佐川長官の辞任と、出てきた改竄文書

さてさて、先に「未だ、文書に関しては報道されていませんよ」という点は、ハッキリさせておきたい。前回の記事のこともあって、やはり触れておかねばならないだろうと。

佐川国税庁長官が辞任の意向 財務省前理財局長

毎日新聞2018年3月9日 16時17分(最終更新 3月9日 16時34分)
 国税庁の佐川宣寿長官は辞任する意向を固めた。政府関係者が9日明らかにした。佐川氏は学校法人「森友学園」への国有地売却問題を巡り、財務省理財局長時代に「資料は破棄した」などと国会で答弁したが、その後新たな文書が見つかり、野党から「虚偽答弁だった」と強い批判を浴びていた。
えーっと、コレに合わせて前回の記事のリンクがこちら。
この記事にも、最後の部分で「この問題はまだまだ一波乱ありそうだ」と書いたけれども、この記事を書いた時点では想定していなかった事態になった。

書き換え前、複数の政治家の名 複数職員が関与

会員限定有料記事 毎日新聞2018年3月12日 02時30分(最終更新 3月12日 02時30分)
 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書が書き換えられていたとされる疑惑で、書き換えに財務省や近畿財務局の複数の職員が関与していたことが11日、財務省の調査で明らかになった。書き換え前の文書に複数の政治家の名前があることも判明。財務省は12日、国会に対し調査内容を報告する。
そう、朝日新聞がすっぱ抜いた事実が、別の方向から確認されたのである。前回の記事を書いた時点では、「また、朝日新聞が捏造しやがった」くらいに思っていた。前科のある朝日新聞社である。それくらいのことはやるだろうと、僕はそう思っていた。
だが、朝日新聞がキャッチした情報は、事実を含んでいたようだ。

財務省

ただ、この内容は12日、その内容について公表される予定のようなので、詳細についてはコメントしにくいのだが、それについて詳細に報道しているメディアがあったので、そちらを紹介しておこう。

森友文書、書き換えは14文書 1つは開示請求後 財務省理財局職員が関与

2018.3.12 06:34

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、財務省近畿財務局が作成し、途中で書き換えた文書(決裁文書を含む書類の束)は14あり、このうち1つは、情報公開法に基づく開示請求後に書き換えていたことが11日、分かった。財務省は12日に調査結果を国会に報告する方針だが、これまで書き換えを否定してきただけに、野党は反発を強めており、事態収拾のめどはつかない。

どうやら、書き換えられた文書は1つだけでは無く14文書もあったようで。
そして、このうち1つは開示請求後に書き換えられていたと言うことらしいね。確信犯だったということだ。
書き換えがあった14の文書の内訳は、貸し付けに関する決裁書が2つ、売買に関する決裁書が1つ、特例に関する稟議(りんぎ)書が2つ、これらに付随する文書が9つだった。1つの文書から交渉の経緯などを削除しようとしたところ、玉突きで次々に書き換えせねばならなくなったという。
そして、書き換えを行った理由はどうやらこちら。
 一方、近畿財務局が、3年間貸し付ける計画だった問題の土地を、籠池氏の強い要請を受けて10年間に延長することの承諾を求める稟議書にも書き換えがあった。鴻池祥肇元防災担当相、平沼赳夫元経済産業相、鳩山邦夫元総務相(故人)、北川イッセイ元参院議員の各秘書らの働きかけがあったことの文面はすべて削除されていた。ただ、近畿財務局は政治家に関連する働きかけについては「ゼロ回答」だったという。
おやおや。
しかし、ここまで詳細に書かれているということは、産経新聞は問題の文書を手に入れたっぽいね。


なお、似たような記事を書いているのが読売新聞。

閣僚経験者含む、複数政治家の名前削除…財務省

2018年03月12日 06時00分
 学校法人「森友学園」への国有地売却問題を巡る財務省の調査で、閣僚経験者を含む複数の政治家の名前が決裁文書から削除されていたことが11日、分かった。
~~略~~
 前国税庁長官の佐川宣寿氏が、理財局長時代に行った国会答弁と矛盾しているととられかねない部分についても削られていたという。財務省は12日、自民、公明両党と参院予算、衆院財務金融両委員会の理事懇談会で調査結果を報告する予定だ。書き換えに関与した職員や幹部らの処分を検討している。
こちらでは、国税庁長官の職にあった佐川氏が国会答弁を行い、この答弁の内容に矛盾が発生しかねない内容を後から書き換えたと説明がある。

