韓国GMは破綻を回避したが……

えーっと、久しぶりに韓国経済の方にスポットライトを当てておきたい。

【社説】またも血税で延命された韓国GM

記事入力 : 2018/04/24 09:30

 経営難に陥った自動車大手韓国GMの労使が構造改革に向け合意した。来月閉鎖予定の群山工場従業員680人を対象とした無給の休職を取りやめる一方、年間1000億ウォン(約100億円)削減することになっていた福利厚生費も従業員の子供の学費など一部が継続されることになった。

これは朝鮮日報の社説で、破綻の危機を迎えていた韓国GMが、ギリギリの所で踏みとどまったという話なのだけれど。

これが韓国経済の構造的問題を示しているといっても良い話なので、今回取り上げている。


韓国GM生産のキャプティバ


日本にも輸入されたことがある韓国GMの車がこれ。

そもそも韓国GMは2000年に経営破綻した大宇自動車が、アメリカのGMに買収されて出来上がった企業である。

大宇自動車は1937年に誕生した韓国の自動車会社なのだが、当初は部品を細々と作る程度だった。転機が訪れたのは1962年の日産自動車と提携してのノックダウン生産の開始だったのだが、経営的には振るわず1963年に経営破綻している。しかし、1964年にトヨタと技術供与契約を勝ち取ると、再び自動車を作り始める。この間に三菱重工からもノックダウン生産の契約をするなどすったもんだがあったが、1966年には正式にトヨタと提携をしてトヨタ車のノックダウン生産を開始した。ところが1972年にはトヨタ撤退。この後に入ってきたのがGMである。

まあ、GMは資本参加する形だったので、その後もいすゞやスズキ、ホンダなどのノックダウン生産を請け負うという、節操のない経営を続けて、2000年に経営破綻を迎えるわけだ。

現在、韓国の自動車会社というのは、悪名高い現代自動車の1社しかない。かつては起亜自動車だとか、双竜自動車、三星自動車などが存在した。韓国GMは?というと上に紹介したように大宇自動車が存在した。まあ、これらの自動車会社は概ね外資に買われてしまっている。これが前回の通貨危機の影響というわけだ。


ところで、当のGMなのだが、アメリカ本国でも経営が思わしくない。

色々な所にスケベ心を出して買収をしてみたけれども、自動車産業では負け続けている感じである。

GM、豪州生産を終了…オーストラリアの自動車メーカーが消滅

2017年10月23日(月) 00時15分

米国の自動車最大手、GMは10月20日、オーストラリアにおける自動車生産が終了した、と発表した。

いやまあ、オーストラリアに関して言えば、トヨタも現地生産から手を引いているので、GMの経営手法がどうのという話では無い。


そもそも自動車産業は、労働コストが重要であって、生産コストの安い場所で作らざる得ないような状況である。何しろ、部品点数が多くてとにかく手間がかかる。だからこそ、労働コストが安いところで生産される流れになるワケだ。

だから、そこそこ技術力があって労働コストが安いところで作られるような流れになるのだが……、オーストラリアはそうしたメリットが無くなったと、そういう話。もちろん、労働コストだけではなく、周辺地域の需要にも大きく関わる話になるのだが、まあその辺りは置いておこう。

本題の韓国の業界なのだが……、実は労働コストはそれほど上がっていないのだが、物価は上がっている上に、ストが酷い。

韓経:【取材手帳】韓国GMの撤退をあおる労組ストライキ

2017年09月21日14時43分

  3年間の累積純損失が2兆ウォン(約1984億円)に達する韓国GMの労働組合が20日、またストライキを行った。ことしだけで5回目だ。
  ストライキの1次理由は賃金だ。組は▼月基本給15万4883ウォンの引き上げ▼通常賃金(月424万ウォン)の500%を成果給など一時金で支給--などを主張している。
  同社はことし7月24日、第18回交渉で基本給5万ウォンの引き上げと一時金1050万ウォンの支給案を提示した。赤字の累積でこれ以上余力はないが、最大限の誠意を示したというのが会社側説明だ。

