韓国で原発の事故、反原発の方針は更に進められるか?

この手のニュースは、韓国から偶に聞こえてくるが、今回のニュースは結構大きな事件のようだ。

韓国原発で重水漏出、29人が放射能に被ばく

2018年06月14日11時23分
11日に慶尚北道慶州(キョンサンブクド・キョンジュ)にある月城(ウォルソン)原子力発電所で発生した冷却材漏出事故に対し原子力安全委員会が13日に現場調査を始めた。 原子力安全委員会はこの日、「専門家と関係者で構成された調査チームが月城に行き事故経緯と原因を把握するだろう」と明らかにした。これに先立ち11日午後6時45分ごろ、月城原子力本部月城3号機(加圧重水炉型70万キロワット級)で冷却材である重水3630キログラムが漏れ、当時作業中だった労働者29人が放射能にさらされた。重水は原子炉内の炉心を冷ます役割をする冷却材だ。この事故は現場作業者のミスによる冷却材バルブが開いて発生した。漏れた重水はすぐに回収された。
重水ねぇ……。
月城
トラブルを起こした原子力発電所は、CANDU炉4基とKSNP炉2基を稼働している原子力発電所だ。
CANDU炉というのは、カナダ型重水炉という比較的珍しい原子炉であり、冷却材に重水を使用している。
そう、今回の事故は比較的古いCANDU炉の3号機が引き起こしている。
これに先立ち11日午後6時45分ごろ、月城原子力本部月城3号機(加圧重水炉型70万キロワット級)で冷却材である重水3630キログラムが漏れ、当時作業中だった労働者29人が放射能にさらされた。この事故は現場作業者のミスによる冷却材バルブが開いて発生した。漏れた重水はすぐに回収された。
冷却材に使われている重水だが、「質量数の大きい同位体の水分子を多く含む、通常の水より比重の大きい水」の事である。
日本で使われている原子力発電所の多くは軽水炉と呼ばれる原子炉であるのに対して、韓国では重水炉を採用している。なお、重水炉は重水が優秀な減速材として機能する一方で、運用コストがかかる等の問題があって、世界的に見ても少数派であり、新しい原子炉では採用されていない。
じゃあ、重水と軽水では何が違うのか?というと、軽水が「水素×2」+「酸素」という分子の構成であるのに対して、重水は「重水素×2」+「酸素」という分子構成になっている(この他の構成の重水も存在するが、説明を割愛する)
重水素は水素の同位体で、普通の水素(軽水素)の原子核には陽子1つだけで構成されるのに対して、重水素の原子核には陽子1つと中性子1つが含まれている。
自然界では、軽水素が99.985%に対して重水素が0.015%という存在比になっているので、水の電気分解などを行うことで重水の濃縮をして(重水は電気分解されにくい)いくといった手法で重水を得ている。

早い話、重水というのは製造コストがかかるって話だね。



重水炉には天然ウランを直接燃料にする事ができるというメリットがあるので、ウラン濃縮を行わなくても発電ができる点でメリットがある。
しかし、重水の仕様によってトリチウムができてしまうというデメリットを抱えていて、良い面と悪い面がある様だね。

で、何が言いたいかというと、「水がこぼれました」「全部回収しました」というのは、いささか信用しにくい話であるということだ。
3.6tの重水が漏れて、「直ぐに回収しました」って、床に零れたからポンプを使って吸い上げましたとか、そういうレベルの量でも無さそうだけどな。
韓国水力原子力は「人的ミスに対しては徹底した調査を通じて責任を問い再発防止対策を立てる」と明らかにした。今回の事故は月城3号機(加圧重水炉型70万キロワット級)が11日から計画予防整備に向け発電が停止した期間中に発生した。これに先立ち月城3号機では昨年10月にも原子炉と連結されたバルブの故障で重水110キログラムが漏れた事故があった。
で、これが初めてじゃ無いっていうところもなかなかちょっと心配である。
同連合は「11日の冷却材漏出当時26分間バルブが開いていた経緯を明らかにし責任の所在を明確にしなければならない。作業者のミスでバルブが開かれても冷却材である重水が3630キログラム排出される長時間バルブを遮断しないのは疑問だ」と明らかにした。続けて「冷却材漏出量に比べ作業者の被ばく量がとても低く報告されている。事故当時の三重水素濃度を正確に明らかにし、近隣住民に対する防護措置はどのようにしたのかも明らかにしなければならない」と付け加えた。 
また、作業員の操作ミスと説明されているが、26分間もバルブが開きっぱなしで、作業員が直ぐに気がつけなかったことなど、記事でも突っ込まれているが如何にも不自然な話である。

そして、問題はこれだけでは無い。
この月城3号機と同型の1号機は、1983年に運転開始されて(3号機は1998年運転開始)いる。そして、設計寿命の30年を迎えたのが2012年(稼働は1982年)。
しかし、2015年に稼働期間を2022年まで延長する決定がなされているのだ。

