みずほ銀行のリスク管理と韓国の経済危機

知っている人は、「ああ、あの話か」と思う訳だが。

韓経:韓国輸出入銀行、1兆ウォンの損失…40年目で初の赤字

2017年01月31日09時37分
  韓国輸出入銀行が創立40年目の昨年、初めて純損失を出した。貸出と保証を合わせた与信総額が9兆ウォン(約9000億円)に達する大宇造船海洋が最も大きな原因に挙げられる。昨年、産業銀行も同じ理由で2年連続の赤字となった。
  金融界によると、輸出入銀行は昨年1兆ウォン規模の損失を出したという。輸出入銀行が赤字を出したのは1976年の創立以来初めて。1兆ウォンの損失は輸出入銀行が過去40年間積み立ててきた利益余剰金(約2兆ウォン)の半分に相当する。

この話である。



え?よく分からない??
じゃあ、ま、簡単に行きましょう。


まず、韓国輸出入銀行とは何ぞやという話。
銀行にはいくつかの種類があるのだが、韓国には民間の銀行と、中央銀行と呼ばれる銀行の他にも、専門銀行と呼ばれる銀行が存在する。
中央銀行は、韓国銀行で日本で言うと日銀にあたる組織だ。では専門銀行は?というと、農林中央金庫と呼ばれる農協の上位機関みたいな存在が代表的だな。ビジネス分野を限定して銀行業を行うところだと理解して貰えば良いと思う。
韓国輸出入銀行は、輸入業をターゲットにした企業向けの銀行だ。

で、みずほ銀行はこの韓国輸出入銀行に5億ドル貸すことになった。慈善事業か!と思ったのは僕だけでは無いハズ。

韓国輸出入銀行 みずほ銀から5億ドル借り入れ

2013/08/21 18:01
【ソウル聯合ニュース】韓国輸出入銀行は21日、日本のみずほ銀行と契約を結び、5億ドル(約487億6000万円)を借り入れたと明らかにした。借入期間は5年。
まあ、僕の勝手な感想はともかくとして、2013年8月に貸して5年の期間が経過するとなると、2018年8月が返済期限と言う事になる。ああ、来年だね。
で、何故、みずほ銀行がこんな事をしているのかというと……。

韓国輸出入銀行との業務提携覚書締結について

株式会社みずほコーポレート銀行(頭取:佐藤康博)は、2011年9月7 日付で、韓国の政府系金融機関である韓国輸出入銀行(以下、KEXIM)とプロジェクトファイナンス、貿易金融、船舶ファイナンス等の業務分野における連携強化を目的とした業務提携覚書を締結しました。

一つは、2011年に結んでいる業務提携が原因だな。



もう一つは、ヘーベイ・スピリット号原油流出事故(2007年12月7日)に関係があると言われている。
この話、事故自体は珍しい話では無いが、規模は大きかった。韓国最悪の原油流出事故として記憶されているくらいだが、世界最大なのはエクソンバルディーズ号原油流出事件(1989年3月23日)で、流出規模はこれの1/3程度。それでも、10,800tの重油が流出したとされる。自然破壊の規模は甚大だったようだ。
ボランティア
韓国ではボランティアがかき集められて、軍人まで出動させ、大規模な清掃活動を行っている。

