2017年7月13日木曜日

失言の稲田氏は、何を話し、どうして交代なのか

この手の話題は苦手なのだが、ちょっと整理しておきたい。

首相 二階幹事長を続投させる意向固める 稲田防衛相は交代へ

7月10日 5時00分
安倍総理大臣は、来月3日にも行う内閣改造と自民党の役員人事で、麻生副総理兼財務大臣と菅官房長官に加え、自民党の二階幹事長を続投させる意向を固めました。一方、先の東京都議会議員選挙の応援演説などをめぐり野党などから批判を受けている稲田防衛大臣は交代させる方針です。
メディアは稲田バッシングにご執心で、そのお陰もあって稲田氏は防衛大臣を続投できないようだ。

ただ、僕自身、稲田氏の防衛大臣としての資質は不十分である様に思っているので、交代やむなしかなぁという気はしている。

この稲田氏、なにかと失言が多いイメージがある。それは作られたイメージの可能性もあるが、メディアのオモチャになっているようでは脇が甘いとしか言いようがない。
世間様からもちょっと「ダメなんじゃ無い?」と思われている節はあるようだね。

で、直接的には先日の発言が影響している様に思われるのだが……。
一方、安倍総理大臣は、みずからに近い稲田防衛大臣について、先の東京都議会議員選挙の応援演説などをめぐり野党などから厳しい批判を受けていることも踏まえ、交代させる方針です。
稲田氏の発言は本当にそんなに不味かったのだろうか?

民進 野田幹事長 稲田防衛相は即刻罷免を

7月7日 11時25分
民進党の野田幹事長は党の会合で、稲田防衛大臣が福岡県と大分県に大雨の特別警報が出されていた間、一時、防衛省を不在にしていたことについて、「稲田大臣は、南スーダンPKOの日報をめぐる二転三転の迷走のほか、自衛隊を自民党の組織や自分の私物であるかのような発言をするなど、すでに『レッドカードで退場』だったが居残っているがゆえにこういう問題が起こっている」と批判しました。
野党が噴煙を上げて攻撃しているのを見ると、それほどなのか?と疑問を抱いてしまう。


この「問題発言」は、都議選応援の際の話らしい。

都議選応援「自衛隊としてお願い」発言後に撤回

毎日新聞2017年6月27日 23時16分(最終更新 6月28日 18時59分)
 稲田朋美防衛相は27日、東京都板橋区で開かれた都議選の自民党候補の集会に出席し、「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と支援を訴えた。
~~略~~
 稲田氏は27日深夜、改めて記者団の取材に応じ「防衛省・自衛隊に限らず、政府の機関は政治的に中立であり、特定の候補者を応援することはあり得ない」と述べた。自衛隊の政治利用との指摘に関しては「誤解を招きかねない発言だった」と陳謝した。一方で防衛相辞任は否定した。
で、この発言がどのような法律に違反するのかというのが、メディアに寄れば。
 憲法第15条2項は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定する。公職選挙法は第136条の2で公務員の地位を利用した選挙運動を禁止。自衛隊員は自衛隊法第61条によって、選挙権の行使を除く政治的行為が制限されている。
憲法15条第2項と、公職選挙法の136条の2、自衛隊法第61条の3つらしい。

