2017年6月29日木曜日

人工衛星「みちびき」と北朝鮮

先日だが、みちびき3号を打ち上げるH2Aロケットの胴体が公開されていた。

H2Aロケット胴体を公開

日本版GPSの衛星搭載

2017年6月27日 午後7時04分
 三菱重工業は27日、H2Aロケット35号機の胴体部分を飛島工場(愛知県飛島村)で報道陣に公開した。日本版の衛星利用測位システム(GPS)をつくるための政府の衛星「みちびき3号機」を搭載する。
こんなのがニュースになるのか、と思っていたが……。



先ずは、公開された胴体である。
胴体
こうしたロケットの胴体の公開は、打ち上げ毎にやられているかどうかは知らないが、それほどニュースの価値があるとも思えない。
最近のH-2Aロケットの打ち上げ成功率は97.5%で、40回中39回の打ち上げに成功しているからだ。
失敗したときには大騒ぎされるかも知れないが……。
 30日に鹿児島県の種子島宇宙センターへ向けて船で送り出し、8月11日に打ち上げる予定だ。
船で輸送されるのは明日らしいな。

みちびき3号機、8月11日打ち上げ

2017.6.15 11:27
 三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は15日、日本版の衛星利用測位システム(GPS)を担う政府の準天頂衛星みちびき3号機を8月11日午後、H2Aロケット35号機で種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げると発表した。
そして、打ち上げ予定日は8月11日と言うことのようだ。



こうした報道の裏には、北朝鮮の過剰反応があるのでは無いか?と僕は邪推している。

北が批判「みちびき2号」は“スパイ衛星”

2017年6月3日 00:43
 北朝鮮外務省の報道官は2日、日本版GPS衛星「みちびき2号」が打ち上げられたことについて、「北朝鮮を狙った事実上のスパイ衛星だ」と批判する談話を、国営メディアを通じて発表した。
 その上で、「我々が今後、何を打ち上げようと、日本は、とやかく言う資格はない」との主張を展開している。
みちびき1号が打ち上げられた際には、何も言わなかったが、何故か2号が打ち上げられた際にはこんな事を言っていた。
しかし、みちびきはGPS用の衛星である。

人工衛星「みちびき」で米国頼みのGPS脱却なるか

2017.06.26
昨今、IoTの発展において、位置情報を取得するGPS(全地球測位システム)は重要な役割を果たしている。
~~略~~
物流業界や旅行業界などでも活用されるGPSだが、現在のシステムはアメリカによって運用されていることはご存知の方も多いだろう。
このアメリカの「GPS」のような衛星測位システムは、近年、世界各国で開発・導入が進められている。ロシアでは「グロナス」という独自の測位衛星システムの運用を既に開始しており、欧州の「ガリレオ」、中国の「北斗」、インドの「IRNSS」など、各国で整備が進んでいる。
~~略~~
また、現在アメリカが運用するGPSは31機あるが、世界中で共有しているため、各地点で一度に利用できるのは6機程度にとどまり、安定した測位に必要とされる8機以上という条件を満たすことができない状況にある。
こちらの記事でその概略が説明されている。
手前味噌ながらも、このブログでも説明させて貰った。



さて、2号を打ち上げた際には「今年中に3号を」という話だったのだが……。3号の打ち上げは8月に行われる事になった。

今年中に4号まで打ち上げれば、常に3機程度が日本上空近くにいることが出来るので、アメリカのGPS衛星と合わせて常に8機以上が日本上空付近にいることになり、GPSの精度の大幅な向上が見込めるようになる。2023年を目処に7機体制を目指しているようだが。

8の字

「みちびき」が通る軌道はこのような感じだ。

不思議に思われるかも知れないが、例えば、静止衛星というのは地球の自転と同じ速度で地球の上空を飛ぶので、見かけ上静止しているように見える。ただ、それが出来るのは赤道上を飛ぶ場合で、日本のように緯度が高いと実現が出来ない。そこで、赤道に対して角度を付けて飛ぶことで、日本上空とオーストラリア上空を行ったり来たりするような位置で留まる(ように見える)ことが出来るわけだ。

