2017年5月8日月曜日

EUと一蓮托生を選んだフランス国民

大方の予想通り、フランス大統領選挙ではマクロン氏が勝利したようだ。

「われわれの運命共同体、EUを守る」とエマニュエル・マクロン氏が勝利宣言 大衆迎合の流れ食い止める

2017.5.8 09:01
 フランス大統領選の決選投票で中道系マクロン前経済相が、極右の国民戦線(FN)のルペン候補に圧勝した。選挙経験も議員経験もない39歳が「未来への希望」を語り、英米で昨年相次いだ「自国優先」「保護主義」といったポピュリズム(大衆迎合政治)の流れを食い止めた。
フランス国民は、極右とレッテルを貼られたマリーヌ・ル・ペン氏を選びはしなかった。



これでEU解体の危機は遠退いたわけだが、しかし、根本的な解決には至ってはいない。
 国連安全保障理事会の常任理事国、先進7カ国(G7)のメンバーのフランスで「反移民」「欧州連合(EU)離脱」を唱える「極右大統領」が誕生すれば、排外的な政治傾向が世界に拡大しかねず、仏独を両輪に統合を進めてきたEUは解体の危機とも指摘された。
EUは遠からず瓦解する。

仏大統領選 マクロン氏勝利 極右政党のルペン氏破る

5月8日 9時16分
7日に行われたフランス大統領選挙の決選投票では、中道で無所属のマクロン候補が極右政党のルペン候補を破り、勝利しました。EU=ヨーロッパ連合との関係を重視し、移民の受け入れにも寛容なマクロン氏が勝利したことで、EUの混乱は避けられ、世界に広がる自国の利益を優先する動きにも歯止めをかけることになるのか、注目されます。
フランス大統領選挙は7日、決選投票が行われ、内務省によりますと、開票はすべて終わり、マクロン候補の得票率が66.06%、ルペン候補が33.94%で、マクロン氏がルペン氏を破って勝利しました。

得票率はマクロン氏が6割強を取得、ダブルスコアで勝利したことから考えても、マクロン氏の訴えはフランス国内で圧倒的な支持を得たと言って良いだろう。



ただし、フランス国内の景気の低迷は、前政権にて経済相に任命されていたマクロン氏の失敗がその一因であると言える。
前回2012年の大統領選挙で、オランド大統領の陣営に加わり、オランド政権では大統領府の幹部として働いたあと、2014年に経済相に就任しました。経済相として景気の低迷が長引くフランス経済の活性化のため「マクロン法」とも呼ばれる大規模な構造改革を進める法律を可決させ、商業施設の日曜や夜間営業の拡大や長距離バス路線の自由化などを実現しました。
しかし、政権の支持率が低迷する中、去年4月、左派でも右派でもない政治を目指すとして、「前進」という独自の政治運動を立ち上げたあと、8月に経済相を辞任し、大統領選挙への立候補を表明しました。選挙戦では、これまで政権を担ってきた社会党や共和党の候補者が失速する中、先月行われた1回目の投票では24%余りの票を獲得して首位となり決選投票への進出を決めました。
大規模な構造改革をやっておきながら、低迷の続くフランス経済を立て直すことには成功できなかった。
 
経済は色々な国との情勢でも大きな影響を受ける。グローバリズムを拡大すれば、更にコントロールは困難になるだろう。
これでEUという大きな枠組みが国のように機能するのであれば、EU圏全体での経済の立て直しを図ることが出来る可能性もあるが、そんな都合の良い話になるのであれば既に何らか結果に結びついているのだろうが、ご覧の有り様である。