だが、一番の問題は、この後に起こされた裁判である。


事故は、停泊しているタンカーにサムスン重工所有のクレーン船式の艀「サムスン1号」とこれを曳航する3隻のタグボートが突っ込んだという、一方的なものであった。車で例えれば、10:0で一方的にサムスン重工側が悪い話になる。ところが、驚くべき事に、裁判(2審)でタンカー側に責任ありという判決が出てしまい、ヘーベイ・スピリット号の船長と、航海士の2名が収監される事態に。
まさに異常としか言いようが無い。
当然ながら、この頭のおかしな判決は国際的にも批難の的になるのだが、韓国の最高裁は控訴審において、控訴審判決を破棄。この結果、「サムスン重工業とベイスピリット船舶株式会社の各罰金3000万ウォンを宣告した原審はそのまま確定」するに至る。尤も、刑事事件の方はタグボードの船長が有罪で、ヘーベイ・スピリット号の船長と、航海士は無罪となっている。いや寧ろ、無罪になら無い理由が分からない。
で、この判決のとばっちりを食らったのが、ヘーベイ・スピリット号がかけていた保険の元請けであるロイズである。ロイズにとってはこんないい加減な判決で支払いを要求されるとは、と怒り心頭だったようで、韓国の船舶全てから手を引くに至る。尤も、これはネット上の噂に過ぎず、実際は韓国地域におけるアンダーライター(保険者の委託を受けて、保険の引き受けをする人)が空白になっただけなんだけどね。え?話は一緒だ?うんまあ、そうとも言う。

じゃあ、韓国の船舶は無保険かというと、そうではなく国内の保険会社が保険を受け持っている模様。とはいえ、韓国国内の保険会社が巨額の船舶事故損害の損失補填ができるかというと、それは不可能なので、ロイズが再保険を受け持っている用なんだけど。



その話がハッキリしたのがこちらのニュース。

韓国“自業自得”の苦境…英ロイズが客船事故の保険支払いを拒否 次期戦闘機も米の技術移転は許されず

2015.5.8 11:00
 韓国で昨年4月に起きたセウォル号沈没事故で、世界最大の保険組織・英ロイズ保険組合が保険金支払いを拒否する可能性が高いと現地メディアが報じた。
えー?これ読んだら、ロイズ、韓国の船の保険を引き受けてるんじゃ?と思う人はちょっと気が早い。
 セウォル号を運行していた清海鎮海運は、1人あたり3億5千万ウォン(約3850万円)の保険契約を韓国海運組合と締結していた。同組合はさらに三星火災とコリアンリという「再保険会社」2社の保険に加入。さらにこの2社は再保険引き受け専門の組織「ロイズ保険組合」(英国)に保険加入していた。
この構図、アンダーライター空白地の韓国では一般的なのか知らないが、「契約者> 韓国海運組合 > 三星火災+コリアンリ > ロイズ」という形になっている。
再保険の再保険と言うことだな。

これ、何が違うのかというと、保険料が違うのである。中間業者が増えれば増えるほど保険率はアップするわけだが、信用の置けない韓国の船舶は他よりも高額な保険料を支払わねば保険をかけられない構図となったわけだ。



この話を見てピンとくるのは何か?というと、韓進海運の話である。
一連の記事では、韓国製品のダンピングに一役買っていたおかげで赤字が累積したという話を展開している訳だが……。
国内国策企業からまともな料金を受け取れない以上に、高額の保険料を支払わねばならなかったことを考えれば、韓国の海運業が軒並み死に絶えそうな理由も頷ける。

そして、このとばっちりを再び受けているのが韓国輸出入銀行というわけだ。

韓経:【社説】産業・輸出入銀行の不良、政府は知らなかったというのか=韓国

2016年05月06日08時45分
  韓国政府が構造調整を支援するために、産業銀行と輸出入銀行の資本を拡充する代わりにこれら国策銀行に対しても強力な自救努力を要求してきた。海運・造船業者の不良融資が急増したことへの管理責任を問うて、リストラや年俸削減などを内容とする自救計画を提出するようにしたのだ。任鍾龍(イム・ジョンリョン)金融委員長は大宇(デウ)造船海洋の不良を把握できなかった2つの国策銀行に対する監査院の監査結果が出れば、それに相応する責任も問うと話した。当然のことだ。
メインでお金を貸している海運業界は瀕死の重傷で、造船業もまた同じ。
  しかし造船・海運業種に対する与信がすでに国策銀行に偏った状況で、他の業種の企業だけが被害を受けるのではという指摘もある。金融界の関係者は「造船・海運業への貸し出しの不良債権化が他の企業への貸し渋りに飛び火しないようにするべきだ」と話した。
こうした国策企業にお金を貸し出したいのに、原資が足りず、仕方が無いのでみずほ銀行から5億ドル融資を受けたと。



