2017年6月6日火曜日

プーチン大統領の日本へのメッセージ

ふむ。こいつはまたストレートな物言いだな。

プーチン大統領 北方領土の軍備増強は米への対抗措置

6月1日 21時01分
ロシアのプーチン大統領は、北方領土でのロシア軍の軍備増強はアメリカへの対抗措置だと正当化したうえで、北東アジアでアメリカが軍事力の強化をやめるなど緊張緩和に努めなければ軍の撤収はできないという立場を強調しました。
個人的な認識としては「ロシアは信用できない国」という意識が大きいが、プーチン氏の発言は注目に値する。


先に、何故ロシアが信用できないか?と言う話をしておこう。
まず1つは1945年に起こった出来事についてである。
  • 1941年4月 日ソ中立条約締結:相互不可侵及び、一方が第三国の軍事行動の対象になった場合、他方は中立を保つことを定める条約
  • 1944年頃:ソ連を仲介者とした和平交渉の模索が日本側によって行われる
  • 1944年7月 東条内閣終了:7月9日のサイパン陥落の責任を取る形で東条内閣は総辞職
  • 1944年7月22日~1945年4月7日 小磯内閣:政権基盤をほとんど持たない小磯國昭が総理大臣として就任。米軍沖縄上陸の責任を取って内閣総辞職
  • 1945年2月 ヤルタ会談:ソ連がアメリカに対して対日参戦条件として、南樺太などの返還を求め、これが認められる
  • 19445年4月7日~8月17日 鈴木貫太郎内閣:結果的に敗戦を受け入れた内閣。天皇陛下に聖断を仰ぐに至った責任を取って内閣総辞職
  • 1945年4月:ソ連より日ソ中立条約の延長中止を通達される。これにより1946年4月で同条約は失効
  • 1945年7月26日 ポツダム宣言:日本に対する無条件降伏を求める宣言が行われる
  • 1945年8月8日:ソ連は日ソ中立条約の一方的破棄を通達。同日、対日宣戦布告を行う。モスクワの佐藤大使はこの決定を受けて日本に打電を行ったが、モスクワ中央電信局により日本電信局への送信は無かった。
  • 1945年8月9日 ソ連侵攻開始:157万の軍勢で満州国に侵攻開始
  • 1945年8月14日 日本がポツダム宣言受諾:日本政府は宣言の受諾を駐スイス及びスウェーデンの日本大使館経由で連合国側に通告
  • 1945年8月15日 日本の降伏:日本の降伏宣言によって敗戦が決定
  • 19445年8月17日~10月9日 東久邇宮内閣:敗戦処理を行った内閣。唯一、皇族が首相となった内閣である
  • 1945年8月18日 千島列島への侵攻開始:日本の降伏を受けてなお、ソ連は対日戦闘を止めず、樺太から千島列島に進軍するに至る
  • 1945年9月4日 降伏文書への調印:アメリカ戦艦ミズーリの甲板上で、ポツダム宣言を受諾する旨の文書への著名が行われる。同日、ソ連の撤収が始まる
ザックリまとめたが、ソ連側の都合によって日本に対して侵攻が行われ、それをアメリカが黙認していた、というのが史実である。
日本にとっては、この行為は既にポツダム宣言の受諾を決めた段階でのだまし討ちとも言える行為であり、ポツダム宣言受諾を通達してなおソ連は日本に対する侵攻を止めなかった。

戦争なので、相手に「フェアネス」を求めることが間違っていることは理解しているが、日本が劣勢に立っている状態を知っての凶行、そしてシベリア抑留へと繋がった歴史を、僕は忘れてはならないと思う。


もう1つロシアが信用できない理由、それは、サハリン2の話がある。
サハリン2事件は2006年9月の出来事で、簡単に言うとロシアの天然ガス液化プラントに手を出した日本企業が、完成間近で難癖を付けられて撤退を余儀なくされ、ロシアの政府系企業のガスプロムに横取りされてしまった。