難民政策は、多少手を加える気はある様だが……。

北部難民キャンプ撤去…英への「通過国」解消へ

毎日新聞2016年10月24日 10時32分(最終更新 10月24日 10時44分)
 【パリ賀有勇】フランス政府は24日朝(日本時間同日午後)、英国行きを図る難民・移民らが殺到してテント暮らしをしている仏北部カレーの難民キャンプの撤去に着手し、他の収容施設への移送を開始する。またパリ市は市内初の難民一時収容施設を月内に開所させる。いずれも地元住民との摩擦を解消し、フランスへの難民申請を促す狙いがあるが、フランスを「通過国」と見なす難民らも多い。
そもそも、フランスにおける移民政策は、移民達にとってはそれ程魅力的に映るものではないようで。
つまり、有能な人材がフランスに残るのか?と言う点については、かなり怪しい。
 「フランスでは難民申請はせず、英国がだめならドイツを目指す」。今年7月、「ジャングル」で毎日新聞の取材に応じたパキスタン人のモハメド・カーンさん(35)のように、他国への渡航希望者が、再び仏北部などの国境を目指す可能性もある。
移民達(記事の中では難民と表現されている)が理想としているのは、ドイツ、スウェーデン、イギリスらしい。
 欧州連合(EU)統計局によると、2015年の難民申請者は、ドイツは約48万人、スウェーデンが約16万人。フランスは、国境管理を厳格に行っている英国の約4万人よりは多いものの、約8万人にとどまった。
イギリスは、移民に対しても手厚い保護をすることで有名であり、一旦、移民として受け入れられてしまえば、老後は安泰という状況であると言われている。
ドイツは、経済的に好調であり、過去のトラウマもあって移民に対する迫害などはかなり厳しい目で見られている。つまり、移民達にとっては都合が良い国である。
スウェーデンは、多文化共生政策を推進してきた福祉国家であるので、移民の保護に手厚い。スウェーデン自身が、既に移民政策に行き詰まりを見せているにもかかわらず、国の方針としては未だに受け入れ歓迎なのだから始末に負えない。



EUにおける移民政策は、各国に混乱をもたらしているにも関わらず、止められないのだから、質が悪い。

スウェーデンのトラック突入、テロ容疑で男逮捕

2017/4/8 13:43
【ロンドン=黄田和宏】スウェーデンの首都ストックホルムで7日午後にトラックが歩道に突っ込んだ事件で、現地の警察当局は8日未明までに事件に関与した疑いで拘束していた男をテロ容疑で逮捕した。
スウェーデンでもいくつかのテロは実際に発生していて、問題となっている。日本ではあまりニュースを目にしないが、2010年に起きたストックホルム爆破事件や2014年、2015年に起きている性的暴行事件など、幾つか深刻なニュースも伝わってきている。
もちろん、「移民だから問題行動を起こす」などと言う積もりは無いし、既にスウェーデンの人口の15%以上が移民なのだから、移民による犯罪が特殊なものだという論拠になる話では無い。
ただ、「文化の違いによる摩擦」というものが起きるのは事実であり、それが凄惨な結果に結びついていることは、多くの人が知っている通りだ。

少なくとも急速な移民の増加は悲惨な結果をもたらすだけで、誰も得をしないのである。
フランス国民はその事をどう考えているのだろうか?
追記 (2017/5/16)
興味深い論説を見かけたので追記しておきたい。

「安倍首相が極右」という無知な人にルペンが極右の理由を教えよう --- 八幡 和郎

アゴラ 5/11(木) 16:09配信
日本の保守派では、ルペンの主張はそれほど極端なものでないのにどうして極右と言われるのかと疑問を持つ人が多い。一方、そのような発言の揚げ足を取って、「世界でルペンは極右だと認められているし、安倍首相も極右なのだ」という飛躍した珍説をはく人もいる。
ルペンについては、ひとことでいえば、「ルペンはフランスの政治を論じる場合には歴史的な定義に従って極右」ということだ。
コメントでけるびむさんに面白い視点での考え方を伺った。
この八幡和郎氏の論説も、「フランス政治を論じる場合には歴史的な定義にしたがって極右」と、説明していて分かり易い。けるびむさんの指摘とはベクトルが異なるが、根底にあるものは同じように思う。
それは、フランス革命以来の共和主義の伝統から少しはずれることがあるからだ。極右とか極左というのはそういう大革命理念とはずれるものをいうのであって、他の国と違うニュアンスが加わる。
ルペン氏は現在のフランスの方針や伝統からすれば、右側に大きく外れ「革新派」なのだと。

となるとだ、極左とか極右とか、保守とか革新とか、言葉のイメージに引っ張られて物事を判断するのは危険だと言うことで、フランスはあまりに右側に寄っていたルペン氏の考え方について行けなかった、それだけの事のようだね。



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10 件のコメント :

  1. 山田の案山子2017年5月8日 16:56

    自国の金融財政政策を捨てたのですね。
    好況の独は金融政策の維持でも良いでしょうが仏の若者の1/4人が失業状態の今、独自の金融財政政策が求められ、移民問題に不況が追い討ちを懸けることになりますね。
    単一ユーロは国別の金融政策を拘束し、財政健全化を声高に叫ぶドイツに振り回され不況克服の財政出動を妨げる事になる。
    ユーロ内で好況国と不況国都の国間での葛藤が激化し、マクロンの足元を掬う事になりかねません。
    結果的に自国の金融財政政策をユーロ加盟国に委ねたフランスの不況が更に長引く事になりますね。