が、新聞は信用できないので条文をあたっておこう。
第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
第百三十六条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない
 国若しくは地方公共団体の公務員又は行政執行法人若しくは特定地方独立行政法人の役員若しくは職員
 沖縄振興開発金融公庫の役員又は職員(以下「公庫の役職員」という。)
 前項各号に掲げる者が公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)を推薦し、支持し、若しくはこれに反対する目的をもつてする次の各号に掲げる行為又は公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)である同項各号に掲げる者が公職の候補者として推薦され、若しくは支持される目的をもつてする次の各号に掲げる行為は、同項に規定する禁止行為に該当するものとみなす。
 その地位を利用して、公職の候補者の推薦に関与し、若しくは関与することを援助し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。
 その地位を利用して、投票の周旋勧誘、演説会の開催その他の選挙運動の企画に関与し、その企画の実施について指示し、若しくは指導し、又は他人をしてこれらの行為をさせること
 その地位を利用して、第百九十九条の五第一項に規定する後援団体を結成し、その結成の準備に関与し、同項に規定する後援団体の構成員となることを勧誘し、若しくはこれらの行為を援助し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。
 その地位を利用して、新聞その他の刊行物を発行し、文書図画を掲示し、若しくは頒布し、若しくはこれらの行為を援助し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。
 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを申しいで、又は約束した者に対し、その代償として、その職務の執行に当たり、当該申しいで、又は約束した者に係る利益を供与し、又は供与することを約束すること。
(政治的行為の制限)
第六十一条  隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない。
 隊員は、公選による公職の候補者となることができない。
 隊員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。
関係がありそうな部分を赤くしておいた。


次に、稲田氏が何を喋ったかだが、全文ははっきりしなかった。ただ、一部はネットにあったので紹介しておこう。


文字起こしもしておこう。
地元の皆様方と、この政権、国と都政との間をしっかりと繋いで頂けるのは、誰かというとですね、やっぱり自民党の都議会の先生しかいらっしゃらないんです。やっぱり自民党の都議会の先生方が頼りでありますし、板橋区ではありませんけれども、隣の練馬区には自衛隊の師団もございます。そして何かあったときに自衛隊がしっかりと自衛隊が活躍できるというのも、地元の皆様方、都民の皆様方の協力があって初めて、そして、都と国との連携があることが、私は重要であると思いますので、そういう意味においても、一つ一つ、着実な政策をご自身の経験に基づいて実現しようとしている、更には下村先生との強いパイプ、そしてその経験に基づいてしっかりと自衛隊と防衛省との連携のある○○候補をぜひ、二期目の当選は本当に大変ですからお願いをしたいと、その様に、防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたいと考えています。
……稲田さん、もしかして演説、下手?



まあ、それはさておき、この演説の内容をもとに、条文のどの部分に抵触するか?について考えてみたい。

まず、憲法第15条第2項の内容については、演説により「この候補が当選すれば、自衛隊の活動環境が良くなる」と想起される内容になっている前提で考えたとしても、板橋区の住民が優遇を受けるという話では無い。このため、法律に抵触しない

公職選挙法第136条の2の内容については、1項について、自衛隊員が選挙活動しているわけでは無いので抵触せず、2項について、「公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)を推薦し、支持し」に抵触するようにも思えるが、これの主語は「前項各号に掲げる者」つまり、自衛隊員や防衛省に相当するので、自衛隊員や防衛省がこの候補者を支持しているとすれば、それは問題となる。が、この演説は防衛大臣の職にあるとは言え、稲田氏の応援演説である。つまり、都民に自衛隊や防衛省がこの候補を公認していると誤認させたとすれば、それは問題であるが、それについては後に明確に否定している。
つまり、演説内容そのものは公職選挙法第136条の2には抵触せず、想起される内容が問題だという話。

自衛隊法61条については、隊員の政治活動に関する規定であるので、自衛隊員で無い稲田氏の行動に、この法律は無関係である。ただし、自衛隊員が行使対法行為に該当する活動をさせていると誤解させたのであれば、それは問題だが、しかしそれはこの条文の適用範囲では無い。



