北朝鮮の駆け引きと、支那の選択

さて、先日のニュースの続きなのだが、情報が追加されたのでそれを踏まえてもう一度考えてみたい。
結局、支那を訪れたのは金正恩氏で、その交渉内容についてはハッキリはしていないが、非核化の話に触れたのではないか?という憶測が出ていた。

「電撃的な訪中」正恩氏は何を得た 北朝鮮、大々的報道

2018年3月28日21時01分
 朝中親善を新たな高みに引き上げた歴史的事変――。
 28日付の労働新聞(電子版)は1面の見出しとともに、計7ページの記事と写真55枚で正恩氏の訪中を大々的に報じた。昨年、習近平(シーチンピン)国家主席が派遣した特使との面会を拒むほど両者の溝は深かったはずだが、習氏と笑顔で乾杯する正恩氏の写真からはそんな様子はうかがえなかった。
朝日新聞が嬉しそうに北朝鮮の政府機関紙である労働新聞の内容を紹介していたわけだが、記事の内容は驚くほど薄かった。

電撃訪問

チビのロケットマンこと金正恩氏が習近平氏と並んで歩く姿が写真に収められているが、心穏やかではなかったはずだ。
一方の習近平氏は何を思っていたのか。

一応事実関係を整理しておくと、習近平氏就任後、北朝鮮側のトップが支那に入国するのは初。そして、金正恩氏の初の外遊という事になる。
通常、国のトップが変わると、お祝いの意味を込めて他国の首脳が挨拶に向かうという事が行われ、支那の属国というか庇護されている立場にある北朝鮮のトップが挨拶に出向かないというのは、色々な意味で「あり得ない事態」なのだが、しかし、北朝鮮は「支那の思い通りにはならない」という意思表示を込めてであろう、訪問をしないという立場を崩さなかった。
もう一つ、金正恩氏には外に出られない理由があった。それはクーデターのリスク回避の為に、国から離れがたいというものだ。
その結果、これまでのあり方と違って、支那もあからさまには北朝鮮を擁護してこなかった。今回の電撃訪問はそういう意味で象徴的である。

では何故、今回訪問しなければならなかったのか?といえば我が国の官房長官の菅氏がこんな表現をしていた。

菅義偉官房長官「国際社会で圧力かけた成果」 核放棄までは維持を強調

2018.3.28 12:41
 菅義偉官房長官は28日午前の記者会見で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が訪中し、習近平国家主席と会談した情勢について、「北朝鮮の側から対話を求めてきたことは、日米韓3カ国が緊密に協力して国際社会と連携し、北朝鮮に圧力をかけてきた成果だ」と述べた。
北朝鮮への圧力は効果が出にくいといわれていたが、結果的には総評かできる内容だろうという風に理解出来る訳だ。

なるほど、それも一つの考え方だろうとは思う。影響は間違い無くある。

北朝鮮側「制裁緩和」も意図

毎日新聞2018年3月28日 11時56分(最終更新 3月28日 13時07分)
朝鮮中央通信によると、訪中した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は中国の習近平国家主席と26日に首脳会談を行った後の夕食会で、「朝中親善の歴史的伝統を変わりなく守り、両国関係を代を継いで立派に継承発展したいとの一念で電撃訪問した」と発言し、中朝関係を伝統的な友好関係に修復させる意図があることを説明した。
~~略~~
 核・ミサイル開発による国際的制裁で圧力を受ける北朝鮮には、中朝首脳会談を通じた中国側との関係改善で支援を引き出す狙いもあるとみられる。中国国営新華社通信によると、金委員長は首脳会談で、段階的な非核化過程の中で、中国との戦略的な交流を強化し、中国と共に対話によって朝鮮半島の平和と安定を守ることへの期待感を表明したという。こうした過程の中での中国による制裁緩和や解除についても、今回話し合った可能性がある。
ただ、そちらの理由よりも、むしろ、アメリカとの対話の場所を求めるにあたって、自分に不利な場所での対話はまっぴらゴメンだと、そういう風に北朝鮮が判断した部分の影響が大きいのだろうと、そんな風に考えた方がより分かり易いと思う。

