米イージス艦にフィリピン船籍コンテナ船衝突

大変な事件になったが、ニュースの姿勢は大概だな。先ずは犠牲になられた方のご冥福を祈りたいと思う。

<米イージス艦衝突>ハイテク艦、脇腹弱く

6/19(月) 6:50配信
 イージス艦は艦橋にある高性能レーダーで数百キロ離れた複数の空中標的を同時に捕捉できるとされるハイテク艦だ。ただ警戒などの任務中でなければ高性能のレーダーシステムが使われることはなく、事故当時も通常の船と同じような航海用のレーダーを使っていたとみられる。
スゴイ見出しだが、ほぼタイトル詐欺である。



船の構造に詳しいと言うわけでも無いので、多少的外れなコメントを付けたりすることもあるかもしれないが、その辺りはご了承願いたい。

で、まずタイトルの「ハイテク艦、脇腹弱く」だが、んなもん、当たり前だろーが
フィッジジェラルド
 今回の事故ではイージス艦の右舷が大きく損傷した。最近の軍艦は、速度が出るよう装甲は薄くなっている。「船は一般的に船首が一番強く、脇は弱い。船首が脇腹に突っ込めば大きな損傷が出る」(防衛省幹部)という。
記事の中にきちんと説明があるが、今回の様なケースで脇腹から衝突をされた船舶が大きなダメージを受けることは、ある意味当然なのである。

そんな当たり前の事をタイトルに付けちゃう神経がよく分からない。


報道の中身もたいした事は無いのだが、それぞれの船の写真が公開されているので、紹介しておきたい。

脇腹
コンテナ船

やられた脇腹と、コンテナ船の船首だが、船首の方は殆どダメージが無い様子が分かる。

曳航中

引きで見ると分かるが、全体的に見るとイージス艦に大きな損傷がある事が分かるが、それでも死者を多数出したような事故の痕には見えない。こうやってみると、巨大なコンテナ船がぶつかった割には、ダメージが少なくて済んだというレベルでは無いのだろうか?

米イージス艦衝突事故 艦内で数人の遺体発見 捜索は終了

6月18日 18時43分
17日、静岡県の伊豆半島沖でアメリカ海軍のイージス駆逐艦とコンテナ船が衝突した事故で、アメリカ海軍は、行方不明になっていた乗組員と見られる数人の遺体が艦内から見つかったことを明らかにしました。
~~略~~
アメリカ海軍によりますと、イージス艦は右の側面が激しく壊れて、乗組員の居住スペースや機械室などが浸水したということです。
艦内の水を抜きながら捜索を進めたところ、居住スペースで、乗組員と見られる数人の遺体が見つかったということです。
ただ、ピンポイントで居住室がやられた為に、今回の惨事を招いたようだ。



船舶の事故の場合は、交通事故などとは少々毛色が違う判断が必要となるため、事故の報道を見てどちらが悪かったかというのは一概に言えない。

交通事故であれば、脇腹をえぐられるような事故の多くは、衝突した側の前方不注意という結果で終わることが多い。
ただ、船の場合は衝突した側が巨大なコンテナ船である事情を考えると、場合によってはイージス艦側に回避義務があったという可能性もある。

比較

毎日新聞が大きさの比較を出しているが、排水量は3.5倍以上と、圧倒的にコンテナ船の方が大きい。そうなると、一般的に小型の船舶の方に回避義務が生じる。

衝突イメージ

だが、この図を見ると、イージス艦がコンテナ船の前を無理矢理横切ろうとしたかのように見える。図を見てやっぱり、イージス艦側が悪いのでは無いか!といきり立つ人もいるだろう。

