アメリカは斬首作戦を実行するのか?

東スポ辺りが扱うネタではあるのだが……。

【北朝鮮ミサイル発射】トランプ米大統領 ゴルフ外交ブチ壊され“斬首作戦”実行早まる?

2017年02月14日 07時00分
 訪米した安倍晋三首相(62)がトランプ米大統領(70)と強固な日米同盟の絆を見せつけた直後、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がまたもミサイル発射の暴挙に出た。ゴルフを終えたばかりの日米両首脳はすぐさま緊急会見し、トランプ氏は「日本を100%支持する」と北朝鮮に不快感をにじませた。トランプ氏を怒らせたことで、正恩氏の命を狙った“斬首作戦”が早まる可能性が出てきた。一方で、その正恩氏は既に“裸の王様”だという情報も浮上している。
まあ、週刊誌やスポーツ紙が好きそうなネタではある。
アメリカの怒り、支那の怒り
話を始める前にもう一つ日刊ゲンダイの記事を紹介しておこう。

クーデター誘発も 中国が本気で進める「金正恩拘束」作戦

2017年2月18日
 北朝鮮が金正男を暗殺したことに中国がカンカンになっている。正男を庇護していた中国は、これまで「正男に手を出すな」と金正恩に警告を発してきたという。なのに、完全にメンツをつぶされた形だ。ただでさえ“核実験”を続け、暴走する正恩を苦々しく思ってきた中国政府。いよいよ、正恩の“排除”に動きだす可能性が高まっている。
簡単な話なのだが、金正男氏が暗殺された。この金正男氏は支那が保護していた人材である。金正男氏がマカオに住んでいたことを考えても、これは間違いが無い。

そりゃ、支那は怒るよね。
支那が今回の事件に怒りを感じる理由
そして、支那が怒っている証拠もある。

北朝鮮 石炭輸入停止発表の中国を非難

2月23日 20時50分
北朝鮮の国営メディアは、「周辺国が、制裁を口実にわれわれとの貿易を遮断する措置をとった」と伝え、名指しは避けながらも、北朝鮮からの石炭輸入をことしいっぱい停止すると発表した中国を非難して、核・ミサイル開発を継続する姿勢を改めて強調しました。
今まで、どうあっても支那がやらなかった北朝鮮経済に直接的に影響するような制裁を実施したのである。
経済的に低迷している支那にとって、質が悪くとも買い叩ける北朝鮮産の石炭は本来ならば手放したくはない。しかし、それを制限時間付きで止めてなお、支那にとって北朝鮮に制裁を加えなければならない理由がある。
それが、支那の面子を潰されたという側面である。支那がメンツにこだわることは改めて説明するまでもない話。しかし、かりあげクンこと三代目の金正恩氏はことごとく習近平氏の顔を潰してきた。そこまでやるか、というほどである。象徴的なのは、支那の軍事パレードに招待された金正恩氏は代理で朝鮮労働党中央委員会書記の崔竜海氏を送っている。序列は5位。おまけにパレードが終わったらそそくさと帰国。まあ、関係は良い訳がない。

だたでさえ関係が悪化していた北朝鮮と支那との間には、更なる亀裂が入る事件が起こる。
それが水爆実験である。
水爆実験は失敗したと言われているが、しかし従来の核実験よりは大きな規模の爆発が確認されたと言われている。
支那の中枢まで届く弓と、その穂先に付ける破壊力のある鏃を手に入れた北朝鮮の存在を、支那は許すわけには行かないのである。
北朝鮮の強がり
支那の措置に対して北朝鮮はこんな声明を。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は23日、「友好的な隣国だとする周辺国が、国連安全保障理事会の制裁決議を口実にして、われわれとの貿易を完全に遮断する措置を講じた」と伝えました。
まあ、「やりやがったな!」というところだろう。
好きな様にやって、やりやがったもクソも無いのだが、面の皮の暑い北朝鮮のことだから、想定内の反応だったのでは無いか。
アメリカの本気度
じゃあ、アメリカはどうだろう?

