一票の格差とは、本当に是正されるべきなのか?

さて、本日はあまり時間がとれない事もあって、記事が上手くまとめられなかったのだけれど……。ご容赦願いたい。
先日、議員定数を6増やす法案が可決された。

参院6増法が成立 自民、約束守らず強行

2018年7月19日 朝刊
 参院選の「一票の格差」是正に向けた選挙制度改革を巡り、自民党が提出した定数六増を柱とする公職選挙法改正案は十八日の衆院本会議で、自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。今国会の会期末が二十二日に迫り、与党が採決を強行した。来夏の参院選から適用される。改正法は自民党がかつて約束した「身を切る改革」と「選挙制度の抜本的な見直し」をほごにする内容。野党は衆院の全会派が反対し「党利党略の極みだ」などと反発している。
これに対して、野党やメディア各社は一斉に噛みついている。「約束破りだ」と。

この改正法に関しては、何やらおかしな内容も付随している。
 参院議員定数は現行の二四二から二四八に増える。選挙区では「一票の格差」縮小のため、議員一人当たりの有権者数が最も多い埼玉選挙区の定数を二増。比例代表は掲載順に当選者を決める「拘束名簿式」を一部に導入し、定数を四増する。参院の定数増は沖縄の本土復帰に向け、一九七〇年に沖縄選挙区の新設で二増したのを除けば戦後初。
ここで「拘束名簿式」を一部に導入するというおかしな話が出ているのだ。
参議院比例区では「非拘束名簿式」の選挙が取り入れられているが、かつては拘束名簿式の投票法も採用されていた時代があった。拘束名簿式だと、有権者は政党名でのみ投票ができる。非公式名簿式は、有権者は政党名でも立候補者氏名でも投票が可能になる。
「非拘束名簿式」でも「拘束名簿式」でも「名簿」と呼ばれる順位の定められたリストが作成される。そして、得票率の多い政党が順にリストの上から議員を当選させていくというような形となる。詳しい説明は割愛するが、「政党に投票する」という形になるのが「拘束名簿式」だと理解すれば良いだろう。

ただ、「拘束名簿式」では、リストを政党が作成するので、有権者は投票したい候補に投票することができないというデメリットが発生する。狙った候補とは異なる議員が当選してしまう形になるのだ。





で、今回に限らず、こういった定数是正の法案を通す背景には、「一票の格差」ってヤツがある。

参院一票の格差、最大3.087倍 住基台帳から試算

2018年7月11日20時58分
総務省は11日、住民基本台帳(今年1月1日時点)の人口調査結果を発表した。これをもとに参院選の現行制度での「一票の格差」を朝日新聞が試算したところ、最大3・087倍だった。議員1人あたりの人口が最少の福井県(38万8665人)と最多の埼玉県(119万9805人)の差が最も大きかった。
一票の格差というのは、投票する地域によって、投票される票の重みが異なる、という結果が生まれる事を指している。例えば、福井県と埼玉県では3倍の格差が出る。つまり、福井県の1票と、埼玉県の3票が同じ価値になるというロジックだ。

だが、これは本当に必要な指標なのだろうか??
最高裁は一票の格差は3倍までだと判じているが、選挙制度の否定に繋がりかねないので、「選挙のやり直し」にまで踏み込む事例は今まで存在しない。
ただ、外国でも「格差是正」という名目で選挙区の変更や定数の増減を行うケースが見られるため、全く手当てをしないという訳にも行かないのかも知れない。ロジックとしては「法の下の平等に反する」という理屈が用いられる。
kakusa
ところで、こうした「格差」というのは、一体何を意味するのだろうか?

「アダムズ方式」 22年以降に導入 改革第2弾で1票の格差是正

2017/4/20付
昨年成立した衆院選挙制度改革関連法では、今回の衆院の区割り改定は第1弾との位置づけになる。2022年以降に予定される第2弾の改革では、人口比に応じて都道府県に議席を配分する「アダムズ方式」を導入する。最高裁が再三にわたり是正を迫ってきた「1票の格差」問題の本格的な解消にはもう一段階の改革が必要になる。
そういえば、アダムズ方式を採用するとか言う話もあったな。



確かに「法の下の平等」というのは、できるだけ守られる必要のある話かも知れない。
しかし、選挙において、それぞれの地域で有権者達がその議員を応援するモチベーションは、自分たちへの利益供与である。もちろん、金銭授受があれば問題となるが、議員を送り込んで、高速道路を引いて貰おうとか、新幹線を誘致しようとか、そういう話は過去何度も聞いてきた。

そうなると、各地域に議員が存在すると言うことはそれなりに重要な話となるが、その一方で、東京一極集中という問題もあって、東京ばっかり人が増えて、地方に人がいなくなるという状況を招く。
で、東京選出の議員ばかりが増えると、地方行政は置き去りになるという構図になるワケだ。