みずほ銀行は、新日本石油やJXエネルギーのメインバンクである。
2012年6月 8日

韓国における現地法人の設立について

  当社(社長:木村 康)は、7月1日(予定)に、大韓民国・ソウル市に当社全額出資の現地法人『JX Nippon Oil & Energy Korea Corporation』を設立しますのでお知らせいたします。
○韓国の製油所に比べ、日本の製油所は①規模の経済(原油処理能力の大きさ)や、②生産コストで劣後(差額2.78$/bblのうち、メンテナンスやエネルギーに係る変動費用の差が$1.54/bblを占める)。
○また、韓国の製油所は、輸出を念頭に設計しており、石油製品の海上出荷能力も日本の製油所よりも優っている。
http://www.pecj.or.jp/japanese/jcap/jatop2/pdf/index_jatop2_2-2.pdf

韓国が日本から原油を買っているという根も葉もない噂もあるようだが、政府が分析するように韓国は原油を中東から買っているし、その処理能力や生産コストで勝っているのが現実である。そして、ナフサ(原油を常圧蒸留装置によって蒸留分離して得られる製品のうち沸点範囲がおおむね30 - 180℃程度のもの)などを韓国から大量に買い付けているのは寧ろ日本側だ。
そうだとしたら新日本石油はなぜ韓国に現地法人など設置したのかという話になる。

JX日鉱日石エネルギー/韓国にパラキシレン製造工場を竣工

2014年10月24日 
JX日鉱日石エネルギーは10月24日、SKグローバルケミカル(SKGC社)との合弁会社であるUAC社が10月23日、大韓民国ウルサン広域市で、パラキシレン製造工場を竣工したと発表した。

パラキシレンはPETボトルの材料で、アジアでは需要が見込めるので韓国に製造工場を作ったという話なのだが……、これも不思議な話だ。

実のところ、日本国内では環境基準などの審査が煩く、用地取得も容易でないため、条件の良い韓国に工場を作って、アジアへの販路拡大を目論もうというのが日本の石油業界の思惑のようだ。



こうした事を考え合わせると、みずほ銀行は、日本の会社のリスクヘッジのために韓国輸出入銀行にお金を貸したのでは?という推測が成り立つ。或いは、更に何らかの有利な条件と引き替えにお金を貸した可能性はある。新日本石油の商品を優先的に扱うとか、用地取得条件を緩和するとか、まあ、色々あるよね。
当時、韓国輸出入銀行は相当お金に困っていたはずだ。今もそうだろうが。だとすれば、相当不利な条件でも呑んだ可能性はある。それは否定しない。

ただし、今のところその裏付けがとれていないので何とも言えない。もう少し材料が欲しいところだが、それでも荒唐無稽は話ではあるまい。
少なくともネットの噂であるような、「日本から石油を買っている」という構図では無いと思われる。

で、ここへ来て韓国輸出入銀行が赤字を出し、韓国の貿易関連が軒並みダメージを受けている事を考えれば、みずほ銀行も5億ドルが不良債権化するリスクが高くなったと言わざるを得ない。
焦げ付いた債務をどう回収するのかは見物だが、その時既に韓国が無い状況であったとしたら、丸損だろうな。

そういう意味では、みずほ銀行のリスク管理は甘かったと言うべきだろう。

追記 (2017/3/17)

燃料追加だ!