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    1. 自分で考えるのを放棄した、と言うべきかも知れませんが、経済相がこんな政策を推進するあたり、もっと別の理由があるのかも知れません。

      既に自国だけで経済問題を解決するには、EUは巨大です。フランスだけで自分の負債を解消するというのは不可能なのでしょう。
      ジュースを泥水を混ぜて、後で分離しろというレベルの話ですからねぇ。
      イギリスのようには思いきれない事情があるのかとは思いますが……、強硬な外科手術に臨むべきでは無かったのかと。

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  2. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年5月8日 17:05

    EU(というかユーロ圏)の瓦解は遠くない感じですね。

    一つは、この記事にもある「難民」(と呼ばれる経済移民)の問題ですね。
    >毎日新聞の取材に応じたパキスタン人のモハメド・カーンさん(35)の
    >ように
    このパキスタン人は、パキスタンで政治的迫害を受けていたのでしょうか?
    (難民の定義は「難民条約」で定義されており、日本も批准しています)

    もう一つは「ユーロ」自体の問題と考えます。
    このブログにも書き込んだ気がしますが、「富の偏在」「ドイツ一極集中」「ドイツの一人勝ち」と言った方がよいかもしれません。

    通貨発行権を持つ通常の国家であれば、その通貨の価値を変化させ、貿易などの取引を正常化することが出来ます。
    しかし、ユーロ圏は単一通貨のため、圏内国家が独自に価値を変化させることが出来ず、対策が打てないという問題があります。
    そのため「ドイツの一人勝ち」状態が発生しています。

    この構図は「東京vs地方」に似ているのですが、決定的な違いは、「東京vs地方」は(不十分ながらも)日本国政府(中央政府)が東京から富を(国税の形で)吸い上げ、地方に分配しているのに対し、ユーロ圏はドイツから富を吸い上げ、他の構成国に分配するシステムがないことですね。

    その点、イギリスはユーロに参加しなかったことが有利に働いていると考えます。

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    1. ユーロは本当にヤバイ状況ですよね。

      当初、ユーロはもっと世界で大きな力を発揮できる、ドルに比肩しうる通貨になるハズでした。しかし、結局のところ、ドルの一人勝ちでEUの思惑通りにはなりませんでした。

      ドイツが一人、漁夫の利を得る展開になる事も、フランスの想定外だったような気がしますが、そこはドイツが上手くやったと言うべきなのかも知れません。

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    2. あるけむ様

      今回のコメントは凄く解りやすかったです。
      なるほどと!
      管理人さんも指摘されてますが、マクロンて前政権の経済相で、まぁ戦犯ですわね。
      ドイツ一人勝ちの構造から分配を確率しなけりゃ、EU内部の格差が突出してきて、そこに移民とテロが多発すれば、5年後にはルペン大統領も有り得るかも。
      楽しみにして待ちます。

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    3. あのう…イタリアとかどうでしょう?
      中小企業が地方にも都市にも健在で、まぁ規模が大きすぎない。それにブランド力を持つ企業が多いので。知人の開業組を見ると、バイク乗りが多くて、
      ドカティとかイタリア車やバイク好き多い。
      バッグから化粧品からコマい商品は多くて、世界的に人気がある。古代遺跡からルネサンスまで、とにかく観光資源は山盛りにある。
      国民は、ナンパしてパスタ食べてサッカーしてれば満足そうですし。
      結構にEU離脱しても何とかなるんではないですかね?

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  3. クリスチャンとしての大統領選挙評価)

    まぁ私の私見ですが。
    フランスってカトリック大国ですね。骨の髄にカトリック的な思考が染み付いてる。それがマクロンを選ばせたかなーと感じてます。大振りな話で恐縮なんなすけど。

    これプロテスタントそれもアメリカのWASPの先鋭的な連中を考えると解る易い。
    アングロサクソンて連中の優れた処はプラグマチズムです。実に実践的。
    それは、ぶっちゃけ「世界の始まりから終わりまで唯一神がデザインしていて、全ては最初から決まってる」て発想があるんです。
    それって隷属的でつまらない?
    いやいや逆なんですよ!
    主はデスノートみたいのお持ちで、そこに全てのデザインが決められているけど、その神のノートは人間は読む事が出来ません。
    そこで結果(運命)は決まってるけれども、俺らは知ることが出来ない。
    ならば何でも��で行こうぜ!
    そこで何をやろうと主がお決めになってるから、正しければ成功するし、過ちなら主が罰してくださるさ。だから戦争も科学も経済も「何でも有り」だ!
    まぁ、これが彼らのチャレンジ精神と言うか、フロンテァア精神というかパイオニア精神となる。