安易に議員を減らすことは、必ずしも正しい事に繋がらないという話になりかねない。
 改正法が批判されるのは、これまでの「約束」に違反することが大きい。一つは定数増。二〇一二年の党首討論で当時の野田佳彦首相、自民党の安倍晋三総裁が定数減で一致するなど、消費税増税などで国民に負担増を求める代わりに、国会議員が自分たちの「身を切る改革」を進めることを約束してきた。
 だが、来年十月に消費税率10%への引き上げが予定される中、逆に定数を増やした。参院の付帯決議では、定数増による経費増大を避けるよう求めたが、給与引き下げなど具体的な方法には触れていない。
東京新聞は「約束破り」が問題だとしているが、そもそも一票の格差をそこまでシビアに見積もる必要があるのかという気がしてならない。
多少格差があっても、選挙区毎で区切るか、選挙区を大きくした上で、当選者も増やすとかそういった手法に切り替えていくしか無い様に思える。かつての中選挙区制とか大選挙区制とか、そういう話の方がマシだと思うんだよね。

上で紹介したアダムズ方式は、なにやら面倒な計算式を毎回あてはめて計算する必要があるので、これが良いかというと、なかなか……。

選挙区制度の見直しというのは、まあ、必要なんだろうけれど、今はそれより急ぐべき法案がある事を考えると、「この時期にやらなくても」とか「寧ろ、あまり気にするな」とか、そんな無責任なことを考えてしまうね。
寧ろ、選挙制度そのものよりも、選挙を世襲議員が地元の選挙基盤を受け継いで当選していくというシステムの方の弊害の方が大きい様にも思う。それでも、アホなタレント議員や声の大きい活動家を当選させるよりはマシかも知れないが……。




ランキングへの応援クリックよろしく!
にほんブログ村 ニュースブログ ニュース批評へ

コメント

  1. 政治家や経営者などは、世襲以外に教育システムが実質存在しないというのが、大きいかと。
    他の職業も、例えば教師や警察官、自衛官などもそうですが、親の背中を見て育つのが、結局は一番だったりします。
    分かりやすく言うと、「天皇」の民間公募制度で、天皇にふさわしい人を民間から選ぶべきだ!となった場合、果たして大学の「国際天皇学部」出身の民間天皇が本当に良いのかどうかというのに似た問題になるかと思います。
    眞子様の元婚約者騒動を見ると、まず世襲以外は無理だと思います。

    返信削除
    返信
    1. 過剰に「平等」を求める方々にとって、一票の格差というのは我慢なら無いものなのかも知れませんが、それぞれの地域から代表を選出するという考えに立てば、ある程度の格差は許容されるべきだろうというのが、僕の意図する所であります。

      さておき、教育は人間の人格形成において大きな影響を与えますので、身近にその職業を持つ人がいて、考える機会が多い人ほど、その職業に対する適性が高くなる可能性は増えるようには思います。世襲というのはその意味では結構意味があると思うのですよ。
      ただ、アホが巨大な票田を引き継いで議員になってしまうような事態も発生するので、世襲が問題となってしまうんですよね。それこそ人工知能に職業適性をチェックさせるような時代がそのうち来るのかもしれません。

      日本における「天皇」のシステムというか体系は、血統そのものとも言えますので、その血統を継ぐに相応しいかどうかは、結果論なんですよね、きっと。翻って見るに、民間公募制度の天皇というのはそもそも前提としておかしい話になってしまう様には思いますよ。それは天皇ではない何かでしょう。そして、そうした存在を国が必要とするのか?というのは甚だ疑問であります。本題と逸れちゃう話なんですけどね。

      削除
    2. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32018年7月25日 4:00

      「一票の格差」に関する自分の主張は、このブログの過去記事に書いたとおり(衆議院と参議院で、決定方法を根本的に変えるべき)なので、ここでは省略します。

      「天皇制」に関しては、乱暴にいうと、日本史の長い期間で、「天皇」と「実務組織」の二重構造(「象徴天皇制」)を取ってきたと考えています。「天皇」(皇室)が「祭り事(祭祀)」を司り、「実務組織」が「政(≒軍事・外交・経済)」を司るという形ですね。
      少なくとも、平安時代以降で「象徴天皇制」でなかったのは、「建武の新政」の時期と明治維新~1945/08/15の期間のみではないかと愚考してます。現在の「立憲君主制」は、典型的な「象徴天皇制」であろうと感じます。
      「天皇」(皇室)が司る「祭祀」は、日本が日本であるアイデンティティであると考えます。なので、世襲(および男系天皇制)は必須と考えます。

      補足)明治維新は「建武の新政」(天皇親政)に立ち返るという側面があったようです。その推進のために、天皇の神格化&神仏分離を行ったのは、失敗だったのではないかと愚考してます。

      削除

コメントを投稿

お気軽にコメントを!ハンドルネームは面倒でもお願いします。