が、実際にどうだったのかはハッキリしたことが分からない。なぜならば、あたご事件でも随分と印象操作を目的としたおかしな図が作られて、報道されていたからである。

ただ、今後ハッキリしたことが分かるかというと、日本の海上保安庁にはかなり高いハードルが設定されることになる。

今後の捜査どうなる 地位協定、機密の艦体…米艦捜査に高いハードル

2017.6.17 21:54
 米海軍イージス艦とコンテナ船の事故は日本の領海内で発生したとみられ、海上保安庁に捜査権があるが、日米地位協定という高いハードルが立ちはだかる。それに加え高性能のイージス艦は「機密の固まり」(防衛省幹部)。米軍が捜査に協力しない可能性も高く、原因究明がどこまで進むかは不透明だ。
イージス艦の性能を開示することは難しい他、そもそも日米地位協定によって日本の海上保安庁が勝手に捜査することが出来ない。
 海保幹部は「イージス艦は米軍の調査が先行するので、日本側が捜査できるようになるまで時間がかかるだろう。当面は淡々と貨物船側の捜査をするだけだ」と語った。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170618-00000059-asahi-soci
そして、コンテナ船側の証言は、「真っ直ぐ航行していた」というような証言が出るのだと予想される。「前方の監視もしっかりしていた」と、主張するだろうし、双方の主張を比較した上での矛盾を突く捜査手法は使えないと思われる。
つまり、捜査の進展は見込めないだろう。だが、事故の再発防止を望むのであれば、しっかりとした捜査が必要となる。
現時点でどちらが悪いと言うことは言えない状況ではあるが、そのうち事件は報道されないうちに沈静化してしまうのかもしれない。そうなったときに不利益を被るのは国民だ。何となく、イージス艦が悪そうという、それだけの情報が刷り込まれて終わってしまうとしたら、実際にはコンテナ船側に問題があっても追求できず、次の事故を起こしてしまう可能性だってある。
追記 (2017/6/19)
コメントを頂いたので、記事を追記しておく。

米イージス艦衝突 海上保安庁が回避義務など調査へ

2017/6/17 10:34 (2017/6/17 14:06更新)
17日午前2時25分ごろ、静岡県下田市の南東約20キロの沖合で、フィリピン船籍のコンテナ船から「アメリカ海軍の船と衝突した」と第3管区海上保安本部(横浜)に通報があった。同本部や米海軍によると、イージス艦は右舷の艦橋付近の損傷が大きく、乗組員3人が負傷、7人が行方不明になった。
~~略~~
 衝突時、コンテナ船は名古屋港から東京方向へ向かって航行中。インターネット上で公開されている船舶自動識別装置(AIS)の記録によると、コンテナ船は事故直前には18ノット(時速約33キロ)前後で東向きに航行していたが、午前2時ごろに減速し始め、反時計回りにUターンした。イージス艦側の針路は判明していない。

コンテナ船、事故直前で18ノット前後だと?!
イージス艦側の方はAISに記録されないので仕方が無いとして、事故は2時25分頃に発生し、コンテナ船が減速し始めたのが2時頃で、反時計回りにUターンとあるので、イージス艦に気がついて減速したが、減速が間に合わなかったという可能性が高そうだね。
acx_2
acx_3
AISの使い方がイマイチ分からないので、画像をお借りしてきた。
UTC表記なので、記事の時間と異なるが、日本との時差は-9時間なので、事故発生は1時半頃という話に……。ん?
 事故は17日午前1時半ごろ、石廊崎の南東約20キロ沖合で発生。フィッツジェラルドのブライス・ベンソン艦長ら3人が負傷し、ヘリで米軍横須賀基地に搬送された。コンテナ船のフィリピン人乗組員20人は無事だった。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017061700398&g=soc
おかしいな、他の新聞と共同通信では事故発生時刻が1時間違う……。
ともあれ、AISの情報通りならばコンテナ船は16:28UTCから16:33UTCの間に直角に近い移動をしていて、直前が18.5ノットだと言う事になる。
コンテナ船が3万t近い重量だったことを考えると、時速30km以上のスピードは確かに脅威だろう。F=(mv^2)/2という物理法則を考えれば、当然である。


ランキングへの応援クリックよろしく!
にほんブログ村 ニュースブログ 時事ニュースへ

コメント

  1. 山田の案山子2017年6月19日 12:59

    アメリカローカルルールと違い国際ルールですとイージス艦が回避行動執るべきなんでしょうが、「カネ出せ」となったら保険屋はスンナリ出すんでしょうかネ?

