拉致問題は日本が解決すべきである

今年は拉致問題が動く年であるといわれている。
その理由は色々あるのだけれど、北朝鮮が進退窮まってきているというのが一番の理由だ。

トランプ氏、日本の拉致問題を提起へ 米朝首脳会談で

4/12(木) 3:33配信
 トランプ米大統領が、6月初旬までの実現を目指す北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長との米朝首脳会談で、日本人の拉致問題を提起することが11日明らかになった。米政府高官が語った。安倍晋三首相は17、18日に米フロリダである日米首脳会談で拉致問題の解決に向け協力を求めるが、米政権にとっても人権問題が北朝鮮への「交渉カード」になると判断した模様だ。
そして、本日のトップニュース……扱いはされていないのだが、非常に大きなニュースがこちら。ソースは朝日新聞の記事だ。
なんと、トランプ氏が慰安婦問題を「交渉カード」に使うと言い出したのである。拉致問題を動かすには絶好の機会だ。

USA-TRUMP/REPUBLICANS

さて、日米首脳会談は4月17日~18日で開催の予定である。
このタイミングでアメリカが「拉致」のカードを使うと言い出した意味をちょっと考えてみたい。
確かに「拉致問題」は人権マターである。欧米にとってはこれ程使いやすいカードは無いのだが、これまで何故これを使わなかったのか?
それは、拉致問題というものそのものが解決の方向性が分からないと言う点にあるのだと思う。その為に日本政府が動いているかというと、そんなことは無いようだし。

これについては、ちょっと古い記事があってソレが参考になるので紹介したい。

アメリカが拉致問題などで「日本の立場」を十分に理解できない理由

2012年05月11日(金)12時59分
 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会のメンバーが、米国務省でキャンベル国務次官補と面会した際、キャンベル氏が、北朝鮮の拉致の問題と同時に国際結婚の破綻に伴う「日本人親による子の連れ去り」問題に言及、並行して親権の問題を考えて欲しいと発言したという報道があります。
~~略~~
 アメリカがこの問題における「日本の立場」が理解できないのには1つの理由があると思われます。それは、成人した人間、次世代の家族を構成している人間を親が「奪還する」ことの正当性について、どうにもピンと来ていないという問題です。
 数年前に、アメリカの外交関係者から愚痴を言われたことがあるのですが、「拉致問題が凶悪なのは分かるが、何をもって解決というのかが分からない。完全な原状回復は無理だろうし」というのがその内容でした。彼は、何も相手が独裁政権だから諦めろと言っていたのではありません。ただ、仮に理不尽な拉致をされたとしても、拉致をされた先で結婚し子供もある、つまり向こうに日本側の知らない人生も生活もあるケースについては、親や兄弟として「完全な原状回復としての奪還」というのはどうもピンと来ないというのです。

政府の公報でも「絶対取り戻す」というキャッチフレーズでポスターなどが作られているが、取り戻した後どうするの?という点については誰も触れていない。
 アメリカの国務省は「日本海からそっと近づいて、いきなり人間を麻袋に入れて船に乗せて運んでしまう」という拉致事件の凶悪な側面を知らないわけではないのです。仮にそうであっても、成人したら、更には結婚して次世代の家庭を持ったら、それは親からの独立だという感覚が強い常識としてあるので、老親による成人した子どもの「完全なる奪還」という目標設定には感情移入できないのだと思います。
ここに触れられているようなドライな感覚がアメリカの主観なのかどうかは分かりかねるが、これが事実だとすると日米の間には実に埋めがたいギャップがあると言えよう。

そんな訳で、欧米で拉致問題が「人権問題にすり替わる」という為には、深刻な人権侵害が認定される必要がある。
そうで無いのだとしたら、この「取り戻す」というのは日本の国家が一義的に背負わねばならない問題であり、これまで長期間にわたって放置されてきたこととは整合性がとれない。

アメリカが動き出そうという背景には、多分別の理由があるのだろうと思う。
この被害者である学生は、北朝鮮によって不当に逮捕された後に拷問された末、再起不能になって死亡してしまった。この件に対してかなりアメリカは怒りを感じていたようだ。

Father of Otto Warmbier, who died after being held in North Korea, will attend the Olympics Opening Ceremonies

February 4
SEOUL — Fred Warmbier, the father of Otto Warmbier, an American student who was jailed in North Korea and who died last year after returning to the United States, will attend the Olympics Opening Ceremonies as a guest of Vice President Pence this week.
平昌五輪の開会式に、被害者のオットー・ワームビア氏の父親を招待したというのである。
“You are powerful witnesses to a menace that threatens our world, and your strength inspires truly us all,” Trump said to the Warmbiers as they sat in the audience, their younger children Austin and Greta behind them. “Tonight, we pledge to honor Otto's memory with total American resolve.”
なかなか強烈な言葉が踊っているが、アメリカが動くとしたらこうしたアプローチなのだと思う。