    で私しどもカトリックなんですが…これは神の声(聖典)をどー解釈するか…で権力抗争してきたです。
    その解釈を巡って多数派から逸脱した奴を異端として絶滅させる。
    するとですね、まぁ一度、決められたレールを死守するというか、大胆な改革よりも修正主義が幅を利かすのですね。根本はデスノートが前提にあるプロテスタントと違うて、「神の声は1つだけ」ですので。定説を覆すより、細部の見直して、修正で済まそうとする。百家争鳴しちゃうとローマ教会が分裂しちゃうから。
    そこに行くとプロテスタントは分裂を恐れません。
    本家と断絶しようと、ノートに書かれているのが私らの意見ならば、最後は我らが勝つから…と。

    えー……この辺の「真理に対する感度の違い」が、
    アングロサクソンのUKやUSAで、ああいう結果を産み出し、カトリックのフランスでは、現場維持しながら(ユーロ死守)、修正かけようと、マクロンになったのではないかと思うのです。
    政策を観ると。実はルペンの方が保守でも改革ですからねぇ!
    これがクリスチャンとして見解であります。

    返信削除
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    1. なるほど、宗教的に考えるという視点は日本人としては気がつきにくい訳で。勉強になります。

      だとすると、むしろマクロン氏こそ保守派で、ルペン氏は革新という切り分けになりますね。「右」とか「左」で論じると分かりにくいですが、何となく納得できる気がします。

      削除
    2. その通りです!
      言いたい事を要約していただきました。
      実はルペンこそ保守であり、ルペンこそが改革者なのです!
      私はロシアで日本の産業廃棄物を埋め立て資材として売り、支那で廃車を売ってきた大陸ゴロの出身です。管理人さんのような正当なエンジニアとは違うのです。
      でも、だからこそ民衆の本音の願いとうめき声が解る気がするのです!
      ロシアも支那もEUも民の嘆きと願いは変わらないです。皆が豊かで平和に暮らしたいのです。
      それは売却の商談でチャカを突きつけられ、現金を払えないから、トカレフ200丁と実弾一万発で勘弁してくれと脅された獣道ビジネスマンだからこそ感じる。
      良いでしょうか?
      国が混乱した時には、イデオロギーなんか糞なのですよ!
      その民族国民が長い年月で培った価値観や掟が表出するのです!
      マクロンを選んだのは、その価値観の許す処でした。だけど本当にフランスが必要としているのは、改革者ルペンでは?
      5年後を観ていろ!
      フランスが如何に経済成長しようと、グローバリストの尖兵であるルペンは、格差を広げるだけだ! 既に左派がデモしてます。
      どう考えてもマクロンの下では、格差が広がり、テロが蔓延する!
      その時にまで、ルペンが国民戦線の改革に成功していれば、フランスはナショナリズムに傾くでしょう!
      5年後を観ていろ、糞リベラルどもが!

      追記)
      実はマトモなルペンよりも、カリスマ性と地力を持つヒトラーみたいのが現れるかもね。
      その時は笑ってやる!

      削除
    3. 訂正)

      世界の始りから終わりまでシナリオがあるというのはプロテスタントでも「カルブァン派」であって、「ルター派」ではないようです。
      この全てが決まったらシナリオとうのは、当時の科学の最先端が「時計仕掛け」から来ていると思われます。
      これは錬金術とも関係するのですが、当時の科学技術の先端は「時計」でして。
      基本的に初動で設定されたならば、そのままに動き続ける「永久機関」が理想なのです。
      もちろん永久機関など存在はしないのですが、
      時計みたくコチコチと永久に初期設定で動き続けるのが理想でした。それが反映されてます。
      アングロサクソンについては、英国で蒸気機関が発明実用化されますでしょ?
      バネ仕掛けの「時計」に対して、蒸気機関はエネルギーを産出します。
      つまり初期設定とは関係なく、補充して動く。
      これがロマン派を産み出す訳で。
      これがカトリツクの永久機関的な、閉ざされた世界感に対して、能動的なフラグマチズムを生んだようです。

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