トヨタがバッテリー交換式の電気自動車を検討

このブログでも、何処かで「EVなら電池交換式だ」とその様な言及をしたことがあるのだが、どうやらトヨタも似たような事を考えたようだ。

充電待ちがわずか数分に “電池交換式”電気自動車検討 トヨタ

3月31日 15時11分電気自動車
電気自動車の普及のネックとなっている充電の待ち時間が大幅に短くなるかもしれません。トヨタ自動車は、わずか数分で電池ごと交換する充電の仕組みを新たに検討していることがわかりました。
ただ、このニュースを知る前に、個人的に電池交換式の実現性について色々と調べていたのだけれど、現実的かというとなかなか難しい話のようだった。
無論、今回このニュースが報じられたと言うことは、トヨタにとってはある程度技術的な裏付けができたという事なのかも知れない。

さて、トヨタの話はさておき、僕が何故「実現化は困難」と考えたか、について簡単に説明していこう。

「電池交換式」 すでに電動バイクで実用化

この「電池交換式」の仕組み、電動バイクなどではすでに実用化されています。
台湾では、新興のバイクメーカーがこの仕組みを導入して販売を伸ばしているほか、先月から沖縄県の石垣島でも観光客向けにバイクを貸し出す事業を始めています。
現在、電池交換式の電動バイクは商品としてこの世に存在する。

台湾で始まり、台湾でのブームを知った石垣島で、これを導入して貸しバイクという事業が始められたという話は、過去に石垣市長選の辺りで少し言及している。
面白い取り組みだとは思う。

01

こんな感じのバイクなのだが、どうやら電池交換ができる構造になっているそうで。

03

この緑色のが交換用のバッテリーって事らしい。これを交換すると、110km走行することができるのだとか。

だが、バイクと自動車では実は大きな違いがある。

ちょっと古い記事を紹介したい。

バッテリー交換式電気自動車はEV本格普及の決め手になるか

2009年08月28日
 2010年から、いよいよ国産自動車メーカーによる電気自動車(EV)の一般向け販売が始まる。三菱自動車は10年4月から「i-MiEV(アイ・ミーブ)」の個人向け販売を開始予定で、09年7月31日から購入希望受付を開始している。日産自動車は09年8月2日に新型EV「リーフ」を発表、10年度後半に日本と北米、欧州で発売する予定だ。
実は、かつて日産が電池交換式のEVに関する実証実験を日本国内でやっている。
この実証実験に手を貸したのがイスラエルの電気自動車関連企業であるベタープレイス。ところが、この会社、2013年に倒産してしまっている。

電池パック交換式EVは顧客満足を得られず、ベタープレイスが会社清算へ

2013年05月27日 14時40分
イスラエルの電気自動車(EV)関連企業であるBetter Place(ベタープレイス)は2013年5月26日(同国時間)、地方裁判所に会社の解散と清算を申し立てたと発表した。
 EVには、大容量電池を搭載するので価格が高い、満充電からの走行距離が短い、充電時間が長いといった課題がある。ベタープレイスは、標準化した電池パックをEVに搭載し、走行距離が不足してきたら電池交換ステーションで電池パックを交換するという手法を提案。同社と契約したEVユーザーは、走行距離の分だけ電気代を支払う。電池パックは同社が提供するので、その分EVの購入費用が安く済む上に、電池パックを満充電のものに即座に交換するので充電時間を気にする必要がない。内燃機関車のユーザーが、燃料を所有せずに、必要なときにガソリンスタンドで燃料を購入して補充するのと同じような感覚でEVを利用できるようになるというビジネスモデルである。

日本国内の実証実験の結果がどうなったかも、よく分からない。
 しかしその後、EV用電池パックの標準化や電池パックの交換が容易なEVの開発が進まず、電池交換ステーションの設置費用が高すぎるなど、ベタープレイスのビジネスモデルの課題が表面化した。
しかし、少なくともイスラエルでは上手く行かなかった様なのである。



何故上手く行かなかったのか、について考察する前に、EVの話をしておきたい。

i-MiEV

日本国内では、三菱の「i-MiEV」やら日産のリーフやら、電気自動車として一役脚光を浴びつつ、ぱっとしない車種が幾つもある。え?リーフは成功した?

累計30万台、販売台数世界一のEV「日産リーフ」がもっとも売れた地域は日本じゃなかった!

