2017年4月12日水曜日

共謀罪は日本に不要か?

国際組織犯罪防止協定(TOC条約)とテロ等準備罪の関係について産経新聞が報じていたのだが、他のニュースに埋もれているようなの、ちょっと掘り起こしてみた。

「TOC条約締結は急務」公共政策調査会研究センター長・板橋功氏

2017.3.21 22:51

 国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結するための法整備として、テロ等準備罪を新設することに賛成だ。

3月21日の記事なんだけど、殆ど目にしなかった。他のメディアでは触れているのかな?


この板橋功氏なる人物は、「公共政策調査研究センター」という組織のトップで、テロに詳しいらしい。

日本をテロの脅威から守れ 共謀罪が必要な2つの理由

2015/12/11 20:36

 私は、二つの視点から共謀罪が必要であると考える。一つは、テロなどの国際的な組織犯罪を防ぐために有効であること、二つ目は国際的な協調の必要性である。

2年前の記事だが、既に共謀罪の必要性について説明を行っている。

 

そう言えばこの人、ダッカ人質事件(2016年7月2日)の時にも、何やら解説をしていたね。

公共政策調査会の板橋功氏「過激思想の広がり懸念」

2016.7.2 17:11

 国際テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功氏の話「銃撃してから外国人らを人質に取るテロ事件が増えている。ただ、身代金や拘束されている仲間の釈放といった要求がないケースも多く、人質交渉に当たる治安当局の対応の余地も狭まっている。

このブログでもダッカ人質事件の時には、事件の内容に触れている。。

簡単に説明しておくと、去る2016年7月1日にバングラデシュの首都ダッカにあるレストランがテロリストによって襲撃され、客を含む28人が死亡した。レストランに立て籠もった犯人達は、バングラデシュ軍を中心とした部隊の突入作戦によって銃撃戦に発展。犯人や人質の多くが射殺されている。

テロは、イスラム原理主義者によって引き起こされたとされている。


で、件の板橋氏は、共謀罪の必要性について説明している。

 

説明されている内容はそれ程目新しい論点では無いが、大部分の国民は知らないんじゃ無いかな?

冒頭のニュースでも触れているが、共謀罪が必要な理由としてあげられているものの中ででてくるのがTOC条約だ。

 

で、TOC条約って何?って話なのだが、簡単な話、世界的に組織的な犯罪を防ぎましょうという、そういう内容である。具体的には組織的な犯罪集団への参加・共謀、マネーロンダリングや司法妨害・腐敗(公務員の汚職)などを取り締まろうという内容。

 

実は、テロリズムの国際化というのは、今に始まったことでは無い。

「パイナップルARMY」やら「マスター・キートン」みたいなマンガを読んだ事がある人ならば、そうした単語も耳にしたことがあるだろう。

 

一般的なテロリスト等という表現が適切であるかどうか分からないが、何か政治的ば目的があって、その達成のために破壊活動を行うのが彼らのあり方なのだが、1970年代から、こうしたテロリスト達が「交換殺人」の様に他の組織の為に犯罪を起こすような現象が起き出した。

また、通常犯罪は国境を越えて問えない。これを悪用して、犯罪計画や準備は他国でやって、実行だけを本国で行うようなテロリストも増えて行った。

誤解を恐れずに言えば、これがテロリズムの国際化である。

 

「目的達成のために手段を問わない」のがテロリストの特徴だから、ある意味正常進化かもしれないのだが、「手段のために目的を問わない」という状況になりつつあるのは苦笑いしか無い。


しかし、国民を守る義務のある政府としては、これはイタダケない。

ドラマなどで、犯罪を起こして「海外に高飛び」というパターンがあるが、まあ、それと似たような話と考えて貰って差し支えない。

計画や準備を外国でやられると手も足も出しようが無く、ある日突然周到に計画されたテロが国内で実行されるのだからたまったものではない。

これは話が逆でも問題となる。外国で犯罪を起こすために日本国内で資金調達や計画・準備を行う。そして外国で犯罪を犯す。日本では日本の法律の範囲内でしか犯罪を取り締まれないから、実行が海外で行われると、逮捕などが困難になる。

