韓国のTHAAD騒ぎと日本の防衛

アメリカ議会も呆れているみたいだねぇ。

「韓国がTHAADを望まぬ場合は、予算は他にも使えると文大統領に伝えた」

入力:2017.06.01 15:23 | 修正:2017.06.01 15:35
米国上院で国防予算を担当する議員がムン・ジェイン大統領を予防した席で、韓国がTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)の配置をたくない場合は関連予算を他の所で使うことができるという言及をしたことが分かった。
アメリカの言い分もかなり傲慢ではあるが、こういう脅しは結構、ムン君に効くのじゃ無いかな?「THAAD要らないなら言ってね?」だって。


さてさて、この事の発端はこちらの記事にあるようだ。

「非常に衝撃的」THAAD追加搬入で文在寅大統領が不快感 調査指示、対米影響も

2017.5.30 18:07
 韓国の文在寅大統領は30日、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の発射台4台が韓国内に追加搬入され保管中であることを知らされていなかったとして、大統領府の鄭義溶国家安保室長に経緯を調査するよう指示した。大統領府が発表した。発射台は既に2台が南部星州に配備されている。
この記事を見たとき、ムン君が無知をさらけ出したなぁと、それだけの感想しか持たなかった。

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THAADの配備が決まった時点で、THAADのシステムくらい把握してけばいいのに。
簡単に説明すると、THAADは高高度でミサイルを迎撃するためのミサイルとその付帯設備の事を指し、ミサイル発射台と、C4IシステムにXバンドレーダーで構成される。
よって、こんな感じのセット構成になる様だ。
  • AN/TPY-2レーダー 1基
  • 戦術指揮車両(C4Iシステム) 2両
  • THAAD発射台 6両(ミサイル48基分)
ただ、コイツには明確なソースが見つけられなかったので、UAEの購入実績を。
Pentagon Proposes Sale of THAAD to UAE - Defense News

The THAAD system is designed to intercept incoming ballistic missiles at high altitude, providing coverage over a wide area.
The Defense Security Cooperation Agency said the proposed sale is for three fire units, four radars sets, six fire and control communication stations, and nine missile launchers.
"The estimated cost is 6.95 billion dollars," the agency said.

こちらもリンク切れなので、ソースと言うには少々物足りないが……。
  • three fire units 3ユニット分
  • four radars sets レーダー4基
  • six fire and control communication stations 射撃統制情報通信装置 6基
  • nine missile launchers ミサイルランチャー9基
という風に書かれている。
レーダーは1つが訓練用らしいので、レーダー1基、戦術車両2両、ミサイルランチャー3基というのが、ユニット構成だね。

セット商品なので、何処までがフルセットなのかは確認すれば分かる事だ。



では、ムン君は本当にそれを知らなかったのか?という疑問が出る訳だ。

韓国側にはどのように伝えられていたかというと……。
聯合ニュースによると、青瓦台の尹永燦国民疎通首席秘書官は31日の記者会見で、韓国国防部が追加搬入を意図的に報告していなかったとする調査結果を明らかにした。尹氏によると、青瓦台は大統領の指示に基づき、国防部政策室長ら数人の軍関係者の調査を行った。韓国国防部の当局者が報告文書を作成した際に、「発射台6台が某基地に保管」とする内容を記録していたが、数回の見直しを経て削除されたという。そのため最終的に青瓦台に提出された報告文書では、「6台」「基地名」「4台」「追加配備」などの内容が削除され、現在のTHAAD配備関連状況を大まかに説明するだけとなった。
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2017-06/01/content_40940484.htm
少なくとも国防部には発射台(ミサイルランチャー)6台が保管されることを伝えられていたようだ。

そこから上に上がる際に、詳しい状況が省かれたと報道では説明されているのだが、どうやら国防部の上層部もハッキリ知らなかったとか。
鄭義溶室長は28日、韓国防部長と昼食を共にした際に「その後4台追加配備されたと聞いたが」と直接質問した。韓国防部長は「そんなことがあったのか」と逆に聞いた。文大統領は30日に韓国防部長に自ら電話をかけ、4台が韓国に搬入されたことを初めて確認した。
マジか、この国。

しかし、これが本当だとしても、「非常に衝撃的だ」などと発言してしまう神経をちょっと疑う。
 大統領府によると、文氏は搬入の事実を知らされ「非常に衝撃的だ」と不快感をあらわにした。韓国の一部メディアは大統領就任前の4月以降、追加の4台が搬入済みであることを報じていたが、文氏は米韓両軍が搬入を非公開としていた点を問題視。今後、追加の配備を止めるなどした場合、米韓関係に影響が出そうだ。
こんな反応だったが、搬入時期が明確に知らされていなかっただけで配備が完了するまでには搬入されることくらい簡単に分かる話だろう。
そして、「搬入を非公開」にすることは国防上必要な対策なのでは無いか?公開して敵対している北朝鮮にアナウンスするつもりでいたのだろうか??