    返信削除
    返信
    1. 本件の場合、イージス艦に回避義務があったかもよく分からないのが現状でして。

      多分、イージス艦側に義務があったのでは?レベルですかね。
      ただ、保険屋は金を出し渋る気が(汗

      削除
  2. 記事読んで、20ノットでの衝突・・・・船がわかる人間にとっては空恐ろしくなります。ほぼ、巡航速度ですよ。自動車感覚で40kmでの衝突といっても、大したことがないように感じますが、船同士は巨大な質量同士の衝突ですからイージスは沈没してもおかしくない状況だったと思いますね。

    返信削除
    返信
    1. コメント頂いて、追記させて頂きました。

      速度はあまり気にしていませんでしたが、18.5ノット出ていたという記録になっている様ですねぇ。
      イージス側はダメコンで必死だったみたいな記事がありましたから、大混乱だったと思いますよ。

      引きの写真を見ると大したことは無さそうに見えますけど、損傷部は結構潰れていますから、危なかったかも知れません。

      削除
  3. そうですね。昔の軍艦には船首に衝角という武器があって、こいつで敵艦の腹に喰らわして沈めたそうですね。横っ腹が弱い証拠ですね。
    帆船時代の軍記を読むと、「喰らわす」のは砲撃に変わるのですが、それは敵艦を拿捕する為で。
    乗っ取った敵艦を競売してクルー一同に利益を分配した為です。敵の甲板上を殲滅して、斬り込んで乗っとると商品価値が高いからだそうです。
    既に脱線してますが一つ。
    帆船時代の軍記物語は、英語では敵艦はhe表記なのですね。これが斬り込んで乗っとると.sheに変わるのです(笑)
    艦砲射撃は「商売」で始まっており、撃沈する為ではなかった。沈めるだけなら船首の衝角で体当たりってのが19世紀初頭までは基本実だったらしいです。そんだけ船首は強くて、横腹は弱いという証明ですね。
    船体が木材から鋼鉄やFRPに変わろうと、海の上で動く建造物な以上、その物理的な法則は変わらないと思います。つまり横っ腹に頭突きされるのが弱いのは当然じゃんかよ!と。
    ここで反日マスゴミが騒ぐのは非常に彼らの歪んだ政治的理念を「アメリカは頼りにならん」てな、
    洗脳目的を感じますね。
    テキトーな木慈を書く前に、英国海洋冒険小説の一冊でも読めや!
    かように感じます。

    返信削除
    返信
    1. 追記) フランスに嫁いだ従姉妹の旦那の親友がアメリカズカップのスペイン代表のスキッパー(艇長)でした。
      従姉妹の娘の洗礼式に出席した時に、言語学者の兄貴の通訳で話を聞きました。
      F 1でもラインを取る為に車体をぶつけるバトルするレーサーがいるように、ヨットでもバトルがあるそうです。
      でも、横から船腹をぶつけるのがルールで、絶対に船首を相手の船腹にぶつけては成らないそうです。それをやると「海賊」と言われるそうです。
      如何に構造的に船腹が弱く船首が追突に強いかを物語ってますね。
      そういう話を無視して報道する連中は、実に「裏打調査」しない連中なのかが解ります。これからも木霊さんには、こういう自分の不勉強を棚に挙げて、非科学的なモノを言うマスゴミを突いて乾飯ものです。

      削除
    2. 「イージス艦が頼りにならない」
      「イージス艦は役立たず」
      「最新鋭でも、この程度」
      というストーリーありきの報道なのでしょう。

      車でも側面からやられたら大破は免れないでしょうし、乗り物であれば大抵脇腹は弱いですよね。

      削除
  4. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年6月21日 1:58

    船の大きさを「トン数」で単純比較して判断するのは、違和感があります。

    イージス艦(アーレイバーク級フィッツジェラルド)は「満載排水量」(≒水の重量)、コンテナ船 ACX Crystalは「総トン数」(≒船の容積)が単位なので、直接比較は出来ないと考えます。
    参考)川崎汽船「船のトン数の話」

    コンテナ船 ACX Crystal のほうが大きいとは感じますが...

    あと、衝突後フィッツジェラルドが傾斜していた理由として、ACX Crystalの船首より先まで突き出したバルバス・バウ(球状船首、水面下の球状の突起)が衝角と同様の効果を出し、浸水した可能性が指摘されてました。

    返信削除

コメントを投稿

お気軽にコメントを!ハンドルネームは面倒でもお願いします。