東芝はウエスチングハウスを分離

あまり知られていないことかも知れないが、経営再建中の東芝は米ウエスチングハウスを子会社としていて、原子力関連事業にも手を広げていた。ところが、原発の再開の目処も立たず、新規原発の受注見込みも絶望的である。
産経新聞はこんな驚きのニュースを出していたが、東芝の収益体制を悪化させている一因として、ウエスチングハウスの経営不振が影響していることがある以上、経営体質の見直しは必至だろう。

東芝、WH支援を韓国電力に要請 28日にも破産法11条申請

産経新聞 3/28(火) 7:55配信
 経営再建中の東芝が米原子力子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)への支援を技術協力関係にある韓国電力公社に要請したことが27日、分かった。WHは28日にも米連邦破産法11条の適用を申請する方向で調整する。東芝は破産法適用後にWHの株式を売却し、海外原発事業から撤退する方向だ。
韓国の原子力事情を考えれば、韓国電力公社が株式を取得する可能性はそれなりにあるだろう。間違いなく欲しがっている。だが、今、韓国側がこれを買うかというと、多分買わないだろうと思われる。



そもそも、何故、東芝はウエスチングハウスを買収する気になったのだろうか。

TOSHIBA ACQUIRES WESTINGHOUSE FROM BNFL

6 February, 2006
London, UK – February 6, 2006 – Toshiba Corporation announced today that it has entered into a definitive agreement with British Nuclear Fuels plc, under which Toshiba will acquire BNFL USA Group Inc. and Westinghouse Electric UK Limited (collectively Westinghouse hereafter). The acquisition, valued at 5.4 billion US dollars (approximately 621 billion yen), substantially expands the scale of Toshiba's nuclear systems business, positioning the company as a global competitor with world-class capabilities in the two most important standards for nuclear power systems: the BWR (Boiling Water Reactor) and the PWR (Pressurized Water Reactor).
2006年2月、東芝はウエスチングハウスを買収する。当時は、支那が国内に原発をたくさん作り始めた頃であり、アメリカでも原発を建てようという話が再燃していた。買収には意味があったのだ。

ウエスチングハウスへ追加出資、東芝が悩む「次の一手」

2011/9/13 7:00
東芝が傘下の米原子力大手ウエスチングハウス社(WH)の株式20%を追加取得することになった。売り手は米エンジニアリング大手のショー・グループで取得金額は約1250億円の見通し。
しかし2011年に株式追加取得した頃には、誰もが正気を疑った。3.11の事故によって世界中の原発需要が急速に冷え込んだのである。



結果から見れば、こうした一連の投資は失敗に終わったと言って良い。
そもそも、ウエスチングハウスの買収にあたって、54億ドル相当のお金を支払っているが、業界関係者は「相場の2倍超の金額を支払っての取得は、正気の沙汰とは思えない」と、東芝の戦略に疑念を抱いたようだ。
そして、ビジネス的にも失敗して赤字を出す状況に。それは、そもそもアメリカ国内での原子力需要が冷え込んでおり、「新規原発」というのも噂だけで立ち消えになってしまった程度には、筋が悪いものだったからだ。折しもシェールガス革命といわれた時代を迎えつつあったアメリカにおけるこの判断は、やはり疑いを向けられても仕方が無いものだろう。

東芝、ウエスチングハウスの減損総額は1156億円

2015/11/17 9:28
東芝(6502)は17日、子会社の米ウエスチングハウス(WH)が原子力関連などで計上した減損損失の総額が1156億円だったと発表した。東芝は12日、この減損損失が13億ドルだったと明らかにしていたが、今回当時の為替レートを基に各年度の計上額を詳細に公表した。
 東芝によるとWHは2012年度に約9億3000万ドル(当時のレートで約762億円)、13年度に約3億9000万ドル(約394億円)の減損損失を計上したとしている。
そして、赤字計上をし、東芝の経営そのものが立ちゆかなくなる事態に。

7000億円の損失抱え…東芝、米国の原発事業断念

中央日報日本語版 3/28(火) 9:55配信
悪の財政難に陥った東芝が結局米国の原子力発電所子会社を放棄する。日本経済新聞は27日、東芝の米国原子力子会社ウエスチングハウス(WH)が早ければ28日にも米国の裁判所に米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請する計画だと伝えた。WHは昨年原子力発電所建設の遅延などにより7000億円を超える損失を出し東芝全体を危機に追いやった張本人だ。東芝は当初WHを売却しようとしたが赤字まみれの企業に出資する企業は現れず、結局破産を決めた。
中央日報がこんな記事を報じているが、韓国電力が買収に否定的だという内容を強調している。
しかし韓国電力の趙煥益(チョ・ファンイク)社長は21日の記者懇談会でニュージェンの株式を取得する意向を正式に明らかにした。これに対しWH株式買収については「絶対にない」と線を引いた。
「絶対に無い」はあてにならないけどね。



ともあれ、東芝は出直さなければならなくなったわけだが……、東芝が原子力業界から足を洗うのか?と言う点に関しては懐疑的だ。
このブログでも取り上げた事があるが、東芝は次世代炉として4S(原子炉)を提唱している。