[社説]問題だらけの月城原発稼動延長決定

登録:2015-02-28 11:12 修正:2015-02-28 11:49
 原子力安全委員会(原安委)が27日未明に一部の委員が退場した中で月城原子力発電所の1号機の稼動期間延長を許可する決定をした。設計寿命の30年が過ぎて3年目に稼動が中断された月城1号機が2022年まで再び発電できるようになったのだ。
意味不明なのは、何故、設計寿命が切れる前に稼働期間延長が行われなかったか?ということと、設計寿命が経過した後も平然と動かしていた点である。
 原安委の構成が偏向がちであるという点はさて置いても、今回の決定過程には問題が多い。1991年に新しく作った原発安全技術基準が月城2~4号機を始めとする他の全ての原発に適用されているのに月城1号機は例外にされているという指摘が相次いだ。
加えて、1号機に関しては、1991年に新しく作った原発安全基準を満たしていないのに、運転の継続が認められている。
更に問題なのはIAEAの基準も満たしていない点だ。

寿命延長決まった月城1号機の安全性、IAEA基準満たせず

登録:2015-03-04 22:20 修正:2015-03-05 06:28
 先月27日に寿命延長が許可された月城(ウォルソン)原発1号機の安全性が国際原子力機関(IAEA)が提示した最新の基準を満たせないという指摘が出ている。
 環境運動連合と原子力専門家団体である「原子力安全と未来」は4日、「月城2〜4号機とは異なり、月城1号機の格納容器には、使用済み核燃料を抜き出すときに使用する水路に水門がなく、国際原子力機関が提示した放射能漏れ試験を行うことができない状態で、安全性評価の国際基準に適合しない」と明らかにした。
~~略~~
月城1号機には水門がないため、設計圧力(18psig・圧力単位)で放射能漏れ試験を行うと、プールにある3.5メートルの水は5psigしか耐えられず、すべて漏れ出してしまうため、放射能がどこへ漏れていくのか試験自体が不可能だというのだ。



なかなか凄い話だな。



なお、本家のカナダで運転中のCANDU炉は古いもので1979年に稼働したものがあり、現在も稼働中であるという。
だから韓国のCANDU炉が特別古いというわけでは無いのだろうが、しかしカナダの場合には、大規模な改修工事を行い、運転期間を延長しているという経緯があって、直接比較することは難しい。

韓国では、1号機の水門のような話がゴロゴロしているようで、古いまま運転を続ける可能性は濃厚である。
韓国水力原子力によると放射能にさらされた労働者29人の被ばく量は平均0.39ミリシーベルト、最大で2.5ミリシーベルトだった。韓国水力原子力は「年間法的許容値20ミリシーベルトの12.7%水準。病院でがん診断のために撮影するPET-CTを1回撮影する際に受ける放射線量8ミリシーベルトより低い数値」と説明した。
被曝した作業員は、たいした事は無かったようだが、日本で2.5mmSvだったなどと発表されたら発狂する人が何人も出そうだな。

福島第1原発の事故では、1mmSvを目指して除染とか言っていたような……。

除染土、農地造成に再利用 環境省方針

2018/6/3 18:18
環境省は3日までに、東京電力福島第1原発事故に伴う除染で生じた土を、園芸作物などを植える農地の造成にも再利用する方針を決めた。除染土の再利用に関する基本方針に、新たな用途先として追加した。食用作物の農地は想定していない。
 工事中の作業員や周辺住民の被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下になるよう、除染土1キログラムに含まれる放射性セシウム濃度を制限。くぼ地をならす作業に1年間継続して関わる場合は除染土1キログラム当たり5千ベクレル以下、1年のうち半年なら8千ベクレル以下とした。除染土は、最終的に厚さ50センチ以上の別の土で覆い、そこに花などを植える。
むしろ、日本の行政の方が救いようがないな。

反原発派の方も、さぞかしこの事件で騒ぐことだろう。……騒ぐんだよね?


失礼。
ちょっと話が脱線してしまったが、ムン君は反原発派なので、この事故を契機にさらに脱原発、反原発へと舵を切る可能性が高いのだが……。

実のところ韓国経済は火の車なので、安定した電力供給ができなくなるなどという話になったら、それこそヤバイ。だから業界から強烈な反発が予想される。
だから、そう簡単には反原発推進は出来ないと思うのだけれど、どんな判断になるんだろうな。




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コメント

  1. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32018年6月15日 19:08

    ハッキリ言って、韓国の原発なんて迷惑千万なんですが...それはさておき、
    >重水は「重水素×2」+「酸素」という分子構成になっている。
    そこまで、断言はおかしいかと。「H2O」のうち、どれかの原子に一つ中性子が余計にはいると「重水」になるようです。したがって、組み合わせは「2の3乗」で八通りあると考えます。
    もちろん、生成される可能性(数学的には「期待値」)は違いますので、存在分布も一定ではないと考えますけど。

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    1. ご指摘ありがとうございます。
      狭義の重水の方しか頭にありませんでしたが、重水の定義からいえば、ご指摘の通りですね。改めて調べましたが。
      ただまあ、ここでは原発で使われる重水ということで説明しております。その場合はD2Oが使われるのが一般的のようですね。

      しかし、誤解を招かないように修正させて頂こうと思います。

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