最低賃金の上昇と雇用

事情により月曜日火曜日と、記事を書くことが出来なかったけれども、今日から平常通りになります。

さて、本日選んだテーマは、賃金の話。最低賃金を上げても、景気浮揚に結びつかない。

<最低賃金>25円上げ 過去最大 平均時給848円

7/25(火) 23:37配信
 非正規雇用を含む労働者の賃金引き上げにつながる2017年度の最低賃金(最賃)の目安額について、厚生労働相の諮問機関「中央最低賃金審議会」(会長=仁田道夫・東京大名誉教授)の小委員会は25日、全国平均で25円(3.0%)の引き上げを決めた。10月に目安通り引き上げられれば、全国平均で最賃の時給は848円となる。3%以上の引き上げは2年連続。
安倍政権の支持率が落ちる中、効果の高い経済対策が模索されているようだ。しかし、この最低賃金の上昇というのは、ハッキリ言って意味が無いどころか、寧ろ景気の足を引っ張る可能性が高い。



とはいえ、僕の考えが正しいかというと、その辺りもちょっと怪しい。
 景気浮揚を目指す政府は、購買力向上のため最賃の引き上げを今後も維持したい意向だ。政府は働き方改革実行計画で「経済の好循環を確実にするため(最賃の)全国平均が1000円になることを目指す」と定めている。ただ達成時期は明示していない。
毎日新聞は、さも政府が景気対策で最低賃金の引き上げをした様な印象を受けるような結びとしているが、果たして本当にそんなことを考えているのだろうか?
現実は、「最低賃金を引き上げた」ことと「政府が賃金の全国平均が1000円になる事を目指す」としている事実があり、「最低賃金の引き上げ」は「購買力向上」に繋がる可能性はあるが、景気の好循環とはあまり関係無い気がする。

例えば最低賃金を1000円にすれば、表面上は政府の政策目標は達成されたことになるが、「景気の好循環を確実にするため」という前提は守られないだろう。

求人倍率 バブル期超え 4月1.48倍、43年ぶり水準

2017/5/30 10:48
企業の人手不足感が一段と強まっている。厚生労働省が30日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.03ポイント高い1.48倍だった。バブル経済期の水準を超え、1974年2月以来43年2カ月ぶりの高さとなった。4月は完全失業率も2.8%と低く、雇用情勢は「売り手市場」の様相を強めている。
実は、世間様では人手不足であり、有効求人倍率は1.48、完全失業率は2.8%である。
 新規求人を業種別にみると、製造業が前年同月比7.9%増で求人倍率を押し上げた。自動車やスマートフォン関連の企業が人員確保に動いた。このほか、トラック運転手などが不足する運輸業・郵便業が8.3%増、東京五輪需要が膨らむ建設業が6.9%増だった。医療・福祉業も3.2%増えた。
特に製造業や運輸業では人手不足が深刻である様で、それはヤマト運輸が色々な動きをしていることでも示されている。



しかし、ここで問題になるのは人手不足の解消方法を、短期的な手法、即ちアルバイトやパート労働者の確保で埋め合わせている点である。
 足元の雇用環境を40年前と比べると、ハローワークに提出される求人票の数と求職者数はともに増えている。大きく異なるのはパート労働者の増加だ。バブル期に10%台前半だったパート労働者の比率は足元で30%を上回る。
なるほど、ここで最低賃金を引き上げれば、低賃金で雇われる人のコストを上げざるを得ないので、結果的に経済循環に起因するという可能性はある。

ただ、可能性だけで、どの辺りまであげれば適切なのか?と言うことは、イマイチハッキリしないし、外国人実習生ばかりを使う業界を見渡すと、日本の景気に寄与するのか?と言う点に関してもかなり怪しい。

そもそも、「正規雇用」か「非正規雇用」で切り分ける考え方も、あまり適切だとは言えない。日本は、正規雇用の恩恵を高くし過ぎたために、簡単に正規雇用を増やせないという問題を抱えているのである。一番大きい要因は社会保障費だろう。

「厚生年金、介護」保険料引き上げ 2017年内に変更される社会保障制度

老後の生活の支えとなる年金だが、若年層を中心に将来にわたる制度への持続性を疑問視する声も上がる。厚生労働省の集計によると、2016年度の国民年金の保険料の納付率は、65.0%にとどまる。
社会保険料の納付率を維持出来ているのは、サラリーマンの給料から社会保障費が天引きされていることも一因として挙げられると思う。