さて、それはそれとして、アメリカが「拉致カード」を使う理由は他にもあるのだと思われる。ソレがこちらの記事に関連する。

米朝首脳会談“日本開催”浮上 日米首脳会談で電撃提案か、官邸関係者「日米に大きなメリット」

2018.4.10
ドナルド・トランプ米大統領と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の首脳会談をめぐり、官邸周辺で「日本開催案」が浮上している。
この話は、以前、虎ノ門ニュースで青山氏が口にしていた案ではあるが、別に青山氏が発案したというわけでは無いのだろう。ただ、それなりに実行価値のある話だと言える。



アメリカにとって、北朝鮮との会談は「是非ともやらねばならない」という性格のものでは無さそうだが、アリバイ作りとしては有用である。
会談をやったけど、北朝鮮はアメリカの提案に従わなかった。話し合いでは解決できない。だから、実力行使にうつる、というシナリオが成立するからである。

ただそうなると、開催場所が問題になる。
トランプ氏は「平壌に行ってもいい」とは言っているが、これを実現するとなると、アメリカ軍が日本海側に展開して、どんな事態になっても解決できる、という状況を作り出すだろうと思われる。下手すれば、警備と称して、それなりの規模の戦力が北朝鮮内に展開することが予想される。となると、金正恩氏としては「冗談では無い」という事になる。
では、支那でやるのか?という話だが、これまでアメリカは支那に散々じゃ増されてきた経緯があるので、北朝鮮と直接対話をするにあたって、支那の介入を許したくないという思惑があるだろうから、アメリカ側が難色を示すだろうと予想される。ただでさえ、アメリカと支那は貿易戦争真っ只中である。状況的にも洒落にならない。
実現可能性の高いのは韓国国内、或いは、板門店だが、アメリカがそもそも韓国を信頼しなくなってきているので、その選択肢を採るか?と言われると若干の不安はある。特に、警備の面で相当な負担があり、韓国にソレを任せる事が出来ない以上は、在韓米軍が展開する事になるのだが、それは北朝鮮としては容認できないだろう。

他の選択肢としては、ロシア、スイス、スウェーデンなどが考えられるが、黒電話ことエリンギヘッド、……ではなく金正恩氏は、飛行機が苦手である。支那に行くのですら専用列車を仕立てた訳で、長距離を飛行機で移動というの現実味がない。

となると、第三国で比較的中立な立場にいる日本でやるのは、それなりのメリットがあるのでは無いか?という風に感じる。警備の面でも、東京であれば問題無かろうと思われるし、飛行機で移動するにせよ、距離的にはたいした事は無い。無理やり船で移動ということもできる東京であれば、可能性としてはありだ。

そして、東京で米朝首脳会談を実現するのであれば、拉致問題をぶっ込むことは比較的容易になると思われる。実のところ、冒頭のニュースは、その為のメッセージでは無いかという解釈も可能なのだ。



ただ、上で説明した通り、そもそも拉致問題の本質について、アメリカは理解できない可能性がある。少なくとも長らくその問題には触れなかったのがアメリカであるし、触れなかったということはアメリカにとってメリットが無かったからだと理解するのが正しかろう。

だとすると、この「拉致カード」を使って貰う為には、日本側として解決に向かうためのロードマップを整える必要がある。
1つは、「何をもって解決なのか」という点を明確にすることである。北朝鮮国内に、拉致被害者がいることを特定することがゴールなのか?それとも、日本に入国できるような道筋を付けることがゴールなのか。
某国のようにムービングゴールポスト方式は、どんな国でも嫌われる。外交では悪手である。

そして、「アメリカに解決して貰うのでは無い」という意思を示すべきだ。自衛隊を北朝鮮国内に投入し、被害者救出に尽力できる道筋を作るべきなのである。必要であれば憲法を変えてでも、だ。
この点は、本来あるべき「独立国家の姿」とも言える。その事が国会で議論すらされないとは一体どういうことなのだろうか。

03_18

アメリカは、単なる交渉カードとして拉致問題を利用しようとしている。それはそれで日本としては交渉の足がかりになる可能性としては歓迎すべきだが、しかし、日本が能動的に動かないと、この問題は意図しない方向に転がって行ってしまう可能性が高い。カードに使われただけで終わりかねないのだ。
安倍氏はその点について理解はしていると思うが、多くの国会議員は理解すらできていない可能性がある。
そうでなければ、モリカケで1年も2年も騒いだりしない。



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