もう1つ、会談が開かれる前提と言われる「核放棄」に関して、支那に口添えをお願いしたのではないだろうか?という気がする。

実際に、それを示すような兆候があった。

北朝鮮、非核化に条件…「同時並行」要求

2018年03月28日 23時13分
 【北京=東慶一郎、ソウル=中島健太郎】北朝鮮の金正恩キムジョンウン朝鮮労働党委員長が25~28日の日程で中国を非公式訪問し、北京の人民大会堂で26日に習近平シージンピン国家主席と初の首脳会談を行った。
~~略~~
ただ、正恩氏は「南朝鮮(韓国)と米国が善意をもって我々の努力に応じ、平和実現のために『段階的で同時並行的な措置』を取るならば、非核化問題は解決に至ることが可能となる」と語った。北朝鮮が非核化に向けた行動を取るのと歩調を合わせる形で、米国の北朝鮮に対する「軍事的脅威の除去」や「体制の安全の保証」、段階的な経済制裁の解除などを要求していく構えを示したとみられる。


一つは、報道で「段階的」を条件にしたと伝えられていることだ。

北朝鮮、寧辺の核実験施設を再稼働か

2018年3月29日 9時29分
 北朝鮮で今年2月以降、寧辺核施設内にある原子炉が実験的に稼働した兆候が捕捉されているようだ。米紙ニューヨーク・タイムズは27日(現地時間)付で英国の軍事専門紙「ジェーンズ・インテリジェンス・レビュー」を引用し「北朝鮮は寧辺の核施設で実験用軽水炉を一時稼働させた。これは今後米朝首脳会談に影響を及ぼすだろう」と報じた。米国のシンクタンク・科学国際安全保障研究所(ISIS)はこの原子炉について「年間20キロのプルトニウムを生産可能」と推測している。ニューヨーク・タイムズは「トランプ大統領が北朝鮮への軍事攻撃に向けた大義名分に利用するかもしれない」との見方を示した。
もう一つは、核実験施設の稼働のニュース。

北朝鮮、核実験場の駐留部隊を半分に減らす

2018年03月28日11時21分
  北朝鮮が5月の米朝首脳会談を控え、咸鏡北道(ハムギョンブクド)豊渓里(プンゲリ)核実験場に駐留する軍部隊の人員を半分に減らす措置を取ったと、朝日新聞が28日報じた。
一方で、核実験場の駐留部隊を半分に減らすなどのパフォーマンスも見せている。
何れも、簡単には核放棄をしないという意思表示だと思われる。北朝鮮は、「北朝鮮の非核化」を表明したわけではなく、「非核化への行動をとる」としている。そして、同時並行的に、朝鮮半島からの駐留米軍撤退を望んだわけだ。もちろん、制裁の解除も要求したとみられる。

これに対して、支那としても色々動きを見せている。

バッハ会長、北朝鮮へ 正恩氏と会談の可能性も

会員限定有料記事 毎日新聞2018年3月29日 02時30分(最終更新 3月29日 02時30分)
 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長がIOC本部のあるスイスから北朝鮮に向かったことが28日、複数の関係者の話で分かった。
IOCのバッハ会長と言えば、平昌五輪はかつて無いほどの大成功であったと言い、特に北朝鮮の参加を喜んだ人物である。
IOCとしては御法度であっただろうに、北朝鮮のために数々の便宜を図り、特例として五輪に参加させるような働きもあった。
そして、支那から多額の支援を受けている人物でもあるので、この動きは支那からの要請や韓国からの口添えが有ったと思って間違い無いだろう。

習近平氏としても、流石に近隣で戦争を起こされてはたまらないし、支那と北朝鮮は今でも裏で密接な繋がりがある。ある意味最大の北朝鮮支援国家なのだから。

支那は表だって北朝鮮の肩を持つような姿勢を見せていないものの、確実に北朝鮮側に立って行動するであろうという意思表示を示した。

今後は、アメリカと北朝鮮の対話ではなく、そこに支那が一枚噛む構図になっての話し合いが進む可能性が高い。もちろん、支那は自国の最大利益になるような動きを見せることは間違い無い。そして、北朝鮮崩壊を望んではおらず、朝鮮半島からの在韓米軍撤退は、韓国の協力があれば可能だ。アメリカとしても既に韓国には必ずしも米軍を配置する必要性を感じていないように思われる。