だとすると、この後に菅氏がこの問題について記者会見を行っていたが、それに尽きる話なのだ。

菅氏「今後も誠実に職務を」 稲田氏辞任は不要との認識

2017年6月28日13時09分
稲田朋美防衛相が東京都議選の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言した問題をめぐり、菅義偉官房長官は28日午前の記者会見で「(稲田)大臣にはしっかりと説明を果たし、今後とも誠実に職務を果たして頂きたい」と述べ、辞任の必要はないとの認識を示した。
~~略~~
菅氏はこの日の会見で、稲田氏から27日夜に報告を受けて「誤解を受けるような発言は注意するように」と発言撤回を求めたことを明らかにした。菅氏は「大臣は自身の発言に関し、昨夜の会見でしっかりと説明した」と強調。首相からも稲田氏を続投させるよう指示があったとした。
つまり、発言内容は都民に誤解を招く可能性のある内容だった。けれども、そうした事を意図したわけでは無く、発言の真意を説明し、一部を撤回したのだから問題なしとの話だ。



しかし、稲田氏はこの他にもトラブルを抱えている。

稲田防衛相「グッドルッキング」に失笑、安保会議で存在感ゼロの日本 「大国の自覚と威厳を」専門家が喝 

2017年7月13日 7時5分
 6月初旬にシンガポールで開かれた「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」。日本の外交・安全保障にとって最大のテーマの一つ、「対中国政策」が、会議での大きな焦点となりました。
~~略~~
 「残念ながら、世界第3位の経済大国としての日本の存在感は、皆無だったと思います。稲田朋美防衛相の演説は英語が聞き取りにくく、また演説冒頭で、フランスとオーストラリアの女性国防大臣との共通項として、我々はともに『グッド・ルッキング(見た目が美しい)』だと大きな笑みで自信たっぷりに言い放ちました。このときの会場からの失笑は、痛々しいものでした」
僕はこの点を問題だとは思わない。だが、寧ろ6月初旬の発言を今頃とりあげて槍玉にあげるメディアのやり方に疑問を覚える。
 
一方で、この会議の際に日本としての明確な立ち位置を表明できなかったのは失策だったと思う。憲法9条の足枷から日本は未だに脱却できていない点を差し引いてもだ。

また、何かとメディアに叩かれやすいキャラというのは防衛省にとっても自衛隊にとってもマイナスではある。

失言が多いイメージというのもあまり宜しくない。

だからこその今度の内閣改造での交代なのだろう。安部氏が憲法改正に踏み切れば間違いなく9条が槍玉にあがるわけで、そんな時にこんな口の軽い防衛相では都合が悪い。



応援演説で、そもそも自衛隊を引き合いに出すべきでは無かったと、そうは思う。そういう意味ではアウトだ。
また、都民に誤認されるような発言というのも、好ましくない。

しかし……、取りあげるほどの内容だったのか?というと、疑問だ。メディアはあまりにヒステリックである。稲田氏には時期が悪かったと諦めでもらうしかないな。大切な時期なのだから。

結局、安倍政権を潰すためのメディアスクラムの一環だという事なのだろう。



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2 件のコメント :

  1. いつも楽しみにしております。2017年7月13日 22:18

    ブログ主様のようにきちんと精査すれば決して失言ではないかもしれないが、マスコミにかかれば失言認定されるようなあまりにも「スキ」が出すぎる時点で、このひとは政治家としての資質はやはりないなと思わざるをえません。
    さらに女性の社会進出についてもこの人を阿部総理が前に出したのも悪手ではないかと。これについても安倍政権の失策でしょうかね。

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    1. マスコミに批判されるからダメなんだ、と言う発想で物事を進めると、稲田氏も話にならない!という事になる訳ですが、彼女の実績をやはり加味しなければ、防衛大臣としての適性はどうなのか?という点は評価出来ないはずです。

      ……まあ、防衛大臣としてもしっかりとした結果を出した様には思えないので、結論的には「交代やむなし」という話になり、僕としても異論はありません。
      もともと、安倍政権が用意した女性ポスト、という位置づけである点も否定は出来ないのですから、無難なポストとして用意されたであろう防衛大臣を、無難に務められなかった事を考えると、それも問題があったということでしょう。

      安倍政権も「女性の社会進出」というテーマを出したが為に、仕方が無い部分はあったのでしょうが。

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