大宇造船社債の金利急騰... 流通利回り「80%→370%」

承認 2017.03.15 10:22:59

 大宇造船海洋の債務再調整の可能性が浮き彫りになり、満期を控え社債の価格が急落(流通収益率急騰)した。
 15日の取引時間中、流通市場で、来る4月21日満期の大宇造船海洋社債6-1回目の収益率が取引開始と同時に先日より290%も高い年370.908%まで上昇した。

韓国輸出入銀行が融資している大宇造船、社債の金利が急騰しちゃった!不良債権になることが確実な大宇造船海洋の社債が投げ売りされたって事ですな。

  • 前日の終値9千299ウォン → 7千301ウォン

社債の価格がここまで下落すると言うことは、もはや倒産か?と思われている状況だと言うことだ。

記事では支援されなければならない(でないと倒産するだろう)という予測がなされているが、その支援額がまた莫大である。

底抜け大宇造船... 6兆また投入

入力2017-03-15 18:54:25 | 修正2017-03-16 05:53:28 | 基本情報2017-03-16

政府と債権団が大宇造船海洋の新規流動性資金3兆ウォンを支援することとは別に、3兆ウォンの出資転換を推進する。大宇造船の昨年の純損失が2兆7100億ウォンに達し追加資本の拡充が必要なうえ、来年末までに3兆ウォンを超える資金不足の問題を解消するためだ。政府は、都市銀行と社債投資家が苦痛を分担を条件に、新規資金を支援する方針だ。

構造調整の可能性は低いとか言っているが、もはや底の抜けた樽に水を注ぐのと同じ状態で、年間10兆ウォン(1兆円規模)の支援がなされても、業務改善の見込みが無いという恐ろしい状態である。

 

更に問題なのは、大宇造船海洋が倒産してしまうと韓国海軍の船が更新できなくなるという。

 

いやまあ、それはさておき、韓国輸出入銀行がピンチである。産業銀行と輸出入銀行は、この大宇造に総額15兆ウォンに達する投資をしている。

今のところ、政府支援として4兆2000億ウォンが決定しているが、それ以上の支援をしない方針らしいが、支援しないのはほぼ無理だ。

 

4月21日満期になるのは社債4400億ウォン。7月に3000億ウォン、11月に2000億ウォンの社債が満期になる予定。

 

輸出入銀行自身も、去年には9379億ウォンの赤字を記録しており、法定管理(企業再生手続き)に入ったSTX造船海洋の引当金積立で業績への負担や、大宇造船に追加与信まで供給の可能性を考えれば、今年も赤字確定である。

5億ドルのお金、果たして無事戻ってくるんでしょうかね?

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コメント

  1. 東レも忘れないであげてください。
    中国への素材の輸出拠点にするつもりが今の様。

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    1. 東レは完全に失敗だったと思いますよ、あれ。
      その内、強制労働がどうのこうのといって、訴えられるんじゃ無いですかね?

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  2. 色々困った要素が満載ですね(^^;;;
    半島の方々には色々言いたい事もあるのですが木霊さんの解説でもう満腹ですから・・・半島については「因果応報」としか言えませんね。
    みずほ銀行については・・・なぜそんなリスクを・・罰ゲームでも科されたののでしょうか。
    これは日本の方々の資金に跳ね返ってくるので心配ですね「自称徴用工」へ対する賠償判決などが最近も出ましたがそんな国家にわざわざ餌を撒いてどうする!と言いたいですね。
    これも手痛いKの法則を身を持って経験するまで判らないのでしょうか・・・
    悲しいですね。

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    1. 多くの企業はあの国が未だ戦争中である事を忘れているのでは無いでしょうかね?

      リスクを過小評価して、工場を建てるというのはどう考えても失敗のように思いますよ。

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  3. 貸した金が返ってこないだけならまだ良いんですが(良くないけど)、その損失をなんとかしようとみずほ銀行がさらに追い貸しとか始めちゃうと泥沼に突入することに。
    確かみずほは東芝のメインバンクでしたよね?ヤバいんじゃないですかね。この件ではあまりオイラは笑えない気が・・・

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    1. みずほ銀行は、どこで損切りをするのか検討をしているのだと思いますよ。

      追い貸しは可能性としては薄いと思います。
      既に政府は韓国の方向を見ていませんし、支那から睨まれている地域です。とても将来性があるようには。

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