もちろん、具体的な武器を用意しているのであれば、取り締まりようもあるのだが、その前の段階だとハッキリと計画が分かっていたとしても逮捕出来ないのである。

 

こうした状況を鑑みてTOC条約、或いはパレルモ条約は2000年11月15日に採択された。当然、日本もこれに署名した。

2016年現在で署名国は147国、締結国は187国。日本も2003年には国会で承認されたにもかかわらず、現時点においても批准出来ないでいる。先進7カ国で批准できていないのは日本のみである。


何故、TOC条約を批准できないのか?政府は何もやっていないのか?と、言う疑問が当然沸く訳だが、その答えがこちら。

FATF(金融活動作業部会)対日相互審査の概要が発表されました

10月15~17日ブラジルで開催されたFATF全体会合において、我が国の資金洗浄/テロ対策にかかる対日審査が行われ、対日相互審査報告書の概要が10月30日(木)にFATFより公表されました。

FATFとは、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会の略称で、マネーロンダリングを規制するための国際組織であり、本拠地はフランスのパリ。設立は1989年。

でまあ、日本はこれの審査を受けている。

日本は2008年にFATFの審査を受けて「40の勧告」で「部分的に遵守」9、「非遵守」9という判定を受けている。「9の特別勧告」では「部分的に遵守」6、「非遵守」1という判定だ。

この結果、TOC条約を受け入れる条件を満たしていないと判定された訳だ。

この辺りの話はこちらの記事でも触れているので2回目だね。

日本はテロ資金対策を行う国際組織の金融活動作業部会(FATF)からも、2度にわたり迅速な法整備を求められている。金融機関がマネロンに悪用されるなど、日本がテロ資金のループ・ホール(抜け穴)になる可能性があり、国際社会での信頼低下を招きかねない。テロ対策には情報共有が重要だが、条約未締結国との情報交換を他国が躊躇(ちゅうちょ)する事態も考えられ、早期の締結が必要だ。

http://www.sankei.com/affairs/news/170321/afr1703210031-n1.html

この辺りの話はこちらの記事でも明確に触れられているね。


さて、このブログでは日弁連が共謀罪の成立に反対していることは説明した。

反対理由は、簡単に言うと「頭の中を取り締まる法律」だから、という理由なのだが、これは恣意的な事実の曲解をしているためにこんな話になる。

そして、日弁連曰く、TOC条約は「新たな共謀罪立法無しでTOC条約を批准可能」であると結論づけている。

 

だが、これは嘘なのだ。

何故ならば、その話を真に受けた民主党政権が、TOC条約批准を試みて失敗しているからだ。実は民主党政権内でも、共謀罪を成立させようという動きがあった。

そしてその内容は、現状の自民党案と大差無い。いや、寧ろ自民党案の方が縛りがキツイ。

 

ところが、どこから反対を受けたかは知らないが、これは闇に葬られてしまって、民進党としては「共謀罪は不要」としている。

 テロ対策の法整備については「(現行法に)不備があれば必要最小限の範囲で、個別具体的な立法を行うべきだ」と抑制的な対応を求めた。

http://mainichi.jp/articles/20170222/k00/00m/010/093000c

大方、日弁連のロジックを採用したのだろう。

しかし、法改正無しで対応が出来なかった事を証明したのは、他ならぬ民主党自身なのだから。


日弁連は、法改正無しでのTOC条約の批准を求めている。

 

実際の所、ロジック的にはそれは可能なのだが、FATFで判定を受けた状況で、それが改善しないままの批准を行うと、「日本は信用できない」という状況を作り出してしまう。

条約の批准の手順としては、まず国会で審議し、同意を得た上で承認、公布を行って成立し、国際機関に批准書を寄託することで、国際的に正式に認定される流れになる。

FATFの判定を受けている以上、何もしないで批准すれば、この判定を覆すための説明をして、国際社会を納得させなければならず、日弁連は「それは判例ベースで説明できる」としているが……、日本は成文法の国なのです。都合の良い部分だけ判例法主義を採用しているよー、と説明できるはずも無いことは、日弁連が一番よく知っている話。

確かに判例は大切だが、しかし、日本は条文ベースで犯罪を裁くのが基本だと言うことを敢えて見ぬ振りをするというのが弁護士らしからぬというか、ダブルスタンダードと言うべきか。

 

よって、少なくとも共謀罪に準ずる法律を作らねば、TOC条約批准にまで漕ぎ着けられないことを考えれば、日本に「テロ等準備罪は必要である」と言えるだろう。



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10 件のコメント :

  1. 必要に決まってるでしょ!
    管理人さんのような聡明な方が。あえて疑問系で投げて来ることに疑問を感じます!!