アメリカはロシアとの関係もあって、この問題に対してどういうチョイスをするのかは不透明だが、案外、日本にTHAADを配備出来れば、韓国は用済みで台湾を取り込む方向に舵を切るなんてこともありうるかも知れない。

今後も目が離せないな。


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コメント

  1. タイで目覚めた日本人2018年3月29日 16:21

    支那が北の刈り上げ電話を厚遇するということは、それが支那の利益に繋がるからなんでしょう。
    つまり、朝鮮をまとめてしまいたいのかな?
    「朝鮮連邦を北朝鮮上位で赤化統一」させちゃった方が扱いやすくていいと考えてるのかな。。。
    その下地として、南朝鮮の首領さまは徹底的に冷遇して差を付けてる・・・とか。

    考えが単純過ぎますかねぇ・・・

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    1. どうなんでしょうかねぇ。
      支那にとって北朝鮮と韓国との関係は現状維持が良いと思っているかと思いますよ。

      ただ、北朝鮮がこれまで支那皇帝に挨拶をしてこなかったので、支那に来ることを歓迎したんでしょうねぇ。だって、専用列車を移動させるような手続は、電車のダイヤを変更したり、警備を厳重化させたり多大な手間がかかるわけで。
      そこまで金をかけて北朝鮮を招きたかった理由を考えると、どういう風に事態が動いているのか?という点には注視しておく必要があるのだと思います。
      ムン君はかなり冷遇されていましたから、ソレと比べてもかなり驚きの待遇ですよね。

      そうなると、赤化統一を推奨しているというご指摘は、ある意味あたっているのだと思います。

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  2. 歴史上、状況を楽観視した軍隊が勝利したためしはなく、血を流さない戦争である外交も同様だと思います。
    その意味で今回の金正恩の訪中は、「中国と北朝鮮は敵対してる」という甘い幻想を打ち壊した点で良かったと思います。
    また、ブログ主様のご指摘の在韓米軍撤退と、段階的非核化(口だけ)で米朝合意することも十分考えられます。
    半年後には「ホワイトハウスに金正恩を招待!」という事態になっていても不思議はないのが、外交です。
    心情的にはモヤモヤ感が残りますが、とにかく自分に都合の良い幻想だけにハマらないようにしたいと思って見ています。

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    1. 外交も形を変えた戦争ですから、血が流れることもあるでしょう。
      ご指摘の様に、日本が一番注意しなければならないのは「段階的な非核化」そのもので、アメリカもその様な判断をする可能性はあります。

      河野太郎氏が興味深い発言をしていたので、ちょっと注視しているのですが、内容はよく分からないですね。

      https://www.hokkaido-np.co.jp/article/176357

      面白いアイデアが出たということなのでしょうが、色々な議論ができる関係にあるという意味では、日米の関係はこれまで以上に良いという事かも知れません。

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  3. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32018年3月30日 18:41

    「米国の北朝鮮に対する「軍事的脅威の除去」」って、北朝鮮の最終目標は、米韓相互防衛条約の破棄という感じが、更に強まってきてます。

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    1. 支那と北朝鮮が結んでいる、有事における支那の介入に関して、支那としても望んでいないという話を小耳に挟みました。確かに、先の朝鮮戦争では、実質、アメリカと支那+ロシアとの戦いでしたから、両陣営ともかなりの損耗があった訳で、同じ轍を踏むつもりは無いという気持ちは分かります。

      当然、アメリカ側も韓国のために自国の国民の命を無駄にするのは良しとしないでしょうから、案外その辺りで手を結んで朝鮮戦争が再燃してもお互いに静観するとかそういう話になり得るワケで。

      その一環として朝鮮半島からの米軍撤退という話は、案外現実味を帯びた話になりつつあるのかも知れません。

      トランプ氏は、この話を進めたがっていると聞きますしね。

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