2018/01/17 16:23
世界中の自動車メーカーが「EVシフト」をトレンドとして掲げています。その中で、日本の自動車メーカーは積極的に声を上げていないようにも感じるかもしれません。しかし、とっくにEVシフトしているから、あえてアピールする必要がないという見方もできます。
累計30万台も売れたリーフなので、「ヒット商品」と呼ばれてもおかしくは無いのだけれど、実際に売れたのは外国であって、日本国内では10万台売れたかどうかというライン。
大成功とは言い難い。

まあ、そこそこ成功したとは言えるかも知れないけれど。

しかし、そこそこ成功したと言えるレベルのリーフであっても、とある問題があってユーザーは運用に色々と苦心しているようではある。

実は、苦心している理由はバッテリーなのだ。

電気自動車『リーフ』は“4年しか使えない”欠陥車だった!日産ファンだった購入者が告発「初期ユーザーはモルモットですか?」

11:57 07/30 2015
 当時の日産自動車副社長が「5年で10万km走行しても大丈夫」と公言し、カー雑誌も「5年の使用で性能の80%は確保される」と書き立てるなど、鳴り物入りで2010年12月に発売された電気自動車『リーフ』。だが、3~4万㎞走っただけでバッテリーが急速に劣化し、15年7月現在、既に使用できなくなった車両が続出していることが分かった。
まあ、ある意味納得の理由である。

新型登場で30万円台も存在! 激安の中古日産リーフは買って大丈夫か

投稿日: 2018年2月6日
モーターならではのトルク感とシームレスな加速が、一度味わったら病みつきになってしまう電気自動車の日産リーフ。一方で充電にかかる時間や航続距離、バッテリーの劣化という問題もあり、なかなか購入までに至らないというユーザーも多いことだろう。
どちらも信頼性の高い記事では無いが、バッテリーの問題は現実に指摘されている点であり、プリウスだって初代や二代目、三代目もバッテリーに纏わる悲喜こもごもな話はついて回った。確か、初代はバッテリー無償交換をやったんじゃ無かったかな。

日産自の新型「リーフ」、難題抱えた始動-EVには空前の追い風も

2017年8月30日 8:50 JST
日産自動車は電気自動車(EV)「リーフ」の新型車を9月に公開する。
~~略~~
  状況が変わったのは購入から4年目ぐらいのことだった。新車時は満充電で160キロメートルだった航続距離が目に見えて短くなってきたのだ。今では100キロぐらいまで減り、空調を使うとさらに距離が大幅に縮まるため遠出が難しくなった。
  国沢氏の印象では、日常的な使用での電池の劣化では日産自が定める保証の範囲に到達せず無償交換の対象にまずならない。日本では有償による交換プログラムの詳細はウェブで公開されていないといい、電池性能への顧客の信頼の低さが中古車価格の低迷につながっていると考えているという。
  大手中古車販売サイト「カーセンサー」では修復歴がない走行距離2万8000キロメートルの11年式リーフが本体価格35万円台で販売されている。リーフの発売当初の価格との比較で9割超の値落ちとなる。16年式のモデルでも110万円を切る車が出ている。現行リーフの最新モデルの価格は約280万円から456万円。
ああ、大手さんも記事にしてたね。

早い話、バッテリーの信頼性がイマイチなのである。そして、バッテリーが劣化すると一気に利便性が低下してしまう。
にもかかわらず、バッテリーは新品に交換するにはかなりお高い。

こうした弱点には早いうちから気がついていたであろう日産、電池交換式のタイプもテストをするなど積極的な動きを見せつつ、現実的にはその努力は今のところ実を結んではいない。

……まあ、評価はそれぞれなので、ある意味成功したと言うべきなのかもしれない。が、ガソリン車を喰うレベルには至っていない。


ガソリン車とEV(電気自動車)との大きな違いはエンジンの有無である。
車がエンジンでは無くモータで動くようになれば、車の部品点数は劇的に減る。商品を作るにあたって、部品点数が多いというのは非常に大きな足枷となる。ガソリン車に比べてEVの部品点数はなんと半分以下。

そして、自動車を作るにあたってエンジン開発こそがハードルが高い。

世界中を見渡しても、自国でまともなエンジンが生産できる国は一握りである。エンジンは、高い工業力と資金力をもって初め作る事が出来る。噂では、自国で1からエンジンを開発して生産できるのは世界で5カ国しかないそうで。