そして、サラリーマンが支払う社会保障費は、高額だ。

給与明細の「社会保険料」の額って高過ぎじゃない?と思ったら読む記事

~~略~~
松島先生:あら。それで?給料が上がったのかな?
佐藤さん:だったらいいんですけど、違います。前から思ってたんですが、税金とか社会保険料って何でこんなに天引きされるんですか?人の天引きを計算するのも気持ちのいいものじゃないけど、自分の天引きを計算するようになって、もう不愉快でしょうがなくて。
で、その中でも大きなウェイトを締めているのが、「公的医療保険」と「公的年金」である。
 先ほど「狭い意味の社会保険」と書いた健康保険・厚生年金・介護保険は、原則として、本社・支店・工場などの「事業所」を単位に加入します。そして事業所には、必ず社会保険に加入しなければならない「強制適用事業所」というものがあります。
 そして、「法人」の事業所はすべて、社会保険の強制適用事業所です。この場合、社長1人の会社も例外扱いはされません。つまり、会社の事業所はすべて、健康保険・厚生年金・介護保険に加入しなければいけないわけです。
正社員なら、こうした社会保険の適用を受ける。アルバイトやパート労働者ならば、ね。

そして、雇用者側もかなりの負担を強いられている。
例えば、月収が30万円の場合、厚生年金の支払い額は5万4546円となる。労使折半の規定により、このうち半分を会社が負担するため、給与から差し引かれるのは2万7273円となる。厚生年金の保険料率は、04年の法改正で毎年9月に段階的に引き上げられることになっており、17年9月には18.3%に引き上げられる。
つまり、日本の企業にとって正社員を一人増やすのは大きな負担になる。しかし、正社員の給与額を増やしたところで、その殆どは社会保障費に持って行かれてしまうのである。
そうなると、少々の賃金アップで景気回復に繋がる等と言う話は、妄想の類の話となる。

そして、日本は雇用の流動性が低く、一旦その職から離れると、次の職に就くことは困難で、それは年齢が高齢になるごとにその傾向が顕著になる。日本の雇用システムや社会保障費の設定などにより、少々のことでは改善しない話になっているんじゃないだろうか?

さて、最低賃金が引き上げられるとどのようなリスクがあるのだろう?

最低賃金が上がる場合のメリット・デメリット

2016年11月29日(火) 更新
~~略~~
最低賃金が上がるデメリット①:失業者が増える
飲食チェーンやコンビニなどでは、「最低賃金が上がると、店側は非正規雇用者の長時間の雇用が出来なくなり失業者が増える」という意見もあります。これが、最低賃金が上がると考えられるデメリットでしょう。非正規雇用者にとって、最低賃金が上がるのはメリットにもデメリットにもなり得るのです。
最低賃金が上がるデメリット②:飲食業などの経営が苦しくなる
現在、最低賃金に関わってくる非正規雇用者を雇っている多くが飲食業・コンビニチェーン店などです。最低賃金が上がると、確実に人件費も上がってしまうでしょう。これは、小さな飲食業にとっては大打撃です。
最低賃金が上がると、一部の業界に大きな影響を与えてしまう恐れがあるのです。これもデメリットのひとつだといえるでしょう。
最低賃金が上がるデメリット③:大企業の正社員は手取りが減る
最低賃金が上がるとデメリットを被る層は他にも存在します。それは、大企業の正社員です。業種にもよりますが、社の賃金原資における非正規の取り分が増えるのですから、当然正社員の取り分は減るでしょう。正社員と非正規の格差を圧縮するために、正社員の給料が減る可能性があるのです。これも最低賃金が上がるデメリットですね。
最低賃金が上がるデメリット④:人件費は増大する
派遣労働者に時給1,500円以上支払っているような会社は、最低賃金が上がっても正社員にデメリットはありません。しかし、最低賃金で非正規労働者を雇用している会社は、大企業・中小・零細関係なく、最低賃金が上がると人件費に大きな変化が生じて、耐えきれなくなる可能性があるでしょう。このようなデメリットがあるので、最低賃金が上がるのは嬉しいことばかりではないとわかりますね。