    メキシコとアメリカの「麻薬戦争」を観てよ!
    私は国連の仕事をしていた姪の誘いで国境に行った事がある。全裸で頸を切断されて生殖器をエグられた死体が中吊りされていた。
    レイプツリーがあって、レイプされた女性の下着が木々に吊られていました!
    犯罪集団は刑務所で、左翼ゲリラと出会い、そこで彼等を参謀として取り込み、先鋭的な犯罪組織に発展したといいます!
    刑事犯罪か政治的犯罪かは、実は90年代からボーダーラインがあやふやになってます!
    それは知人の公案が言っていました。
    政治も犯罪も境界線が危うい時代に来ています。私が若い頃にはゴールデントライアングルという麻薬密造地帯が健全で(笑)、犯罪と政治的闘争が「同じ穴のムジナ」でした!
    区別を付けている場合ではありません!
    刈り上げの国が、偽造紙幣や覚醒剤を輸出していた事を忘れてはいけません!
    区別している場合ではありません!

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    返信
    1. 追記)
      人権屋は死ね!
      他に言うべき言葉はありません!

      削除
    2. あるけむ(R.K.M)@fwbc19652017年4月13日 7:39

      けるびむ様

      気持ちは分かりますが、落ち着いてください。
      人権屋や左翼的思考をする人の中にも、まともな人は(少数ながらも)いますから。
      問題なのは、「人権」「差別」「ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)」などの「道具」を使って、自己の思想を押しつけ、不正に利得を得ようとする連中です。
      「反日パヨクー在日朝鮮人」の連中が、それに該当すると考えてます。

      「反日パヨクー在日朝鮮人」は「部落」「アイヌ」「生活保護」などを利用して、不当な利益を得ているようです。
      最近では「保育園落ちた、日本死ね」もそうですし、学校給食のハラール対応を利用しようと「ムスリム」にアプローチしている連中の話もありました。

      削除
    3. >けるびむ様
      >あるけむ様

      人権屋の多くは理屈を自分たちの欲望のために使う習性があります。
      その総本山とも言える日弁連ですが、まさにやりたい放題ですね。

      そうした人々の耳に、論理的な話が通用するわけも無いのですが、世の中にはある程度は話が通用する人もいるわけで。
      日弁連が論陣を張る以上は、こちらもその根拠を突き崩すように丁寧に検討するのが筋であるとそう思っていますので、今回の様な流れにしてみました。

      必要性についてあえて疑問を差し挟むような必要は無いように見えても、必要性を疑問視している方々もいらっしゃいます。今回の記事はそうした人に欺されている人向けですね。

      削除
    4. あるけむ(R.K.M)@fwbc19652017年4月13日 13:03

      >けるびむ様
      >木霊様

      先の返信を書き込んだあと、偶然、人権派と人権屋を見分けるヒントになるつぶやきを見かけました。
      引用します。

      引用元)ニワカは相手にならんよ@niwakaha 氏のつぶやき
      >「私はパンを(少ししか)食べないでもいいから、困ってる子
      >にわけてあげたい」みたいなことを考えるのは自由だが、
      >リベラルの場合は、単に、周囲に「お前が食べるパンは、
      >困ってる子にわけてあげろよ」という自己の考えのコストは、
      >周囲の同胞におわせるわけですから、そらトランプみたいのが
      >生まれる
      twitter.com/niwakaha/status/852311907340091392

      人権派=自腹を切って困った人を助ける
      人権屋=自腹は切らず周りに金を出すよう騒ぐ。それどころか...

