2017年3月9日木曜日

長野県、消防防災ヘリコプター墜落事件

このブログでは、事件性の高いネタは扱わないことにしているのだけれど。この問題は意外に深刻なのだと思ったので、扱うことにした。

長野県防災ヘリ墜落 男性3人死亡 2人意識不明

3月5日 22時43分
5日午後、長野県松本市と岡谷市の境界にある山に山岳遭難を想定した救助訓練をしていた9人が乗った県の防災ヘリコプターが墜落し、35歳と40歳の消防隊員ら男性3人が死亡しました。また、現場で2人が発見されましたが、意識不明の状態だということです。警察と消防は、天候の悪化などのため、救助活動をいったん中断し、6日に再開することにしています。
先ずは、被害に遭われた方のご冥福を祈りたいと思います。

この事件が発生したのは3月5日のこと。
長野県の消防防災ヘリコプターが墜落し、最終的には登場していた9人全員が亡くなっている。何とも痛ましい事故である。
事故現場
写真を見ただけで、搭乗員の生存は絶望的だと思われた。何故このような事故が起こったのかは、現在調査中であるようだが、ハッキリしたことは分かっていない。
 アルプス唯一のパイロットだった岩田正滋さん(56)は平成元年に操縦免許を取得し、9年にパイロットとして県に採用された。総飛行時間は約5100時間に上るベテランで、山岳地での救助経験も豊富だった。また事故当日の天候は晴れで風も強くなく安定していた。
 県危機管理部幹部は「現時点では墜落した理由はまったく見当がつかない。運輸安全委の調査と警察の捜査に全面協力しながら原因を究明したい」と話した。
http://news.livedoor.com/article/detail/12768584/

パイロットはベテランで、経験値は申し分無いと思われるが……。



さて、この記事を取り扱う気になったのは、以前にこんな記事を書いたからである。
ヘリ救助の有料化を考えているのは、埼玉県。この埼玉と隣接するように存在するのが長野県である。
埼玉県では防災ヘリ有料化の条例改正案を委員会で可決する流れに。

埼玉県防災ヘリ有料化条例改正案、委員会で可決 山岳連盟などは反対要望

2017.3.7 18:05
 自民党県議団が議員提案した県の防災ヘリコプターによる山岳救助で手数料を徴収する県条例改正案をめぐり、秩父山岳連盟と秩父観光協会が同県議団などに、改正案への反対や、より慎重な検討を求める要望書を提出したことが6日、両団体への取材で分かった。
ただし、山岳連盟などはこれに反対する意見を出している模様。その理由は、他の県との連携がとれているか?を疑問視し、埼玉県の山だけ有料だというマイナスイメージを避ける為なのだという。

……え?問題なくね?

まあ、個人的な感想はさておき、埼玉県でも過去に防災ヘリコプターの墜落事故は起きている。



先ずは記事を紹介しておく。

過去に岐阜と埼玉でも

会員限定有料記事 毎日新聞2017年3月5日 22時33分(最終更新 3月5日 22時44分)
 防災ヘリコプターの墜落事故は、これまでにも起きている。
 岐阜県高山市の北アルプス奥穂高岳で2009年9月、病死した登山者の遺体を収容中の県防災ヘリ「若鮎2」が墜落し、県防災航空センター職員3人が死亡した。

埼玉県の防災ヘリは、全国的に見てもレベルが高いと言うことらしいが、しかし、事故は起こっている。
 消防庁によると、全国の防災ヘリの山岳救助出動件数は一五年が千三百四十五件で、一一年の九百二十一件に比べ約一・五倍に増加。埼玉県では一五年度に十一件出動し、うち五件で救助が行われた。埼玉県警もヘリを持っているが、県警は主にパトロールや捜索活動に当たっており、救助は県の防災ヘリが担っている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017030202000251.html
そして、全国でヘリ救助の件数は1345件(2015年度)にも上る。うち埼玉県では11件に出動したのだとか。
 
で、長野県の出動はと言うと……。
 長野県内の山岳地帯で救助や救急の通報があった場合、これまでは計2機の県警ヘリと、消防防災ヘリが連携して出動してきた。県警によると昨年1年間の総出動回数は計240回。内訳は県警174回、消防65回、民間1回だった。
http://www.sankei.com/affairs/news/170307/afr1703070036-n1.html
65回なのだとか。



消火活動にも必要なヘリコプターが出動できないのは、消防としてもかなりの痛手だろう。
 消火活動ができるのは消防防災ヘリに限られており、昨年は12件で出動。山火事が発生しても、この状況では他県や自衛隊に頼るしかない。長野県は隣接6県と消防防災ヘリの応援協定を結んでいるが、阿部守一知事は6日、「協力県の範囲もできれば広げたい」と協定先をさらに拡大する考えを示した。
で、自衛隊や他県に要請を出す考えだと言うことを知事が言っているのだが……。

 登山シーズンには1日5件の救助要請があったこともあるといい、担当者は「当面は、主に隣県からの応援で乗り切るしかない」と苦渋の色を浮かべた。
1日5件の救助要請って、アホかとしか言いようが無い。

山岳救助にあたってヘリコプターの要請や、救助隊の編制というのはリスクを伴うものだと聞いている。
これの有料化へと舵が切られているのだが、救助隊員にしてみれば「命に値段を付けるのか」という想いがあるのかもしれない。
ただ、救急車の濫用の問題もあるように、気軽に山に登って気軽に救助を呼びすぎなのではないか?