当然、アメリカ側もこんな事を公然と言われれば不快になるのは当たり前の話。
韓国を訪問中のディックダービン上院議員(民主、イリノイ州)は、聯合ニュースとのインタビューで、「私たちは、困難な予算状況に直面している多くのプログラムを削減しているが、韓国がTHAADを望まない場合、我々は9億2千300万ドル(約1兆300億ウォン、THAAD配置と運用コスト)を他の所で使う事ができるとムン大統領に言った」と伝えた。
こんな話になるのもムリは無い。
ダービン議員はインタビューで、「私は、もし韓国に住んでいる場合、北朝鮮が戦争勃発時、韓国に浴びせる数百発のミサイルから(国民の)守るためにできるだけ多くのTHAADシステムが必要と思われる」とし「なぜそのような感情が議論を支配していないか理解できない。私は国家安全保障と防衛が(議論を)習得しなければならないと思う」と明らかにした後、自分のこのような考えをムン大統領に伝えたと紹介した。
この理論は勝手な理屈ではあるのだが、間違ったことを言っている訳では無い。前提が「北朝鮮が韓国にミサイルを撃ってくる」というものなのだが、そもそも北朝鮮が韓国侵攻を行うときにミサイルを使うかは少々疑問だからだ。
とはいえ、撃ってくるとすれば、防衛手段を用意する必要があることには変わりない。
また、「この2万8千500人の米軍は韓国民の安全のために、彼らの命をかけており、彼らはすべての韓国国民がそうであるように、保護されなければならない」と付け加えた。
そして、在韓米軍の事もちらつかせることを忘れてはいなかったようだ。
なお、ダービン氏は民主党の上院議員なので、比較的親韓派であると思われる。これが共和党だったらもっと厳しいことを言われていた可能性はあるよね。



さてと、この騒ぎで2つの可能性が示唆されると思う。

1つは、韓国国内にTHAAD配備がなされない可能性。
この場合、既に合意した内容を覆す話になるので、韓国に対するアメリカからのペナルティーは当然予想される。が、ここで危惧されるのは、「THAADだけ無し、後は今まで通り」が許されず、在韓米軍撤退の加速が進む可能性だ。

もう1つは、THAADが配備されて文在寅政権の崩壊の引き金を引く可能性だ。
THAAD問題で弱腰になると、ムン君が切れるカードは反日のみになる。しかし、反日はクネクネが散々やり尽くしてきたので、やれることと言えば竹島の再上陸か、強制連行(笑)された人々の問題をクローズアップするくらいしか無い。日韓合意は既に破棄されたも同然で、ここから更に何か反日の方向に舵を切ることは難しい。破棄を公然と口にした場合には、支持率は上がるだろうがそこから先が無い。なにもしないうちからムン君の外交が行き詰まるだけの未来しか無いのだ。

まあ、北朝鮮との平和条約を締結するという究極のカードがあるが、このカードは非常に使いにくい。以前にもちょっと説明したが、北朝鮮と戦争状態にあるのは連合国軍であり、厳密には韓国では無い。そして、韓国にとって北朝鮮は「国では無い」からだ。
つまり、韓国にとって北朝鮮と和平条約を結ぶためには幾つものハードルが存在するのである。

こちらの記事をご覧頂きたい。

北朝鮮、日本などが保証する平和条約締結を米国に提案

2004年06月20日16時47分
  朝日新聞が20日報じたところによると、北京での第3回6カ国協議を前に、北朝鮮が米国に対し、韓国を含めた3カ国による平和条約の締結を水面下で打診していたことが分かった。南北(韓国・北朝鮮)・米国の3カ国が当事国として、日中ロ3カ国は「保証人」として署名する、『3+3方式』の平和条約を締結するということだ。
2004年といえば金正日氏が存命の時期であり、日本は小泉政権全盛期で、第1回日朝首脳会談(202年9月17日)が行われるなどの経緯を受けて、2004年5月には拉致被害者の一部の帰国が実現している。
つまり、金正日氏が融和政策目指した時期でもあったわけだ。
しかし、にもかかわらずこの当時もアメリカの態度は辛辣だった。
しかし、同紙によると、米国側は「条約の締結は、国交の樹立が前提」とし「核問題を未解決のまま、北朝鮮と関係を正常化する選択肢はブッシュ政権にない。核問題の解決が先決だ」と明言している。
よって、幾らムン君が親北派だからといって、勝手に北朝鮮との平和条約を結ぶのは不可能に近いのだ。同盟国のアメリカの意思を無視することは、どうあってもできない。
2005年には北朝鮮は「核開発を進める」と断言して、決定的に交渉が決裂してしまった。
そして、現状ではその息子が外交交渉など知らないという風に振る舞っているので、更に状況は厳しいだろう。ムン君にそれを止めて、アメリカと支那の意見調整をして国内の意見をまとめ上げるだけの手腕があるとは到底思えない。



なお、日本にとっては何れの場合も朝鮮有事を誘発するために、楽観視出来ない。

稲田氏、THAAD視察 ミサイル防衛の強化検討 グアムの米軍基地

2017.1.13 16:48
 稲田朋美防衛相は13日午前(日本時間同)、米領グアムのアンダーセン空軍基地を訪問し、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を視察した。北朝鮮の核・ミサイル開発を踏まえ、THAAD導入も自衛隊のミサイル防衛強化策になり得るとみて将来的な選択肢の一つとしたい考えだ。