ガスプロムが巨額の利益をあげている事実は言及するまでも無いが、半国営企業で政府の意向を受けて色々と画策する企業でもある。
そして、ガスプロムなどの企業トップは、プーチン氏の側近でもあるという。

以前、安倍氏とプーチン氏の会談の中で共同経済活動についての言及があった。

共同経済活動は「歴史的」 ロシア国内、“主権は露”認識広がる

2016.12.16 20:16
 【モスクワ=黒川信雄】安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が北方領土における共同経済活動の開始に合意したことは、露国内で驚きを持って受け止められている。ただ露側は、共同経済活動について「ロシアの法に基づいて行われる」(ウシャコフ大統領補佐官)と説明しており、露メディアの報道からは、日本が四島の主権問題を棚上げし、ロシア側が従来から提案していた共同経済活動案に同意した-との認識が伺える。
安倍氏は「新しいルールに基づいて」と説明したが、ロシア側はロシアの主権を認めた上での経済活動だという認識を示した。ロシア主導で行われれば、どんな詐欺的な手法が持ち出されるか分かったものではない。

コレについてはウクライナ辺りから忠告が来ていたな。

日本は「領土問題で妥協するな」=プーチン氏に警戒を-ウクライナ国会委員長

2017年05月20日 15:22
【5月20日 時事通信社】ウクライナ最高会議(国会)のハンナ・ホプコー外務委員長は時事通信とのインタビューで、安倍晋三首相が意欲を見せるロシアとの北方領土交渉に関連し、「日本の国益を理解する」とした上で、日本政府に「主権と領土の一体性の問題であり、妥協しないことが重要だ」と訴えた。さらにロシアのプーチン政権との交渉には警戒が必要であることを強調した。
まあ、言われずとも、警戒すべき話だ。


そんな訳で、ロシアのことをそう簡単に信用するのは愚か者のする事だ、と、僕は思う。
北方領土とは
そして、こんな話も出ていた。

日露、天然ガスのパイプライン協議へ ロシア企業が実現強く求める

2016.11.30 17:22
 ロシア政府系天然ガス企業ガスプロムの経営陣が12月中旬の日ロ首脳会談に合わせて来日し、日ロ間のパイプライン建設に向けて日本企業と協議する方向で調整に入った。日本側は巨額の建設コストや不透明な需要見通しを理由に建設に難色を示しているが、ロシア側は実現を強く求め、巻き返しを狙っている。
いやもう、バカも休み休み言えと。
こんな事ならば、まだメタンハイドレートの開発に資金を投入した方がマシである。

パイプラインをロシアから日本に通すという話があるが、現実的にはロシア共闘地域の何処かまでガスパイプラインを引いて、そこからLPG輸送船で輸送するというのが現実的なラインであろう。
海底を通してガスパイプラインでガスを供給するというのは、凡そ現実的では無い。世界にも実例が無いし、メンテナンスのことを考えるとどうあっても実現は怪しいからだ。

そうした話を念頭置いて、冒頭のロシアからのメッセージを理解していこう。
この中で、プーチン大統領は、北方領土でのロシア軍の軍備増強などについて質問されたのに対し、北東アジアでは、アメリカが北朝鮮情勢を口実に韓国などでミサイル防衛システムの配備を進めていると答えました。
そのうえで、「これはロシアにとって懸念で、対応しなければならない。脅威を抑えるためには、島々が便利だ」と述べ、北方領土での軍備増強は、ミサイル防衛システムの配備によってロシアの核戦力を無力化しようとするアメリカへの対抗措置だと正当化しました。
また、プーチン大統領は「島々が日本の主権下に入れば、アメリカ軍が展開する可能性がある。島々に軍事基地やミサイル防衛システムが配備されることはロシアにとって全く受け入れられないことだ」と述べ、北方領土を引き渡した場合、アメリカ軍が展開すると懸念を示しました。
確かに、日本がアメリカの同盟国であると言う状況下において、北方領土に攻撃型のミサイルなど配置されては、ロシアにとって厄介極まりない話になる。
ただ、注意して頂きたいのは、ロシアが懸念しているのは「ミサイル防衛システムの配備」まで含むと言う点である。
ミサイル防衛システムを配備したくらいで、「脅威」等と言われるのは理解出来ない話。
そして、この理屈は日本の首都にミサイルで狙いを付けているロシアが言うのだから、何というか馬鹿にされているというか。