デメリットの部分だけ抜き出したが、この記事にはメリットも書かれている。そりゃ、最低賃金を上げてメリットが無かったら、あげる理由は無い。メリットがあればこその政策ではある。
ただ、あまり知られないデメリットは結構あるのだ。

そして、このデメリットによって「格差是正」どころか、中小企業に加えられる賃金上昇圧力によって、経営が立ちゆかなくなり倒産する所も増えるだろう事が予想される。
そうなると、寧ろ雇用できるところは減ってしまうのだ。もちろん、有効求人倍率が高いことから、他の働き先を探すことも出来るだろうが、必ずしも前の職場よりも雇用環境が良くなるとは言えない。

結局、大手で体力のあるところばかりが生き残るのである。残念ながら、商店街がシャッター通りになり、大型スーパーが益々混雑する結果に……。あ、ちょっと私情が入ってしまったな。

だが、じゃあどうしたら良いんだ?と言われると、これが簡単に答えが出てこない状況になっているのが日本の「今」である。



ランキングへの応援クリックよろしく!
にほんブログ村 ニュースブログ 時事ニュースへ

コメント

  1. 経済に劇薬はあっても特効薬はないんですよね……
    まあ、最低賃金云々はお隣が実験するみたいですから、それからでも遅くないでしょう。
    野党にも、「まともな」経済的提案をしていただく事が国益にかなう政策論争であって、それをしない野党に自省を促すのがマスコミの役目なんですがねぇ……

    返信削除
    返信
    1. 最低賃金に関してはシンシアリー氏がこぼしていましたねぇ、守る事業者は少ないんだって。法を守るという概念の無い国ですから、仕方がありません。
      よって、あまり期待できないでしょう。

      野党にはまともなシンクタンクがついていないし、政策を議論して方向性をまとめられない民進党みたいなところが第一党です。期待するだけ無駄でしょう。

      削除
  2. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年7月27日 16:30

    平均最低賃金ですが、2007年以降は毎年1.0%以上上昇しているので、景気とは関係なさそうですね。
    注)民主党政権下の2009年、2011年、2012年を除くと、毎年2.0%以上
    (「コンクリートから人へ」ってなんだったんだ?)

    最低賃金があがるデメリットに対して、一応反論しますね。
    >①:失業者が増える
    最低賃金が上がろうが、必要な人員は必要です。ブラック化を推し進めるのでしょうか?
    >②:飲食業などの経営が苦しくなる
    >④:人件費は増大する
    この二つは同じこと(因果関係:人件費増大→経営悪化)を言ってますよね。
    >③:大企業の正社員は手取りが減る
    これは「人件費は増大する」の裏(人件費上昇抑制→全体が最低賃金にちかづく)ですね。
    結局、デメリットは「人件費は増大する」しかないと考えます。
    なお、コンビニなどの求人を見ていると、1000円台の求人も珍しくありません。最低賃金での求人がどれぐらいあるのか疑問ですね。

    裏付けを取れるソースが見つからなかったのですが、バブル崩壊後、生産性を改善せずに安易に人件費を削減した悪影響が続いているものと考えます。

    返信削除
    返信
    1. 最低賃金が守られない場合には、日本では罰せられます。
      よって、ブラック化を推し進めたところで、焼け石に水でしょう。ブラック化だけでは早々限界が来ますし、「必要な人員」が確保できなくなって自滅というパターンが多いのでは?と、僕は考えています。したがって、結果的に体力の低い所が潰れ、雇用が失われる、つまり、①はありうると考えています。
      ②と③はご指摘通り同じ話ですね。
      ④はどうでしょうねぇ?大企業にはあまり影響ないような気もしますよ。

      ただ、ご指摘の通り、コンビニなどの求人では1000円を超えるところも珍しくないようです。
      ですが、それでも人が集まらず、結果的には外国人を多数雇う有り様。
      最低賃金を上げたところで人手不足解消には繋がらないでしょうねぇ。経済の好循環にはほど遠い。

      しかしNPO法人や小さな町工場、小規模焦点などは、最低賃金というトコロも珍しくないようで。だから上げるなと言うのとはまた違うのでしょうけれど……。

      削除

コメントを投稿

お気軽にコメントを!ハンドルネームは面倒でもお願いします。