多分だが、この軌道だとオーストラリアやインドネシア辺りも恩恵を受ける事ができるのでは無いか?と、思うのだが、その辺に触れているニュースは見たことが無いな。



でまあ、日本上空に長く留まれると言うことは、ビルなどの建物の陰になりにくいという事を意味する。
GPS衛星が地平線近くに飛んでいる場合は、どうしても誤差が大きくなるし、陰に入ればGPS信号が使えなくなる。地下鉄や建物の中に入った場合にスマホのGPS受信が出来なくなる経験は誰しもしたことがあると思うが、あんな感じだ。

で、日本上空を飛ぶと言うことは、つまり北朝鮮の上空付近も飛ぶことになる。
北朝鮮が騒いでいるのはそういう理由からなのだろうが……、日本には気象衛星ひまわりやら、情報収集衛星やらもっと偵察向けの衛星が既にあるわけで。
更に2015年には情報収集衛星8機とデータ中継衛星2機の10機体製にすることが検討されるなど、積極的な運用も計画されている。

逆に、現実的には日本以外のGPS衛生もワンサカ飛んでいる。
日本以外のGPS計画としては、アメリカのGPSやロシアのGLONASS、欧州のガリレオ、インドのNAVIC、支那の北斗といろいろとある。日本の人工衛星が1機、2機増えたところで、たいした話にはならないのだ。

つまり、北朝鮮の指摘はまったくの的ハズレなのだが、マスコミはそうは思っていないようだね。



とはいえ、このみちびきの打ち上げが北朝鮮情勢と全く無関係か?というと、そういうワケでも無い。
日本独自の「みちびき」によるGPS信号の補正が可能となれば、自衛隊が運用する兵器防衛手段にもかなりの恩恵が得られる。なにしろ誤差が6cm程度になるのだから、アメリカのGPSを利用した誤差10mとは大きく違いが出る。

例えばGPSでの誘導を行うミサイルであればこの差は大きく出るだろうし、そうで無くとも朝鮮有事においても1つの武器となることには間違いない。情報は武器である。

日本版GPSを防衛利用へ 北朝鮮の妨害電波を防御 政府、1日に衛星打ち上げ

2017.5.29 11:24
~~略~~
米国のGPSは民間のカーナビゲーションやスマートフォンなどのほか、自衛隊の航空機や艦船でも利用されている。平成35年度にみちびきが7基体制になると、GPSに頼らなくても部隊運用が可能だ。幹部は「独自のバックアップ態勢を組むことは歓迎すべきことだ」と話す。
~~略~~
 これに対抗するため北朝鮮は近年、韓国に向けてGPSの妨害電波を繰り返し発信。航空機や船舶の運航に広範囲で障害を与えた。朝鮮半島有事の際、日本に向けて妨害電波を発信する可能性もあり、自衛隊関係者は「みちびきの信頼性が確認されれば、こうしたリスクは減る」と話す。今後は装備品の改修に伴う費用対効果の検証も必要になる。
現実的にもリスクは高くなっている半島情勢である。こうした体制構築を急いだ方が良いのは間違いが無い。

そんな訳で、個人的には本件を非常に期待しているのだが、報道の方はどうにもおかしな方向にねじ曲がらないようにして欲しいというのが本音だ。
またぞろ、パヨク辺りが騒ぎ出す気がする。



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15 件のコメント :

  1. GPS衛星もいいができれば→http://www.rocket.jaxa.jp/rocket/h3/ability.htmlの先っちょにこれでもか、と言わんばかりに高性能火薬を詰め込んだやつを、100発程自衛隊に装備してくれないものか・・・・。

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    1. 流石にH3ロケットでも誘導などの問題がありますし、専用に開発しないとダメですね、敵基地攻撃手段は。
      巡航型ミサイルの開発は、日本でやっても良いと思うんですよね。

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    2. 流石にH3ロケットでも誘導などの問題がありますし、専用に開発しないとダメですね←そうですか、無理ですか・・・・。
      巡航型ミサイルの開発は、日本でやっても良いと思うんですよね。←僕もやって欲しいのですが、アメリカから圧力をかけられそう・・・・。あと、朝○と毎○は発狂するでしょうね・・・・。
      ところで、話は変わりますが、このブログ今朝になってから、モバイルバージョンが見れないのですが、何か不具合があるのでしょうか?