      ということでしょう。

      削除
    5. あるけむ様

      素晴らしい。お見事に定義されてます。
      何故にトランプが誕生してUKがEU離脱したのかを一言で現しています。物凄く納得しました。感謝いたします。

      削除
  2. あるけむ(R.K.M)@fwbc19652017年4月13日 5:20

    今年に入ってからですが、共謀罪についての共産党のビラを見て、笑いました。列挙されている項目が全て「犯罪行為」に関することなので...
    (画像のURLを貼ろうかとも思いましたが「共謀罪 共産党 ビラ」ググれば出てくるので省略)

    現在でも「予備」行為や「準備」行為の一部は罰せられる場合があります。
    (特定の罪状のみ対象)
    しかし、その前の「陰謀」「計画」段階は、処罰規定がありません。

    日本の「共謀罪」は、以下の考え方だと認識してます。
    ・「予備」行為や「準備」行為についても処罰することで犯罪抑止をはかる
    ・「共同謀議」行為を処罰する
    (具体化は「準備」段階と見なすというほうがわかりやすいのかな)

    具体的に、辺野古・高江の件で言うと、
    1.本土からデモ要員を送り込む計画を相談・立案する←「共同謀議」
    2.交通費・日当に必要な資金を調達する←「準備」
    3.デモ要員を募集する←「予備」
    4.交通費を渡し、現地に送り込む←「予備」
    5.デモ要員に道路を占有させ、工事を妨害する←「実行」(威力業務妨害)
    6.デモ要員に日当を支払う←「実行」
    こんな感じでしょうか。

    共謀罪は必要だと考えます。そして、それは思想を取り締まることにはならないと考えてます。
    野党4党や日弁連は、特定秘密保護法や安保法で散々難癖つけて反対しましたが、成立・施行後何か問題が起きたでしょうか?
    反対する理由は何でしょうか?裏があるのは明らかだと思います。

    参考)毎日新聞「兵庫県弁護士会 会長に外国籍の白承豪さん」2017年1月23日
    >兵庫県弁護士会(米田耕士会長)は23日、韓国籍の白承豪(はく・
    >しょうごう)さん(54)が、2017年度の会長に無投票で決まった
    >と発表した。

    返信削除
    返信
    1. 激しく賛成!
      治安を守り、国民の暮らしを保証する事と
      、思想を取り締まる事は、全く別物です。

      削除
    2. アレは一体何なんですかねぇ?

      僕も幾つかビラを確認しましたが、どう考えてものその理屈はおかしいというシロモノばかりでして。

      例えば、ネットで騒がれている民進党の質問にしても、「カレーを作ったらテロ等準備罪に当たるのか?」という意味不明なもの。
      これは、和歌山毒物カレー事件をベースに考えられているらしく、毒入りカレーを作るにあたって、カレーを作っただけで犯罪になるのか?という問いかけなのですが……。

      普通に考えたら、毒入りカレーを作る為には、毒の方も用意する必要がありますよね?この件では、亜ヒ酸と呼ばれる毒物が用意されていました。殺鼠剤などに使われる薬品ですが、これがカレーを作る現場に持ち込まれていれば、「準備」にあたるので、拘束されても仕方が無いでしょう。当然、逮捕の前提には毒物を入れる計画の存在が必要となるのでしょうが……。

      そうした状況で逮捕されて、死者が出ることを防げるとしたら、やっぱり必要だと思うのですよね。
      さじ加減一つで冤罪が増える可能性はありますけど。

      削除
    3. あるけむ(R.K.M)@fwbc19652017年4月13日 16:12

      >「カレーを作ったらテロ等準備罪に当たるのか?」という意味不明

      これですか...ばかばかしくて突っ込み入れる気にもなってません。
      和歌山毒物カレー事件をベースにしても「共謀罪」の問題点指摘にはなってませんね。

      >当然、逮捕の前提には毒物を入れる計画の存在が必要となる
      >のでしょうが

      もちろん、計画が存在する必要はあります。ただ、計画の存在を証明するには、それが「頭の外」(つまり、紙なり音声なり画像なり第三者が認識できる媒体)に出てこないとダメでしょう。

      そもそも、単独犯に「共謀罪」を適用できるのか?という話ですね。

      削除

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