アジアでは日本のみ。え?支那や韓国でも作っている?確かに支那や韓国でも製造は可能だし、それぞれの国で生産される車のエンジンには自国で作ったものが搭載されている。しかし、信頼度の面では日本製に大きく譲るので、ボンネットを開けると未だにエンジンには三菱のマークがついていたりするケースも多い。

韓国は支那よりは先に行っているようだが、未だレースで戦えるようなエンジンを開発出来るようなレベルでは無い。

そんな訳で、エンジンが無いEVは求められる技術レベルがガソリン車よりも低い。ただ、バッテリーはまだまだ、という状況だ。

じゃあ、バッテリー交換式のEVならば良いじゃ無いか!と思う訳だが、それも日産は上手く道筋を付けられてはいない。
今のところ実証実験は継続しているのかも知れないが。

原因を調べても、バッテリー交換式のEVの問題点は探せなかったのだが、「ああ、電池、重いんだろうな」とそう思った。

実際、車のバッテリーを交換したことがある人であれば、電池の重さというのは理解して貰える話だろう。現在のガソリン車に搭載されるバッテリーは鉛蓄電池なのだが、エンジンの始動に使う程度のバッテリーがえげつなく重い。

これ、軽自動車などに搭載される小型のバッテリーなのだが、重量は9.4kg
では、プリウスに搭載されるニッケル水素電池は?というと、40kg程度の重さ。リチウムイオン電池は随分軽くなって25kg程度。
それでも重い。

上で紹介したバイクだが、あれも2つ交換用のバッテリーを積んでいることが分かると思うが、バイクのバッテリーですら、2つに分けて搭載しなければ「交換用」としては重いのである。

そして、これを軽くする方法は残念ながら現在の技術では難しい。ポリマー系の電池であればそれなりに軽くなるが、大容量で軽量という両方の要件を満足できる二次電池で実用化されたものは、未だにこの世に存在しない。



ただ、現在は全固体蓄電池の研究が進んでいる。

「全固体蓄電池」2年後に実用へ スマホ、EVなど安全・高性能化 他の次世代型も猛追

2017.2.26 10:00
 携帯機器や電気自動車などに使う次世代蓄電池の開発が加速している。現在のリチウムイオン電池より安全で高性能な新技術の研究が活発化しており、本命視される「全固体電池」は2年後にも実用化する見通しだ。
液体を使わないことと、エネルギー密度が上がることで、軽量化が可能になると言われている。単純にエネルギー密度が2倍にできるのであれば、重量は大雑把に1/2で良い事になる。
この記事に紹介されている「リチウム空気電池」というのも有望らしい。蓄電量がリチウムイオン電池の3~5倍と言われているので、更なる軽量化が見込めるな。

正直、インフラ的な問題や、電池の劣化管理などの問題なども大きいとは思うが、もっと単純な話、つまり「重さ」の問題を克服出来ないことには、気軽に交換ができない。
25kgの電池をユーザーに交換させる?あり得ないだろう。
精々10kg以内に収めないと、話にならない。

リチウムイオン電池の性能を3倍に、金属シリコン負極の改良に成功

2018年03月07日 07時00分
GSユアサは2018年3月6日、金属シリコンを主体とする電池負極の高エネルギー密度化と長寿命化に成功したと発表した。電気自動車に実際に搭載されるサイズの電池にこの負極を用い、従来のリチウムイオン電池の約3倍となる高エネルギー密度化を実現したという。
よって、現状の技術、リチウムイオン電池の性能の3倍というのが一つの目安だと思われる。

冒頭のニュースはそうした技術に目処が立ったという話なんだろうね。

リチウムを超える「アルミニウム」、トヨタの工夫とは

2016年12月21日 09時00分
電気自動車に必要不可欠なリチウムイオン蓄電池。だが、より電池の性能を高めようとしても限界が近い。そこで、実質的なエネルギー量がガソリンに近い金属空気電池に期待がかかっている。トヨタ自動車の研究者が発表したアルミニウム空気電池の研究内容を紹介する。開発ポイントは、不純物の多い安価なアルミニウムを使うことだ。
2016年の記事になるが、こんなニュースがあった。

この記事は、二次電池(充放電を繰り返すタイプの充電池といわれるもの)ではなく一次電池(乾電池など、放電のみができる電池)を使うというアイデアを紹介している。

乾電池で自動車が動く時代が来るという話だからビックリだが、今のところは未だ可能性の段階に過ぎない。ただ、取り扱いの難しい二次電池をリユースするのであれば、技術的目処さえつけば一次電池での運用の方が面倒が無いのは事実。
工場で生産されるために、劣化を気にする必要は無い。
重量とコストは問題ではあるが、コストはアルミニウムを使うという方針である程度は目処が立っているのだろう。