とはいえ、THAADのセットに含まれるXバンドレーダーはその探知範囲が広く、ロシアにとっての懸念事項になる事はある程度は理解出来る。
ただ、そうであるならば、監視衛星を打ち上げただけで毎回ぶうぶう言ってこなければおかしいのだが……、そうした話は殆ど聞かない。
そして、探知方向が限定的ではあるが、既にXバンドレーダーだけならば青森の車力駐屯地に配備されている。まさに今さら感が高い話だな。

尤も、確かに日本がアメリカの言いなりになるようなスタイルでは、ロシアとの協力体制を築けないという意味においては色々と不都合が多い。
それに、自国の防衛は自国で行うべきであり、それがままならないからこその集団的自衛権ではあるが、そもそも共闘してくれると信頼される様な立ち位置になる為にはそれなりの自衛手段を有し、攻撃手段を有していなければならない。

まあ、ハッキリ言えば、日本の防衛指針として掲げる「専守防衛」なんぞクソ食らえという話。

そんなわけで、プーチン氏のこの発言に対して、「ロシアなんて信用できない、クソ食らえ!」となにも考えず拒絶するのは簡単だが、少々早計である。
これまでは、ロシアからこうした発言が出てこなかった背景を探り、ロシアと連携が採れる方策を練るのは、日本にとって悪い話では無い。ロシアは痩せても枯れてもアメリカと肩を並べるほどの大国であった時期がある。国際的にも影響力は強いのだ。
そんなロシアの協力を一部でも取り付けられれば、外交的な切り札に成り得る。が、そうした外交手段を行使するためには、どうしても相手となるロシアに舐められないだけの戦力を必要とする。

日本がロシアとの関係が築けない背景には、間違いなくアメリカの意向がある。不必要にロシアに近づくな、というアメリカの意思は、アメリカの都合でしかないわけで。
日本の軍備拡張が疎かになっている背景にも、やはりアメリカの介在がある点は否定できない。「戦後レジームからの脱却」を実現する為には、ある程度の軍備拡張は不可欠なのだ。

プーチン氏からのメッセージをどう受け取るかは、日本次第なんだな。


ランキングへの応援クリックよろしく!
にほんブログ村 ニュースブログ 時事ニュースへ







3 件のコメント :

  1. ロシアか…私は冷戦時代の北部方面隊の出身者ですから奴等は敵という意識があります。
    信用できんと言われるのは大いに賛成!
    でも、いや、だからこそ、利露の為に考える事はあるだろう? という意見に賛成!
    とはいえ裏付けになる軍事力が必要なのは、さらに賛成します。
    用ユダヤの為に、日本軍が「河豚計画」を立てた事がありますが、用する相手を河豚=猛毒に例えた事は納得があります。用露するのならば、猛毒の相手を料理する覚悟は必要です。
    その裏打ちになるのが防衛力であるとされるのも賛成であります。相手はロシア人ですからね。

    返信削除
    返信
    1. 信頼できない相手でも利用する、は外交では絶対に必要ですから。

      そして、外交のツールが軍事力なのですから、避けては通れない道ですよ、防衛力の強化は。
      ただ、何処でブレーキを踏めば良いのか?という事は常に考える必要はありますけどね。

      削除
    2. ブレーキすか。それは大切ですね。戦闘が開かれてしまった時に、やるより収める方が難題ですからね。
      その為にはきちんとした諜報機関を設けるべきと思いますね。情報と正しい分析がなければ、
      交渉はできないと思うので。

      削除

お気軽にコメントを!ハンドルネームは面倒でもお願いします。