「イージス・アショア」導入を本格検討

毎日新聞2017年5月15日 20時07分(最終更新 5月15日 23時48分)
 稲田朋美防衛相は15日の参院決算委員会で、弾道ミサイル防衛(BMD)に関し、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を陸上に置く新システム「イージス・アショア」の導入を本格検討する考えを示した。
こんな話も幾つか出てきたが、日本政府の重い腰はなかなか上がらない状況だ。

アショア

地上配備型のイージス・アショア導入が先決だとは思われるが、どの部隊がどのように運用するのか?と言う点に関してはハッキリしていない。
何を導入するかは今年夏までには答えが出せるそうだけどな。
個人的には、イージス・アショアとTHAADの両方を導入して欲しいところだが、優先順位を考えればアショアだろうか?

それはともかく、朝鮮有事発生リスクが高くなっている現状で、ムン君があんなことを言い出したが為に、在韓米軍という盾を1枚失うことになる可能性、それを考える必要がある。

多分、日本政府もそれはある程度想定していたと思うが、その時期は大幅に早まりそうな感じである。

別に、朝鮮半島が1つにまとまろうが支那に併合されようが、知ったことでは無いのだが、いつまでもアメリカ頼みではいられないと言う事をいまいちどしっかりと考え直すべきであろう。

国力的には自衛隊だけで自衛ができる体制を構築するには時間とお金がかかる。その為の安倍政権は周辺国との協調ができる様にアレコレ手を打っているのだが、各国ともに勝手なことを言っていてまとまらない。

日本政府には現状を打破するためには、よっぽどの覚悟が必要だと思われるが、限定的にでも防衛できる体制構築を早急に行うことは避けられない。

日本にとって最悪を想定して備えるしかないのだ。



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コメント

  1. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年6月2日 16:50

    以下の情報があるので、9両までの発射機車両は指揮できそうですね。

    ソース)army-technology.com「THAAD Terminal High-Altitude Area Defence, United States of America」
    >The THAAD battery typically operates nine launch vehicles each
    >carrying eight missiles, with two mobile tactical operations
    >centres (TOCs) and a ground-based radar (GBR).

    返信削除
    返信
    1. ソース確認させて頂きました。
      なるほど、色々なパターンがあり得そうですね。

      削除
  2.  個人的には、これは陸軍対海軍の予算分捕り合戦だと思って見てます。(今は財務省の第一次予算ヒアリングの時期)
     高高度のミサイル防衛は海自の縄張りで、それを陸自が横やりを入れる今回のやり方がどう影響するのか。
     記事では、「イージス艦の負担軽減」を理由に挙げてますが、海自担当者から言わせれば「じゃあイージス艦増やせよ」というのが正論になります。海自も今回イージス艦要求は出してるはずであり、相当面白くない思いをしてるはずです。しかも陸自は「イージスの半額で済む」とか言うダンピング行為までしており、これまでの海自の苦労を水の泡にしようとしています。
     海自は現在、北朝鮮がミサイル撃つたびに呼び出され、アホな国会のために答弁を書き、説明資料作成に追われています。イージスを主管してるのでしょうがないですが、その苦労をしてない陸自が横から金だけとっていくやり方は、許せません。
     そういう観点で、記事を見直すと、色々楽しいと思います。
      とはいえ、実際の防衛は陸自も海自もまともに考えてるとは思うので、予算要求よりも実際には予算執行に本来はもっと着目すべきだと思っています。

    返信削除
    返信
    1. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年6月2日 21:29

      kujira様

      予算分捕り合戦=任務管掌という観点から見ると、空自も絡んできます。

      元々、要地防空ミサイルの導入では、縄張り争いの結果、ナイキJを空自、ホークを陸自という形で決着しました(自分が生まれる前の話ですが)
      それを引き継いで、ナイキJの後継として導入されたパトリオットは空自が運用し、ホーク及び後継の03式中距離地対空誘導弾は陸自が運用してます。
      つまり、本来のミサイル防衛は空自または陸自の縄張りです。
      SM-3の管掌が海自ということで話がややこしくなっています。

      このブログの他の記事にもコメントしましたが、弾道弾防御のためのSM-3は艦艇に搭載する必要がないので、イージス艦の増勢よりイージス・アショアのほうが有利だと考えます。

      >しかも陸自は「イージスの半額で済む」とか言うダンピング行為
      >までしており、

      「イージス・アショアはイージス艦の約半額」というのは当然の話です。機関やSM-3関係以外の武器(CIWSなど)が不要ですから。

      >海自も今回イージス艦要求は出してるはずであり、相当面白くな
      >い思いをしてるはずです。

      今回、イージス艦の予算要求は出てません。はたかぜ級DDG(非イージス艦)の後継艦2隻が建造中ですが、2018年からは5000t級の汎用護衛艦(8隻)の建造を行うようです。
      ソース)ロイター「海自の新型護衛艦、4年間で8隻建造へ=防衛省関係者」

      削除

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