なお、日産の方も完全に諦めたという話では無いらしい。
EVのバッテリーの劣化が問題視されてい点はなかなか解消しづらい様だが、しかし別のアプローチで二次電池そのものが安くなってしまえば、劣化すれば交換、という形にできる。

EVの使用済みバッテリーを再利用、日産が交換サービス開始

2018年03月30日 09時00分
 日産自動車は、電気自動車(EV)「日産リーフ」の使用済みバッテリーを再製品化し、バッテリーの有償交換プログラムを開始すると発表した。
 まず、24kWh(キロワット時)モデルの再生バッテリーを30万円で提供し、今後その他の容量モデルについてもラインアップ拡充を図る。なお、新品バッテリーの有償交換は24kWhモデルが65万円、30kWhモデルが80万円、40kWhモデルが82万円となっている。
コストが劇的に安くなっているというわけでは無いのが残念だが、新品よりも再生産品が半額以下の設定であるという点にはそれなりに評価はできる。

こうした取り組みは外国でも行われている様だが、今後それは一層加速していくだろう。
そして、こうしたEV業界の先頭に立とうとしているのが、支那なのである。


世界的な企業になったトヨタであっても、ルノーなどと提携して巨大企業になっている日産であっても、一国に立ち向かうというのは困難だ。

特に、EVのように、インフラとの兼ね合いがあってこその分野ではなかなか行政の支援無しには成り立たない。

そんな訳で、日本も頑張ってはいるようだが、開発のスピードや資金力に勝る支那に喰われる日は、そう遠くは無いのかも知れない。そうならない為にはやっぱり国からの支援はある程度必要なんだろうと思うよ。
その支援は何もトヨタに金を渡せ、ということを言っているのでは無い。寧ろ、インフラ整備や法規制の緩和などの方向でアシストしろという話。そんなに難しい話じゃ無いんだよ。モリカケなんて騒いでなければ、それなりに時間は確保できるだろう?国会議員もそれくらい仕事しろよ。




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コメント

  1. 現在のリチウムイオン電池の二十倍のエネルギー密度を持つ電池が実験室レベルですが開発されています。
    物理的に安定しており(劣化しない)レアアース・レアメタルを必要としない、日本の微細加工技術が無いとエネルギー密度は十数倍が限界。
    個体電池ともども次世代電池の実用化にメドがたっているので、現在のリチウムイオン電池の素材を中国・韓国に輸出しているのでしょう。

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    1. ハンドルネーム:音楽大好き・・・上の匿名氏とは別人です
      エネルギー密度が20倍とは、すごいですね。今まで100kgだったものが5kg。
      これならば、車体屋さんに「標準電池を積め」と言えますね。電池交換式のEVの開発が進まなかったのは、車体のパッケージングの点で問題が多すぎたからでしょう。実際、大きくて重く、寸法が決められた電池を、容易に交換できる位置に積むとなると、車体の設計は非常に困難だと思いますから。

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    2. 研究室レベルのものは色々開発されていると、聞き及びます。
      ただ、本当に製品化できるのか?という感じで、待っても待っても一向に商品化される気配が無いのです。

      電池は安定性がネックで、世に出てくるのは難しいのでしょうかね。

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  2. 経済産業省・資源エネルギー庁が音頭を取ってやった「平成21年度 電気自動車普及環境整備実証事業」でベタープレイスのバッテリー交換式EVは日本交通と組んでの実証実験もありましたね。

    正直、EVを本格的に普及させるならバッテリー交換式は理にかなっているという評価をしてました。ガソリンスタンド事業者が生き残る道でもあるし。
    ちょっと調べてみると、この実証実験、2014年に取得資産を処分(どこも欲しがらなかった)して終わったようですね。検証やレポートは探し方が悪かったか見つかりませんが、コアになっていた会社が消えて立ち消えたのかな、と
    http://www.enecho.meti.go.jp/appli/demand_survey/2014/140326a/results.html

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    1. ベタープレイスが倒産したのはやはりこの計画を大きく狂わせるような出来事だったようですね。
      検証結果が出なかったこの手の事業って、どうなっちゃうんでしょうねぇ?

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