米空母が南シナ海でパトロール開始 念頭には中国

2月19日 6時25分
アメリカ海軍は、空母カール・ビンソンを中心とする艦隊が南シナ海で定期的なパトロールを開始したと発表し、人工島の造成などで海洋進出の動きを強める中国を念頭に、アジア太平洋地域へのアメリカ軍の関与を強調する狙いもあると見られます。
今まで出してこなかった空母カール・ビンソンを出してきた。不朽の自由作戦などにも参加したバリバリの攻撃主体の空母である。横浜にはロナルドレーガン空母打撃群が常駐している状態で、なのにだ。
 
狙いは支那となっているが……、今の時期、支那に直接圧力をかける様な切っ掛けがあった訳では無い事を考えると、北朝鮮のミサイル発射辺りが絡んでいることは想像に難くない。

駐韓米軍司令官が北朝鮮に警告「地図から消す可能性も排除しない」=韓国ネット「やっぱり守ってくれるのは米国」「統一のためには対話が必要」

配信日時:2017年2月21日(火) 17時0分
2017年2月21日、韓国・KBSによると、ヴィンセント・ブルックス駐韓米軍司令官が北朝鮮による挑発の危険性を強調し、「北朝鮮のたった一度の挑発が戦闘状態につながる可能性がある」と警告した。
ブルックス司令官は米CBS放送とのインタビューでこのように明らかにし、「万が一、北朝鮮が核兵器を使用した際には、効果的かつ圧倒的に対応する」と強調した。また、「北朝鮮を地図から消すことも含まれているか」との質問には「いかなる可能性も排除しない」と述べた。
そしてこの発言である。
アメリカが本気を見せているのは間違いないだろう。

アメリカのCIAなどは金正男氏や金正恩氏の動向は把握していたと言われる。だから、今回の暗殺事件が予想できなかったとは考えにくい。それが予想、阻止できなかった背景には一体何があるのか。
金正男暗殺事件の不可解な点
金正恩主犯説では動機が説明できない
そもそも、金正男氏暗殺事件に関しては、不可思議な点が多い。

このブログでも言及したが、最も不思議なのは現時点で北朝鮮の金正恩氏は金正男氏を暗殺する動機が無い点だ。
今まで何度か命を狙われている金正男氏ではあるが、既に北朝鮮内での後ろ盾であった張成沢氏を失い、今さら北朝鮮の指導者になることは考えにくい。
理屈としては、後継者になりそうな人間を始末した、そう言えるかもしれない。
暗殺に日々怯える金正恩氏にとって、少しでも不安材料を取り除きたいという葛藤があったことは想像に難くない。だが、今や多くの人材を粛清して金正恩氏の周りにはイエスマンしか残っていないと言われる。
そして、金正男氏には北朝鮮国内に支持者がいない。
今、焦って殺害する理由は何処にも無いのだ。
北朝鮮の指導部の誰かが暴走?
だが、状況的にこの暗殺を実行させたのは北朝鮮である可能性は高いのである。マレーシアの警察発表を見ても、その可能性は濃厚だ。

そして、マレーシアとの関係を悪化させてまでも、金正恩氏が指導者として暗殺を実行させたというのは、現状の北朝鮮においては悪手としか言いようが無い。

が、これが、金正恩氏の指示では無く、別の部隊の実行だとしたら、実は話はかなり分かりやすいのである。トップの暴走を演出するために暗殺実行。金正恩氏としては、迷惑このうえない話だ。それどころか、その勢力に命を狙われる可能性すらある。

北朝鮮が金正男氏の死について報道しない、コメントすらしない背景にも、そうした状況で発表するにできない状況なのだと考えれば、辻褄が合うように思う。発表すれば「何のために殺した」という事を言わねばならないし、国内にも動揺は広がるだろう。しかし、金正恩氏に動機はないのだから、説明のしようが無い。
とはいえ一部が勝手に暴走したなどという話が出ようものなら、それこそクーデターが起きかねない。そんなジレンマを抱えているのでは無いか。
斬首作戦は何処がやるのか?
さて、斬首作戦を口にしているのは、アメリカの他には韓国がある。

実際に、何度かそんな記事が出ていて、実行部隊を配備する程度には、本気度が高いと言われている。
この他には、支那が考えられるが、むしろ国柄としてはロシアのほうがそういった方面の仕事は得意であろう。

では、実際にやるとしたらどこなのだろうか?

