というのには、色々ネックがある。



自民党はこの様な思想でいるようだ。
 敵基地攻撃能力については四月の自民党国防部会で複数の議員が「検討すべき状況ではないか」と指摘した。三月には今津寛党安全保障調査会長が「撃つ前にたたくことは、当然考えなければならない」と主張。別の党会合でも大塚拓国防部会長らが言及した。
まあ、撃たれてからでは遅いよね。

ただそうした話を全く聞かずに、東京新聞はこんな事を言っている。
 防衛省によると、敵基地攻撃能力として想定される装備は、弾道ミサイルや巡航ミサイル、精密誘導爆弾を搭載した戦闘機など。いずれも現在は保有しておらず、新たに導入すれば防衛費が増大し、年間約5兆円の水準で収まらなくなるのは必至だ。戦闘機を発着させる空母の保有にまで発展すれば、中国などとの軍拡競争を招きかねない。
軍拡競争??今さら?



まあ、このブログでは「GDP1%枠」などという頭の湧いた足枷について言及するのは止めておこう。何の意味もないからね。
1%を守ったら平和が保たれるのであれば、ナンボでも守り続けるのは悪い話では無いが、そんな幻想にしがみついたところで何も解決しない。大切な所で神頼み的な発想にしがみつくのはバカがすることだしね。
尤も、防衛費が湯水のように使える訳では無いのも事実。現実的には3%程度までが限界だろうと思う。

で、それはそれとして、どんなネックがあるのか?という話だが、「敵基地破壊手段」というのは、あくまで敵のミサイルが基地から発射される前提なのである。
東風
しかし、今や支那の東風21のように核兵器ですら移動式車両から発射出来る時代である(随分前から実現可能だが)。北朝鮮の保有するノドンだって同じだ。
NKOREA-POLITICS-ANNIVERSARY
移動式車両から発車されると、日本がミサイル発射を探知できないのは、既に実証済みだ。予め北朝鮮に「撃つよー」と言われてようやく探知できる程度だ。



つまり、日本が撃たれる前に撃つというのは不可能だ。

せいぜい、撃たれた後に撃ち返す、撃たれたミサイルは迎撃して撃ち落とすと、その程度の選択肢しか採れない。
それに、北朝鮮の保有するミサイルの数は数千発だと言われている。尤も、発射用の車両は50基程度だと言われているので、最大でも50発くらいが同時に撃たれる限界だろうと思われる。50発同時に撃たれて、全部撃ち落とせたら良いなーと思うが、多分、無理だろうね。

じゃあ、敵基地攻撃手段を持つ意味はないのか?というと、それは違う。

何故なら、日本の海上自衛隊とアメリカ第7艦隊のイージス艦が搭載するSM-3迎撃ミサイルは100発程度。撃ちもらす事も考えれば、先に発射台の方を何とかしないとどうしようも無かろう。被害軽減のためには、どうしても発射台の位置が判明したら、そこを叩く必要がある。好きに撃たせているわけにはいかないのだ。

敵基地攻撃手段があれば、抑止力としてもある程度は期待出来る。

だから敵基地攻撃手段は、好むと好まざると必要なのである。



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4 件のコメント :

  1. あるけむ(R.K.M) @fwbc19652017年1月31日 6:39

    第一撃はともかく(もちろん対策は必要だが)、第二撃以降は何とかしないといけないでしょうね。
    そのため、北朝鮮(と韓国?)に対する打撃能力は必要だと考えます。ただ、それは、各種まとめブログで見かける「核兵器」ではないと考えます。
    個人的には、通常弾頭型トマホーク(射程1500km程度、弾頭500kg)のような巡航誘導弾の配備を考えています(もう少し射程は短くてもよいかも)。
    配備は、陸上・水上艦・潜水艦のいずれでも問題ないと考えます(できれば全て装備が理想だが)。ただ、反撃用に限るため、陸上配備が優先でしょうか。
    中国の弾道弾まで相手にするとなると、戦略縦深がキツイですね...

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    1. ミサイルを迎撃するにも限界があるので、どうしても敵基地を潰す手段を考えるべきでしょう。

      そして、ご指摘通り核兵器は朝鮮半島に対して行使するというのは現実的ではありませんね。偏西風の餌食になるという現実的な問題もありますが……。

      個人的には、陸上と水上艦には配備したいと考えています。陸上配備が優先という点にも同意します。

      ただ、現実的には色々と予算的制約が出てくる話でしょうし、その辺りをどのように都合を付けるかはなかなか難しい所ですね。1発や2発持っていたところで意味はありませんから、100発単位で配備せざるを得ないと思います。

      支那に対しては……、核兵器が有効なんですけどねぇ。
      兵器の量や経済力の差を考えると、どうしても「都市を攻撃する」という抑止力に頼らざるを得ないワケで。

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    2. あるけむ(R.K.M) @fwbc19652017年1月31日 10:40

      核兵器は都市または強固な目標(ICBMサイロのような)で無いと意味ないと考えています。放射性物質は原発を攻撃しない限りは問題ないと考えます。

      陸上配備については、陸上型SM3と合わせて配備かなあ...と考えます。移動しないイージスシステムと言ってもいいかも知れません。航路に影響しない範囲で海上に固定したフロート構造にすることも考えられます。

      支那に対するご意見にも同意です。ただ、米国の核の傘の下にいるなら、配備は難しい気がします。せいぜい、英国並みのSLBM搭載潜水艦数隻程度だと考えます。

      削除
    3. ご指摘通り、敵基地破壊を目指すのであれば、通常弾頭弾で足りるのでしょうが、その命中精度は考慮する必要があるでしょう。

      トマホークの命中精度はCEPで80mと言われており、威力範囲は半径500m以下(しっかりしたソース無し)だと言われています。

      ……そうですねぇ、案外トマホークで行けそうですね。

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