なんとなんと、去年だけで5回もストライキをやっているのである。

んで、最初の社説に書かれている驚くべき話なのだが……。

年間1000億ウォン(約100億円)削減することになっていた福利厚生費も従業員の子供の学費など一部が継続されることになった。

驚きの手当があったりするのが韓国の労働者の環境なのである。もちろんこれ、大企業に限った話ではあるのだが。

なお、韓国でストライキが頻発するのは、ストライキ中も給与を支払わなければならないルールになっているからなんだそうな。それもビックリだが。

日本ではストライキ中は無給だけど、ストライキをした事による評価の低下は、法律上はやってはいけないことになっている。


ところが、韓国ではこれが給料を出さなければならない話になっているからどうなるかというと……。

韓国自動車業界の給与、トヨタ・フォルクスワーゲンを上回る

2018年03月05日13時25分

  韓国GMの生産台数は最も多かった2011年に比べて40%近く減った。昨年の赤字は9000億ウォン(約900億円)にのぼった。国内販売、輸出とも減少したが、賃金は着実に上がった。2013-16年の成果給は毎年1000万ウォンずつ支払われた。この期間、基本給は毎年2.7-5%上がった。

こんな事になっちゃった。

ストの度に給料が上がるんだから、そりゃねぇ。

  GM群山(クンサン)工場閉鎖決定の原因には高コストと労働硬直性が挙げられる。自動車が売れず施設の稼働率が低下しても、労使がコスト削減のための休業や賃金調整に合意できなかったということだ。先月12日にダン・アンマンGM社長が「GMの韓国長期残留は(韓国)政府が資金やインセンティブを与えるか、韓国労組が労働コスト削減に同意するかにかかっている」と述べたのは、高コスト構造に対する不満を表したのだ。韓国GMの1人あたりの給与は2016年基準で年間平均8600万ウォン水準と知られている。退職給与まで加えると平均9700万ウォンを超え、現代自動車よりも多い。

とまあ、そんなことになっちゃっているので、GM本体も、韓国から撤退したがっているのである。赤字が積み上がる一方だからね。

 次に予定されている韓国政府とGM本社との交渉も大きな問題だ。GM本社は27億ドル(約2900億円)に上る韓国GMへの融資を出資金に転換し、これに28億ドル(約3000億円)の新規投資によって2種類の新車を韓国で製造するという。その条件はもう一つの大株主である産業銀行が5000億ウォン(約500億円)以上の支援を行うこと、そして韓国GM富平工場と昌原工場を外国人投資地域に指定し税制面での特別措置を得ることだ。産業銀行による支援と税制面での優遇は結局国民の税金による埋め合わせを意味するが、それでも政府はGMの要求を全て受け入れる可能性が高い。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/04/24/2018042400781.html

ところが、韓国政府の事情としては、GMが撤退しちゃうと雇用が失われて大変なことになっちゃう。で、GM側に大きく譲歩する形で残って貰うように交渉したわけだ。その内容が国策銀行である産業銀行からの支援と税制面での優遇であるようだ。

これは造船産業もそうなんだけど、とにかく負け戦の様相なのである。


まあ、そんな状況の中で、中央日報が凄い社説を載せていた。

【社説】破局防いだ韓国GM…これからはGMの責任が重要だ

2018年04月24日08時34分

  韓国GM労使が「デッドライン」直前に劇的に自助計画に暫定合意することで法定管理を回避した。使用側が群山(クンサン)工場の労働者に対する長期無給休職案を撤回し、労組が賃金凍結と成果給未支給などを受け入れた結果だ。労使は「未来発展委員会」と「富平(プピョン)第2工場特別委員会」を作り会社経営正常化案と新車配分問題などを議論することにした。あすとあさっての組合員による賛否投票を通過すれば合意案は確定する。

~~略~~

  ひとまず大きな峠は越えたが、今後GMと韓国政府、産業銀行間の交渉という山場が残っている。当面はGMの貸付金の出資転換と大株主の差等減資が争点に浮上している。差等減資がなければGMが貸付金を出資に転換する場合、産銀の株式は1%以下に減る。このようになると産業銀行がGMの一方的経営に対し牽制する装置がなくなる。「食い逃げ」のように韓国経済に衝撃波を投げる独断的決定を防ぐためにも最小限の牽制装置は絶対に必要だ。
  産業銀行は韓国GMに対する経営実態調査中間報告書を通じ労使合意後に会社側の経営計画がしっかりと履行されれば劇的再建は可能だと予想した。だが生半可な期待は禁物だ。韓国GMに対するGM本社の積極的な支援の意志と実効性ある経営戦略が後押しされないならばいつでも危機は再発しかねない。韓国政府は今後の交渉過程で大株主の責任と持続可能な生存案という支援原則を揺らぐことなく守らなければならない。