アメリカにとって、北朝鮮の崩壊は旨味が無いので「勝手にすれば」程度の話になってきているように思える。アメリカが警戒しているのは、むしろ、在韓米軍が撤退する前に韓国がレッドチームに入る事なのではないかと、そう思う。
では支那は?残念ながら支那にとって北朝鮮の消滅は都合が悪い。韓国がレッドチームに入れば緩衝地帯の役割を持たせられるが、そこまで話は進んでいない。
じゃあ、韓国は?韓国は、実は北朝鮮に一番近い位置にいるように思える。北朝鮮はかなりの人数の親北派を韓国の政治に食い込ませてあるので、次期大統領候補のトップを独走する文在寅氏が大差で大統領になれば、斬首作戦などなくとも北朝鮮に飲み込まれる可能性はある。斬首どころか首を差し出すことになるだろう。

……だが、それには金正恩氏は邪魔になる。
事態は思っている以上に悪いのかもしれないな。

斬首作戦が成功したらどうなるのか?
さて、コメントにも頂いていたが、斬首作戦が行われた前提で一体何が起こるのか?を少し考えてみたい。
アメリカ統治シナリオ
北朝鮮が1つにまとまっているのは、単に独裁者の恐怖政治が機能しているからに過ぎない。そのトップのクビが刈り取られた場合に何が起こるか?なのだが、一番マシなシナリオがアメリカが北朝鮮を占領して統治下に置く場合だ。

既に日本がその憂き目に遭っているが、参考にすべきは、韓国とイラクだ。
未だ北朝鮮と戦争中の韓国は、控えめに言ってもアメリカの足を引っ張る存在で、西側陣営の様な顔をしているがその実、「失敗した民主主義」といっても過言ではない。イラクでは何が起きたかというと、テロ組織ISの誕生だ。テロ組織ISの幹部はイラクの重鎮達だと言われている。
青山繁晴氏が指摘していたが、斬首作戦が実行されたとして、北朝鮮の次期指導者として指導力を発揮しうると思われるのは金平一氏だろうと思われる。金正日氏の実子、正哲氏は政治家向きでは無いと言われているので、西側陣営が勝てば、この辺りを指導者に据えて傀儡政権を模索するだろうと思われる。

ここから朝鮮半島の統一を目指すのが多分、西側陣営のシナリオとなるだろう。
アメリカ統治シナリオは支那が賛同しない限り実現出来ない
しかし、ここで問題なのは支那とロシアは西側陣営に勝たれては困るという事実だ。
朝鮮半島が未だ分断したままになっている理由は、まさにそこにあるのだ。

実のところドイツで起こった様な事を朝鮮半島に求めることは困難だ。ドイツはそもそも工業力があり、独自の力で創意工夫できる人種が住んでいたので、今の姿があるのだが、朝鮮半島ではそういった技術・能力は培われなかった。半島が統一して生まれるのは巨大な貧困層であり、難民だけである。

その何十万人も生まれる難民達を、支那や韓国が受け入れるとは思えず、日本だってゴメンである。自力で再建できる能力の無い朝鮮人達を野放しにすることは難しく、さりとて西側陣営と東側陣営の間に挟まった微妙な地域。
コントロールするにも旨味がなく、介入するメリットが無いので放置、が現在の朝鮮半島の立ち位置なのである。
当然、支那はそんな斬首作戦の立案も実行もゴメンだろう。何しろ、習近平氏は国内問題で手一杯である。手を広げたくなど無いのだ。

支那はアメリカ統治を歓迎できない理由があり、アメリカも苦労は背負い込みたくない。それが本音だろうねぇ。故にこのシナリオの実現性は薄いか。
支那統治シナリオ
こちらは実現性が極めて薄いが、可能性だけならば支那が斬首作戦を行う可能性はある。
そもそも、金正男氏をお金を使って飼い殺しにしてきた背景には、気に入らない金正恩体制を崩壊させて、金正男氏を指導者に仕様という目論見があったからだろう。
だが、それは実行しなかった。

金正男氏の指導力不足という点もあっただろうが、そもそも習近平氏はカードとして温存しておいた程度の話で、それを実現する事までは考えていなかった可能性が高い。
寧ろ、北朝鮮軍とべったりの関係だった瀋陽軍区(現北部戦区)の解体に失敗してハンドリングに苦心しているらしい事を考えると、支那にその用意があるとも思えない。
実際にやるとしたら、寧ろ台湾やチベット、ウイグルの様に中から破壊する方向性で圧力をかけるハズで、それができていない時点でその目は無いと考えた方が良いだろう。