話としてはこちらの方が説得力はあるな。近畿財務局の土地売却交渉に無理があったのは、もはや周知の事実である。これを佐川氏がおかしな答弁をして嘘で塗り固めたが為に、答弁に矛盾が出ないように修正をしたというストーリーである。
国会議員が土地売却交渉に関与していて、籠池氏からの要請で近畿財務局に圧力をかけたというストーリーも考えられるが、このシナリオにはちょっと無理がある。籠池氏に金があってばらまいたというのであれば成立する話だが、そうでなければ政治家に動く旨味は少ない。

何れにしろ、決裁文書の書き換えが行われた事実が明らかになったことで、公文書偽造の罪に問われる官僚が何人も出てくる可能性が高くなった。

さて、この様なニュースから、佐川氏が指示して公文書を偽造した官僚が何人かいた。佐川氏は責任をとって早々に辞任をした、ということはもはや間違いなさそうである。

ただ、これで安倍政権の倒閣に結びつくかは、今なお怪しいところではある。

毎日新聞では、安倍首相の妻、昭恵夫人の名前が出ていたと報じているが……。

書き換え数十カ所 昭恵氏の名削除…問題発覚後

毎日新聞2018年3月12日 10時34分(最終更新 3月12日 13時03分)
 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書を巡る疑惑で、財務省は12日午前、文書に書き換えがあったと認める調査結果を自民、公明両党に報告した。
~~略~~
 また昭恵氏が問題の国有地を「いい土地ですね」と語り、学園を訪問した際に感動して泣いたなどと紹介した籠池氏の発言のほか、自民党の平沼赳夫元経済産業相、北川イッセイ元参院議員ら政治家の名前を含む売却までの経緯が削除されていた。書き換えには理財局や近畿財務局の複数の職員が関与したとみられる。
昭恵夫人は、籠池氏の発言の中で出てきている程度の話のようだ。籠池氏の発言にそもそも信頼がおけないことを考えれば、これが果たして問題に繋がるかどうかはかなり怪しい。文脈を見ないと分からないが、昭恵夫人の関与の可能性はかなり薄いと見て良いだろう。忖度云々はまさにどうでも良い話なので、言及は止めておこう。
また、自民党議員などの名前の出方も記事からはハッキリしないのだが、経緯の中で登場しただけのようなので、ここから問題に発展する可能性があるのかどうか。こちらはもう少し内容が出てこないことには判断ができない。

確かに問題になってから消した部分が何処か?は重要にはなってくるものの、今出てきた情報だけでは、問題視される要素は感じられない。

しかし、一方でこの騒動でもう一つ深刻な問題が判明している。

森友文書 検察当局が書き換え前の文書の写しを財務省に提供

3月11日 18時57分
「森友学園」への国有地売却をめぐる問題で、検察当局が書き換え前のものとみられる財務省の決裁文書を保管し、その写しを財務省側に提供したことが関係者への取材でわかりました。検察当局は決裁文書が書き換えられた経緯についても確認を進めているものとみられます。
~~略~~
関係者によりますと、検察当局は国会に提出された決裁文書とは一部、内容が異なる書き換え前のものとみられる文書を保管していて財務省側の要請に基づきその写しを提供したことが関係者への取材でわかりました。
NHKが言及しているが、検察当局が書き換え前の文書も持っていたということが明らかになったというのである。
このニュース自体は問題がないのだが、この文書書き換えの事実を把握していたいのは、財務省と検察の2つ。そして、文書は検察に提出されているので、事実上、朝日新聞へ事実をリークしたのも検察であるということになる。
何故か?決裁文書の原本を持っているのも、書き換え前の資料を持っているのも検察だからである。

だが、検察は国家公務員であるため、情報漏洩に関しては厳しい罰則が科される。こうした問題で指摘されるのは内部告発者の保護だ。公益通報者保護法という法律で内部告発者は保護されることになっているが、しかし、今回の検察からの情報漏洩は内部告発とはまた違う。検察組織の問題を外部に持ち出して指摘するのは内部告発として扱われるが、今回のコレは、捜査中の案件に関してリークしていて、何れは公表される内容であったことを考えると、公益通報と呼べる内容だったのかは怪しい。
公益通報に該当するには、「真実性」「不正の目的が無い」「証拠隠滅などのリスク」を満たす必要があるが、財務省からのリークならまだ分かるが、検察からのリークだとすると、公益保護にあたるかが怪しくなる。後数ヶ月もすれば開示される内容だっただけに、検察から出る事の意味は薄いのだ。