今回の事故は訓練中のものだと聞いているので、直接は山岳救助とは関係が無いと思う。

到着の連絡なく捜索

国土交通省によりますと、長野県が飛行前に国土交通省に提出したフライトプランでは、訓練のため、午後1時33分に松本空港を出発し、午後1時53分には高ボッチ高原の臨時ヘリポートに到着する予定だったということです。
しかし、予定されていた到着時刻から30分経ってもヘリコプターから到着の連絡がなかったため、長野県警が捜索を始め、臨時ヘリポートのある山の斜面で機体を発見したということです。
しかし、費用の問題もそうではあるが、出動頻度やリスクのことを勘案すると、この問題はこのままで良いのか?という気がしてならない。
 
とはいえ、県警や他県との連絡もシームレスに行える必要があるし、山岳救助の要請があった場合に、それなりの確率で救護が必要になるケースがあるだろう。
消防の防災ヘリが出動する事そのものは、理に叶っていると言って良いと思う。
また、現地の消防が動く事も、地形や危険な場所を把握しているという意味で、必要な事だと思う。
 
だが、救助費用の自己負担を推進するとともに、機材の整備や人材の育成について、山岳の多い県が中心となってアライアンスを組み、国からある程度補助が出るような体制にならないものだろうか。今でも提携を結んでいる状況だとは聞くが、縦割りの弊害が大きい様に思えてならない。

もちろん、登山ブームが鎮火すればある程度の状況に落ち着く可能性はあるが……。



尤も今回の事件は、事故原因がハッキリ分かってこないうちに、アレコレ言うのは違う様にも思えるが、どうしても気にかかってしまうことなので、こうした記事を書いてみた。

何かの議論の切っ掛けになれば、と思う。



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4 件のコメント :

  1. UH-1(ベトナム戦争期)
    ベル412(民間転用)
    ベル412発展型(今回の墜落機)
    UH-X(次期陸自ヘリ:平成15年決定)
    という流れ。
    次期陸自ヘリのUH-Xに関しては、富士重工とベルの共同開発だが、そもそもは川崎重工による純国産に一度決まっていた。
    川崎重工による便宜供与疑惑が浮上し、ご破算となった背景もある。
    この疑惑自体は、いわゆる接待やら賄賂といったものでなく、ただ資料の事前提供だけであり、略式起訴にとどまっていた。

    軍事ヲタ的には、ベトナム戦争時代の改良型を使い続けるのには失望。
    個人的には、「コスト削減による民間販売、輸出販売を視野に」という選定基準が、いかにもお隣の国と全く同じであり疑問に思っています。

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    返信
    1. 川重のやり方が良かったかどうかと言われると、良くは無かったと思います。が、次期陸自ヘリの選定に関しては、色々な面で不満ですねぇ、僕も。

      どんな政治が作用したかはよく分かりませんが、ヘリコプターに関しては富士重工の件に関しても、おかしな話が多い印象。

      http://toyokeizai.net/articles/-/80320
      こちらの記事に僕が言いたいことはほぼ網羅されるわけですが、しかし今回の事故を受けてやり直し……、にはならないんでしょうね。

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  2. ううむ…まず無量はやめるべきですね。遭難保険を義務付けて、契約するか入山時の掛け捨て契約に入ってない場合、公的な救助を行わない!
    そもそも無量で助けて貰うのが当然と考えている連中こそ、命を粗末にしてる奴です。
    金はともかくクルーとレスキューが命を掛けて飛ぶ必要はありません。
    そもそも読図もコンパスの操作もできない初心者が森林限界を超えるような標高に行くのが間違ってる。里山だって危険はあるのに。
    レスキューウイングの隊員に話を聞いたことがあるけど、ヘリって皆が考える程に万能な航空機ではありません。ローターが岩壁や木々に接触しただけで墜落する可能性が高い。そして要請が重なると、クルーは疲労するのですよ。
    そういう事を考えず、安易に登って安易に救助を求める人は、ラーメン二郎の増し増しで半分以上のこす客と変わりませんね。

    因みにヘリコは静電気の塊です。
    万一に吊り上げで救助をされる時は、ホイスト装具を身につける前に地面または水面に接地してアースしましょう。
    さもないと強烈なショックを受けます。
    ヘリコがホバリングでなく地面に降りてくれる時は、必ず体を屈めて、一人づつ、パイロットの右前方から接近する事。傾斜が僅かにある場合、ローターに接触する可能性があります。
    それと夜間の場合、ヘリコが接近したら地面を、た照らすようにしませう。
    クルーが暗視ゴーグルを用いる場合、ライトで直接ヘリコを照らすと、彼らの救助を邪魔するどころ彼らも危険にさらします。普通は操縦者を照らさないと自動車を運転してる人ならば考えますが、遭難となると我を忘れる方が多いそうですから。

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    1. 前の記事に引き続き、コメントありがとうございます。

      現実問題として、完全に私有地となっている山もあるので、入山規制などをかけて行く事は色々難しい部分がある話だとは思います。入山ルートも色々ありますしね。
      ですが、有名な登山ルートなどは整備していくと共に、そうした保険の対象にするなどの措置が必要なのかなと。

      ヘリコプターの「静電気」の話は面白いですね。
      こうした知識も、多くの方には無いでしょうから、山に入る心得として広めて行けたら良いかなと思いますよ。

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