が、何らかの理由で金一族独裁体制が崩壊して北朝鮮が支那を頼る様なケースを考えるとすると……、このシナリオは僕では考えつかないな。
寧ろ放置する方向性で統治しない気がする。
ちなみに暗殺に定評のあるロシアだが、この件で手を出すのは支那よりも考えにくい。北朝鮮の資源は魅力的ではあるだろうが、ロシアこそ国内事情で手一杯だろう。
韓国統治シナリオ
とまあ、そんな理由があるので、アメリカ、支那、ロシアは斬首作戦を実行する事は無いだろう。問題は韓国だが……、この国だけは本当に読めない。
純粋な力量の問題で、韓国は北朝鮮に勝利することができない。あれだけ近代兵器を買っていても、使いこなすことができないのである。
が、仮に何処かの国が斬首を実行して、韓国主導で朝鮮半島を統一したとして……、何が起こるかと言えば、激しい人種差別と人権弾圧。そして韓国崩壊の道を加速させるだけだろう。

そもそも朝鮮統一シナリオは、他国の莫大な援助無くしてあり得ない。
韓国は莫大な借金を国に抱えていて、北朝鮮を養う余裕は無いし、韓国軍は人数こそ多いが、統治に必要なノウハウをもっているとも思えない。
更に、大統領があの状態である。次期大統領だと言われている文在寅氏は親北派なので、統一には前向きかも知れない。が、実行にはその実力が伴わないと無理で、他国に散々泣きつきながらも統一を目指す……、その前に再び弾劾で失職するのがオチだろう。そうなると、朝鮮半島崩壊でもっと悲惨な事になるだろうね。
何れにしても最悪なシナリオである。

最悪の事態を想定
アメリカは今、最悪の事態の備えをしている。それは間違い無いんだろうが、朝鮮半島に関して言えばアメリカから先に手を出すことだけは無い。それは散々説明した様にアメリカにとって旨味がないからだ。
アメリカの世論も、朝鮮戦争で失敗し、ベトナム、イラクと失敗をし続けている状況を考えれば、肯定的な反応になるとも思えない。

それでも暴発を避ける為に、北朝鮮側からアクションがあれば即応できる体制を整える、今はそんな段階なのだと思う。



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コメント

  1. 先ずは管理人さん有難うございます。
    記事をねだったら、即座にこんな読み応えある記事を書いていただいて。感謝です。
    私は刈上げくんの命令でない線での暴走で、だからと言って実行機関を掌握できてないとすると、クーデターが起きかねず困ってる…というくだりにハタ!としました。
    陰謀論的なイメージですが、確かに消去法で考えてゆくと否定できない!
    こういうのは理系出身の方の強味ですね。
    さて…管理人さんの鳥瞰的な読みとは以下のような感じでしょうか?
    支那は時期が悪くて手を出すより気長に待つ。
    南小中華が懐に転げこむかもしれないのに!
    アメリカが現状維持でないとコストに合わぬ、ロシアは支那以上に時期でなく距離を保つ。
    南小中華は、本音が統一でも、必要な資金もノウハウもなく、先伸ばしにしたい。
    その前にレッドチーム入りをしそうだし。

    というわけで、「現時点では、誰も真面目に統一を考えていないし、やる気もない!」
    という事になりますね。
    つまり斬首作戦は近いうちには起きない!
    むしろ南小中華のレッドチーム入りの可能性の方が問題!てことでしょうか。
    納得いたしました。
    質もボリュームも満点な記事を有難うございました。

    しかし…売春婦ガー! 弾劾ニダー!と騒いでる人々、大統領が極左親北へなったからって、
    本気でレッドチーム入りをする気ですかね?
    ガタガタでも中流が顕在している日本人としては西側から去る決断をするなら驚きですが。
    でも管理人さんの御指摘のように「民主化の失敗例」な国ですからね。腐敗した李朝と大して変わらない社会なら、下々は火病に踊るかも知れませんね。勝手に滅びろ!

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    1. 長々と記事を書いてしまいましたが、要約すると、僕自身は「斬首作戦の実行」に関しては懐疑的です。そして、状況を整理してみても、可能性は低いだろうとその様に思いました。

      韓国で今、一番力を持っているのは強硬なデモを行う連中でしょうが、彼らも一枚岩では無いので、主張はバラバラ、メチャクチャ。これを統率して行くにはやはり軍事政権的な独裁色の強いリーダーが不可欠な様に思います。

      ……朝鮮半島は、民主化には早すぎたと言うことですかね。

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