この4S炉はなかなかユニークな発想に基づいて設計されているが、今のところ実証炉すら作られていない。
また、放射性物質除去装置ALPSの開発にも東芝は一枚噛んでいて、これは福島第1原発の現場にも入っている。芳しい噂は聞かないが、この手の報道は嘘が多いので何を信用して良いのやら……。

ともあれ、東芝が日本の原子力技術の一翼を担っている企業であるだけに、こうした技術を失うには惜しすぎるという面がある一方で、日本で新たな原発を作る事が絶望的な今、無理に資金投入して原子力部門を生きながらえさせる必要があるのかという疑問は付きまとう。

ウエスチングハウス自体は、原子力技術を多数保有し、関連特許も有しているだけに、手放すのが惜しいという事情はあるだろう。が、東芝本体が生きるか死ぬかの瀬戸際である以上、この判断はやむを得ない。
尤も、この話がスムーズに行くかどうかはなかなか難しい所ではある。オバマ政権下ならばともかく、今はトランプ氏の時代で、大量の失業者を出す事態になるのは嫌われる。……どうする?東芝。

企業がここまでの規模になってくると、その保有する技術は国家財産とも言うべきもの。税金を投入して東芝を助けろとは言わないまでも、それをみすみす手放すのか?と言う点に関しては、黙って事の推移を見守る政府の対応を残念に思う。もちろん、介入すべきでは無いのだろうが……。

が、何れにしても東芝も、日本政府ももっと早くに判断しても良かったのでは?

追記
厄介な話を小耳に挟んだ。


ノビーのブログソースは話半分でも説得力はある。

だが、東芝が支那に原発を売りつける計画だったことは既に上で言及しているが、実際にAP-1000を支那に輸出している。それどころか、湖北省の咸寧原子力発電所、湖南省の桃花江原子力発電所、江西省の彭沢原子力発電所に建設が予定され、浙江省にある三門原発、山東省にある海陽原発では現在AP-1000を建設中で、これが遅れに遅れている。

また、支那がCAP-1000と呼ばれる国産炉を作る計画があるらしいが、これが実現するにはウエスチングハウスの技術が不可欠だ。


結局のところ、アメリカと支那との政治に欲をかいた東芝が巻き込まれたのだというのが、ノビーの見立てである。

これが本当だとすると、日本政府も当然ここに一枚噛んでいるわけで、厄介な話になっているな。



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コメント

  1. (^^;;;;はぁ~・・・何とも東芝は潔く死ぬ(破綻処理)べきですかね。
    よりによってK国などを頼りにするなど。
    原発を再稼働するも廃炉にするも、原子力技術は必要だと私は思っていたので
    いざとなれば・・税金投入もやむなしとまでは考えていたのですが・・・
    現実性は低いでしょうが・・・もし日本の原発の廃炉がK国の手にゆだねられるなどと言った状況だけは願い下げですから。

    しかしWH社はどうしたんでしょうか?私の記憶(あやふやですが)では、
    たしかWHは米軍の潜水艦や空母の原子炉なども手掛けていたのではなかったのでしょうか?
    盛者必衰なのでしょうか・・・

    いやはや・・・沈黙してしまう話です。

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    1. 良くも悪くも関わっては行けない国ですからね。
      記事を目にしたときにも、真っ先に考えたのはK国の法則です。

      まあそれはともかく、この話はなかなか厄介な状況を巻き込んでいる可能性が高いですね。安倍氏がトランプ氏と緊密に連携をとって、話を付けた方が色々と安全かも知れません。

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  2. あるけむ(R.K.M)@fwbc19652017年3月29日 6:09

    この情報は、日経の報道で知りました。そのとき思ったのは「リーマンブラザーズの二の舞にならないか?」ということでした。

    リーマンショックの引き金になったのは、リーマンブラザーズの破綻ですが、その原因は、韓国産業銀行が出資協議を一方的に打ち切ったことでした。
    このブログにも記事「アメリカに経済で喧嘩を売る韓国」で書かれています。

    韓国はUAEで原発の建設を行っていますが、東芝・WHからの技術供与を受けているようです。
    なので、韓国はWHへの援助を行わず、技術だけ奪ってポイ捨てする可能性があると考えてます。

    ただ、WHは空母や潜水艦用原子炉を製造しているので、米国としては消滅だけは避けたいはず。トランプ政権はどうするのでしょうか?

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    1. 追記のところに書かせて頂きましたが、かなり厄介な感じですね。
      韓国に介入されると面倒な事になるので、とにかく手を出させない方向で行って欲しいところ。

      UAEの一件では、たしかWHの特許技術を原子炉に使っていたとか言う話があったような。東芝からもコア技術がでている感じですね。原子炉に関しても核融合に関しても韓国との繋がりは深いようなので、その辺りは慎重にやって欲しいところ。

      アメリカはWHをどうするのでしょうねぇ?東芝が買収する際にも多分、アメリカがWHを潰したくないので、政府からの関与があった可能性も考えられます。何処かに買収させるにしてもWHの規模では色々と問題もあるでしょう。
      どうなるんですかね。

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