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    3. アメリカからの圧力はぜひともアメリカ製巡航ミサイルをよろしくとかでしょうか。(むしろアメリカは未だに日本が地上攻撃能力を持たないのを問題視してますから)

      ミサイル関連は十分独自開発できるでしょうが、日英共同開発の統合新型空対空ミサイルみたいに共同開発することが開発及び生産コストの問題解決だけでなく軍拡ガーとかの対策として親密な国が増えることをアピールできるので良いのかもしれません。
      (共同開発国に韓国は不要、有用な独自技術なく新技術を開発する能力なく中共等に技術流出させる危険性だけしかないですからね)

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    4. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年6月29日 18:42

      このブログにも何度か書き込みましたが。
      H-2(H-3)をICBMに転用するのはオーバースペックな上、液体燃料(液体水素+液体酸素)では即時発射できないので、不向きですね。
      それよりも、固体燃料の「イプシロン」の一段目+二段目を転用するほうが有利ですね。
      これなら、ペイロードは約3tなので、十分だと思いますよ。
      注)自分は巡航ミサイル開発派です。

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    5. モバイルバージョンのご指摘ありがとうございました。

      今朝、自分のスマホで見たときも、そう言えばそうなっていました。
      あまり気にしていませんでしたが、設定が問題だったようです。

      ちょっと、デザイン変更を試みていまして、その影響でしょうね。

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    6. そして、皆さん巡航型のミサイル開発に関しては賛成する方が多いのですねぇ。

      イギリスを上手く巻き込めば、案外共同開発路線でやれるかも知れませんね。イギリスが巡航ミサイルを欲しがっているかどうかはよく分かりませんが。

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    7. 確かトマホーク導入を検討というニュースがあったと思います。
      私は最終的に国産を支持したいと思います。
      日本には巡航ミサイル的な性質を持つミサイルはありますので。(12式改等)

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  2. アメリカの圧力、なるものは今日において皆無に等しいですよ。
    今やアメリカの軍需・航空メーカーは日本と長年共同開発・提携事業展開をしています。政府間でのやり取りも日米程緊密な同盟状態も他には存在しないと言える。
    自動車など特定産業ならいざ知らず、軍需は日米連携、又日本の裁量に口出しする時代では無く、むしろその実績を取り入れようとする動きがアメリカから見られる程。
    問題はアクティブに動いて欲しいと願うアメリカとすぐにはアクティブに切り替えられない日本の差が防衛装備品にも影響が出ています。
    ミサイル開発をすぐにでもやろうものなは政権がもたないですから。

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    1. 日本において防衛関係の装備品を開発するのは色々と五月蠅い人々がいますからねぇ。
      少なくとも9条あたりを改正する辺りのハードルを先にクリアする必要があるのかも知れません。

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  3. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年6月29日 17:05

    >「みちびき」が通る軌道はこのような感じだ。
    この部分、報道自体がおかしくて、「地表から「みちびき」を見ると相対的にこんな感じで動いているように見える」ぐらいが正しいですね。

    >多分だが、この軌道だとオーストラリアやインドネシア辺りも恩恵を
    >受ける事ができるのでは無いか?と、思うのだが、
    これについては、以下の報道があります。
    ソース)福井新聞「衛星みちびきの経済効果2兆円 政府、海外展開も視野」2017/06/01(多分、共同通信の配信記事だろうな)
    >政府はみちびきによる日本版の衛星利用測位システム(GPS)構築が
    >進めば、2020年時点で経済効果が年間約2兆円に上ると試算。
    >「アジア太平洋地域へのサービス展開も考えている」とした。