GMの責任で韓国GMを立て直せと。

社説の中身としては、韓国の税金を投入することで、韓国GMの救済を行うのだから、その成果を出せという、そう言うような流れになってはいるのだが、現実的にはGMは慈善事業団体ではない。メリットが無ければ撤退するのは当たり前。民間企業に一体何を求めているのか。


これは、中央日報の社説と言うよりは、韓国政府の魂の叫びと言うことなんだろうね。



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コメント

  1.  2009年、GMは、チャプター11(民事再生法)を申請し、その後、国有化されました。
    世界最大の破綻劇の原因は、大きく分けて2つあると言われています。
     一つ目はUAW(全米自動車労組)の存在です。
     この世界最強の労組は、ストライキを武器に、従業員や退職者の医療費や年金など過剰な要求を繰り返しました。
     典型的なのが、「ジョブズ・バンク」制度で、一時解雇期間中も組合員にも賃金の85%を支給するものでした。
     当時の従業員でさえ、「UAWというだけで金持ちと見られて困る」と嘆いています。
     その結果、GMは、この財務負担により債務超過に陥りました。
     二つ目は、硬直化した組織と独善的な会社風土です。
     1950年代のGM会長は、「GMにとって良いことはアメリカにとっても良いことだ」と言い、当時はその通りでもありました。
     GMは、往年の名車であるシボレーを神格化し、エコカーや燃費の向上などの開発は目もくれず、大型高燃費の車を作り続けていました。
     風向きが変わるのは、石油ショックが高燃費のアメ車を直撃してからで、その後の環境意識の高まりと共に、GMのマッチョな体質と時代が合わなくなっていきます。
     しかし、GMは「シボレーは最高だ!売れないのは日本が卑怯だからだ!」と労組と一丸となって日本車を叩き割るネガティブキャンペーンを繰り広げました。
     この「悪いのは自分ではない」というGMの体質は、米国内でも発揮され、GM車の欠陥を指摘した人物を、探偵を雇って尾行したのがばれ、逆に訴えられたりしています。
     また、2013年の国有化解消後の「新生GM」においても、死者12名も出してるにもかかわらず、リコール隠しを行っていたことが発覚し、公聴会で散々叩かれました。

     「最強の労働組合」と「自分は悪くない」というGMの2つの特徴。
     韓国とGMは、相性がいいと思います。

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    1. おお、そういう切り口で考えていなかったので参考になります。

      しかし日本にも、程度の差こそあれ大企業病みたいな話は存在しますし、かつての国鉄の話など思い返してみても、未だに革マル派がJRの中で生き残っている程度には、強い勢力を持っていたと思いますので、そういうものかも知れませんね。
      だとすると随分と救いのない話ですなぁ。

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  2. 上のコメントを見て思ったのだが、そういえばヒュンダイもストをやり過ぎて「ロクデナシ」の韓国人から不買運動されかけたとか言う話があったような・・・・。
    そのうち、この韓国GMも同じことされたりして・・・・。
    いや、下手したらあの韓国人のことだし、上尾事件みたく、韓国GMの「ロクデナシ」の労組を大層気に入らない貧乏な韓国人(と枯葉剤戦友会とかも加わったりして・・・・)が一斉蜂起して、韓国GM労組の本部に乗り込んで「論より大声嫌がらせ」をしたりして・・・・。
    んで、韓国GM労組が「こんなことになったのは米国GMのせいニダァァァ」とか言ってギャーギャー騒いだりして・・・・。
    まぁ、そうなったらそうなったで「ああ、また韓国人らしいことやってやがんの」と言いながら、眺めてやるだけの話なのだが・・・・。
    まぁ、でもこれで米韓関係に影響が出たりしたら、日本の拉致問題だの、なんだのに影響もでたり(はしないか?)するかもしれないしあまり、笑えないのかもしらんが・・・・。

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    1. そうですね、ヒュンダイもストで苦労をしているようですが、それが韓国の方針ということなので、ヒュンダイも受け入れざるを得ないのでしょう。

      ただ、韓国人の行動原理は「泣く子は余計に飴をもらえる」ですから、適当にあしらわないと。

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