さて、最後にこの問題の落とし所は、野党がいうような安倍倒閣が妥当なのか?という点について考えてみたい。

未だ、文書の中身、改竄された経緯などがハッキリしないので、断言はできないのだが、問題の帰趨としては、財務省解体というのが1つの結論だと思われる。その辺りは、佐川氏を国会に証人喚問して取り調べをするという話もあるが、寧ろ検察が責任を持って調査すべき話だと思う。国会で審議する必要のある内容ではあるが、むしろ国外の問題をさっさと片付けたい時期なので、悪手だとは思う。

その結果、麻生氏が財務大臣の職を追われるのはある意味仕方が無い様に思う。上司が責任をとるという形に拘れば、の話だが。そうなれば安倍政権にとっては大きなダメージではある。野党が狙っているのはそのシナリオだろうが、しかし麻生氏の首を切ったところで財務省の体質が改善するわけでも無し。ここは、解体が進むまでは辞任すべきでは無いように思う。

一方、財務省の方だが、こちらは解体して歳入庁を作り国税局を組み入れると言う話が妥当では無いか。前々からその構想はあるのだし、機能の集約による効率化と、財務省の弱体化という意味では、大きな意味があるだろう。

もう1つ考えられるのは、検察庁のあり方の問題である。検察から情報が漏れたというのは、国民にとっても極めて深刻な話である。

そちらの方も騒ぎが大きくなれば、対応せざるを得ない問題になるだろう。何らかの法規制が必要になってくるかも知れない。まあ、こちらの方は「そう考えなければ辻褄が合わない」という話であって、今のところ根拠に乏しいので、もう少し話がハッキリしてこないと何とも言えない訳だが。

今回の問題で、財務省か朝日新聞のどちらかが倒れるのだ、という話が出ていたが、まさにそうなりそうな感じだな。財務省にダメージが行くという風には予想していなかったけど。



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コメント

  1. 朝日が事実だとすると朝日を非難していた官僚達は今後大変になります。

    そして、野党は自分たちの手柄だと言ってさらに追求するために審議拒否して国会は空転。

    麻生さんは佐川さんが全て悪いと切り捨て。

    ドロドロですな。

    いつも思うんですけど、新聞記者にリークする人達はどんな見返りをもらってるんでしょうね。

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    1. 今回の朝日の報道の姿勢が「良かった」とは、僕は今でも思えません。
      朝日が騒いだから文書が出てきたという話ではあるんですが、「そういう話を小耳に挟んだ」レベルで報道しちゃったんですよね。それは、報道機関としてはどうなのと。
      故に、朝日が批判されるのは仕方が無いと思います。

      麻生氏が何処まで知って佐川氏を首にしたかは知りません。ですが、むしろ「逃がした」のではないのかなぁと。これは憶測なんですけど。

      何れにしても、紛糾するんでしょうな。特に財務省の内部が凄いことにはなるのでしょう。
      いつかはやらねばならなかった大掃除ですが、案外良いタイミングかも知れませんよ。

      今回のリーク、検察だという可能性がありますが、検察だとすると追記に書きましたが、見返りは「保身」ですかね。この取るに足らない内容が嫌疑との関係で不起訴扱いになると、書類が検察から世に出ない可能性があります。後で公開されて検察が隠蔽したのだ、なんて話になったらそれこそ検察の沽券に関わります。
      まあ、そんなシナリオが一番分かり易い気がします。

      削除
  2. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32018年3月13日 2:38

    TV報道を見ていると、「籠池氏の発言の中で出てきている」という重要な部分を無視して報道してますね。共同通信社なども同様のようです(Twitterを見ていると)
    それを元に、野党は「安倍政権が~~~」...いつものパターンですね。

    財務省の官僚はともかく、こういうときだけ、政権に責任を押しつけるのも「なんだかなあ~」と考えざるを得ません。

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    1. メディアの偏向っぷりはなかなかのものだと思います。
      別記事で指摘された北朝鮮の工作の一環だとすると、安倍政権が倒閣できれば、アメリカの作戦に支障が出る可能性があり、一矢報いることになるワケですから、コストパフォーマンスの良い工作だと思いますよ。

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