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    1. >みちびきの軌道

      言葉足らずで申し訳無いです。この辺りはもうちょっとしっかり解説を入れるべきだったかも知れませんね。

      >海外展開
      海外展開するには、まず国内での実績が必要になるのでしょう。
      オーストラリア辺り、北朝鮮のように文句を付けてもとは思いましたが、そもそもそんなことを言ったら恥をかくくらいの認識はあるのかも知れませんね。

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  4. 巡航じゃなくて、弾道弾ミサイルにでけんのですか?
    何かでIHIのS520だかS530だか言う外車みたいな名前の観測用の個体燃料ロケットは、弾道弾にできると読みましたが。
    巡航というのは大気圏内をたらたらと飛ぶ奴ですよね? ぼっ海湾とかの支那のドックとか港湾は、半島と我国の影に隠れてますね。
    でも弾道弾なら、ぼっ海や大連港とかに停泊している空母を狙えません?
    別に爆薬や核を搭載しなくても、数十キロの合金塊を載せれば(観測機材と重さは変わらないでしょ?)
    、隕石を落下させるようなものですから、空母を鋼鈑から船底までぶち抜くでしょう。ドックなどの施設にもクレーターで破壊効果があるでしょうし。
    非爆発性なら「大量破壊兵器ではない!」と言い切れるし。動いてる空母とかはダメでも、施設や停泊している空母、或いは複数を三狭ダムに撃ち込むとか。耳に挟んだ話に過ぎませんが、巡航は大気圏を飛ぶのでムンだのカリアゲだのの頭ごなしに低空で飛んで行くわけですよね?
    それって奴等に口実を与えるだけでは?
    宇宙から弾道で落ちるなら構わないのでは?
    当てる技術を付け加えできるなら、座標の決まったターゲットには弾道弾にした方が良いのではないでしょうか?

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  5. こちらは巡航ミサイル派が多いですね!

    巡航ミサイルは海面や地表スレスレを飛んで地上のレーダーを回避しつつ、目標に向かって飛んでいく戦略兵器ですね。

    弾道ミサイルは弾道軌道を描きつつ、大気圏を突破して目標上空で再突入し目標に向かって飛んでいく戦略兵器ですね。

    巡航ミサイルは低く飛ぶので艦船や地上のレーダーに見つかり難い特性があるそうですが、空を飛ぶ早期警戒機や衛星の監視網に引っかかりやすいので今では見つかりやすく対処もされ易い兵器だ、なんて聞いた事があります。

    なので弾道ミサイルの方が対処し難いので有効ではあります。
    しかし、技術的に日本が実現するにはもう少し先なのでしょうか。
    打ち上げは良くても再突入のノウハウが無いので実験をするしか無いですね。
    弾道弾はともかく、宇宙から人を地上に返す為の再突入実験もバンバンやって欲しいです。

    地理的な問題においては巡航ミサイルの方が有効的ですし、GPSも拡充されるなら入手ももちろん選択肢に入るでしょう。
    日本にとって重要な仮想敵国は至近距離と言っても良い距離にあるので、弾道弾は近過ぎるかもしれませんね(笑)
    オイラとしては弾道弾導入なんて話になったらワクワクすっぞ!
    というのが心情ですが!

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  6. 巡行ミサイルクラスならステルス化も極音速化も可能になっていくでしょう。
    その布石、勿論技術的な意味があるのがXASM-3新型対艦ミサイルです。
    ステルスも完璧に見えないわけではないので捕捉されても迎撃出来なくすればよいわけですよね。新型対艦ミサイルは今後技術を応用出来れば従来にない脅威を与えられるでしょう。

    ついでに言うと弾道ミサイルは日本的には世論がある為作りづらい、しかし巡行ミサイルであれば「大型対艦攻撃ミサイル」って主張出来る為何かと好都合

    返信削除

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